ダイビング事故を予防しよう。事故原因を「内的要因」と「外的要因」に分けて解説

ダイバー向け

ダイビングって危険なのでは?
そう聞かれることが時々ありますね。

詳細なデータは以下の記事をお読みいただければと思いますが、他のレジャーと比べて特段事故率が高いレジャーということはありません

一方、水中という特殊な環境であることもあって、1つの事故が命に係わる可能性が高いということは否定できません

スキーやスノーボード、山登り、サーフィン、各種スポーツ、そしてダイビング、どんなレジャーでも残念ながら事故は存在します。
そして、残念ながら命を落としてしまう方もいらっしゃいます。

それでも、最大限事故を起こしてしまう可能性を減らす、少なくとも自分が事故に遭ってしまう可能性を減らすことは出来るでしょう。

事故に遭わないための最大の予防策は、事故を引き起こす原因を理解することです。
過度に恐れる必要はありませんが、正しく理解して、正しく予防して行きましょう。

そもそもダイビング事故の原因は?

ダイビング事故は、全体的な数は少ないものの、死亡事故となってしまうことが多い物。
さらに、原因とは関係なく最終的には溺水として処理されてしまうことが多いため、直接の原因を詳細に追求することは難しいものです。

また、事故の原因がひとつに特定されるケースの方が稀で、多くの場合はいくつかの原因が重なり合って引き起こされてしまいます。

今回は内的要因と外的要因に大別して見て行きましょう。
尚、技量不足に関しても内的要因に分類させてもらいました。

大前提として、あらゆる事柄に関して少しでも不安があれば、その不安を事前に解消するか、さもなければ潜らないという判断が重要ですよ!

ダイビング事故の内的要因

内的要因については、更に健康状態、技量不足、減圧症の3つに分けて見て行きます。

健康状態

最も防ぐことが難しく、最も事故の原因となる割合が高いと考えられるのが、健康状態に関する問題です。

持病をお持ちの方はもちろん、自分では健康と思っていても、突然健康状態に変化が現れることはあります

毎年、多くの方がお風呂場での事故によって亡くなっていますが、同じことと言えるかもしれません。
お風呂場での事故の一因としてヒートショック、つまり、急な温度変化が挙げられますね。

ダイビングの場合はお風呂の逆、急に冷たい水に入ることになります。
それだけれ身体に大きな負担がかかるであろうことは想像できるのではないでしょうか。

自身の体調に関して過信することなく、日ごろから心身ともに健康であることを心がけましょう。
特に、40歳以上の方はより一層の注意を払いましょうね。

健康状態だけでなく、ダイビング当日の体調にも注意が必要です。

体調不良を抱えてのダイビングや、二日酔いの状態でのダイビングは非常に危険ですよ!

技量不足

技量不足も事故の要因として大きな割合を占める物です。

例えば、ダイビング事故にロスト(チームとはぐれること)が絡むことは珍しくありませんが、ロスト自体が事故に繋がることはありません。

ロストしてしまった結果、精神的な不安からパニックに陥ってしまい、正しい判断が出来なくなってしまうために事故になってしまうのです。

エア残量を顧みずに水中を探し回ってしまってエア切れ
慌てて水面に浮上をしようとして息ごらえしてしまい、肺の過膨張

などが考えられるケースでしょう。

万一ロストしてしまっても、慌てずに正しい対処法を取りましょう。
水面にさえ安全に浮上することが出来れば、漂流することはあっても、すぐに命に関わることはありませんよ。

安全な浮上に際して、オーバーウエイトで上手く浮上出来ないというケースも散見されます。
また、ボートからのエントリー時、オーバーウエイトが原因で事故に繋がるケースもあります。

沈めればOK、ではなく、日ごろから適正ウエイトで潜るようにしましょう。

何より重要なのは、何が起きても落ち着きを失わないことでしょう。
これだけで、慌てて水面に浮上しようとして、呼吸を止めてしまうということは防げます。

多くの方が心配する「エア切れ」についても内的要因であると言えます。

防ぐ方法は簡単。

小まめにチェックする。

これだけです。

エアの量が少なくなってしまった場合には、完全なエア切れを起こす前にバディからオクトパスをもらうことで、より安全に帰還することが出来るでしょう。

また、万一不意にエア切れを引き起こしてしまったとしても、数キックでバディにたどり着くことが出来る位置をキープしていれば、即座にオクトパスをもらうことが出来ますね。

万が一バディが近くにいない場合は、浮上速度をコントロールしながら水面を目指す、緊急スイミングアセントで浮上します。
オープンウォーター講習でも習う、いわゆる「緊スイ」というスキルですね。

ちなみに、数メートル浮上することで、一呼吸程度は可能なことはご存知でしょうか?慌てて浮上しなくても、途中で一呼吸ぐらいは出来るため、落ち着いて浮上速度を守りましょう。

減圧症

レクリエーショナルダイビングの場合、命に関わるケースは稀ですが、減圧症もダイビング事故のひとつです。

詳しくは以下のページに譲りますが、

  • 深く長いダイビングを避ける
  • 急浮上しない
  • ダイブコンピューターは、より控えめに使用する
  • ダイビング後の高所移動や飛行機搭乗にも気を配る

ということを守ってダイビングを行いましょう。

ダイビング事故の外的要因

こちらも大きく3つ、生物、環境、器材に分けて見て行きたいと思います。

生物

ダイビングにおいて、生物が事故の要因となることは非常に稀であると言えるでしょう。

危険生物の代表格とされるサメに至っては、レジャーダイバーがサメに襲われるという事故は、今のところ世界中見渡しても発生していません。

注意すべきは毒を持つ生物ですが、生物には触らないということを守っていれば、水中生物自ら襲ってくることは決してありません。

環境

ダイビングの安全性に影響を与える環境要因としては、波、潮流(流れ)、透明度、水温が挙げられるでしょう。

波が高い時、透明度が悪すぎる時には潜らない、流れが強い時には引き返す、水温に応じて適切なスーツを着用する、といった行動が必要なことは言うまでもありません。

この中で、ダイビング中に突然、安全性を左右するほどの変化をきたす可能性があるものは潮流でしょう。

水平方向の潮流であれば、ひとまず水面に浮上をするという対処法も考えられます。

しかし、中にはアップカレントやダウンカレントと言った、垂直方向に発生する潮流も存在します。

この様な特殊な潮流が発生する場所は決まっているものなので、事前のレクチャーを踏まえて、自身の技量を過信しないことが重要です。

器材

器材の故障が事故の要因となってしまうことも、あるでしょう。
それぞれの器材について、細かく見て行きましょう。

マスク

水中でマスクが取れてしまったら…

大丈夫です、レギュレーターさえ外さなければ、即座に事故になることはありません。

講習の際に、マスク脱着で苦労をした方は少なくないと思いますが、水中でマスクが無い状態でも慌てない様にしましょうね。

また、水中でマスクのストラップが切れてしまう可能性もゼロではありません。

万一ストラップが切れてしまったとしても、鼻から息を吐かなければ水圧でマスクは落ちないので、こちらも落ち着いて対処をしましょう。

フィン

最も事故に繋がる可能性が低い器材でしょう。

流れの強い場所でフィンが外れてしまった場合には、漂流してしまう可能性があるかもしれませんが、フィン無しで水面に浮上することが出来れば、大事故に繋がる可能性は低いと言えます。

フィンキックの力に頼らず、浮力の調整のみで垂直に移動するように、日ごろから心がけましょう。

レギュレーター

水中での呼吸を確保する、最も重要な器材ですね。

最もよくあるケースはマウスピースが外れてしまったり、切れてしまうことです。

エントリー前に、しっかりと固定されているか、劣化していないかを確認する様に心がけましょう。

また、万一外れたり切れたりしてしまった場合も慌てずに。
オクトパスはバディに空気を分け与えるためだけの物ではありません。
マウスピースが破損した場合には、オクトパスに即座に切り替えましょう。

また、そんな事態に備えて、オクトパスのマウスピースのチェックもお忘れなく!

レギュレーター自体が故障した場合、基本的にはフリーフロー(空気が出続ける)を起こします。

フリーフローを起こしてしまうと数分でエア切れを引き起こしてしまいますが、ひとまずは呼吸を継続することも可能です。

呼吸を続けつつ、バディに助けを求めましょう。

また、ホースが破裂してしまった場合などには、エアの供給が突然止まってしまう可能性もあります。

そんな不測の事態に備えるために、バディとは離れすぎないようにしましょう。

何より、レギュレーターの故障を防ぐためには、日ごろから丁寧に洗うことに加え、定期的なオーバーホールとホースの交換を心がけましょう。
レンタル器材を使用している場合、ホースの劣化具合のチェックだけでも行うと良いでしょう。

BC

BCに給気されなくなってしまう故障はあまり考えられず、仮に給気されなくなったとしても、よほどオーバーウエイトで無ければ、オーラルで(口から)給気を行うことで対処可能でしょう。

逆に、BCに給気され続ける状態になってしまうと一大事です。

瞬く間に急浮上を引き起こしてしまうため、何か捕まるものがあればすぐに捕まりましょう。
その上で、BCに接続している中圧ホースを抜いて対処します。

また、給気され続けていることに気づいた段階で一気に排気できるよう、強制排気弁の位置を確認しておきましょう。
備え付けられていないBCも存在しますが、多くの場合は右肩や右腰に備え付けられています。

万が一急浮上に抗うことが出来なかった場合には、絶対に息を止めず、身体を大きく広げて水の抵抗を増すことで、少しでも浮上速度を落とすようにしましょう。

BCの故障を防ぐためには、レギュレーター同様、日ごろから丁寧に洗うことに加え、定期的なオーバーホールとホースの交換を心がけましょう。

ドライスーツ

こちらもBC同様、給気され続けてしまうと、急浮上の危険があります。
給気され続けてしまった場合には即座にドライホースを抜きましょう。

ダイビング事故発生に備える

ダイビング事故を予防することは重要ですが、万が一事故になってしまった際、被害を出来るだけ小さくすることも重要です。

各指導団体では応急手当(CPR)の方法を学ぶコースが準備されているので、受講しておくと安心ですね。

事故発生後、自身の備えで結果が変わるものとしては、漂流事故が挙げられます。
無理の無いない範囲で準備してみてくださいね。

おわりに

車はとても便利なものですが、交通事故で怪我を負う方、亡くなってしまう方がゼロになることは無いでしょう。

車に乗らなければ事故に遭うことはありませんが(歩行者として巻き込まれてしまうケースもありますが)、それでも、便利さとリスクのバランスを考え、我々は車に乗ります。

ドライバーとして考えた時、最も安全なのは運転しないことですが、次に安全なのは日々運転すること。
ペーパードライバーが最も怖いことは想像に難くないでしょう。

ダイビングも同じです。

潜らなければダイビング事故に遭うことはありません。
それでも我々は、楽しさを求めて海に潜ります。
最も安全なのは潜らないこと、次に安全なのは日々潜り続けること。

もちろん毎日というわけにはいきませんが、年に1回、ではなく、定期的にダイビングを行うことが、安全への近道ですよ!
気付いたらカードホルダー(車で言うペーパードライバー)になってしまっていたという方は、是非リフレッシュダイビングから初めてみてくださいね。

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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