MAGAZINE
  • HOME
  • column
  • 【WANTED】日本産クマノミの北限を知りたい〜クマノミの仲間の写真&情報求ム!〜

【WANTED】日本産クマノミの北限を知りたい〜クマノミの仲間の写真&情報求ム!〜

column

スクーバモンスターズでは、日本産クマノミ6種(クマノミ、ハマクマノミ、ハナビラクマノミ、セジロクマノミ、カクレクマノミ、トウアカクマノミ)の観察情報を募集します。

【WANTED】クマノミの仲間の写真&情報

対象種:クマノミハマクマノミハナビラクマノミセジロクマノミカクレクマノミトウアカクマノミ

対象エリア:暖流(黒潮と対馬海流)の影響を受けているダイビングエリア

欲しい情報:ダイビングスポット名、水深、観察時期(年、月)※分かる場合は、通年or無効分散で見られる季節も、写真(識別できれば十分なレベル)

収集方法:スクモン公式LINEアカウント、フォーム(現在準備中)、Twitter投稿(「#北限モンスター」で投稿)

注意事項:お送り頂いた画像はScuba Monstersサイト(「scubamonsters.com」のドメインで運営されるもの)内、またScuba Monstersが運営するSNSにて使用させて頂く場合がございます。場合によっては、神奈川県立生命の星・地球博物館「魚類写真資料データベース」に登録を促す場合もございます。

これは、播磨先生にクマノミの類のダイビング生物解説をお願いしたところ、播磨先生がぶつかった「大きな疑問」に端を発するものです。
今回は、播磨先生とクマノミ類の関わり、なぜ日本産クマノミの北限が知りたいのか、どんな情報が欲しいのか、そして、クマノミの類の考察について、播磨先生にお話しを聞きました。

ダイバーの皆さん、謎の解明に協力してみませんか?

日本産クマノミって?

スズキ目スズメダイ科クマノミ亜目のうち、日本近海で記録のあるもののことを言う。現在、6種類が確認されている。

筆者とクマノミの仲間

筆者が魚類に興味を抱く大きなきっかけとなったのは、中学生の頃にハマクマノミとカクレクマノミの2種を飼育したことだった。
このクマノミの仲間への興味は、筆者の進路をも決定づけることとなる。
当時、クマノミの仲間の研究で多大なる成果を上げていた東海大学海洋学部への進学を目指したのだ。

無事入学が叶い、在学中にはダイビングをしながら生物調査をする部活動に熱中した。
様々な生物たちの営みに触れる日々は充実していたが、残念ながら筆者が研究の仕方を勉強する4年生になる頃には、クマノミの仲間の研究の中心地・東海大海洋博物館での研究はひと段落してしまっていたため、研究室はクマノミの仲間の研究を元に、同じような磯場・サンゴ礁の環境に住む他の魚類の研究へとシフトした。
ここでより深く、魚類の生態調査の世界を知ることとなる。

今考えると残念なタイミングではあったが、研究の世界からは一度足を洗い、ダイビング業界に身を置くことになった。
それでも、少ない時間を割いては海に出かけ、自分を癒す目的で生物の観察調査・生態撮影を続けた。
その中で、水中写真で生物の生き様を伝えられることに気付いた。

そして、故ジャック・T・モイヤー師と、出会う事になる。
出会いから数年後、『クマノミガイドブック』の出筆に当たり、声をかけていただいた。
どの様に構成するか、どの研究論文を使うか。楽しい時間を過ごさせてもらった。
この時に師から教わったのは、研究には「柔軟な教える側の対応」「興味を引き出す指導」「疑問に思ったことをとことん追及確認すること」が重要だということだ。
これが、現在までの自分の生き方になった。

そして『クマノミガイドブック』は完成し、出版となる。
しかし、故ジャック・T・モイヤー師の疑問からくる一部の主張は、正式な論文になっていないという理由で掲載されなかった。
この主張については当時、生態学的に考えると当たり前の疑問であると感じたが、他の分野の研究者からは異端として見られたのだ。

この事が、より当時の著者の情熱を燃え上がらせるきっかけになった。
確認できる範囲のことは、全て野生生態の調査・撮影をすることを心がけて、現在に至る。

クマノミ類の北限が知りたい

さて、話を現在に戻そう。
今回、クマノミ類の解説記事を依頼され、改めてクマノミ類の情報をまとめていたところ、新たに大きな疑問にぶつかってしまった。
現在の日本産クマノミ属の北限の情報が正確には解っていないのである。

現在、北限が確定しているのは、太平洋側のクマノミのみだ。
黒潮の影響が強い千葉・房総半島まで分布していることが分かっており、その先は寒流になるのでいない。

一方で、日本海側についてクマノミの北限は分かっておらず、一年中見られる場所と無効分散で見られる場所の区別はされていない。
まず、九州は成魚まで各ステージの映像が手に入っている。
対馬列島では、クマノミの幼魚と思われる話は入ってきており、福井くらいまでは同情報がある。
そこから北については、古い情報はあるものの、種名のみしか載っていないため成魚までの情報なのか無効分散の幼魚なのか不明である。

クマノミの北限

なお、日本海側で見られる可能性の高いクマノミの幼魚は、神奈川県立生命の星・地球博物館「魚類写真資料データベース」の「KPM-NR 10794」「KPM-NR 12327」「KPM-NR 14223」「KPM-NR 14857」「KPM-NR 23082」らを参考にすると分かる可能性が高い。
それらの幼魚は、カクレクマノミの黒化個体に似ているために、間違って判別されているケースが見受けられる。

それ以外のクマノミ5種の分布情報については、どんなに新しい情報でも、発表からの時間経過は30年を軽く超えてしまう。

まず、沖縄返還後に行われた海洋博のための調査だ。
この調査で日本にいることが見つかったクマノミ類の記録が残っているが、情報は当時のままで留まっている。
次に、各大学の海洋研究施設での調査だ。
施設周辺の生物相の調査は加速的に進む一方で、逆に施設がないエリアでは皆無になってしまう。
その他、現地に生物観察ボランティアのいる場所では、情報は入ってくるものの断片的である。

筆者の調査では、クマノミを除くほとんどのものが南西諸島のどこかが北限ではないかと考えている。
その根拠は、生物観察ボランティアからの情報で、「鹿児島県の屋久島で通常見られるのはクマノミ一種類だけで、稀にハナビラクマノミが無効分散で流れ着く」と聞いていることだ。
口頭での情報で、画像は確認できていない。
奄美大島では、生物観察ボランティアと現地ガイドの情報を統合するとトウアカクマノミ以外の5種類が確認されている。
沖縄本島では、海洋博の調査ですべての日本産クマノミ属、6種類が確認されている。
以上から、クマノミとトウアカクマノミを除く、クマノミ属の4種ハマクマノミ・カクレクマノミ・ハナビラクマノミ・セジロクマノミの北限は、奄美大島以北から屋久島以南にある可能性が高い。
トウアカクマノミの北限は、沖縄本島以北から奄美大島以南のどこかの可能性が高いと考えられる。

上記で紹介した著者の調査内容についても、ここ8年以上の黒潮の蛇行や平均水温の上昇をはじめとする環境変化により、北限が更新されている可能性が十分に考えられる。
例えば、ハナビラクマノミが屋久島や、より北側のダイビングスポットで見つかってもおかしくないだろうし、トウアカクマノミが奄美大島やそれより北側の島から見つかってもおかしくないだろう。
もし、これまで知られてきた北限の情報を更新するようなことがあれば、大ニュースである。
該当ダイビングスポットには、「○○クマノミ北限の海」の称号が与えられることだろう。

北限を知る意義

時折、少し本気でクマノミ類をインターネット検索してみると、明らかに「この場所にこの種類がいてはいけない」といった情報を複数見かけることがある。
地球温暖化が騒がれて久しいとはいえ、違和感を感じざるを得ない。
実は、このほとんどが誰かによる故意の放流、つまり国内移入と断定できる。

過去には、日本産ではない種類が放流されてしまった事例すらある。
残念な事に、2021年度にもダイビングスポットで事件は起きている。
現在は、ほとんどがペット用に流通している養殖個体の放流だが、余程な専門家で無いと野生個体か飼育個体かの判別は難しい。
もし、自分のお持ちの映像でその様な疑問を持ったものがあれば、それもぜひ、筆者に教えて欲しいと切に願う。
まだ、その場所で定着が見つからないうちに、皆さんと共に環境の保全を訴えていきたい。
 
無秩序な放流は、たとえ温帯域での繁殖が可能なクマノミでも大問題になりかねない。
それは、クマノミのDNAの情報は多様であると考えられているからだ。
地域差による○○型と言われるタイプバリエーションが、図鑑レベルでも3タイプあり、筆者の調査ではそれよりも多い可能性が高いという結果になっている。
その環境に適応して世代を重ねる間に固有の変化を生んでいるのだ。
そこに、違うタイプバリエーションを放すのは、固有の情報の遺伝形質を汚染する可能性がある行為だ。
これを『遺伝子汚染』という。

過去に日本人は、河川での漁獲高を上げようとするがための魚種類放流により、現代の問題を起こしてきている。
魚類以外にも話を広げると陸上野生動物でも多種多様種に問題が起きている。
現代日本では、同じ過ちを繰り返さないよう訴えたい。

そして、海を愛し、自然を愛するのがダイバーだと心から思いたい。
 
この様な事を防ぐためにも、日本産クマノミ類の北限をそれぞれ明確にする事は、大変重要な事になっていると考えている。
ぜひ、皆さんの賛同・ご協力を切にお願いしたい。

欲しい情報について

下記の内容の情報を募集します。
ぜひ、スクーバモンスターズまで情報をお寄せください。

【WANTED】クマノミの仲間の写真&情報

対象種:クマノミハマクマノミハナビラクマノミセジロクマノミカクレクマノミトウアカクマノミ

対象エリア:暖流(黒潮と対馬海流)の影響を受けているダイビングエリア

欲しい情報:ダイビングスポット名、水深、観察時期(年、月)※分かる場合は、通年or無効分散で見られる季節も、写真(識別できれば十分なレベル)

収集方法:スクモン公式LINEアカウント、フォーム(現在準備中)、Twitter投稿(「#北限モンスター」で投稿)

注意事項:お送り頂いた画像はScuba Monstersサイト(「scubamonsters.com」のドメインで運営されるもの)内、またScuba Monstersが運営するSNSにて使用させて頂く場合がございます。場合によっては、神奈川県立生命の星・地球博物館「魚類写真資料データベース」に登録を促す場合もございます。

ダイバーのみなさまのご協力、お待ちしています!

播磨伯穂

8,856 views

H.T.M.マリンサービス代表。 元日本ペット&アニマル専門学校講師。 元NAUIインストラクタートレーナー。 1963年東京生まれ。東海大学海洋学部水産学...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。