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本当に絶対ダメ!?ダイビング中に息を止めてはいけない理由

基礎知識

みなさん、ダイビングで最も重要なルールと言われたら何を思い浮かべますか?

  • ロストをしたら1分間その場に留まって……
  • 浮上速度は最大でも1分間に18mで……
  • ダイビングは必ずバディで……

どれも重要なルールであることは間違いないのですが

絶対に息を止めない

これが最も重要なルールだと言えます。

なんだ簡単じゃんか、というか息止めたら死んじゃうし。

全くもってその通りなのですが…

驚かせてすみません。
でも今、一瞬呼吸が止まっていませんでしたか??

そう、人間は驚くと息をとめてしまうもの。
同様に、緊張して数秒間呼吸することすら忘れていた、なんてこともあるでしょう。

どんな時でもリラックスして呼吸をし続けるということが非常に重要なんです。

ダイビング中に息を止めてはいけない理由

みなさん、息を吸いこんだ時、空気はどこに行くでしょう?
はい。
肺。
ですね。(つまんな)

肺の中が空気で満たされた状態で息を止めると、肺は風船と同じ様な状態になりますね。
この状態で浮上したらどうなるでしょう?

なんでかわからない方はこちらからしっかりと復習してくださいね!

考えたくも無い事態ですよね。

肺は、風船というよりはスポンジの様な構造なので、肺全体が風船のように破裂することはありませんが、ご想像の通り重篤な症状となっていまいます。
この様に肺の一部が破裂してしまった状態、またはそれによって引き起こされる症状を肺の過膨張傷害と言います。

肺の過膨張傷害にはいくつかの種類があり

  • エアエンボリズム
  • 縦隔洞気腫
  • 動脈ガス塞栓
  • 皮下気腫
  • 気胸

などがありますが、これらを見分けることは重要ではなく、酸素を吸わせ、直ちに病院へ搬送することが重要です。

レギュレーターを外した時

(モデル:SAYU、写真:関戸紀倫

パニックや極度の不安になっていなければ、レギュレーターをくわえたまま息を止めることはまれでしょう。

注意して欲しいのはレギュレーターを外した時とエア切れの時。
もちろんどちらもそうそうあることではありませんが……。

息を吸えない状態になると、当然息を止めてしまいがちになります。
でも息を止めないで欲しいんですね。

ということで、息を吸うことが出来ない場合には、必ず口から泡を吐き続けるクセをつけましょう!

Cカードの講習では

を行う際、レギュレーターを口から外す、または息を吸えないタイミングが生じます。
これらの練習の中で、息を吸えないときは吐き続けるクセを身につけましょうね!

スキンダイビング(素潜り)

そういえばレギュレーターをつけずに息を止めて潜る場合はどうなのでしょう?
答えはもちろん、息は吐かなくてOK!

潜りはじめに肺の中にあった空気は、潜ると共に圧縮され、浮上と共にもとの大きさに戻るだけですからね!

さらに、素潜りで苦しくなる限界ギリギリまで潜った場合、息を吐いてしまうと浮上中や浮上後に酸素不足によるブラックアウト(気絶)を起こしてしまう可能性もあります。
なので、スキンダイビングの場合はスクーバの逆で、息を吐いてはいけません。

補足をすると、スキンダイビングで潜り、水底で友達のオクトパスから呼吸して少し遊び、水面に戻る、こんな遊び方をしている人を時々みかけます。

この場合、水底で呼吸をするまでは通常のスキンダイビングですが、水底で呼吸してしまうと、そこから先はスクーバと同じ状態になるので、息を吐きながら浮上しないと、肺の過膨張傷害になってしまう可能性があります。

本当に絶対に絶対息を止めちゃダメ?

なかなかあまのじゃくですね。
というよりも、諸々理解したうえでこの質問が出てきた人は、なかなか鋭い!

集中してカメラを構えている瞬間、息を止めていますよね?
臆病なハゼに近寄る瞬間、文字通り息を殺していますよね?

なんなら
「カメやマンタが自分の上を通った時は、泡が当たらない様に息を止めてくださいね~」
なんてガイドの方からブリーフィングで言われますよね?

ここまで読んできて下さった方は理解してくれてることと思いますが、呼吸を止めること自体が悪なのでは無く、呼吸を止めた状態で浮上してしまうことが悪。
それさえやらなければ、多少は息を止める瞬間があってもOKなんです!

生物を観察する際だけでなく、浮力のコントロールでも同じです。

フィンピポットでも練習する通り、中性浮力の状態のとき、息を吸うと身体は浮き、息を吐くと身体は沈みます。
そして、この呼吸による浮力のコントロールをマスターすると、ダイビングは格段に上手くなります。

上手くなってくると、少しだけ水深を上げたいな~と思うときは息を大きく吸ってから少しの間だけ止める、逆に、少しだけ沈みたいな~なんて時は息を大きく吐いてから少しの間だけ止める、ということがあります。

ただCカードの講習時や体験ダイビングでは、意識付けのため

『絶対に息を止めない下さい!』

と繰り返し言っているということですね!

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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