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バディってなんだ!?バディで守るべき鉄則2点

スキルについて

今日のバディはあなたとあなたでーー。
器材を背負ったらバディチェックしてくださいね~!
水面で集合したら、バディごとに潜降しましょう!

ダイビングでは、何をするにもバディという言葉が出てきます。
安全に潜るための仕組みとして、バディシステムという言い方をする場合もありますが、そもそもどんなシステムなのか、わかっているようでわかっていないのがバディシステムなのでは無いでしょうか。

実は、日本国内でのダイビング事情がバディやバディシステムという言葉をわかりづらいものにしてしまっているという面があります。
テキストで読んだバディシステムと実際のバディシステムが若干異なるため、混乱を招いてしまっているんですね。

ということで、今回はバディやバディシステムという言葉について、日本国内の事情に合わせた形でご説明していきたいと思います!

そもそもバディって?

直訳としてよく用いられるのは、

相棒

でしょう。

ドラマ『相棒』の様に主人公が2人組で活躍するドラマや映画を「バディもの」なんて言ったりします。
右京さんとその相棒がコンビを組んで難事件を解決したり、危ない場面を乗り越えたりするように、2人1組で行動することによって安全性を高めようというのが、ダイビングにおけるバディシステムです。

本来のバディシステム

テキストを読んでいると大抵はこんなことが書いてあります。

  • ダイビング中は必ずバディで行動します。
  • ダイビング前の準備やダイビング中に困ったことがあれば、バディ同士助け合いましょう。

あれ?
困ったときに助け合うのはわかるとして、いつものダイビング、ガイドさんがいて、それについていくチームメンバーが数人いて、全然2人1組、バディでの行動じゃない……。
なぜ実際のダイビング現場とテキストでは異なる現象が起きているのでしょうか?

通常、ダイビングライセンスというとPADIやNAUIでいうオープンウォーターダイバーなど、18mまでダイビング可能なものを指しますが、単にファンダイビングをやって良いというだけの認定ではありません。
2人1組で、インストラクターやダイブマスターなどの引率無しでダイビングをしても良いですよ、という認定なんです。

つまり、「必ずバディで行動します。」というテキストの文言が言いたいことは、

ひとりっきりで潜っちゃダメだよ!!

ということなんですね。

チームで潜る時のバディシステム

特に日本において、バディのみで潜ることは一般的とは言えないでしょう。
ほとんどの場合はインストラクターやダイブマスターなどプロダイバー引率の下でダイビングを行います。

その場合でも、バディを意識することでより安全なダイビングになるよう、ブリーフィング時にバディを決めることになっています。

チームで潜るので、バディで行動するというよりは、お互いに助け合うことがメインになりますが、特に意識して欲しいのはバディとの距離感。
ここではバディシステムの鉄則として、2つを挙げたいと思います。

息ごらえしても辿りつける距離感を保つ

ダイビングにおいて、最も重要な緊急事態といえば、エア切れやマウスピースの破損などによって、息を吸うことが出来ない状態ですよね。
マウスピースの破損であれば自分のオクトパスに切り替えるという手もありますが、焦ってしまってその判断ができなかったということはよくあります。

そんな時、バディが近くに居れば、ひとまずバディのオクトパスをもらうことが出来ます。

だからといって常にぴったりと寄り添う必要は無いと思いますが、息ごらえした状態でも泳いで辿りつける距離感を保つことで、万が一の場合でも急場を凌ぐことができます。

息ごらえできる時間は人によって様々ですよね。
陸上ではほとんどの人が30秒から1分ぐらいは息を止めることが出来ると思いますが、実は息ごらえできる時間というのはメンタル面と密接に関わっています。
初心者であればあるほど水中では15秒もすればすぐに苦しく感じてしまう方もいる一方、上級者になると水中でも陸上と変わらないぐらいに息を止めることができるようになります。

万が一の場合、自分は水中でどれぐらいの時間、息を吸わなくても我慢できるかを考えた上で、バディとの距離感を考えましょう。
もちろん、吸えない間は息を少しずつ吐いておきましょうね!

バディとだけは絶対にロストしない

エア切れの次に重大な緊急事態といえばチームからはぐれる、いわゆるロストの状態です。

でも、よくよく考えてください。
単にはぐれただけでは命の危険があるとは言えませんよね。
落ち着いて水面まで浮上すれば、全く危険なことはありません。(流れの強いポイントで、その後漂流、などと言った場合は別ですが……。)

しかし、多くのダイビング事故でロストに端を発し、残念な結果となっていることも事実です。
なぜロストが重大な事故を引き起こしてしまうかと言えば、ロストしたことが極度の不安につながり、パニック状態を引き起こしてしまうためです。

逆に言うと、万が一ロストしても、パニックにさえならなければ良いわけです。

水中で自分ひとり……。
ちょっと想像しただけでも不安になってきますよね。

これが、2人の場合はどうでしょう?
不安なことは不安だと思いますが、2人でなんとか状況を解決しようと落ち着くことが出来るのではないでしょうか?

実際、ガイドからはぐれてしまったものの、バディで一緒にいたために落ち着いて行動することができ、難を逃れたという話もしばしば耳にします。

ロストはしない、これが大前提なのですがそれでもガイドとはぐれそうになる瞬間が無いとも言い切れません。
なので、ダイビング中は常にバディがどこにいるのかを意識し、万が一ガイドとははぐれてしまいそうな状況になってもバディとだけは、それこそ死んでもはぐれない様に徹底して下さいね!

バディの決め方

バディの決め方にはいろいろな考え方があります。
まずはテキスト的な考え方、つまりバディと2人で潜る場合で考えてみます。

その場合には、エアの消費が同じぐらいのスピードの2人が組むと良い、とされています。

テキスト的な考え方だと、チームで潜る場合でも、バディのどちらかのエアが少なくなったらそのバディだけがエキジットし、他のチームメンバーはダイビングを続けても良いという考え方です(ちょっとビックリかもしれませんが。笑)

チームで潜る場合の実際の考え方

同性同士or異性同士

どちらにもメリットはあります。

異性同士でバディを組めば色々発展があるかもしれませんし……。
というのはあくまで結果論として、異性同士のバディにはちゃんと合理的な理由があります。

男性に比べて女性の方がエア持ちが良いのは、ほぼ例外は無いと言っても良いぐらいです。
したがって、男性のエアが少ない場合に女性がエアを分けてあげることが出来ますよね。
また、男性の方が体力がある場合がほとんどなため、器材を背負う際や降ろす際、男性自身は器材を背負ったまま手伝うことが出来る、という点もメリットです。

一方で、異性同士が初めまして同士の場合、色々と気を遣ってしまってバディシステムのメリットが損なわれてしまう可能性もあります。
異性同士に比べて気を遣わずに済む同性同士の方がその点はメリットがあるため、初めまして同士の場合は同姓で組む場合も多いことでしょう。

経験

こちらもエア持ちや助け合う場合の事を考えて、経験のある人と少ない人でバディを組むことが多いでしょう。
ただし、チームメンバー内の経験の差が余りにも大きい場合には、経験の無い人同士をバディにしてガイドにべったり、経験のある人同士はある程度自由に動いてもらう、といった組み方をする場合もあります。

カメラ

カメラを持っている人と持っていない人が混在している場合、持っている人同士をバディにするのは避けた方が良いかもしれません。
2人でカメラに熱中して、バディへの意識が低くなってしまいがちに……。
どちらか片方がカメラを持っていなければ、持っていない人がバディへ意識を向けてあげられますね!

逆に、バディ同士がカメラを持っていた方が、カメラを持っているバディはカメラを持っているバディで、そうでないバディはそうでないバディで、同じチーム内でも違った楽しみ方をできるという考え方もあります。

バディを決めることに意味がある

同性異性、経験、カメラ、どの観点からも、バディ同士で揃えるメリットもあれば、敢えて揃えないメリットもあります。

大事なのは、どちらかが正解ということではなく、ダイビング前に意図を持ってバディを決めることで、その意図に従う形でダイビング中の動き方などを事前に打合せできるという点です。

チームが奇数の場合

毎回毎回チームの人数が偶数とは限りません。
人数が奇数の場合、2つの考え方があります。

誰か1人がガイドとバディになる

バディシステムを崩さないという方法です。
一方で、ガイドはある程度チームメンバー全員のことを気にする必要もあるので、チームメンバーへの注意力が低下しないように気を付ける必要があります。

3人1組のユニットを作る

2人1組のバディではなく、3人1組でユニットを作るという方法もあります。
こちらの方法だと、ガイドは常にチーム全体を見ることができます。

一方で、3人1組になると必ず2人と1人に分かれてしまうことが予想されるので危険だ、という考え方もあります。

バディダイビングとセルフダイビング

冒頭で、ダイビングライセンスは、2人1組で、インストラクターやダイブマスターなどの引率無しでダイビングをしても良いという認定だとご紹介しました。
日本ではガイド付きのダイビングが一般的ということもあり、このプロの引率なしで潜ることを指してバディダイビング(バディ潜水)と呼ぶことがあります。

そんなこと出来るはずない!と思ってしまうかもしれませんが、バディダイビングにはバディダイビングの楽しさがあります。
マップとにらめっこしながらおっかなびっくり、自分たちのレベルで無理がない範囲で潜る。
たとえ一直線に行って帰って来るだけでも、ガイドについていくだけでは得られない楽しさがあります。

日本国内の事情で言うと、PADIやNAUIのオープンウォーターダイバーなど、一番最初のCカードを持つ2人組だけで海に訪れた場合、多くの海でバディダイビングは断られてしまう可能性が高いという現実もありますが……。

バディダイビングに似た言葉としてセルフダイビングというものもあります。
厳密な定義がされているわけではないのでバディダイビングを指してセルフダイビングという言葉が使われることもありますが、中にはセルフダイビングと称してガイド役(アマチュア)が1人、それに複数の人(アマチュア)がついていく、という体制でダイビングが行われる場合があります。

筆者の個人的な意見ではありますが、こういったセルフダイビングに関しては、かなりグレーでかつ通常のガイド付きダイビングはもちろん、バディダイビングよりもリスクが高いものだと考えています。

複数のバディが一緒に潜ることはルール上OKで、それぞれのバディがあくまで独立して行動している分には問題ないのですが、ガイド役がいてチームは横並びという形になってしまうと、どうしてもそこに安全管理する側とされる側といった依存関係や、チーム全体に気を遣うという心理が生まれます。

この依存やチームへ気を遣って自分の不安などを言い出せない、という点がセルフダイビングに潜む大きなリスクです。
もちろん、安全管理のトレーニングを受けていないアマチュアダイバーが疑似安全管理を行うことになってしまうという点も大きなリスクですね。

また、名目上は複数のバディが一緒に動いているだけであっても、実態がガイドつきダイビングの様になってしまっていると、万が一の時、(ガイドをする資格を有していない)アマチュアダイバーがガイドをした、とみなされてしまいます。
すると、莫大な損害賠償に加えて、無資格でガイドを行ったことへの責任が追及される可能性も……。

少し、筆者の主張が強くなってしまいましたが、上記のようなグレーなセルフダイビングが行われているケースも多々あると認識しています。
様々な対策を講じていることと思いますし、学生ダイビングの現場などでは伝統という側面もあるため頭ごなしには否定しませんが、通常のダイビングショップなどよりも個人が大きなリスクを背負っているということを認識してもらえればと思います。

願わくば、プロダイバーをつけないのであれば、バディダイビングを徹底し、チームではなくバディでの行動を行う形になってもらえればと思います。

モデル(TOP写真):AYA、SAYU
写真(TOP写真):関戸紀倫

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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