串本について
アザハタと無数の魚が群れる様を見よ!
サンゴが群生し、生物がごっちゃりと生息する独特な海、串本のダイビングスポット情報をその魅力とともにご紹介します。
ダイビングの基本情報から、季節ごとの見どころをまとめたシーズナリティ、ダイビングポイント紹介まで、海の情報満載でお届け!
レアなハゼ類との出会いにも期待大です!
目次
串本の概要
串本は、本州最南端の町・和歌山県東牟婁郡串本町にあるダイビングスポットです。
串本町は三方を太平洋に囲まれており、約127kmの海岸線を有します。
黒潮の影響により、見られる魚種は1,650種以上と言われており、国内でもトップレベルの多様な生物相を持つ海です。
また、串本は世界最北のサンゴの群生地。
100種類を超える種類のサンゴが生息しています。
温暖な黒潮の恵みにより年間平均水温は約22℃と高く、真冬でも水温が16℃を下回ることはほとんどありません。
温帯と熱帯の生物が入り混じっているため、沖縄でも伊豆でもない、串本でしか見られない独特な海中景観を楽しむことができます。
串本ダイビング基本情報
串本のダイビングエリアは外洋エリアと内湾エリアに分けられます。
ボートポイントが18カ所、ビーチポイントが6カ所あり、ボートダイビングがメインのダイビングスポットです。
串本といえば、アザハタ。
アザハタが住み着いている根がいくつかあり、住崎、備前、塔の沖、沖の吉右衛門、ヨリコバといったダイビングポイントで観察することができます。
夏場は無数のキンメモドキやクロホシイシモチの群れと赤いアザハタの巨体という串本らしい光景が見られます。
ダイビングのシーズナリティ
串本の海の魅力を春夏秋冬に分けて、ご紹介します。
春の串本
メタリックな緑色が鮮やかな海藻のケヤリ※1が見頃を迎える季節です。
ケヤリは日本中に分布していますが※2、串本をはじめとした黒潮の流れる一部の地域でのみ、この様な美しい色合いとなります。
この珍しいケヤリを見るために、全国からダイバーが集まります。
魚の種類は最も少ない季節ですが、ヒメギンポの産卵に立ち会えたり、ウミウシも多くいたりする時期です。
また、寒い時期しか見れない通称・キン肉マンボヤ(Clavelina lepadiformis)とも出会えます。
夏の串本
最高水温は28~30℃になり、黒潮が接岸すると最も透明度が高くなる季節です。
真っ青な海で30m以上見渡せるのは串本の夏ならではの光景です。
そして、幼魚が爆発的に増えて、海の中が賑やかになり始めます。
ホンソメワケベラ、イトヒキベラ、クロホシイシモチ、ジョーフィッシュ、カモハラギンポ、スジタテガミカエルウオ、ミナミギンポ、ニジギンポ、クモギンポ、ハナイカ、キンギョハナダイ……と沢山の魚達の産卵行動も活発になり、生態観察にはおすすめです。
秋の串本
他の季節では見られない南方種が動き始め、季節来遊魚がやって来る賑やかな季節です。
魚種は最も多く、台風以外の時期は透明度も安定しているため、串本に訪れるダイバーもピークを迎えます。
秋頃にオープンする期間限定のボートポイント・アンドの鼻にも注目です。
海底が砂泥状で、ヤツシハゼやツバメクサハゼ、パンダダルマハゼなどのハゼ類が多く見られるため、フォト派ダイバーにはたまらないポイントですよ。
冬の串本
最低水温は16℃程度で、透明度が最も安定して高い季節です。
ウミウシの種類はピークを迎え、ウミウシ好きのダイバーが集まります。
また、冬ならではのカスザメやツバクロエイの観察が人気です。
さらに、近年爆発的に増えてるのが、ホウライヒメジ。
根の上に揃って並ぶ面白い行動をすることから、“ホウライヒメジの謎の整列”と呼ばれています。
ダイビングポイント紹介
串本の代表的な3つのダイビングポイントをご紹介します。
グラスワールド
串本の南部に位置する潮岬の湾内北部にあるボートポイントです。
このポイントで観察されるベラの種類が多いことから、「グラスワールド※」と名付けられました。
※GOOD WRASSE(ラス=ベラ) をネイティブな発音で「グラス」
水底はガレ場なので、南方種が住みやすい環境が整っており、秋になると串本に集まる季節来遊魚のほとんどがグラスワールドに現れます。
ジョーフィッシュ、ハタタテハゼ、カエルアンコウ、ウデフリツノザヤウミウシ(通称:ピカチュウ)など、フォト派ダイバーが目移りするほど豊富な生物に遭遇できます。
初夏に見られるイトヒキベラの産卵観察もおすすめです。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約6分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】21m
【流れが出た場合】流れが出ることはほとんど無い
【ナイトダイビング】×
住崎
流れも少なく初心者から楽しめる串本を代表する内海ポイントです。
魚種も多く、近年ではミギマキの群れやホウライヒメジの群れが多く見られます。
毎年たくさんの季節来遊魚が現れ、潜るダイバーも多いので様々な種が観察されています。
串本では、12月に住崎でしか観察されたことがない、アマミスズメダイの産卵にも注目です。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約5分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】25m
【流れが出た場合】流れが出ることはほとんど無い
【ナイトダイビング】×
浅地
串本を代表する外海ポイントです。
南北に伸びる大きな根があり、北側には通り抜けられるトンネルもあります。
ダイナミックな地形で浮遊感を楽しめるのはもちろん、深場には他ポイントでは見られないスジクロユリハゼやズグロダテハゼなどのハゼが現れます。
トンネルに入って、ツマグロハタンポの群れに巻かれるのもおすすめ。
夏場は群れや大物と遭遇できる可能性もUP。
カンパチやブリの群れ、時にはハンマーヘッド、過去にはマンタも現れたことがあるミラクルポイントです。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約20分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】40m
【流れが出た場合】何かに捕まらなくてはならないほどの流れが出ることがある
【ナイトダイビング】×
串本へのアクセス情報
電車でのアクセス:
大阪方面よりJRきのくに線の特急で最寄駅の串本駅まで約3時間。串本駅からは車で約5分の距離です。
車でのアクセス:
大阪方面より、近畿自動車道→阪和自動車道→海南自動車道→湯浅御坊道路を経由し、終点田辺ICより紀勢道へ向かいます。
すさみ南ICを降りて約30分ほどで到着します。(合計3~4時間)
無料駐車場が30台分あります。
東京方面より訪れる場合は飛行機が便利です。
羽田空港から南紀白浜空港へJALより直行便が1日3便就航しており、約1時間15分ほどで南紀白浜空港に到着します。
南紀白浜空港からはバスと電車を乗り継ぎ、串本駅までは約2時間で到着します。
▶JALホームページ:https://www.jal.co.jp/jp/ja/
▶南紀白浜空港ホームページ内、路線バス・高速バス案内:http://shirahama-airport.jp/access/bus
串本の観光情報
地元の魚を味わいたいなら、串本旬彩おおはしへ。
串本漁港や魚屋で買い付けた新鮮な魚介を使った料理がずらりと並ぶ和食店です。
日替わりでメニューが変わるランチがリーズナブルにいただけるほか、旬の魚を使ったお造りや煮付け、焼き物、揚げ物等、数々の魚料理とともにゆったり飲むのもおすすめです。
そして、スイーツ好きに味わってもらいたいのが、尾鷲牧場のソフトクリーム。
搾りたての牛乳を使ったイタリアンジェラートのソフトクリームが、直営売店で購入できます。
ドライブの途中に是非、立ち寄ってみてください。
▶︎尾鷲牧場(http://www.owashi-farm.jp/)
また、本州最南端の町「串本」の南側には、約10万m2の芝生が広がる観光スポットの潮岬があります。
隣接する「潮岬観光タワー」には、高さ約37mの展望台がそびえ立ち、見渡す限りの水平線は絶景です。
併設するレストランでは、近畿大学水産研究所が完全養殖に成功したクロマグロ「近大マグロ」を使ったメニューや、地元の食材を活かした丼などを味わうことができます。
【入場料】大人300円、小中学生100円
▶潮岬観光タワー:https://kumanokanko.nankai-nanki.jp/drivein/
また、串本の海をさらに深く知りたい方におすすめの観光スポットが「串本海中公園」です。
串本海中公園は、1970年に日本で初めて海中公園地区に指定されました。
この海中景観を多くの人に知ってもらうことを目的として、海を再現した水族館および海中展望塔が作られています。
そのほか、サンゴやウミガメの保全、マリンスクールや体験プログラムの開催などの自然保護活動が行われています。
アフターダイブで訪れると、串本の海の知識がさらに深まるかもしれませんよ。
【チケット料金】
水族館・海中展望塔+海中観光船:大人2,600円、小中学生1,400名、幼児(3歳以上)200円
水族館・海中展望塔:大人1,800円、小中学生1,200円、幼児(3歳以上)200円
シルバー割引:1,600円
水族館のみ:大人1,500円、小中学生700円、幼児(3歳以上)200円
▶串本海中公園:http://www.kushimoto.co.jp/
ダイビングを楽しんだあとは、串本の魅力をさらに感じられる観光スポットにも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
情報・写真提供:マリンステージ串本店(https://kushimoto.marinestage.com/)