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アオウミウシ

Hypselodoris festiva
(A. Adams, 1861)

出現レベル:
ダイバーが言及する頻度。一般的な生物、もしくは人気の生物ほど低く、珍しい生物、もしくはあまり人気のない生物ほど高い値となります。

出現場所

出現時期

解説

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分類

アオウミウシが出現した場所

アオウミウシの出現時期(過去1年間)

アオウミウシについて

本州のダイバーにとってはなじみ深い、アオウミウシ。
はじめて見たウミウシはアオウミウシというダイバーの方も多いことでしょう。

本州では一般的なウミウシですが、鮮やかな青と黄色の体色から、カラフルなウミウシの世界の入口として一役買っているかもしれませんね。

今回は、そんなアオウミウシの識別方法から、観察方法、生態行動、注意点、撮影方法まで、解説します。

アオウミウシDATA

標準和名:アオウミウシ

学名:Hypselodoris festiva (A.Adams, 1861)

分類学的位置:裸鰓目ドーリス亜目ドーリス下目イロウミウシ科アオウミウシ属

分布:本州、九州、香港

生息環境:転石帯、岩礁域、海藻上

生息水深:水深1~20m

アオウミウシの識別方法:
アオウミウシの体色の特徴は、本体色が濃いあおいろで、両触覚の間から二次鰓にかけて背面の正中線上にきいろの縦線があり、その周囲にきいろい斑紋が散在する。(この斑紋は縦線と繋がることがある)
ときにくろいろの斑紋が散在する。
これら2色の斑紋は個体によっての変化が大きい。

色彩変異個体

背面周縁はきいろの線で縁取られる。
触覚と二次鰓の軸はしろいろで、軸の外側が薄い橙色になっている。

大きさは30mmまで達する。
混同する可能性のあるホシゾラウミウシより体地色が濃いあおいろで、背面周縁の模様で見分けられる。
アオウミウシは、背面の斑紋が大きい、または斑紋の間隔が離れている。

ダイバーのための絵合わせ

体の色はあおく、触覚から鰓まで背中の中心にきいろい線がある。
縁はきいろで、その内側をきいろとくろの円斑(点)が散っている。

くろいろの円斑が無い場合もある。

触覚と鰓は薄い橙色に見える。

アオウミウシの観察方法

観察時期

本州やその周辺離島では1年を通して見られる一般的なウミウシ。

生息場所

浅場の岩礁域や転石帯、海藻上などで多く生息している。
餌となるクロイソカイメンがある場所なら上記以外の環境でも見られる。

生態行動

主にクロイソカイメンを食べている。

捕食中のアオウミウシ
捕食中のアオウミウシ

個体数の多いウミウシで、1ヶ所に数匹集まっている姿も観察されている。
そのせいか、交接を見かけることも多々ある。

交接中のアオウミウシ

ウミウシ類は一般的に雌雄同体と言われており、本種もその可能性が高いと思われる。
同種の個体と接触すると殆どの場合は交接を始めるが、2個体での交接だけでなく、まれに3匹以上で交接器を合わせている姿が観察されている。
卵を産む際は、体の右側にある交接器からしろいろの卵塊を石や岩や海藻に産み付ける。

少し間隔が空いた場所に移動する際は、距離を縮めるために体を細長く伸ばして移動する。

アオウミウシと生息場所が同じキイボキヌハダウミウシは、ウミウシを食べる特徴があり、アオウミウシが捕食されている姿を見ることがある。

キイボキヌハダウミウシに捕食されるアオウミウシ
キイボキヌハダウミウシに捕食されるアオウミウシ

観察方法

クロイソカイメンを主食にしている為、クロイソカイメンが多く付着している岩や根の側面を探すと見つけやすい。
その周辺の水底や海藻に居ることもある。

体色が濃いあおいろで生息環境の背景と同化しづらく、水中でも目立っており、動きが遅いため観察するのは容易。 

ライトの光にあまり反応を示さないため、光量の強いライトを使って観察しても問題はない。

観察の注意点

単体で見つかることが少なく、すぐ近くに別個体がいる可能性があるため、観察の際は他のアオウミウシを傷つけないように注意する必要がある。

また、体を動かすことで発生する水流で観察対象が飛ばされる可能性もあるので、近くで動く際は細心の注意が必要である。

観察ができるダイビングポイント

筆者が観察した地域や各地のダイビングショップの情報、『日本近海産貝類図鑑』『ネイチャーウォッチングガイドブック新版ウミウシ』『ネイチャーガイド日本のウミウシ 第二版』に記載されている情報によると、下記の場所で観察できる。

  • 伊豆諸島
  • 伊豆半島
  • 三浦半島
  • 四国(樫西、柏島)

最も信頼されているインターネット情報『世界のウミウシ』の画像によると、以下の地域から観察されている。

  • 日本(沖縄を除く)
  • 香港
  • 台湾
  • 韓国

また、2021年頃から沖縄本島でも極稀に確認されている。

その他の海外の海にも、分布している可能性が高い。

生態を撮影するには

基本的に動きのない生き物なので、コンパクトデジタルカメラ(TGシリーズ等)で十分撮影可能である。
小さい個体ならば、スーパーマクロモード(機種によっては顕微鏡モード)での撮影がお勧め。
内臓ストロボでも十分撮影可能であるが、リングライトがあるとなお簡単に撮影ができる。

一眼レフカメラならば、35mm換算で、100mmマクロレンズ相当がベストである。
触角と二次鰓にピントを合わせるならば、ある程度絞れ(f-8位)なおかつ寄れるレンズがお勧めである。

真横から撮影すると背面の模様がはっきり映りづらいため、図鑑や標本写真用、種同定用に撮影するのなら、触覚と二次鰓の形が確認できる範囲で真横やや上から撮影すると良い。

参考文献

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