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潜降の手順とコツ〜ダイビングスキル詳細解説〜

スキルについて

ダイビングは海に潜る遊び。
海に潜れなければダイビングは始まりません。

一方で、この潜降が苦手という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は正しい潜降手順と、スムーズに潜降するコツについて、お伝えしていきたいと思います。

潜降のひとつ手前、エントリーについては、こちらからどうぞ!

正しい潜降の手順

まずは正しい潜降の手順を確認しましょう。

正しい手順は以下の通り。

①時刻と残圧を確認する

確認に加えて、スレートなどに記録を残すと良いでしょう。
また、潜降を開始した位置を確認することも重要です。

尚、このステップに関してガイド付きファンダイビングの場合は、ガイドが代表してこれを行うことで、メンバー各自が行うことは省略されることも多いでしょう。

②スノーケルからレギュレーターに交換する

交換する際は、水面下に顔を沈めて交換します。

水面下で交換する理由は、水面で口を開ける瞬間を無くすためです。
口を開けた瞬間に波を飲んでしまうと、場合によっては溺水に繋がってしまうからですね。
(想像しづらいかもしれませんが、実際にその様な事故事例が存在します。)

穏やかな海では心配する必要が無いことかもしれませんが、クセというのはいざという時ほど影響を与える物なので、水面下で交換する様にクセ付けしておきましょう。

③潜降のハンドシグナルを交換する

尚、ここまで①~③の順番については、指導団体によって順番が異なる場合があります。

例えば、NAUIでは①から③の順番ですが、PADIでは③→①(位置確認)→②→①(時刻と残圧確認)とされています。

④潜降を開始する

BCやドライスーツの空気を抜き、息を吐いて潜降を開始します。
潜降し始めたらすぐに、耳抜きを行いましょう。

潜降し始めたら、バディ同士、耳抜きに問題が無いことをはじめとして、何か問題が無いか、こまめにOKサインを出し合ってバディコンタクトを維持します。

⑤必要に応じてBCに給気する

潜降するにつれ水圧が増して潜降スピードが早くなるため、必要に応じてBCに給気を行いましょう。

尚、浮上速度は1分間に18mや9mという数字がよく知られていますが、潜降スピードについては知られていないかもしれませんね。
一般的には1分間に23mが推奨されると言われています。

とはいえ、普通に潜降していれば、このスピードを超えることは無いのでご安心ください。

⑥水底の安全を確認する

水底に危険な物や生物が無いことを確認します。

本来であれば、潜降中にも中性浮力を保ち、着底することなくダイビングを開始できるのがベストではありますが、万が一のために確認しましょう。

⑦ウエイトベルトを締め直す

潜降するにつれて水圧がかかることで、ウエットスーツ内の気泡が圧縮され、ウエットスーツとウエイトベルトの間にわずかな隙間が生じます。

ウエイトベルトが緩んでしまったままダイビングを継続することがない様、ウエイトベルトを締め直します。

潜降のコツ

ここまで見てきた正しい手順は教科書的なもので、これを理解するだけでうまく潜降できるとは限りません。
実際に、潜降が苦手という方はもっと具体的な解決策を求めてますよね。

ということで、ここからは手順には無い、潜降のコツについてまとめて行きたいと思います。

しっかりと排気する

BCに空気が残っていると、当然ながら潜降することができません。
身体を起こし、左肩を挙げ、パワーインフレーターを持つ左手も高く上げ、BC内部の空気を排気しましょう。

全てを排気する前に満足してパワーインフレーターから手を離してしまう方も見かけるので、排気の際は、これ以上空気が出て来ないことを確認するためにも、パワーインフレーターの排気口を目視で確認しながら、排気し続けましょう。

尚、うまく沈めないからと言って早々に頭を下にして潜ろうとする方も時々見かけます。
頭を下にすると、どれだけパワーインフレーターを上に上げているつもりでも、BCの腰付近に空気が溜まってしまい逆効果となるため、潜降時は基本的に頭を上、足を下にして潜降しましょう。
ちなみに、このスタイルの事をフィートファースト潜降と呼びます。

息を吐く

肺の浮力も忘れてはいけません。
潜降する際には意識的に息を大きく吐く様にしましょう。

尚、息を吐かなくても一気に沈んでいくという場合は、オーバーウエイトの可能性もあります。

浅い呼吸の場合、肺の中に空気が留まりがちになってしまうため、潜降する際には呼吸を整えることも重要です。

前傾姿勢になる

潜降の際に背中から落ちてしまうという方は、直立状態で潜降してしまっていませんか?
直立状態で潜降をはじめてしまうと、どうしてもタンクの重みで後ろに倒れてしまうので、水面で予め前傾姿勢になってから潜降をはじめましょう。

地面で立っている時と同様に、足の裏が水底を向いていると、どう頑張っても前傾姿勢になりづらいため、潜降する際は足の甲を水底に向けるようにしましょう。

両足を同時に地面から離さない

ビーチダイビングで左右にバランスを崩してしまうという方は、ほとんどの場合でこれが原因です。
両足を同時に地面から離してしまうために、支えを失って左右にバランスを崩してしまうんですね。

基本的には、片足ずつ足の甲を水底に向けるようにすると良いでしょう。
片足を水底から離して足の甲を水底に向け、その足が再び地面を捉えてから、もう一方の足も足の甲を水底に向けます。

バランスを崩した場合

前傾姿勢を保ち、片足づつ足を動かしたのにも関わらず左右にバランスを崩してしまった場合、肩を左右に素早く動かすことで、リカバリーすることができます。

駄々をこねる様に……と言って伝わりますでしょうか。笑

確実に耳抜きを行う

潜降時に耳抜きに苦労してうまく潜れないという方もいらっしゃると思います。

特に、潜降に苦手意識がある場合、潜降にばかり意識が行ってしまって耳抜きがおろそかになっていることも。

耳抜きの記事でもご説明した通り、耳抜きは初めの1mが肝心です。
沈み始めたと思ったら何はさておき耳抜きすることを忘れない様にしましょう。

泳がない

水中(水面含む)で活動することに慣れていないうちは、無意識に足が動いてしまって、フィンキックをしてしまっている場合があります。

潜降の際、BCの空気を排気するために身体を起こした状態でフィンキックをすると、潜降したいという意思に反して、水面に向かって泳いでいることになりますよね。
潜降する際は、意識的にフィンキックを止めるようにしましょう。

ロープを掴む

耳抜きをスムーズに行ったり、潜降中に中性浮力を保つためにはロープを掴むことが最も有効です。
ロープがあるのであれば、遠慮なく掴みましょう。
ただし、ロープを掴んだからと言ってロープに依存してしまうのはNGです。

ロープを掴んでいる安心感からか、前傾姿勢になることを忘れて、ロープを掴みながら背中から落ちていく方を見かけることがありますが、ロープを掴んでいるからこそ、確実に前傾姿勢をキープしましょう

また、ボートダイビングで流れがある場合で、ロープを掴む様指示が出ている場合には、必ずロープを掴んで潜降しましょう。
潜降に自信があるからと言って、ロープを掴まずに流されてしまうことの無い様、指示にはちゃんと従いましょうね。

ドライスーツの場合

ドライスーツに慣れていない状態で潜降する場合、ドライスーツの排気が上手くいかずに潜降できないということもあるかと思います。

まずはドライスーツ内部の空気を確実に排気し、それからウエットスーツの場合と同じ様に、BCの空気を排気する様にすると、うまく潜降することができますよ!

さいごに

スムーズに潜降することは、初心者脱出の第一歩!
今回の解説を参考に、スムーズな潜降にチャレンジしてみて下さいね!

あれこれコツを書いてしまいましたが、まずはリラックスして前傾姿勢で潜り始めることが最も重要です。
まずは潜降前に深呼吸して落ち着くところからはじめてみましょう!

モデル:AYA
写真:関戸紀倫

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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