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砕波が分かればもう波に倒されない!〜波がある時のエントリー・エキジットのコツ〜

スキルについて

波のあるコンディションでのダイビング。
皆さん、波の力に負けて転んでしまったことはありませんか??

一方、経験豊富なダイバーを見ていると、スッスッスッっとスムーズにエントリーしている方もいますよね?
この違いはどこにあるのでしょうか??

初心者だから?
そうとも言えますが、違いは波の見かたにあります。
今回は、特に波がある時のスムーズなエントリー・エキジットのヒントとなる「砕波」に注目して解説していきます。

波のエネルギーとは

どんなに高い波でも、波が波の形を保っているうちは、比較的安全です。

皆さんが『波』と聞いてイメージする波の形を保っている時、水はエネルギーを伝えるだけで大きく移動することはありません。
ある1点の水を見てみると、円運動に近い動きを行うだけなので、黙っていればその場に戻って来ることが出来ます。

体感的には、ほぼ上下運動のみを繰り返している様に感じられることと思います。

波の円運動の模式図
by Anton CC BY-SA 3.0

では、波は最後まで波らしい形を保つのでしょうか?

浜から海を眺めればすぐにわかる通り、波は岸の近くで崩れます。
これは、円運動を行うのに十分な水深が無くなってしまうことが原因です。
これを砕波と言い、この砕波を起こすときがダイバーにとって最も危険な時となります。

砕波とは

水が波の動きを伝えることが出来なくなった時、つまり、波高よりも水深が浅くなった時、波の形を保つことが出来なくなり、崩れます。

波の用語まとめ

波高:波の高さ
波長:波の山から山までの距離
周期:波の山から次の山が訪れるまでの時間
速度:波が伝わる速度(波長/周期)

詳しくはこちら→ここだけ!波の予報の見方〜波高だけでなく周期にも注目しよう〜

ちなみに、波長と水深の関係性によりますが、ごく浅い波打ち際では”水深/波高”が約0.83になった時に砕波を起こします。
具体的に言うと、波長20m以上で波高が1mの波であれば、水深約1.2mの所で砕波を起こします。

さらにちなみに、波長がもっと短い場合には、砕波水深は波長が関与し、ここにtanh(ハイパボリックタンジェント)なんていう面倒な関数も入ってきます。(笑)

これ以上突っ込んでしまうと、話が専門的になり過ぎるので、一旦は、水深と波高がほぼ同じになった時に砕波が起きる、というイメージで行きましょう。

波が崩れたとき、これまで同じところを回っていただけであった水が、行き場を失います。
そして、行き場を失った水は、陸に向かって進む運動へと変化します。

砕波時のエネルギーの向きの模式図

難しく書いてしまったかもしれませんが、波打ち際では波が文字通り『打ち寄せる』ことから想像は出来るかと思います。

砕波のイメージ画像

ダイバーにとって危険なタイミングとは

砕波時

第一に挙げられるのが砕波の瞬間です。

砕波の瞬間、行き場を失った水が塊となって水面に叩きつけます。
イメージとしては、これまで押したり引いたりするだけだった力が、この瞬間だけは殴りつける様な力になるわけですね。

巻き波のイメージ画像

当然砕波の瞬間、そこに立っていると、波に殴られたように力を受けてしまいます。
その力は、低い波でもそれなりのパワーになります。
つまり、波に倒されてしまうというのは、この瞬間の事を言っています。

波に倒されてしまう人と倒されない人の違いはここです。

倒されない人は、砕波の瞬間を見極め、その瞬間に巻き込まれないスキを見計らって一気に沖に出ます。
逆に、倒されてしまう人は、波が強いからといって慎重になりすぎるあまり、砕波の瞬間を避けることが出来ずに倒されてしまいます。

また、砕波から逃れられない状況だとしても、倒されない人は砕波のタイミングを見極めて、姿勢を低くしたり、前傾姿勢になったり、何かに捕まったり、場合によってはマスクとレギュを抑えるなどして対処をしています。

一方、ちゃんと砕波のタイミングを見極めずに棒立ちになってしまっていると、いとも簡単に倒され、最悪の場合、マスクとレギュを波の力ではぎとられてしまうことも……。

ちなみに厳密には砕波の形には3種類あり、上記の様に叩きつける物を「巻き波」と呼びます。
砕波の形は海底の傾斜によって決まり、傾斜のゆるい所では崩れ波、中程度の所で巻き波、きつい所では砕け寄せ波という砕波が発生します。

前述の通り巻き波が最も危険です。
崩れ波は、波の力は弱いものの、砕波を起こしている範囲(砕波帯)が広いため、水中が広くかき回され、水が濁ってしまいます。
砕け寄せ波は、ほとんど波が砕けることがなく、危険性は低いと言えます。

厳密には海底の傾斜以外の要素も、砕波の形に影響を与えますが、、これも細かく取り上げてしまうと専門知識の迷宮に入ってしまうので割愛します。

砕波後

砕波後の水は、岸に向かって流れます。
エキジットする時、オタオタしているうちに波打ち際まで流されてしまい、フィンを脱げなくなってしまう現象を引き起こすのが、砕波後の水の流れです。

また、砕波で倒されてしまった人が、この流れで一気に岩場に打ち上げられてしまうことも……。
さらに最悪の場合、その倒れた状態で起き上がれないうちに次の砕波を上からもろに受けてしまったり……。

波がある時のエントリーエキジットまとめ

ここまでのお話でお分かりの通り、最も気をつける必要があるのは砕波です。
エントリー、エキジット共に、砕波の瞬間に巻き込まれない様、しっかりと波を見て砕波の場所とタイミングを見極めます。

砕波の場所に関して、決してランダムということは無く、同じ海岸で同じ時間帯であれば、概ね同じ場所で砕波を起こします。

慎重さは重要ですが、時には一気に沖に出た方が安全なことは先ほど触れましたね。
同様に、エキジットの際も、場合によっては一気に岸まで駆け上がる必要があるかもしれません。

また、一気に沖に出る、一気に岸に駆け上がる必要が出そうなコンディションの場合には、そもそもそれが出来るか出来ないか、の判断も必要になりますね!
岩場では一気に動くことは困難なので、砂利浜や砂浜であることが必要になるでしょう。

一見大したことのない波であっても、砕波を起こす場所を通る必要があり、砕波の瞬間に巻き込まれてしまいそうな場合には、姿勢を低くする、前傾姿勢になる、何かに捕まる、などの対処を行いましょうね!

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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