圧力と体積の関係
ダイビングを行う上で重要な中性浮力。
中性浮力は1度とれたら完璧、ではなく、深度に応じてBC内部の空気量を微調整しなければなりません。
なぜでしょうか?
水深と圧力の関係でご説明したとおり、水深によって圧力は変化します。
そして、BC内部の空気が圧力の変化に応じて、体積を変えるために微調整が必要になるんです!
その関係を順に見ていきましょう。
あっとこの説明、厳密には温度などの色々な要素が関わってくるだろ!という方、全て理解しているはずですね。ご退出を(笑)
圧力と体積の関係
小学校の時の遠足を思い出してみましょう。
普段は身体に悪いから、となかなか買ってもらえないお菓子。(世代がばれる?笑)
山頂でのお昼ごはんの後、意気揚々とリュックのポテチを出してみると…
なんとパンパンになっているではありませんか!
これは、標高が上がったことにより、大気圧が下がったために袋が膨らんだんですね。
なぜこんなことが起こるのでしょう?
標高が上がることによって気圧が減少することは水深と圧力の関係でご説明しました。
袋が膨らんだということは、袋の中の空気が膨張した、ということですね。
気体は小さな小さな分子が空間を飛び回っています。
ポテチの袋の様に密閉された空間であれば、袋を挟んで圧力を受けています。
想像してみてください。
外からの圧力が弱まると、中の分子たちは今まで以上に元気に飛び回りそうですよね?
大学に入って、親からの圧力が減ったために、地元だけでなく遠くで夜遅くまで遊んでいる君と同じです。基本的には。(笑)
親の圧力が減って行動範囲が広がった大学生の場合、それは単にお金をつかう機会が増えるだけですが
話を空気に戻すと、圧力が弱まったことによって分子の行動範囲が広がる、つまり体積が大きくなる、ということになります。
下手な例え話のせいで、余計にややこしくさせてしまったでしょうか?笑
とにもかくにも、圧力が弱まれば体積は増えます。
逆に圧力が強くなれば外出を控え…いえ、体積は減ります。
Aが増えればBが減る、Aが減ればBが増える、これを反比例、と言いましたよね!
そう、体積は圧力の変化に反比例するのです。
ではどのくらいの割合で反比例するのでしょうか?
世の中本当にうまく出来ています。
この圧力と体積の関係に何ら係数は必要なく
圧力が2倍になれば体積は1/2に
圧力が3倍になれば体積は1/3に
圧力が1/2になれば体積は2倍に
圧力が1/3になれば体積は3倍に
なります。
覚えやすいですね!
ここからはちょっと眠たい話。
この
圧力と体積が反比例する
ということを発見者の名にちなんでボイルの法則、と言います。
法則名はあまり重要でない、と思うのですが、指導団体によっては各コースの筆記試験で問われることもあるので念のため。
中性浮力との関係
ここからが本題です。
中性浮力は深度に応じてBC内部の空気量を微調整しなければならない
と言いました。
ここまでお読みの方はもうわかりますよね!
水深の変化に応じてBC内部の空気の量は変化します。
水深30mなら4気圧でした。
この水深でBCに給気をし、中性浮力になったとします。
そのままBCを操作せずに水深10mまで浮上しましょう。
水深10mで圧力は2気圧、つまり水深30mの半分です。
ということは、体積は2倍になりますよね!
浮力の仕組みでご説明した通り、浮力は体積と密接に関係しています。
BC内部の空気の体積が2倍になるということは、BCは2倍の浮力を得るということになりますね。
それだけの浮力がついてしまうと、当然水面まで浮いていってしまいます。
圧力が無くなると行動範囲が広がり、フワフワ浮つく…授業にも行かなく…もういいですね。(笑)
そして、気をつけたいのは水深が浅くなればなるほど圧力は減少し、体積は増加するのです。
つまり、一度浮力のコントロールを失い浮上し始めてしまうと、加速度的に水面まで行ってしまうのです。
安心してください。履いて…違います。
正しくBCを使えれば、万が一浮力のコントロールに失敗して浮き始めてしまったとしても
即座にBCから排気すれば、十分に対応可能です!
急浮上のリスクについては別の授業でご説明しますね。
深場から浅場に帰ってくればBCの体積が増加し浮力がつく。
当然、逆も然りです。
浅場から深場に出ればBCの体積が減少し浮力が無くなってしまいます。
なので、水深が深くなるごとにBCに給気をしなければならないわけですね!
ライセンス講習で、99%の人は何も教えないと
『浮上〜』
と合図をするとBCに給気しようとします。
ここまで読んだらもうおわかりですね!?
浮上の時は、水深が浅くなることでBC内部の空気が膨張、浮力がつく
ということは正しく『排気』ですからね!
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