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空気って何でできてるの?〜空気の組成とダイビングとの関わり〜

基礎知識

我々が生きていく上で必要不可欠な空気。
一方で、普段生活する中では存在を意識することのない空気。
空気の様な存在、なんて良い意味なんだか悪い意味なんだかよくわからない使われ方もしますね。

ひとくちに空気と言っても、様々な気体が混じり合ったものです。
酸素が無ければ呼吸はできませんし、二酸化炭素が地球温暖化を引き起こしているのではないかとも言われます。

この様に普段酸素や二酸化炭素については意識することがあるかもしれませんが、実際のところ空気は何でできているのでしょうか。
空気に含まれる物質は、それぞれダイビングにも深く関わっているので、それぞれの性質も併せて見ていきましょう。

空気の組成

生き物の呼吸に深く関わっているのは酸素と二酸化炭素。
確かに両方とも空気に含まれます。

しかし、実は最も多い気体はそのどちらでもなく、窒素なんです。
空気全体のうち約8割を占めています。

その次に多いのが酸素で約2割を占めています。
窒素が約8割、酸素が約2割としてしまったので残りが無い様に見えますが、実際には足すと約99%となり、残りの約1%に他の様々な物質が含まれています。
では3番目が二酸化炭素かというとそうではなく、アルゴンという物質が3番目に多い物質です。
そして、4番目に多いのが二酸化炭素です。

具体的な数値で言うと以下の通り。

窒素:78.0840%(約78%)
酸素:20.9476%(約21%)
アルゴン:0.9340%(約1%)
二酸化炭素:0.0314%(約0.03%)
その他:0.0030%

グラフにすると、二酸化炭素もその他も、見えなくなってしまう程の微量ですね。(笑)

その他の中には以下の様な物質が含まれています。(割合順)

  • ネオン
  • ヘリウム
  • メタン
  • クリプトン
  • 二酸化硫黄
  • 水素
  • 一酸化二窒素
  • キセノン
  • オゾン
  • 二酸化窒素
  • ヨウ素

この辺りまでは高校の化学で目にした物質でしょうか。

さらに微量な成分として、ジクロロジフルオロメタンや四塩化炭素など、普通に生活している分には一切耳にすることが無いであろう物質が含まれています。

話が細かくなってしまいましたが、まずは

窒素が約78%
酸素が約21%

ということを覚えておけばOKです。

それぞれの物質の特徴と、ダイビングとの関わり

窒素(N2):約78%

大きな特徴は不活性ガスであるということです。
不活性ガスとは、化学変化を非常に起こしづらいガスだという事。
つまりある意味、あっても無くても変わらない気体です。

最も量が多い物質である一方で、これといった特徴もありません。
だからといって不要かというとそういうことも無く、不活性であることを活かして、食品をはじめとした様々な物が空気と触れて劣化してしまうことを防ぐため、窒素ガスを充填することで生活に幅広く活用されています。

缶コーヒーを飲むとき、ブラック派ですか?ミルク入り派ですか?
普段はミルク入りを飲んでいる方は、ミルクなどの成分が沈殿しているため、缶を振ってから飲みますよね。
そんないつもの慣れのままブラックの缶を振ってから開けた時、中身が吹き出してきたことはありませんか?

炭酸飲料でもないのになぜ……
実は、コーヒーは酸素に触れることで劣化してしまうため、純粋にコーヒーの風味を味わうブラックコーヒーの缶には、窒素ガスが充填されていることがほとんど。
ブラックコーヒーの缶はそっと開けないと、その充填された窒素ガスが吹き出してしまうわけですね。

この様に、これといった特徴が無いからこそ窒素ガスも生活の中で役に立っています。
ただし、特徴がないというのはあくまで陸上で生活する場合の話です。

水中では水圧がかかるため、陸上よりも高圧の窒素を吸い込むことになります。
高圧の窒素は麻酔作用を持つため、ダイビングでは窒素酔いが問題となります。

また、不活性ガスだからこそ身体で消費されることがなく、窒素ガスのまま身体に溶け込んでしまいます。
この溶け込んだ窒素が減圧症の原因となります。

酸素(O2):約21%

大きな特徴はその助燃性です。

物が燃えるためには基本的に酸素が必要なだけでなく、酸素はそれ自体が燃焼を促進する性質があります。
そのため、純酸素や濃度の高い酸素を取り扱う際は火気厳禁です。

酸素はもちろん、我々が生きていく上で必要不可欠な気体でもありますね。
陸上では必要不可欠な酸素ですが、こちらも水中で圧力が高まると、陸上とは異なる性質を帯びます。

高圧の酸素は中毒性があり、極めて高圧の酸素を吸い込むと急性酸素中毒を引き起こすほか、急性酸素中毒を引き起こすほどの圧力でなくとも、高圧の酸素を吸い続けることで慢性酸素中毒を引き起こしてしまいます。
そのため、酸素濃度の濃いガスであるエンリッチドエア(ナイトロックス)を使用する際には注意が必要です。

また、減圧障害の応急処置として純酸素を使用することは重要ですが、前述の通り使用する際は火気の取扱いに注意をしてください。

アルゴン(Ar):約1%

聞きなれない物質かもしれませんね。
アルゴンの特徴も不活性であることで、窒素に比べても極めて化学変化を引き起こしづらいガスです。

どれほどかと言うと、2006年現在で知られているアルゴン化合物はただひとつ。
しかも、-256℃以上になると壊れてしまうという代物です。

主な用途として電球や蛍光灯に封入されているほか、工業分野で使用されることがあります。
そして、それらの用途と並んで主な用途に挙げられるのが、なんとダイビングでの使用です。
ダイビングと言ってもテクニカルダイビングの世界ですが、ドライスーツに給気するためのガスとして使用される場合があります。

テクニカルダイビングでは大深度潜水を行う場合にヘリウムを混合したガスを使用することがあります。
これは、窒素の麻酔作用を避けるためと、呼吸抵抗の増加を抑えるためなのですが、ヘリウムは熱伝導率が高いためにドライスーツ内に給気すると、すぐに冷えてしまいます。
そこで、空気よりも熱伝導率の低いアルゴンに白羽の矢があたり、ドライスーツへの給気用ガスとして使用されています。

二酸化炭素(CO2):約0.03%

普段の生活では地球温暖化の原因として酸素以上に耳にする機会が多い二酸化炭素。
冒頭でお話した通り、空気中に含まれる割合はごくわずかです。

尚、空気中の割合は年々上昇しており、2022年現在では約0.04%を上回っているとも報告されています。
ちなみに約0.03%とされたのが1975年、今から200年以上前の産業革命以前は0.03%をも下回っていたと言われています。

二酸化炭素は水に溶け込みやすい性質があるため、昨今の二酸化炭素濃度の上昇によって引き起こされる環境問題として、地球温暖化に加えて海水酸性化も指摘されています。

二酸化炭素が地球温暖化の原因なのか、そもそも地球温暖化とは何者なのか、様々な意見があるため詳しくは触れませんが、やはり二酸化炭素と言えば呼吸に関わりのある気体。
我々は酸素を吸い込んで二酸化炭素を排出していますね。

生きていくうえで必要なのは酸素なので、呼吸に関わる感覚に影響を与えるのは酸素だと思われがちですが、実はこの二酸化炭素が影響を与えています。
つまり、体内に酸素が足りないから苦しいと感じるのではなく、体内に二酸化炭素が増えることで苦しいと感じるのです。

スキンダイビングの世界ではこのことが非常に重要で、誤った呼吸法を行うと意識喪失を引き起こしてしまう場合があります。

終わりに

ひとくちに空気と言っても様々な物質が含まれています。
そして、その微妙なバランスのお陰で我々は生きていくことができます。

魚が水中での生活に適応しているように、人間は陸上での生活に適応しています。
我々の身体は、水中で呼吸を行うことが計算されて作られているわけではないため、水中で呼吸を行うと、普段は無害な空気でも、様々な問題を引き起こします。

それぞれの問題については各項目の記事に譲りますが、全ての出発点は空気の組成を理解していることです。

また、水中で水圧を受けている場合、空気中のそれぞれの物質の影響がどの程度変化するのかについては分圧の法則が深く関わっています。

安全なダイビングを行うためには、空気の組成、水深と圧力の関係、分圧の法則、この3つを理解していることが出発点になりますよ!

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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