ダイビングサークルに入り、これから訪れるダイビングライフに胸を躍らせる新1年生。
待ちに待った海洋実習で…
見てください!ダイバーズウォッチ買っちゃったんですよね!
と、嬉しそうにウエットスーツの上から時計をつける光景。
こんな光景を見たことありませんか??
僕は何度かあります。(笑)
ダイバーの皆さんであればイマドキのレジャーダイビングで、時計を持って潜る人が少数派であることはご存知でしょう。
ノンダイバーのみなさんからすると、名前からしてダイバー向けの時計なのに、実はダイバーの多くは使っていないということが、衝撃の事実かもしれませんね。
ということで今回は、知っているようで知らないダイバーズウォッチについて、まとめて行きたいと思います!
ダイバーズウォッチの定義
そもそもダイバーズウォッチとはどのような時計を指すのでしょう?
ざっくり、防水、耐圧であることは想像できますよね。
実は、国内で様々な物の規格を定めているJIS規格によって「ダイバーズウォッチと呼べるのはこんな時計」ということが細かく定められています。
簡単にではありますが、ご紹介して行きましょう。
【参考】
JIS B 7023:2014 潜水用携帯時計-種類及び性能
頑丈さ
防水性
海に潜るのですからもちろん防水である必要がありますよね。
そして、ただ防水なだけではなく、水中で操作を行っても浸水しないことが求められます。
耐圧性
最低でも水深100m、つまり11気圧の圧力下で正常に動作することが求められています。
水深と圧力の関係を復習したい方はこちらから!

もちろん水深150m、200mといった防水耐圧性能を持つダイバーズウォッチも多く、性能試験の際には表示水深の1.25倍の圧力で2時間加圧しても壊れないことが求められるのだとか。
ただ…
レジャーダイビングではどんなに潜っても40m。
完全にオーバースペックですね(笑)
耐塩水性
ダイビングは海で行うことがほとんどなので、塩水で錆びてしまってはダメですよね。
ダイバーズウォッチは、海水の塩分濃度とほぼ等しい、3%の食塩水に24時間浸けても大丈夫なように出来ています。
耐衝撃性
衝撃にも頑丈に作られていて、1mの高さから硬い所に落としても壊れないことが条件とされています。
そのほかにも、引っ張る力への耐久性などが細かく定められています。
耐磁性
磁力の発生している場所でも壊れないことが求められています。
具体的には4800A/mの磁界でも正常に動作するように、となっています。
どれくらいの磁力なのかはちょっとピンと来ませんが、一般的な時計の3倍なんだとか。
耐熱衝撃性
熱衝撃、聞きなれない言葉かもしれませんね。
熱い所と冷たい所に交互に入れても壊れないこと、だと思ってもらえればOK!
もちろん壊れないだけでなく、曇らないことも求められています!
耐混合ガス性
混合ガスとは言いますが、ヘリウムへの対処が施されていることが一部のダイバーズウォッチでは条件となっています。
ヘリウムは分子が非常に小さいため、防水性だけでは内部に侵入することを防げないのだとか。
時計の内部にヘリウムが侵入してしまうと、浮上時にヘリウムが膨張して、時計を壊してしまいます。
え?なんでヘリウムが突然出てきたかって?
実は、水深100m以上に潜るような大深度潜水の場合、窒素酔いの影響を避けるため、ヘリウムを使用することがあります。
工事などの作業の場合はスクーバではなく飽和潜水と言って…
こちらも通常のダイビングであれば、不要ですね(笑)
機能
逆回転防止ベゼル
ダイビング開始から何分経過したのかが一目でわかるよう、計測用のベゼルがついています。
開始時、時計の針にベゼルの0を合わせておくということですね。
作業中、時計に何かがぶつかるなどしてベゼルが動いてしまうと経過時間を正しく把握することが出来ません。
一方でベゼルは回らなくちゃ意味がない…
そこで、万が一ベゼルが動いたとしても、実際の経過時間よりも短く見積もってしまうことが無いよう、左回りにしか回らないようなベゼルになっています。
装飾としてベゼルがついている時計は多くありますが、両方に回るものであれば、それはダイバーズウォッチでは無いということですね!
可読性
暗い所で25 cm離れたところから必要な情報がはっきりと読み取れるようになっています。
多くの場合は文字盤、時計の針、ベゼルの文字に蓄光塗料が塗られています。
単純な感想として…
ダイバーズウォッチってめちゃめちゃハイスペック!!(笑)
どうやって使うの?
ダイバーズウォッチで計測できるものは、当たり前ですが時間だけです。
時刻だけを知ることが出来る通常の防水時計とは違い、経過時間を知ることが出来るのが最大の特徴ですね。
一方、安全にダイビングを行う、減圧症にならないように潜ることを考えると、経過時間のほかに、水深を知る必要があります。
そして、その2つをもとに、ダイブテーブルから現在の体内窒素量を見積もるわけですね。
したがって、ダイバーズウォッチを用いる場合には、水深計とダイブテーブルも必須器材となります。


もうお気づきかもしれませんが、イマドキ、少なくともレジャーダイビングの世界で、ダイバーズウォッチと水深計からダイブテーブルをひいて…なんて潜っている人はいません。
いない、はず。(万が一いらっしゃったらごめんなさい。)
ダイバーがつけているのは時計じゃ無かった!
でもイントラさんやガイドさん、上級生はみんな腕に時計をつけてるって?
はい、それ、時計じゃ無いんです。
いえ、確かにパッと見は時計ですが、ダイブコンピューターという、時計よりもさらに高機能なものなんです。

詳しくはこちらの記事を読んでいただければお分かり頂けると思いますが、ざっくりいうと…
- もちろん時計の役割(経過時間も)
- 水深計の役割
- ダイブテーブルを同様以上の計算
- (モノによって)コンパス
が、ひとつにまとめられたスーパーデバイス!
以前は10cm×5cm程度のゴツイ物が多く、およそ時計には見えませんでしたが、最近ではどこからどう見ても時計にしか見えないものが主流です。
正直、頑丈さなどに関して、ダイバーズウォッチには劣るかもしれませんが…
何が言いたいかというと、時計と水深計を用いて、人の手でダイブテーブルをひきながら潜っていたのは昔の話で、現在はダイブコンピューターに従ってダイビングを行うということです。
そして、もはやダイビングに必須の器材となってきているので、プロダイバーをはじめ、多くのダイバーが腕につけているというわけですね。
まとめ
ダイバーが腕につけているものが、ダイバーズウォッチでは無くダイブコンピューターであることはお判りいただけたでしょうか?
正直…
「ダイビングサークル入ったからダイバーズウォッチ買ったんだ!」
とドヤ顔をすると、少し恥ずかしいかもしれませんね(笑)
早く先輩の様に、腕に何かをつけたい!という場合は、こちらの記事などを参考に、ダイブコンピューターを探してみて下さい。

ただ、ダイバーズウォッチもカッコいいのは間違いないと思うので
「ダイバーなら普段使いはダイバーズウォッチ!」
みたいな風潮が出来るのも、個人的にはアリだと思うんですけどね。