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ドライスーツの水没防止法12選〜原因と対策まとめ〜

器材について

ダイビングは夏の遊びと思われがちですが、冬の海には冬にしかない魅力がたくさんあります。
例えば伊豆であれば、透明度が安定して高くなり、夏には見られないダンゴウオやアンコウが見られたり、ウミウシが夏よりも沢山見られたり。
時にはリュウグウノツカイなどの深海魚が出現することもあります。

伊豆だけでなく、全国各地のダイビングスポットで冬にしかない魅力があるものです。
そんな冬の海はもちろん水温が低下するので、潜るにはドライスーツが必需品。

そんなドライスーツですが、水没して寒い思いをした……という声もよく耳にします。

ということで今回は、楽しい冬の海で悲しい思いをしないための、ドライスーツ水没防止法をご紹介していきたいと思います!

水没の原因と予防法

ドライスーツが水没してしまう原因はいくつかあります。
それぞれの原因に応じた予防法を見ていきましょう。

ファスナーの密閉が不完全

ドライスーツには水を通さない特殊なファスナーが使用されています。
キッチリ閉めればもちろん浸水しませんが、微妙に開いてしまっていれば当然水没します。

あたりまえのことを、と思われるかもしれませんが、案外多いんですよ!!

多くの場合、ドライスーツのファスナーは背中側についているのでバディに閉めてもらうことと思います。
バディとの信頼関係が重要なのはわかりますが、信頼と信用は別物。
必ず自分で、完全に閉まっていることを確認しましょう!

いらぬイザコザの原因にもなりますよ!!(笑)

また、完全に閉まらない原因としてはファスナーの滑りが悪くなってしまっていることが挙げられます。
滑りが悪いと最後の最後が一番締めにくいんですね。

これを防ぐためには、日ごろからファスナーに専用のワックスかロウを塗っておきましょう。
専用ワックスがベストですが、もちろん市販のロウソクのロウでもOKですよ!

ロウが有効なのは金属ファスナーの場合です。プラスチック製のファスナーの場合はロウによって破損が生じる場合があるので、メーカーの取扱説明書に従い、専用のケア用品を使用してください。

ファスナーが壊れている

ファスナーのコマが飛んでしまっていると、そこから水没してしまいます。
これを防ぐためにはまず、ファスナーが折れない様に気をつけることが大事です。

ファスナーが折れ曲がった状態で上から力が加わると折れてしまいます。
ドライスーツを置くときには必ず踏まれない場所にかける、車に積む時には必ず一番上に置く、ということを心がけましょう。

ファスナーが折れるだけならギリギリ水没しませんが、折れたところでファスナーが引っかかったのを無理に閉めようとしたとき、コマが飛んでしまいます。
万一ファスナーが折れてしまっている場合には、無理に閉めない様に気をつけましょうね。 

ファスナーにインナーが噛んでいる

こちらもあるあるです。
インナーを噛んだまま無理やりファスナーをしめてしまうと、そこから水没します。
さらに、インナーにも穴が……

ファスナーを閉める際、少しでも動かない場合には、インナーが噛んでいないか確認しましょう。
また、噛まない様に指を入れながら閉めるのも良いでしょう。

ピンホールが空いている

長く使ったドライスーツには、目には見えない様な大きさの穴が開いてしまっていることがあります。
これを防ぐためには、首と手首を縛ってシャンプーなどを塗り、泡が出てこないか、水没チェックをしましょう。

グレーなどの水濡れによる変色がわかりやすい色のインナーを着て、ドライスーツを着て首まで海につかるのも手です。
おもらしの様に変色しているところがピンホールのありかです。(笑) 

とはいえ海でそんな時間は取れない、という方は、メーカーに水没検査を依頼してしまうのが手っ取り早いですね!

バルブが汚れている

給気バルブや排気バルブ付近から水没している場合は、バルブに砂などが噛んでしまっている可能性があります。

ドライスーツのバルブはご自身で分解可能なので、分解・清掃を行ってみましょう。
こちらも、自信の無い方はメーカーに依頼すると良いですね。

首や手首から浸水する

最も多いのがこちら。
これについては更に詳しく見ていきましょう。

髪の毛やインナーが挟まっている

特に女性に多いのがこちら。
髪の毛が挟まってしまっていると、当然そこから浸水します。
極力挟まない様に髪を縛ったり、バディに確認してもらうなどの対策をしましょう。 

サイズが大きい

身長の割に細い方でレンタルドライの場合、圧倒的に首のサイズが合わない場合があります。
後述するネックバンドを使ったとしても逆に余った生地が折り重なってしまい、そこから浸水します。

指が入ってしまう程に首回りが緩いレンタルドライの場合には、交換してもらいましょう。 

動きすぎ

ウエットスーツ気分で自由に動いてしまうと浸水してしまいます。
特にドライスーツに慣れていないうちには多いですね。 

首を動かせば、首に寄ったシワから浸水します。
ドライスーツの場合、正面以外を見る時には目だけで見るか、身体ごと対象物を向くように心がけましょう。

また、手首を回すことは少ないと思いますが、手に力が入ると手首にシワが寄ります。
ダイビング中、手に力を入れる機会もそこまで無いかとは思いますが、意識しておきましょう。 

首や手首から浸水防止グッズ

首や手首からの浸水には、様々な予防グッズがあります。
これからご紹介するグッズも試してみて下さいね! 

ネックバンド・リストバンド

ドライスーツメーカー各社から、専用のバンドが発売されています。
こちらを利用するのが最もスタンダードな浸水予防法です。 

首はきつすぎれば当然苦しいですし、手首もきつすぎれば血流が悪くなってしまいます。
きつすぎない程度にしっかり締めましょう。 

輪ゴム

メーカー純正品が手に入らない場合はこれもアリといえばアリです。(笑)
輪ゴムだと微調整が難しいので首にはあまり向きませんが、手首であればいわゆるスタンダードな輪ゴムを数本巻けば良いでしょう。 

ダイコンとリストコンパス

右利きの人ならダイコンを左手につけますよね。
コンパスが内蔵されているダイコンの場合、ダイコン内の磁石にコンパスが反応してしまうのでリストコンパスは反対の右手につけます。
別にドライスーツの浸水対策では無く、ウエットスーツの場合でも筆者はこのスタイルなのですが、ドライスーツの場合には少しキツめにつけることで浸水対策にもなって一石二鳥です。(笑)

バイオシール


apolloから発売されている特殊な素材でできたグッズです。

通常のネックバンドやリストバンドは外側からつけますが、こちらは内側、地肌に直接つけます。
すると、ドライスーツのシール部分との密着性が増して、浸水を防げる仕組みです。 

タオル

こちらは予防法と言うよりも対策法。

様々な対策を行っても、多少の浸水はしてしまう可能性があります。
その浸水による影響を防いでくれるのがタオル。 

見た目は少しダサいのですが、首に巻いておくと、首からわずかに浸水した水をタオルが吸ってくれるので、インナーまで濡れてしまうことを防げます。 

濡れた首周りに風が当たって寒い……
ということが無くなりますよ!

おわりに

ドライスーツが水没する原因と予防法についてご紹介してきましたが、ドライスーツ自体に問題がある場合を除き、ほとんどの場合は「動きすぎ」が原因であることがほとんどです。

慣れてくれば多少ゆるいドライスーツでもほとんど浸水することはないので、一度水没したとしてもめげずにドライスーツに慣れるために潜り続けることも重要です。

また、無駄な動きをせずに潜ることができる様、これを機にご自身のダイビングスキルを見直してみるのも良いですね!

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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