【常識を疑え!】マスクの油膜取りも曇り止めも実は必要ない!?

新品のマスク 器材について

新品のマスクをそのまま使ってしまうと、レンズに残っている油膜のせいで曇り止めが効かずに曇ってしまう。

案外知らない人も多いので、こちらの記事でご紹介しました。

新品のマスク、そのまま使っちゃダメですよ!油膜取りの方法を解説
Cカード講習時についてきた、シンプルなマスクから卒業してもっとかっこいいマスクを……。ひと夏ファンダイビングをしてみて、周りがみんな持っているので自分も欲しくなって……。夏のダイビングのために貯めてあったお金が少し余って……。などなど理由は...

そう、ダイバーにとって新品のマスクは油膜取りするのが常識。

でも。

常識にとらわれていたら新しい発想は生まれないんですよ。

車が無かった時代

もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう。

かのスティーブ・ジョブズが好んで引用した、ヘンリー・フォードの言葉です。

失敗は成功のマザーですからね

ミスタージャイアンツ、長嶋茂雄の言葉です。

そろそろミスターを知らない人も増えてくるんだろうな…

ということで!(どういう?)

今回は、ダイビングの常識を疑ってやろうシリーズ第1弾!

マスクの油膜取りは本当に必要か?

を、お届けしたいと思います。

ちなみに第2弾はまだ何も考えてないです。(笑)

油膜取りの必要性を疑え!

まずは油膜取り

今回使うのはTUSAのfreedom Ceos。

商品ページ(TUSA公式ページ)

別にTUSAさんからお金を頂いているわけではありません。

シンプルなデザインが好きで、僕はかれこれ4つ?5つ?連続でこのマスクです。

準備したのはもちろん新品。

ということで

油膜取りですね。

 

ただし今回は

『油膜取りの必要性を疑う』

のが目的なので、片方のレンズだけ油膜取りを行います。

右目側のレンズですね。

ここでひとつ、豆知識です。

ここまで散々『油膜取り』という言葉を使ってきましたが、じつはこれ、誤りなんです。

別に油が膜を張っているわけではなく、シリコンなど様々な物質が膜を形成しています。

従って正しくは『被膜』となります。

ただ、油膜取りという言葉があまりに一般的なのでここでは

  • 油膜取り:被膜を取り除く行為
  • 被膜:レンズ表面を覆ってしまっている膜(×油膜)

という定義で言葉を使っていきたいと思います。

実際に潜ってみた

さあここはどこでしょう?

この写真でわかった人はなかなかのツワモノですね!

まあなんだかんだ言って曇るのでしょう。

むしろ油膜取りしていない側のレンズだけガッツリ曇ってる画が撮りたいとすら思ってます。

曇っても良い様に、BCのポケットには使い古したマスクに曇り止めをした状態で仕込んでありますからね。

水中でマスクを交換する画なんかも良いですね。

曇って無い!!!

どアップに耐えられる顔で無いのはすみません。

知ってます。

少しだけ我慢して写真右側(油膜取りをしていない左目側)のレンズを見てみてください。

曇っているといえば曇っているものの、気にならない程度…

実際、ほとんど気になりませんでした。

潜降直後に撮影したんじゃ無いかって?

エキジット後がこちら。

水中とほとんど変わりませんよね。

油膜取りは必要ないの?

もともとそういう企画じゃ無かったかって?

いや曇ると思ってましたもん(笑)

ただ、これだけで油膜取りは必要ない、と言い切るのは早計かなと思います。

実際、油膜取りを忘れて視界ゼロになっているダイバーもたくさん見たことがあるので…

ではなぜ今回は油膜取りをせずとも曇らなかったのでしょうか。

仮説1 水温がちょうど良かった?

そもそもなんでマスクが曇るのかと言えば、マスク内外の温度差が原因です。

体温で暖められたマスク内部の空気が、水温で冷やされ、マスク内部の空気の水蒸気がレンズにつくわけですね。

この日の水温は約23℃。

もしかすると、マスク内部の空気、体温で暖められるといっても同程度の温度にしかならないのでは?

それなら曇らなかったことにも納得できます。

仮説2 鼻呼吸をしていないから?

マスク内部の空気が暖められる原因として、顔からの放熱もありますが、鼻から息を吐くと、より温度が上がりそうですよね。

さらに、鼻からの呼気は水蒸気をたっぷり含んでいそうです。

仮にもインストラクターの僕です、鼻から息はそんなに吐いていないはずです。

実は、マスクの曇りの一番の原因は鼻呼吸にあったのかもしれません。

仮説3 購入してから放置していたから?

実は今回使ったマスク、購入後、油膜取りが面倒で、1ヶ月ほど開封したまま放置をしていました。

話は少し変わりますが、油膜取りを行った後、ご丁寧にマスクケースにしまうと、スカート部分から被膜の成分が揮発してレンズに付着してしまいます。

その結果、再び油膜取りが必要になってしまうんですね。

(注)スカート:シリコン等で出来た柔らかい部分。顔に接する部分ですね。

なので、新品のマスクはマスクケースに入れない方が良いのですが、逆に言うと、開封後放置をしていたので被膜の成分が全て揮発してくれたのでは無いでしょうか?

真偽の程は定かではありませんが、これが本当だとすると、購入後一定期間放置しておけば油膜取りの必要なし、ということになりますね!

メーカーさんに聞いてみた

ということで<仮説3>を検証するために、製造元であるTUSAの方にお話を伺ってみました。

結果は…

(ほぼ)ビンゴ!!

但し、必ずしも購入後放置すれば油膜取りの必要が無いというわけではないので、早合点せずにこの先も読み進めてください(笑)

たく
購入後放置してたマスクを使ってみたら、油膜取りしなくても曇らなかったんですけど、そんなことってあるもんなんですか?

TUSA営業部・仲野さん
んー恐らく製造後間もない期間、3ヶ月以内ぐらいですかね、そのぐらいでお手元に届いたんだと思うんですね。
それで到着後すぐに開封されたということですね。
梱包されていた期間が短かったので、そもそも被膜がレンズに付着しなかったのかもしれませんねー

たく
やはり、被膜の成分が全て揮発してしまった、ということでしょうか?

TUSA営業部・仲野さん
というよりもですね、実は製造直後のマスクのレンズに被膜はついていないんですよ。
被膜はスカートから揮発して出てくるんですが、それが梱包されている中で、レンズに付着するんですね。
つまり、今回のケースは、偶然製造直後の物が届き、偶然すぐに開封したため、なのでは無いかなと思います。
ただ、当たり前ですが必ずしも製造直後の物が届くとは限りませんし、見分けることも出来ませんよね。
正確にはわかりませんが、製造後半年も経っているとレンズは被膜だらけになってると思います。

たく
なるほど、じゃあ今回は本当にたまたま、というわけですね。
そして放置していたのが良かったのではなく、すぐに開封したのが良かった。
マスクの製造時にレンズに被膜が付く、と思っていましたが製造後梱包されている時に付着するのは知りませんでした!

TUSA営業部・仲野さん
そうなんですよ。
うちの場合、ご存知の通りマスクは台湾の工場で製造していますよね。
工場の中の人は良いんです、しっかりと教育されているので丁寧に扱います。
ただ、日本に運ぶ最中に様々な業者の方が関わりますよね。
その際に、ぞんざいに扱われて汚れてしまう可能性も否定できないので、うちではマスクをフィルムで包み、さらにケースに入れているんです。
その結果として被膜がついてしまうんですね。
極端な話、製造後マスクを裸でお届けできれば油膜取りは要らなくなるかもしれませんね。
現実問題、そんなわけにはいきませんけど。

たく
なるほど。いずれにしても油膜取りは必要ということですね。

TUSA営業部・仲野さん
あ、あとひとつ。
最近の流行りなのか研磨剤が入っていない歯磨き粉が多くなってきています。今話題のマイクロプラスチックの問題とかもありますしね。
今回、歯磨き粉で油膜取りなさったということでしたが、効果が薄い場合も多いんですよ。
歯磨き粉での油膜取りが良かったわけでは無く、偶然製造直後のマスクだったのでそもそも油膜取りはほとんど必要なかったというケースも一定数あるとは思いますよ。
ただ、それだと運任せになってしまうので、油膜取りは必ず行ってください。
そして歯磨き粉ではなく、クレンザーで磨くのが確実です。

たく
そうだったんですね。詳しく教えて頂きありがとうございました!

と、いうことで、運良く油膜取りの必要が無いケースも可能性としてはありえるということでした!

ただ、もちろん製造後○ヶ月以内のものをちょーだい、なんで注文の仕方は出来ないので、みなさんは必ず油膜取りを行ってくださいね!

曇り止めの必要性を疑え!

どうしても片方のレンズだけ曇っている画が撮りたくなってしまったので、こんどは片方のレンズだけ曇り止めをせずに潜ってみます。

先ほど油膜取りをしなかった方のレンズに関しては、改めて油膜取りを行いました。

実際に潜ってみた

エントリー直前です。

5分後です。

1本目と区別できるように、フードを被っています。

よくみると、後ろに”あの”ポイントの”あそこ”が写り込んでいますね!

さすがにまだ曇りません。

45分後。エキジット直前です。

今回はどアップ、自重します。

写真を見て頂ければわかるとおり、2本目も空振りに終わりました…

曇り止めも必要ないの?

まさかの結果に驚きを隠せません。

油膜取りの時曇らなかったのは、被膜が付着していなかったことで説明を出来ても、曇り止めもとなると…

やはり水温か鼻呼吸、どちらかが大きく関係しているのでしょうか。

こちらについてもTUSAの方に聞いてみたのですが、さすがにこちらは原因不明ということでした。

ということで、なんともオチのない企画で大変申し訳ないのですが、もっと水温が下がった時期に、改めてチャレンジしてみようかななんて思っています。

油膜取りも曇り止めも、あくまで今回は偶然曇らなかったというだけの可能性が高いので、くれぐれも皆さんは油膜取りや曇り止め、忘れない様にしてくださいね!!

視界ゼロのダイビングはそれだけで大きなストレスですよ!!!


取材協力:株式会社タバタ(TUSA)http://www.tusa.net/

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