気温25℃。暑い!水温25℃。冷たい!なんで感じ方が違うの??
気温20℃といえば上着は要らない程度の快適な温度なのに、水温20℃といえば5mmウエットスーツではちょっと寒い……
同じ20℃なのになぜ?
と素朴な疑問を持った方はいないでしょうか??
なかなか鋭い気づきです。
その疑問の鍵は「熱伝導率」と「比熱」というものが握っています。
熱伝導率は、読んで字のごとく熱の伝わりやすさを表した値です。
2つの物質が接していて、その2つの物質の温度が異なるとき、熱は温かい方から冷たい方へ移動しようとします。
熱伝導率は、その移動するスピードと思ってもらってOKです。
比熱は物の温まりにくさを表した値です。
比熱が大きければ大きいほど温まりにくく、逆に言えば、熱を奪い取る力が強いため、熱が移動するパワーだと思ってもらってOKです。
水と空気で体感温度が違う理由
人間と空気、人間と水(海水)を考えた時も同じことが起こります。
殆どの場合、体温よりも空気や水の方が温度は低いので、人間から見ると熱は奪われていきます。
この時、空気の熱伝導率が約0.024W/mKであるのに対し、水は約0.6W/mK、25倍高い数字なので、それだけ熱が伝わりやすい、ということです。
※ここでは具体的な数字や単位は気にしなくてOK!
さらに、水の比熱は約4.2J/kg℃、空気の比熱は約1.0J/kg℃。
これはあくまで同じ重さでの話なので、同じ体積で考えた場合、水は空気の約800倍の重さがあるため、熱を奪う力は3000倍以上ということになります。
したがって、水は空気に比べて25倍早く、さらに3000倍以上の力で熱を奪うということになります。
このことから、同じ温度でもそれだけ水(海水)の方が早く寒さを感じるわけですね。
熱を奪うとしましたが、体温に比べて水や空気の温度の方が高い場合、同様に水は空気に比べて25倍早く、3000倍以上の力で強力に熱するということです。
裸で様々な温度に晒されていることを具体的に考えてみると…
あっ、様々な気温化に裸で投げ出されたことは無いので、空気中の感覚は完全に想像になりますが…笑
【0℃】
空気:寒い!が、すぐに数分(?)程度なら我慢できる!(はず)
水:数分で命に関わります。
【15℃】
空気:肌寒い!が、数時間は余裕!(なはず)
水:寒い!即座に命に関わるわけでは無いが、1時間ももたない。
【30℃】
空気:暑い!
水:温かい。が、ずーっと浸かっていれば冷えてくる。
【50℃】
空気:あまり考えたくは無いが、こんな気温になるところもあるので生きていける。
水:熱い!これに浸かれるのは温泉好きのおじーちゃんだけ。(たぶん)
【100℃】
空気:サウナとほぼ同じ。でもすぐには命に関わらない。
水:即ヤケド。浸かったらほぼ即死でしょう。
想像するに容易だと思いますが、水の方が冷たくても熱くても、影響が深刻なことはわかると思います。
熱伝導率とダイビングスーツの関係
この熱伝導率をうまく利用しているのがダイビングスーツです。
ウエットスーツの場合、体とスーツの間にあえて薄い水の層を作ります。
すると、水はその熱伝導率の良さから即座に温度が上昇します。
ウエットスーツの生地には熱伝導率が低い空気が気泡として大量に含まれているため、一度体温で温められた海水は、簡単に温度が下がることはありません。
最初こそ冷たいものの、体温で暖められた水の層のおかげで、裸で海に入るよりも断然寒くなりづらい、というわけです。
ドライスーツの場合、体とスーツの間に空気の層を作ります。
すると、空気の熱伝導率はそもそも非常に小さいので、なかなか寒くなりづらい、というわけです。
なら全部ドライスーツで良いじゃん!
と思いますが、その通り!笑
でも、せっかく海に入る遊びなので……
海に入った感出したいじゃん!濡れたいじゃん!
だからウエットスーツです。笑
実際には、ウエットスーツの方がドライスーツに比べて
- 安価
- 取り扱いが簡単
- ウエットスーツの方が動きやすい
- ドライスーツは夏場、陸上ではサウナ状態
といった理由もあって、ウエットスーツがスタンダードなわけですね。
おわりに
どれだけ暖かい海でも海水温が体温よりも高いということはなく、30℃程度と体温よりは低い温度です。
普段は温かいと感じていても、長時間浸かっていることで確実に体温を奪い、最終的にはハイポサーミアを引き起こします。
また、表層は温かくとも、深場ではサーモクラインが発生しており、水温が5℃以上低いというケースもあります。
スーツには怪我やクラゲなどからの保護の役割もあるため、極力着用する様にしましょう。
そして、複数のスーツをお持ちの方は、サーモクラインが発生していても大丈夫な様に、迷ったら温かい方のスーツを選択しましょうね。
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