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寒さは我慢厳禁!ハイポサーミアの症状と兆候、対処法

基礎知識

ダイビングに関する用語には横文字のものが多く、一度聞いただけでは何を言っているのかさっぱりわからないこともあります。

海に入ることはエントリー、海から出ることはエキジット。
エントリーはなんとなく分かる。
エキジット?エグジットじゃなくて?

そんな事を思った方も多いのではないでしょうか。

インフレーター、サーモクライン、ポジティブボイヤントアセントにラピポントニア・パラガレーネ。

最後のはダイビング用語ではないですね。
まだ和名がついていないエビの学名です。

さて、今回はそんな横文字の用語のひとつ、ハイポサーミアについてご説明していきたいと思います。

ハイポサーミアとは

横文字のダイビング用語は、日本語に訳しても理解しづらいために横文字のまま使用されている物も多くあります。
レギュレーターのことをいちいち「圧力調整器」と呼ぶのも面倒ですし、何よりかっこわるい。

しかし、このハイポサーミアに関しては、日本語ならすぐに伝わると思います。

低体温症

です。

暑いのを我慢し続けていると体温が上がり過ぎてしまうことで身体に異変をきたす熱中症と同じように、寒いのを我慢し続けていると体温が下がり過ぎてしまい、低体温症を引き起こしてしまいます。

通常、人間の体温(直腸温)は36〜37℃程度。
これが、35℃を下回ってしまうと、低体温症の症状が出始め、最悪の場合には死に至ります。

ハイポサーミアの症状と対処法

軽度のハイポサーミア

体温が33〜35℃程度になると、軽度の低体温症とされ、震えが止まらなくなります。
この段階であればとにかく温めてあげることで症状は改善していきます。
身体を乾かし、毛布などで包んであげたり、脇の下や股下の太い血管をカイロなどで温めてあげましょう。

温かい飲み物なども効果的。
ただし、コーヒーには利尿作用があるために避けるべきで、アルコールに関しては体温調整機能を麻痺させる作用があるので、厳禁です。

また、よく映画などで遭難した人が「寝るな!寝たら死ぬぞ!」と言っているのを見たことがあるかもしれませんね。
これは、人は眠ってしまうと代謝が落ち、震えも止まり、熱を生み出す力が弱くなってしまうため。
ハイポサーミアの場合も同様に、症状が十分に回復するまでは起きていられる様にしてあげましょう。

中度のハイポサーミア

体温が30~33℃程度になると、中度の低体温症となります。
気をつけたいのは、中度になると震えが止まる点です。

意識状態にも支障を来たし、無関心な状態、つまり心配の声にも「大丈夫です」などと返答してしまう場合があるので注意が必要です。

中度以上だと判断した場合には、速やかに医療機関に搬送する手配を整えましょう。

また、中度以上の場合には急激に温めてしまうと逆に身体に負担をかけてしまい、新たな傷害を引き起こしてしまう可能性があるため、毛布で保温する程度にとどめましょう。

重度のハイポサーミア

体温が30℃を下回ると重度の低体温症へとなります。

重度になると、意識状態に錯乱や幻覚が現れ始めます。
ベテランの登山隊が誤った判断によって遭難してしまうケースの中には、この錯乱が原因となっているものもあると考えられています。

心拍は低下し、心室細動や呼吸停止など、心肺蘇生が必要な状況に陥ることもあり、医療機関への搬送だけでなく状況に応じて対応しましょう。

ハイポサーミアの予防法

ダイビングにおけるハイポサーミアの予防は簡単です。

我慢しないこと

です。

寒さを感じたら海から上がって温まる。
これだけでハイポサーミアを予防することが出来ます。

もちろん現実には「自分のせいでダイビングを中止させたくない」という気持ちが働き、我慢をしてしまうケースもあるかと思います。
ほんのわずかな寒さでダイビングを中止していては、ダイビングを楽しめないことも事実だと思います。

少なくとも、少しでも震えを感じたら、我慢をせずに速やかに海から上がりましょう。

海外の温暖な海や真夏の沖縄の海で潜る場合、スーツを着用せずに潜っているダイバーを見かけることがあるかもしれません。
絶対にダメだとは言いませんが、万が一漂流してしまったら……

真夏の沖縄の海、温かいとはいっても水温は30℃程度、体温よりは低い温度です。
普段は温かいと感じていても、長時間浸かっていることで確実に体温を奪い、最終的にはハイポサーミアを引き起こします。

水は空気に比べて約25倍も熱を伝える力があるため、油断は禁物です。

また、表層は温かくとも、深場ではサーモクラインが発生しており、水温が5℃以上低いというケースもあります。

スーツには怪我やクラゲなどからの保護の役割もあるため、極力着用する様にしましょう。
そして、複数のスーツをお持ちの方は、サーモクラインが発生していても大丈夫な様に、迷ったら温かい方のスーツを選択しましょう。

海から上がった後も注意が必要です。
身体が濡れていると気化熱によって体温が奪われ続けてしまいます。

特にラッシュガードなどを着用していると、身体は常に濡れていることになってしまうため、海から上がった後は、ラッシュガードなどは脱ぎ、身体をしっかり拭いて、必要に応じてパーカーなどを羽織る様にすると良いでしょう。

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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