リバースブロックとは?
ダイビングをやったことが無い方が、耳抜きが心配、潜ると耳が痛くなりそう、と言っているのをよく耳にします。
確かに何も対処をせずに潜ってしまうと、身体の内部の圧力よりも外部の圧力が高くなることによってスクイズを起こすことをご説明しました。
耳抜き(圧平衡)が遅れてしまうと感じる痛みや違和感のことですね。
この記事の最後で
実はスクイズに関しては、強引に潜ることも可能です。
身体の内側の圧力が周囲より低いだけなので、だましだましサイナスに空気を送ってあげれば、なんとか潜ることは可能です。
しかし!
その先にはもっと恐ろしい問題が待っています。
と書きましたが、その恐ろしい問題というのがリバースブロックです。
尚、サイナスというのは以下の記事でご説明している通り、日本語では副鼻腔と呼ばれる目頭付近など顔の中にある空洞のことです。
リバースブロックとは
スクイズの逆と考えるのが一番わかりやすいでしょう。
体内の圧力の方が、周囲の圧力よりも高くなってしまい、痛みを生じることをリバースブロックと言います。
風邪をひいていたり、副鼻腔炎を起こしていたりすると、耳管やサイナスの出入り口が通常よりも閉じてしまっています。
当然、普段よりも圧平衡がしづらくなります。
基本的に、風邪や副鼻腔炎の時には潜らないようにしましょう。
しかし、それにも関わらず無理に圧平衡(耳抜き)を行って潜ったとします。
潜るときはなんとか抜けることもあるんですね。
ですが、悲劇は浮上時に起きます。
浮上をすることで周囲の圧力は下がります。
すると、体内空間の圧力の方が周囲圧よりも高くなります。
正常な状態であれば、耳やサイナスからは自然と空気が抜け、内外の圧力は等しくなります。
しかし、風邪などによって炎症を起こしていると、耳やサイナスから空気が抜けてくれません。
それが痛みを生じる原因となります。
耳やサイナス以外にも、稀に歯でリバースブロックを引き起こすこともあります。
治療が不良で被せものの下で虫歯が進行してしまうと、歯もリバースブロックを引き起こしてしまう可能性があります。
リバースブロックの何が恐ろしいかというと、スクイズの場合は、どうしてもダメなら浮上してしまえばなんの問題もありません。
これは浮上することによって身体の内外の圧力が等しくなるため、痛みが無くなるからですね。
しかし!
リバースブロックの場合、身体の内外の圧力を等しくするためには深度を下げるしかありません……。
そう。そのまま居たらエアが無くなってしまうわけです。
もしくは無理やり、耳からバキバキ音を鳴らしながら、場合によっては鼻血まで出しながら浮上するか……。
そうだとしても、その後、耳などに影響が無いとも言えません。
……嫌ですよね?
リバースブロックを防ぐのは簡単です!
無理やり潜降しないことです!
潜降時に違和感を感じたら無理せずにダイビングを中止しましょう。
中止するのは一時の後悔。
中止しないで傷害を負うのは一生の後悔ですよ!
リバースブロックの対処法
風邪や副鼻腔炎の時に潜るとリバースブロックを引き起こす可能性があるとご説明しましたが、寝不足や過労など、軽度、もしくは自覚のない体調不良でも、体質によってはリバースブロックを引き起こしてしまう場合があります。
潜降時には特に違和感を感じなかったはずなのに、リバースブロックを引き起こしてしまった場合にはどのように対処したら良いのでしょうか。
もし浮上中に痛みを感じた場合は、まず浮上を止めて、その水深に留まりましょう。
そして、耳抜きをしながら数m潜降します。
すると、痛みは和らぐはずです。
ここからは、顎を動かしたり、耳の後ろをマッサージをしたりしながら、だましだまし浮上をするしかありません。
深度を細かく管理するためにも、ロープなどがあればつかまったり、サポートを受けられるようなら、深度管理のサポートをしてもらうようにしましょう。
エアの残りが少ない時で、準備が可能な場合は、新たなタンクにつけたレギュレーターを水中まで持ってきてもらう場合もあるかもしれません。
しかし、減圧症の観点からも、いつまでも水中に居続けることはできないので、結局はだましだまし、痛みを多少我慢しながら浮上するしかありません。
また、もしリバースブロックを引き起こしてしまった場合、次のダイビングは中止しましょう。
おわりに
スクイズはダイバーなら誰もが一度ぐらいは経験があると思いますが、リバースブロックは体調や体質による部分が大きいので、一度も経験したことが無い方も多いかもしれません。
これまでは多少無理して潜っても大丈夫だったとしても、突然リバースブロックに見舞われることもあります。
ここまででご説明してきたように、リバースブロックの直接的な対処法は存在しないため、ダイビング前には体調を万全に整える様に心がけ、少しでも体調に不安がある場合はダイビングを中止する勇気を持ちましょう。
また、万が一突然リバースブロックを引き起こしてしまった時のために、対処法も頭に入れておくようにしましょうね。
この記事へのコメントはありません。