もうマスクを曇らせない!原因・原理から防止法・対処法、そして、曇り止めアイテム紹介も
美しいサンゴ礁、色とりどりの魚、幻想的に差し込む光……。
ダイビング中に出会う風景はどれも魅力的なものばかり。
でも、マスクが曇ってしまっていてはそんな風景も台無し。
楽しい思い出にまで雲がかかってしまいます。
また、曇りによる視界不良はストレスとなり、予期せぬトラブルへとつながりかねません。
今回は皆さんの楽しい思い出が楽しいままでいることを願って、マスクの曇り止めについてまとめて行きたいと思います!
目次
マスクが曇る原理
そもそもマスクが曇る原因は、マスク内部とマスク外部(海水)の温度差が原因です。
冬の寒い朝、窓にはびっしりと結露が発生し、曇って外が見えなくなってしまいますよね。
ダイビング中のマスクの曇りは、窓の結露と同じ現象が起きています。
そもそも、結露の原因は空気中に水蒸気として存在できなくなった水分が液体になること。
そして空気中に存在できる水蒸気の量は、温度が高ければ高いほど多くの水分が水蒸気のままでいることができます。
さて、マスクのレンズは常に海水で冷やされています。
マスクのレンズ付近の空気もマスクのレンズを通して冷やされるため、レンズ付近では水蒸気として存在できる水分量が少なくなってしまいます。
そのため、水蒸気でいられなくなってしまった水分が、液体としてレンズに付着してしまい、曇りとなってしまうのです。
曇りを防ぐ方法
マスクの曇りを防ぐためには文字通り「曇り止め」が必要です。
曇り止めにもいくつか方法があるので見て行きましょう。
なお、ほとんどの方法は何かをレンズに塗るというもの。
何かを塗る方法の場合はすべて、塗ったまま潜るのでは無く、かならずサッと流してからダイビングを行いましょう。
市販の曇り止め
ダイビングショップやダイビング器材量販店で取り扱われています。
価格は1000円を切るものから高くても2000円程度。
ダイビングを職業にしている人でない限り、1本あれば数年間使用するのに十分な量が入っています。
自作の曇り止め
少しでもダイビングにかかる費用を抑えたいという方はこちら。
ダイビングショップで曇り止めが用意されている場合も自作の場合がほとんどです。
中身は中性洗剤やベビーシャンプーを薄めたもの。
これを市販のスプレーボトルなどに入れて持って行きましょう。
注意点としては、きちんと流さずに使用して曇り止めが目に入ってしまうと強い痛みや、場合によっては腫れてしまうほどのダメージを与えてしまうことも。
洗剤やシャンプーの濃度が濃すぎると、水で流してもマスクの中に洗剤やシャンプーが残りやすくなってしまうため、濃度も重要です。
目安としては、サッと流した時に泡が残らないギリギリの濃さを目指しましょう。
曇り止めフィルム
対応するマスクが限定されてしまいますが、レンズに貼るだけで毎回の曇り止めが不要になるという魔法の様なフィルムが販売されている場合もあります。
2023年現在、日本国内で発売されている曇り止めフィルムは以下の通りです。
- AQUALUNG ニーナUVマスク専用(マスクに標準で同梱)
- AQUALUNG ニーナマスク専用(マスクに標準で同梱)
- TUSA 二眼レンズ汎用(Freedom Ceosなど)
- TUSA 一眼レンズ汎用(Tinaなど)
- TUSA 一眼レンズ汎用ラージサイズ(Zenseeなど)
- TUSA 二眼レンズ汎用ラージサイズ(Paragonなど)
- GULL MANTIS LV専用
- GULL VADER専用
- GULL VADER fanette専用
- GULL LANZE・NAIDA専用
- GULL MANTIS・MANTIS5専用
- GULL COCO専用
- apollo バイオメタルマスクシリーズ用
なお、価格はTUSAが1100円(税別)、GULLが900円(税別)、apolloが1200円(税別)、AQUALUNGの物を単品で購入する場合は800円(税別)です。(2023年10月現在)
曇り止めレンズ
こちらは以前発売されていたものの、残念ながら2023年現在は発売されていません。
以前はGULLより1枚(片目)8900円(税別)にて曇り止め加工レンズが発売されていました。
さすがに曇り止めにかける金額としては高すぎたのでしょうか……。
つば
つばです。皆さんの口の中にあるつばです。
汚いと驚かれてしまうかもしれませんが
「曇り止めは信用できないし、自分のつばが一番信用できる」
と言うインストラクターも少なくありません。
指導団体によってはテキストにはっきりと「つばを使いましょう」と明記されている場合もあります。
注意点としては、曇り止めを流す際、バケツや水槽を使用する場合には、マスクごと入れないようにしましょう。
白い目で見られる可能性大、ですよ〜。
海藻
海女さんをはじめ、昔から曇り止めとして利用されているのが海藻です。
そもそも潜る前にどうやって海藻を手に入れるんだ、という話はありますが……。
スキンダイビング(素潜り)であればマスクが曇らないうちに海底の海藻を手に入れ、水面でレンズにこするという手もありますね。
スクーバダイビングであっても、潜っている最中に曇り止めの効果が薄いことに気がついたら、一度マスクを外して、水中でレンズにこすりつけることができます。
ただし、スキンダイバーも含めて我々は海にお邪魔させて頂いている立場。
むやみに海藻を引きちぎるのは、あまりお行儀が良いとは言えませんね。
新品のマスクの場合
ここまでご紹介した曇り止めですが、効果を発揮するにはある前提がつきまといます。
それは、購入時にしっかりと油膜取りをしていること。
厳密には油分ではないので被膜取りですが、一般的に油膜取りと呼ばれています。
製造直後のマスクはスカート(顔に当たる部分)のシリコンからガスが発生しています。
そのガスの成分がレンズに付着することで被膜を形成し、曇り止めの効果を打ち消してしまうのです。
購入したばかりのマスクは、使用前に油膜取りを行いましょう。
油膜取りの方法についてはこちらから!
曇ってしまったら?
もしもダイビング中にマスクのレンズが曇ってしまったら……。
そんな時は、わざとマスクに水を入れ、レンズを水で洗い流しましょう。
もちろんマスク内に残った水はマスククリアです!
マスククリアには苦手意識を持つ方が多いかもしれませんが、しっかりと身につけておきましょうね!
思わぬ曇りの原因
油膜取りや曇り止めを行ってもマスクが曇りやすい場合、以下の様な原因が考えられます。
鼻から息を吐いてしまっている
冒頭で、マスクのレンズが曇る原因は水蒸気が冷やされて液体となりレンズに付着することとお伝えしました。
鼻から息を吐いてしまうと、絶えずマスク内に水蒸気たっぷりの呼気を供給することになってしまいます。
鼻から息を吐くクセを直すだけでも、劇的に曇りづらくなりますよ!
ちなみに、鼻呼吸を全くしてない(であろう)インストラクターの筆者が曇り止めなしで潜ってみたところ、全く曇らないという結果にもなりました。
日焼け止めや化粧
日焼け止めや化粧の成分が、汗や海水と共にマスクのレンズに落ちてしまうと、そこだけ曇り止めの効果が発揮されなくなってしまいます。
日焼け止めや化粧を顔に塗ったままダイビングを行うと、マスクが水中でズレやすくなり、ズレてしまった結果マスクに水が入り続ける、ということにもなりますよ!
日焼け止めや化粧の成分、1人分であれば微量なのでどこまで海の環境へ影響があるかと言われると、小さなものかもしれませんが、環境への影響がゼロとは言えません。
せっかく自然に囲まれて遊ぶダイビングですし、海に入る前には落としてから潜ってみてはいかがでしょうか。
おわりに
今回のまとめを参考に、毎回のダイビングの前には必ず曇り止めを行い、美しい風景をその目に焼き付けて帰ってくださいね!
この記事へのコメントはありません。