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ピンボケ写真を減らせ!水中写真の極意は撮る姿勢にあり!

スキルについて

 

みなさん水中写真うまく撮れていますか!?

 

拓サムネ
「なんか陸上では上手くピント合うのに水中だとピントが合わないんだよね。
ぼやけた写真になっちゃう。」

 

しげをサムネ
「はいはい。わかります。水中写真ってなぜか陸より断然難しいですよね。
これ、なぜだかわかりますか?」

 

拓サムネ
「やっぱり水中って特殊な環境で……陸とは違って被写体とレンズの間に水の層が……」

 

しげをサムネ
「難しく考えすぎ!たしかに水中は水の層があるので被写体に近寄る必要があります。しかし、ピント合わせに関しては陸と同じことをすれば良いんです!なに1つ難しいことはないんです!」

※水の層の話などは次回の記事で解説します。

拓サムネ
「陸と同じにってどういうこと?」

 

しげをサムネ
「文字通り陸で写真を撮る時と同じようにするだけです!
そもそも写真がぼんやりしてしまう理由から考えていきましょう!理由は以下の3つのどれかに集約されます。」

写真がぼんやりする3つの理由

  1. 被写体自体が動くため被写体がブレる
  2. 自分が動いてしまい手ブレが起きる
  3. ピントが被写体ではなく違うところに合っている

動かない被写体を狙おう!

拓サムネ
「いや、写真がぼんやりする理由は、わかるんだよ。
普通に陸と同じように撮ってるつもりだけど、なんか水中だとダメなんだよな。」

 

しげをサムネ
「じゃあ、この動く5円玉をスマホで撮ってみてください。」

拓サムネ
「なんか催眠術師みたいな小道具だな。簡単でしょ!」

拓サムネ
「あっあれ……ピントが合ったと思ったころには5円玉がいなくなってたり、ブレてる。」

 

しげをサムネ
「そうなんですよ!陸でも動く被写体を撮るのは難しいんです!水中ではどうですか?動きの速い魚ばかり狙っていませんか?クマノミなんかも意外と素早く動きますよね。」

拓サムネ
「でも、そしたら動く被写体、ベラとかは撮れないってこと?」

 

しげをサムネ
「もちろん、上達すれば動く被写体にも簡単にピントが合わせられるようになりますが、最初は動かない被写体から練習する方が良いですね!」

 

拓サムネ
「確かに盲点だったわ!カエルアンコウとか動かない生き物撮りやすいよね。
そして、良かった。ホントに催眠術とか言い出したら、どうしようかと思った。」

被写体ブレをなくそう!

写真がぶれる原因には2つ理由があります。
まず手ブレとは、写真を撮るときに撮影者が動いたせいでブレてしまう現象です。
他にも写真がブレる原因として、撮ろうとしているモノが動いてしまう被写体ブレがあります。今回は被写体ブレを防ぐために、まずは動かない被写体(ウミウシなど)で練習をしていきましょう!

水中写真は姿勢が命!

 

しげをサムネ
「ちなみに今、スマホで写真を撮っていた時に、どんな姿勢で撮っていましたか?」

拓サムネ
「どうって?両手でスマホを支えて……」

しげをサムネ
「そうですよね!陸ではみなさん地に足付けて両手でカメラを固定してブレないように写真を撮ります。水中ではどうでしょう?」

拓サムネ
あっ、意外と中性浮力の状態で写真撮っちゃってるかも

しげをサムネ
「さすが!中性浮力はめちゃくちゃ完璧だ。でも数センチ単位のズレは生じてきますよね?これがピントの合わない原因になります。つまり、カメラが動かないように固定することが1番大事なんですね!」

拓サムネ
カメラを固定する!?

 

しげをサムネ
そのカメラを固定するためには、体を固定する。体を固定するには写真を撮るときのポジション、姿勢が非常に大事!つまり”水中写真は姿勢が命”となるわけです。」


解説しましょう!
水中写真で1番最初のステップは水中での写真を撮る姿勢をマスターすることです。

水中は陸上よりも暗い環境なため、カメラのシャッター速度が遅くなります。そのため被写体がブレやすくなります。

また暗いのでカメラピントを合わせる能力が落ちます。(理由は後述します)

ピンボケやブレを起こさないためには、まずはカメラを動かないように固定しましょう!こんな感じで中性浮力で写真を撮ろうとするのはNG!

もちろんダイビングがめちゃくちゃ上手な方は良いのですが、大体の人は中性浮力を撮ろうとして足を動かし逆に砂を舞わせてしまいます。

しっかり着底して脇を締めます。
これが水中で写真を撮るときの基本の姿勢になります。

この時、呼吸で体が上下に揺れないように、BCの空気はしっかり抜いてどっしりと構えましょう。
個人的には水中写真を撮るときは息を吐いた状態で呼吸を止めるのはアリかなと思います。

これで、だいぶ体が固定出来ましたね。
ここまでは、だれでも教えてくれるので、みなさんも知っているかもしれませんが、次からがコツです!

肘を使って三脚を作る!

特に砂地のハゼの写真を撮る際に有効です。
両肘とカメラを使って三角形を作るようにしてカメラを固定します。
こうすることによって、肘が砂地から離れなければカメラが動くこともありません。

僕も1眼で写真を撮るときは必ず肘三脚を使っています。

それでもブレるならカメラを置いちゃいましょう!

カメラを直接地面に押し付けてしまえばカメラは確実に固定されます。
この時、直接砂地や岩の上にカメラを置くと傷ついてしまうので写真のように左手を台のようにしてカメラを固定しましょう。

右手はカメラを左手に押し付けるように固定すればカメラが動くことはありません。この方法めちゃくちゃ使えるので、ぜひ試してみてください!

ピントは点ではなく、面で考えろ!

拓サムネ
「なんか、ここまで聞いたら簡単に撮れそうな気がしてきたな!難しいことなんて1つもないもんな!」

 

しげをサムネ
「そうなんですよ。①動かない被写体を選んで②カメラを固定するだけで、写真はだいぶ変わります!」

 

拓サムネ
「早速、撮りに大瀬行ってみようか!」

しげをサムネ
「ちょっと待って下さい!ここまでブレが起きない理由は教えましたがピントの合わせ方については、まだ何も教えてませんよ~」

 

拓サムネ
「ピントって半押ししてピントあったらシャッターを切るだけじゃない!?」

半押しとは!?

被写体にピントを合わせる際にシャッターを軽く押すこと(つまり半分押すこと)です。半押しなしにピントの合った写真は撮れません。TG5だと半押しすると画面中央の枠が赤色から緑色に変わりピントが合ったことを知らせてくれます。
スマホで言うと画面をタッチしてピントを合わせるのと同じことですね

しげをサムネ
「もちろん、そうなんです!ただ、ピントが合っている状態とはどういうことか、わかりますか?」

 

拓サムネ
「まあ、要するに距離だよな。被写体とカメラの距離を決めるってことだろ!」

 

しげをサムネ
「そうです!ピントが合っている状態とは、被写体とカメラの距離を決めるということです!この距離だったら画面のどこでもピントが合っていますよという状態です。」

この赤い矢印が半押しをしてピントを合わせた距離です。今回はピントのあう距離がカエルアンコウの目の部分にきているのバッチリピントが合っている状態というわけです。

拓サムネ
「そうか!ピントは点で捉えるというイメージじゃなくて面で考えるべきなんだな!

 

しげをサムネ
「あっ……今、言おうとしてたのに。」

 

拓サムネ
「じゃあ、ピントが合っていない状態とは、こういうことだろ!」

しげをサムネ
「そう!この面の部分が被写体の目のラインではなく、尻尾や後ろの背景に来てしまっている状態がピンボケになります。
このピントを面で考えるという感覚がすごい大事なんです!

 

拓サムネ
「あれ?ピントを距離や面で考えるという感覚はわかったけど……
根本は解決してないよな。なぜピントが合わないなんてことあるんだろう」

 

しげをサムネ
「はい!ピントが合わないには2つの理由があります。
①そもそもカメラのピントが合わないくらい被写体に寄りすぎている。
②何らかの原因でカメラが被写体を認識しづらい状態にある。」

 

拓サムネ
「被写体に寄りすぎている?」

 

最短撮影距離を知ろう!

 

しげをサムネ
「順番に①の理由から説明していきましょう。下の図を見てください。」

このようにカメラには最短撮影距離といって、ピントが合う面の最短距離が決まっています。そのため最短撮影距離より近いところまで被写体に寄ってしまうと、何度半押しを繰り返してもピントが合うことはまずありません。今回使っているTGシリーズでは顕微鏡モードという、どんなに寄っても大丈夫なモードもありますが、普通の水中マクロで取っている場合を想定して解説していきます。

 

しげをサムネ
「せっかく、なので拓さんの持ってるTG4の最短撮影距離も調べてみましょう!」

 

拓サムネ
「おっおう!」

まずは普通に撮ります。この距離ではピントが合います。
ちなみにピントが合ってる状態はこんな感じに枠が緑になりピピッと反応します。

次は思いっきり寄ってみます。

ここまで寄るとピントが合わなくなります。
ここから徐々に引いていってピントが合うようになったところが最短焦点距離になります。

TG4の水中マクロモードだと、この距離ですね!
この距離以上に近づいて写真を撮ると絶対にピンとは合わないってことですね。

モードやズーム、もちろんカメラによって全然最短撮影距離は違うので調べてみると良いと思います。

 

しげをサムネ
「ちなみに近づける距離は決まってますが離れるぶんには、どこまでも離れてもピントは合いますよ。あまり離れることはないと思いますが。」

 

ピント合わせには明るさとコントラストを!

 

拓サムネ
「ちょっと疲れてきたな…..」

 

しげをサムネ
「これが最後ですので、あと少し頑張ってください。
ところで拓さん、本は読みますか?」

 

拓サムネ
「結構、読むかな!特にWEB周りや教える事の最新の本は大体読んでるかも。」

 

しげをサムネ
「じゃあ、暗いところと明るいところどっちが読みやすいですか?」

 

拓サムネ
「そりゃあ、明るいところだろ!」

 

しげをサムネ
「カメラも一緒なんです!カメラはオートフォーカスと言って被写体を認識してピントを合わせくれます。当然、人間の目と一緒で明るいところの方がピントを合わせやすいです。」

 

拓サムネ
「確かに!じゃあ水中ライトを当てて照らしてあげれば明るくなってピント合わせは楽になるな。」

 

しげをサムネ
「そうですね。もちろん水中ライトを当てて光量を足すというのもアリです!
もしくは、そもそも太陽が高い位置にある昼に撮るとか、光の入りやすい浅場で撮るのも良いですね。」

 

しげをサムネ
「残念ながら、こんな感じに被写体に覆いかぶさって写真を撮ってしまうと被写体に影をつくってしまうのでNGです。」

 

拓サムネ
そうかそうか!光が大事なわけだな!確かに写真やってる人ってライトとかストロボにこだわってるもんな」

 

しげをサムネ
「まあ、それはまた別の理由もあるんですが、また今度説明しますね。
次にピント合わせを楽にしてくれるのが被写体と背景の距離感(コントラストも)です。」

 

拓サムネ
「被写体と背景の距離感!?」

しげをサムネ
「上の図のようにカエルアンコウと岩が非常に近いとします。
カメラはカエルアンコウと岩の区別は付かないので、どっちにピントを合わせて良いのかわからなくなります。では、下の図はどうでしょう?」

しげをサムネ
「カメラの角度を変えると、背景が岩ではなく海になります。そうするとゴチャゴチャした背景ではなく、背景は海になりますのでカメラにも撮りたいのは手前のカエルアンコウなんだなとすぐ認識できるわけです。」

 

拓サムネ
「しかも背景が海で青い方が写真的にもキレイそうだね!」

 

しげをサムネ
「この被写体と背景の距離感を考えることは、今後ボケた写真なんかを撮りたい時も大事になるのでよく覚えておいてくださいね!」

まとめ

この記事では水中カメラをはじめる第1歩!
ピント合わせに関する内容でした。もしかしたら読んでくれた人には簡単すぎたかもしれませんね。
徐々にレベルアップした内容になっていきますので、ご期待を!

ここで一旦、ピントを合わせるための方法を復習しておきましょう!

復習

  1. まずは動かない被写体から練習しよう!
    →被写体ブレを防ぐため。
  2. 水中写真は姿勢が命!
    →しっかり体を安定させ、カメラを固定し手ぶれを防ぐため。
  3. ピントは点ではなく面で考えろ!
    →今後、ずっと大事な考え方になります。
  4. ピント合わせは明るさとコントラストが大事!
    →カメラが被写体を認識しやすいように。

ぜひ、みなさんも一緒にステップアップして良い写真撮ってきましょう!

次回は”生物へのアプローチの仕方”や”シャープな水中写真”を撮るためのスキルを紹介していきます!こうご期待!

 


 

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茂野優太

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Under Water Creator。 1991年、神奈川県生まれ。 海・ダイビングの魅力を写真、映像、文章、ガイドなど、多様なアプローチで発信する。 伊...

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