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デコ(DECO)ってなんだ!?

基礎知識

デコと聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?

おでこを思い浮かべる人が多いでしょうか。
サッカーが好きな方は、往年の名選手、デコ選手を思い浮かべるかもしれませんね。

デコる、と動詞なら、携帯電話にラインストーンなどでデコレーションすることを思い浮かべるかもしれません。
最近はあまり見かけなくなりましたが、ガラケー時代は携帯をデコってる人が沢山いましたよね。

もちろん今回ご紹介する「デコ」や「デコる」は、違う意味で用いられる言葉です。
ダイビングで「デコる」と言うときは、アルファベットでDECOです。

デコ(DECO)とは

DECOというのは、Decompression=減圧の最初の4文字を取った略語です。

通常のダイビングは無限圧潜水と言って、減圧停止不要のダイビングです。
そして、この無限圧潜水で許される潜水時間を逸脱してしまい、減圧停止が必要になってしまった状態の事をデコ、と呼びます。

現在はダイブコンピューターを使用してダイビングを行うのが一般的ですが、ダイブコンピューターを使用している時に、NDLが0分となる、つまり無限圧潜水限界時間を超えてしまうと「DECO」と表示されます。

ダイブコンピューターの小さな画面に表示する都合から「DECO」の4文字に略されたものと推測されますが、ここからNDLが0分となることや、ダイブコンピューターが減圧停止の指示を出すことを指して「デコ(DECO)」と表現される様になりました。

会話の中では「デコる」「デコった」「デコが出た」などと使用されますが、ノンダイバーがそこだけ聞くとデコレーションやおでこのことと勘違いしてしまいそうですよね。(笑)

デコ(DECO)が出たらどうする?

ここまででお分かりの通り、デコが出ているときというのは、基本的には良くない状態です。
ですが、それだけでむやみに焦ってしまうことも良くありません。 

NDLが残り0分となったとき、ダイブコンピューターには「DECO」の表示と共に「●m ▲▲min」の様に水深と時間が表示されます。
つまり、その指示に従って減圧停止を行うことで減圧症のリスクを下げることが可能です。 

ただし、過度に信頼はしないでくださいね。
この減圧停止はあくまで簡易的なもの。
通常のダイビングに比べて減圧症のリスクは非常に高い状態であることには変わり有りません。 

NAUIダイブテーブルPADIダイブプラナーの使い方の際に少しだけ触れましたが、ダイブコンピューターの普及で安全性は飛躍的に改善されたはずなのに、減圧症患者は増えてしまっているという事実があります。

これは、

DECOが出なければ絶対に大丈夫
DECOが出てもダイコンの指示通りに上がってくれば大丈夫

という誤った認識が大きな原因と考えられています。

減圧症の研究はまだまだ途上段階。
ダイブコンピューターが示す無限圧限界時間(NDL=DECO表示までの残り時間)を境にハッキリと発症するかどうかが分かれるものではありません。

DECOまでの残り時間が短ければ短いほど、減圧症発症のリスクは確実に高まっています。
水深にもよるので一概には言えませんが、目安としては最低でも残り10分程度の余裕は残すように心がけましょう。

この目安は、水深が浅ければ浅いほど、NDLは余裕を持っておいた方が良いのですが、それについては別の機会にご説明したいと思います。
個人的には、水深20m程度であればNDL15分程度15m程度であれば20分程度は残すようにしています。

さいごに

当たり前ですが基本的にデコは出しちゃダメですよ!!

時々、 

「いやー深かったからさーデコっちゃったよー」

なんて発言を耳にすることがあります。
なぜか「危ないことをしても大丈夫な上級者な自分」という雰囲気と共に……。

上級者どころか自分の管理能力の無さを露呈しているだけですよ!
恥ずかしいのでやめましょうね。 

似たような形で「3mで減圧する指示はまだ大丈夫」「9mの減圧指示出しちゃったから、さすがに安全停止長くしといた」など1歩進んだ(?)発言も耳にしたこともありますが、どれも一緒です。
※ダイブコンピューターの減圧指示は減圧不要限界を逸脱した時間に応じて3m刻みの減圧停止指示が出る場合が多い。

一方で、こんな質問をされたこともあります。

ダイブコンピューター片手に、
「この前ダイコンにでこって出たんですけど、でこってなんですかー?」

これではもう、ダイブコンピューターを持っている意味がありません……。(笑)
デコの意味もわからないままデコる様な潜り方をする危険性たるや……。
無事で何より、と思ってしまいます。

ただ、普段のダイビングでは表示されない画面なので、よっぽど説明書を読み込んでいない限り、なんのことだかわからない、となってしまうことも仕方ない面があるかもしれません。

デコを出さないようにダイビングを行うことが大前提ですが、不測の事態でデコが出てしまったときに正しく対処できるよう、自分のダイブコンピューターはデコの際にどの様に指示を表示してくれるかを確認しておきましょうね!

また、デコるほどに潜っていたい、文字通りダイビングの深みにハマってしまっている方は、我流や口伝のなんちゃって減圧ではなく、テクニカルダイビングの講習を受けることをおすすめします。
正しい理論と正しい減圧停止の方法を身につければ、より安全かつ楽しくダイビングを続けることができるようになりますよ!

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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