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【大発見】ETワーム(ボウセキウロコムシ科の仲間)、黄金崎で見つけちゃったよ!!みんなで探そう~

ETワーム
海からのニュース

小田原エリアのダイビングスポットで発見され、観察が叶ったボウセキウロコムシ科Eupolyodontes属の仲間。
ゴカイの研究者・自見直人先生によると、新種の可能性もあるとのこと。

しかも自見先生は、「本体の姿こそ捉えたことが無いものの、西伊豆・黄金崎と東伊豆・富戸でこの生物の巣と思われる物や、その巣の中にネンブツダイが引き込まれているところを目撃したことがある」とも教えてくれました。

黄金崎と富戸だと……!?
僕にとっても馴染みのあるダイビングスポットじゃないか。。。

新種になるかもしれない生物を自分の手で見つけてみたい。
そんな野望を秘めながら、僕は6月30日に黄金崎へと向かいました。

この生物、正確にはボウセキウロコムシ科Eupolyodontes属の仲間という表現になりますが、なんだかどこかで見たことのある様な見た目だと思いませんか?

そう、E.T.そっくりですよね!?

最初に写真を見た時には真っ先にE.T.を思い浮かべましたし、実際に海外ではETワームと呼ばれることもある様です。
ということで、ここからはこの生き物の愛称として、ETワームと呼びたいと思います!

さて、どんな作戦でいくか

まず、水深は13〜14mあたりに賭けます。

なぜかというと、小田原でETワームを撮影できた際と同じ水深であり、自見先生が黄金崎でこの生物の痕跡を目にしたときもそれぐらいの水深だったと聞いたからです。

都合が良いことに黄金崎ビーチは起伏が少ないため、一度水深を決めたらそこからまっすぐ真沖に泳げば、同じ水深を辿ることができます。

黄金崎ビーチ水中マップ(等深線は細谷追記)
黄金崎ビーチ水中マップ(等深線は細谷追記)

さて、次なる作戦を考えなくては。

小田原エリアで観察したのは夜でした。
加えて、自見先生も「おそらく夜行性だろう」とのことでしたが、僕が潜れるのは昼間……。
本体そのものを見つけることは無理でしょう。

夜潜れるとすれば、明日だ。
(黄金崎は平日ナイトダイビングNGです。この日は金曜日でした)

今日のところは、巣を探す作戦で行くしかないーー。
僕は抑えきれない期待を胸に、海に入りました。

手がかりほぼなし!でも探す!!

砂地に顔を張り付けて巣を探す。

具体的には、砂地でETワームが紡いだ糸を探していく。
砂の中から針を探すような、もとい、砂の中から糸を探す作業です。

ここで気づきます。
よく見ると、砂にはゴカイのものと思われる穴が沢山あいている。
しらみつぶしに砂をはらってみよう。

一般的なゴカイが掘った穴は、砂をはらっても何も現れないか、粘液か何かで少し固まっているだけ。
けれど、ETワームであれば、モフモフとした巣が現れるはず。
ここがETワームと他のゴカイとの大きな違いです。

そう決心し、ひたすらゴカイの穴の砂をはらっていきます。
今までゴカイの穴なんてあまり意識したことがありませんでしたが、こうしてよくよく見てみると、無数にある。

完全なノーヒントよりはマシですが、それにしたって気の遠くなるような作業。
そもそもこの水深であの生物が現れる保障なんてどこにもない。
ましてや、仮にこの水深を好むのだとしても、今この瞬間に黄金崎に生息しているかどうかなんてわからない。

そんな雲をつかむ様な状況の中、探すこと20分。
砂を払うという単純作業に脳みそが空っぽになりはじめた程度の時、事態は急展開を迎えました。

サッ……
サッ……
サッ……

もう50ヶ所ほどの穴の砂を払ったかな。。。

サッ……
サッ……
サッ……

そしてまた、無心で次の穴へ。

サッ……
サッ……
サッ……

サッ……
サッ…

ここで我に返ります。

これはっ!

昼間という事で本体の姿こそありませんが、ETワームの巣に見えるものを発見。
見覚えのあるモフモフです。

肉眼で見ても、写真を撮って拡大してみても、小田原のものと同じ様に、淡い青色がキラキラと光っています。
しかし、形が綺麗過ぎるというか、小田原で見た物はもっとフサフサしていたというか、なんとなく質感が異なる様な気もします。

小田原エリアで撮影した写真

本当にETワームの巣なのだろうか?
一抹の不安を覚えながらも、翌日ナイトダイビングで観察することに備えて目印をつけます。

しかし、ちょっとした目印で誰にも気づかれず、蹴られて無くなってしまっては一大事。
かといって目立つ目印で注目され過ぎるのも避けたい。
ここは、ダイバーが自然と近づかなくなるような仕掛けが欲しい……。

そうだ。
黄金崎と言えばネジリンボウと言うほど、黄金崎はネジリンボウが多く観察できる場所。
ネジリンボウは、不用意に近づくと引っ込んでしまうため、巣の周囲を貝殻などで円形に囲ってマーキングをすることが多いんです。

ネジリンボウの巣穴に見せかけよう。

まるで中央にネジリンボウの巣穴があるかの様に、周囲を綺麗に貝殻と木の枝で囲みました。

そして、位置を把握しながらエキジットしました。

翌日は土曜日。
ナイトダイビングができる!
一晩の我慢です。

こうして後ろ髪を引かれながらも黄金崎を後にしました。

ETワームの巣なのか

さっそくこの日に撮影した巣と思われるものの写真を自見先生にお送りしました。
すると、ほどなくして自見先生から返信が。

ボウセキウロコムシの棲管だと思いますよ!
紡績腺から出た糸は構造色というか光沢があるのが特徴的です。

ビンゴ。
これは明日の夜、絶対にこの目でその姿を捉えたい!
そんな決意と共に翌日を迎えました。

ナイトダイビングで狙う

翌日、黄金崎とは相性が悪い西寄りの風が吹く予報でしたが、そこまで大荒れにはならないだろうという予想でした。
しかし、予報よりも強い風が長い時間吹いてしまい、予想に反して昼頃から荒れ始めます。

思えば小田原エリアで観察した日も海は荒れていました。

黄金崎ビーチにはエントリー・エキジット用のスロープが東西2ヶ所にあり、東側のスロープは荒れても比較的入りやすいスロープです。
一方で、メインのダイビングエリアは西側なので、東側のスロープからだと距離が出てしまいます。

普段であれば残念な話なのですが、この日は違います。
これは、あの場所に訪れるダイバーが減る。
つまり、ETワームを蹴られてしまう確率も減るーー。

ETワームが僕の事を呼んでいる様に思えてなりません。

ただ、ここでひとつ懸念が。
このまま荒れた状態が続いたら、そもそもナイトダイビングができないじゃないか……。

しかし、そんな心配を吹き飛ばしてくれるかのごとく、夜には昼間の大荒れが嘘のように穏やかな海に。
やっぱりETワームが僕の事を呼んでいる。
そう思いながらナイトダイビングに臨みます。

期待を胸に、19時の日没と共にエントリー。
エントリー後、一目散に前日発見した巣を訪れます。
さぁ、あのかわいらしい大きな目が……、

いない。

こうなったら我慢比べです。
周囲はどんどん暗くなるため、暗くなれば姿を現わしてくれるでしょう。

ここからは、1歩も動くことなくひたすら同じ姿勢で待ち続けます。

待つこと5分。

パフッ。

動きがありました。
小田原でも目にしたような動きです。

姿こそ未だ見えないものの、少なくとも巣がカラということは無さそうです。
小田原で観察した際には、引っ込んだ後すぐに顔を現わしたので、いよいよ登場でしょうか。

と思ったのですが、なかなか姿を現わしません。

待つことさらに20分。

モゾッ。

出るか!?

出ない。

……。

粘り強く待とうとしていた矢先……。

バッ!!

何かが激しく動きました。
どうやらすぐ近くでメガネウオが捕食のために砂から飛び出した様です。

普段ならメガネウオも会えると十分嬉しい生き物ですが、今日は違います。
粘り強くETワームの姿が現れるのを待ちます。

けれど。

出ず。

非常に悔しい思いではありましたが、水深14mに滞在し続けるというのは意外にも窒素が溜まるもの。
ゴカイを探して減圧症になっただなんて笑えないので、泣く泣く諦めることにしました。

帰り道ではサカタザメが出現。
しかし、頭の中がETワームのことでいっぱいの僕は、驚きもせず素通りしていました。
(でもちゃっかり証拠写真は撮りました。笑)

エキジット後に黄金崎のスタッフとも「ホントにいたの!?」「じゃあこれまで観察されてた、砂に引きづり込まれてる魚とかはやっぱりこいつの仕業なのかもね」とひと盛り上がり。
そして、ETワームの場所を共有しました。

昼間は姿を表さないだろうけれども、目印が無事かどうかの確認だけしておいてもらおう。
そんな腹づもりでした。

スケジュール的に、次のチャンスがいつ訪れるかわからなかったのでとても悔しかったのですが、帰路につきました。

まさかの急展開。くやしーーーー !!

それからというもの、頭の中はETワームのことでいっぱいの僕は、どうにか翌週もナイトダイビングに入れるようスケジュールを調整しました。

次こそ、この目でETワームを確認したいーー。
僕の思いは募るばかりです。

と、そこに黄金崎のスタッフから一通のメッセージが。

やっと見に行けました〜!

目印の無事を伝える連絡かと思いきや……、

えっ!
姿を見せてる!
平日はナイトダイビングできないはずなのに……。

よくよく話を聞いてみると午前10時頃だとか。

日中は姿を表さないのでは!?
姿を表したのだとしても、明るい時には目が閉じた様になっているのでは!?

ますますこの生物の生態が気になります。

それにしても、先に姿を写真に納められるとは……。
巣を発見したあの日、帰り際に黄金崎のスタッフにETワームの場所を共有したのは、昼間は姿を表さないだろうけれども、目印が無事かどうかの確認だけしておいてもらおう。
そして、自分が最初に姿を捉えようという腹づもりだったのに……。

くーーっ、悔しい!!

そして、ハンカチを噛みながら向かった黄金崎。
僕も無事、19時半頃にETワーム本体の姿を観察することができました。

でも、最初に巣を見つけたのは僕です。(真顔)
後から訪れることができるように印をしたのも、他の目印との位置関係を詳しく説明したのも僕です。

こうなったら、何としても捕食の瞬間を誰よりも早く動画に納めることを次の目標にしようと思います!

細谷的ETワーム探しのポイント

後日、大瀬崎の湾内でも探してみましたが、見つけることはできませんでした。

改めて大瀬崎・湾内の砂地で目を凝らしてみると、黄金崎に比べて(ETワーム以外の)ゴカイの物と思われる穴が少ないことに気が付きました。
また、砂質は黒っぽく、粒径もやや細かく泥に近い砂です。

どちらかというと、茶色っぽい砂で、サラサラした砂質のところを好むのかもしれませんね。

未記載種の可能性が高く、生息環境に関してはまだ何も分かっていない生き物なので、確定的なことはひとつも言えませんが、これまでに見つかった条件の共通点と、探し方をまとめてみます。

  • 水深は13~14m
  • 粒径1mm程度、茶色っぽいサラサラした砂質の砂地
  • 普段はあまりダイバーが立ち止まらない場所
  • 他のゴカイのものと思われる穴が多いところ
  • とにかく顔を地面に近づける
  • 巣が埋まっている場合も、地中深くではないので、軽く砂を払っても巣が無ければ次の穴へ

この先、どんな場所で見つかったとしても、それぞれが非常に貴重な情報となります!
是非みなさんも、探してみてくださいね。

見つけた際には是非、X(Twitter)やLINEで教えて頂けると嬉しいです!

X(Twitter)では「#ETワーム発見」をつけて下さいね!

LINEでのご連絡はこちらから!

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細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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