父島のダイビングスポット情報
手付かずの大自然が広がる、小笠原諸島・父島。
東洋のガラパゴスと称されるほど稀有な生物相を誇る小笠原諸島の中心的な島です。
その水中はといえば、桁違いの迫力を誇ります。
躍動感あふれる魚群から、ダイナミックな地形、サンゴ広がる癒しの光景、他のダイビングスポットではなかなかお目にかかれないレアものまで。
魚の群れの多さや観察できる生物の多様さは、折り紙付き!
イルカやクジラとも出会える、父島のダイビングスポット情報をその魅力とともにご紹介します。
ダイビングの基本情報から、季節ごとの見どころをまとめたシーズナリティ、ダイビングポイント紹介まで、海の情報満載でお届け!
目次
父島の概要
東京港・竹芝桟橋から船で約24時間、約1000km離れた太平洋上に浮かぶ小笠原諸島。
30あまりの島々が集い、そのうち父島と母島に人々が居住しています。
小笠原諸島は形成以来大陸と繋がったことがない海洋島のため、島独自の進化を遂げた多様な動植物が生息しています。
その貴重な生態系から「東洋のガラパゴス」とも称され、2011年には世界自然遺産にも登録されました。
父島では、ダイビング以外にも大自然が満喫できるアクティビティを豊富に体験できます。
固有種の動植物を観察できるトレッキング、満点の星空を堪能する星空ツアー、1日に100人しか上陸することができない無人島・南島での海水浴など。
唯一無二の大自然を堪能してみてはいかがでしょうか。
父島ダイビング基本情報
紺碧に透き通る小笠原の海は、通称「ボニンブルー」と呼ばれています。他では見られない、とにかく深い青色が特徴です。
ちなみにボニンというのは小笠原諸島の英語圏での呼び名で、かつて小笠原諸島が無人島(ぶにんじま)と呼ばれていたものが訛って、ボニンに変化したと言われています。
小笠原諸島でのダイビングは、大きく父島周辺、母島周辺、ケータ(聟島列島)周辺の3つのダイビングスポットに分けられます。
今回は、そのうち、父島周辺のダイビングポイントをご紹介します。
父島周辺には約50以上のダイビングポイントが点在していて、ダイナミックにドリフトダイビングを楽しむダイビングポイントから、初心者でも安心して楽しめる穏やかなポイントもあり、レベルを問わずに満足いく楽しみ方ができます。
イソマグロやウシバナトビエイなどの大物に出会える「閂(かんぬき)ロック・HAZAMA」、巨大な根がそびえ立ちウメイロモドキにカンパチがアタックする迫力のシーンが見られる「ドブ磯」、中層にカンパチやカスミアジ、根まわりにユウゼンやヨスジフエダイが群れる「西島北、西島東磯」など、躍動的なシーンに出会えるダイビングポイントが揃い踏み。
また、絶滅危惧種のシロワニに出会えるダイビングポイントやエダサンゴの群生や白い砂地が広がる癒しのダイビングポイントもあるほか、沈船を潜るレックダイビングも楽しめます。
小笠原諸島はダイビングポイントまでの景色も見どころの一つ。
一年を通して、イルカが観察できる他、個性的な風貌の海鳥・カツオドリが飛び交っています。
また、海底火山が隆起してできた島のため、海から眺める島の眺めも迫力があります。
特に見どころは、父島南部に連なる海食崖。
父島南端にある千尋岩は、高さ200m以上の断崖の一部が赤い岩肌になっており、海側から見るとハートの形に見えることから、ハートロックと呼ばれています。
また、黒潮の流路から外れているため、夏場でも水温は23度〜28度とそこまで高くありません。
ダイビングのシーズナリティ
父島の海の魅力を春夏秋冬に分けて、ご紹介します。
春の父島
日本の固有種と言われる、主に小笠原諸島から八丈島にかけて観察されるユウゼンが、産卵前の捕食行動のため群れる「ユウゼン玉」が多く見られます。
通常はペアで行動することが多いユウゼンですが、30〜50匹程度の群れが見られ、多い時には100匹を越えることも!
夏の父島
7月から9月上旬にかけて、父島の約50km北に位置するケータ列島(聟島)への遠征が可能になります。
ケータ列島の最南端、嫁島にあるマグロ穴は多くのダイバーが憧れるダイビングポイント。
その名の通り、多数のイソマグロを見ることができます。
体長1mオーバーの巨大イソマグロが、多い時にはなんと200匹ほどの群れをなしてることも!
また、小笠原諸島では季節問わずイルカに会うことができますが、特に夏場はミナミハンドウイルカやハシナガイルカとの遭遇率が上がります。
水面休息中にイルカの群れに遭遇することもあるので、スノーケルは忘れないようにしましょう。
秋の父島
水温が1年で最も高くなり、水中が最も快適に過ごせる時期です。
水温だけでなく、透明度も抜群の時期!
真っ白な砂地とボニンブルーのコントラストが一層美しく、癒しのダイビングを体験できるでしょう。
閂ロックでは、時にウシバナトビエイの群れや、オグロメジロザメの群れが現れます。
砂地を悠々と泳ぎ回る姿は、他では見られない迫力があります。
冬の父島
ザトウクジラの季節が到来!
海況が安定しない冬場は思うように外海に出ることができず、島影に隠れたポイントでのダイビングが多くなりますが、冬だからこその楽しみ方が多いのも小笠原の魅力といえるでしょう。
水の中には絶えることなくクジラの鳴き声が響き、水面休息中にホエールウォッチングを楽しめるチャンスも多々あります。
とっても運が良ければ水中でクジラと遭遇できることも!?
ただし、クジラの出現に合わせたダイビングや、ホエールスイム等は一切禁止されています。
自然との共存を考えながら遊ぶことができるのも、小笠原の良いところですね。
ダイビングポイント紹介
父島の代表的なダイビングポイントを3つご紹介します。
閂(かんぬき)ロック・HAZAMA
島自体が天然記念物に指定されている南島の周辺にあるダイビングポイントです。
島と島の間にあるダイビングポイントのため流れが早く、潮、海況、ダイバーのレベルが揃わないと行くことができません。
白い砂地が特徴で、イソマグロやイルカに出会う確率が高く、なかでも秋頃によく見られるウシバナトビエイの群れは圧巻の一言。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約20分。ドリフトダイビング)
【最大水深】15m
【流れが出た場合】何かに捕まらなくてはならないほどの流れが出ることがある
【ナイトダイビング】×
ドブ磯
父島の東側にあり、父島を代表するダイビングポイント。
水深50mから巨大な2つの根がそびえ立ち、その根の間がクレバスのようになっているダイナミックな地形のポイントです。
このクレバスの間を隠れ家として、多くのイソマグロが生息しています。
周辺にはほとんど根がないため、四方八方からの流れや風の影響を受けやすいのが難点ですが、夏場には吸い込まれるようなボニンブルーが広がります。
冬場は夏と比較すると行きづらくなりますが、ウメイロモドキにカンパチがアタックする迫力の光景を見ることができます。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約20分。ドリフトダイビング)
【最大水深】30m
【流れが出た場合】何かに捕まらなくてはならないほどの流れが出ることがある
【ナイトダイビング】×
西島北、西島東磯
1年を通して潜れる確率の高いダイビングポイント。
初めて小笠原に訪れた方のスキルチェックにも使われる穏やかなダイビングポイントですが、ダイバーのレベルによって潜り方を変えることができます。
穏やかなポイントと言えども、多種多様な生物を観察できるポテンシャルの高いダイビングポイントです。
カンパチやカスミアジ、ナンヨウカイワリなどが列をなして群れる様子や、根の周りで泳ぐユウゼンやヨスジフエダイ、さらにはクジラやマンタ、イルカなどの大物と遭遇することも。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約15分。ドリフトダイビング)
【最大水深】30m
【流れが出た場合】コース取りに影響を与える流れが発生することがある
【ナイトダイビング】×
父島へのアクセス情報
父島へのアクセスは小笠原海運の船に限られています。
竹芝桟橋より定期船の「おがさわら丸」で出港後、24時間で父島の二見港に到着します。
6日に1回のペースで運行されているため、父島へ行く際は、5泊6日以上の期間が必要です。
おがさわら丸の基本的な運行スケジュールは下記です。
1日目の11:00に東京・竹芝桟橋を出発し、2日目の11:00に父島・二見港に到着。
3・4日目は父島に停泊し、5日目の15:00に父島・二見港を出発、6日目の15:00に東京・竹芝桟橋に戻ってきます。
このおがさわら丸が一往復する1サイクルのことを1航海と呼び、2サイクル分滞在する場合は2航海と呼びます。(以降、3航海、4航海と続く)
なお、発着時間は、海況により変動する可能性がありますので、ご注意を。
また、長期休暇や夏季には、増便されます。
おがさわら丸は例年5月、ドック入り(船体整備)のため3週間程度運行を休止します。
代船での運行もありますが、乗船定員等が大きく異なるため、注意が必要です。
スケジュールを立てる際は、まず小笠原海運のHPで運行スケジュールを確認しましょう。
▶小笠原海運(http://www.ogasawarakaiun.co.jp/)
父島の観光情報
小笠原は日本最大のウミガメの繁殖地として知られ、ウミガメの保護を行っている小笠原海洋センターではウミガメと触れ合う体験ができます。
子ガメの可愛さはもちろんですが、間近でみる大人ガメの可愛さに心を射貫かれる人も多いとか。
また、夏限定で、保護活動の一貫として子ガメの放流会が開催されています。生まれたばかりの小さなウミガメが力強く海へ走る様子は、生命の神秘ともいえるような光景です。
▶小笠原海洋センター(https://bonin-ocean.net/)
小笠原で夕日を見るならウェザーステーションへ!
西側の海を一望できる夕日の名所として知られ、夕暮れ時には島民や観光客で賑わいます。
夕日だけでなく、満点の星空や、時期によってはホエールウォッチングも楽しめます。
夜は、ナイトツアーがおすすめです。
満天の星空の下、発光するキノコ・グリーンペペや夜行性の天然記念物・オガサワラオオコウモリを観察しましょう。
父島は、離島と言えどグルメの選択肢が多いのもうれしいところ。
和食なら「茶里亭(ろばた焼き)」や「まんた(居酒屋)」、「波食波食(定食)」。
洋食なら「チャーリーブラウン(鉄板焼き)」、和洋中楽しみたいなら「chara(洋風居酒屋)」と様々なジャンルの飲食店があるので、滞在中は食に困ることはありません。
また、「ハートロックカフェ」や「HALE」などのカフェでゆったり過ごすのもおすすめです。
情報・写真提供:パパスダイビングスタジオ(https://papasds.com/)
写真協力:茂野優太
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