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泥地に光る怪しい影!?【タンザクハゼ】~せいぶつ部~

生物について

タンザクハゼ

学名:Oxymetopon compressus

英名:Robust ribbon-goby

分布:日本では奄美大島、加計麻呂島、沖縄本島、西表島
海外ではタイ、フィリピン、インドネシアなど

生息:潮通しのよい泥地を好み、水深15~40mに生息する

特徴:体高が高く名前の由来にもなる側偏した体が特徴。
タンザクハゼの仲間は、その薄さから英語では
リボンゴビーと言われている。

 

タンザクハゼはどこに住んでるの?

タンザクハゼは、ある程度、潮通しの良い泥地を好みます。

水深は15m~35mと割と深いところに生息しています。

 

ちなみに僕が写真を撮ったのは沖縄本島の金武湾にあるレッドビーチというポイントです!

ちょうど沖縄本島の真ん中あたりのポイントですね。

 

泥地ポイントですが北風に強くて冬も潜れるし、ウミウシも多く楽しめますよ。

 

さて、ここで想像してみてください!

どろどろな泥地のポイントで水深15m以上深いところ・・・

いくら沖縄の海とは言え透明度も10ⅿを余裕で切ってきますね。

 

そうなんです・・・

タンザクハゼのいるポイントは、どこも薄暗く

まるでナイトダイビングをしているような雰囲気(笑)

 

しかも、ちょっとでも着底しようものなら、もはや透明度は0mになるでしょう(笑)

ダイバーにとって、ある意味過酷な状況に彼らは住んでいるのです。

 

タンザクハゼへの道のり!?

上の説明でタンザクハゼがいかに過酷な状況にいるかは、分かっていただけたでしょうか?

今回は実際に、せいぶつ部がレッドビーチでタンザクハゼに出会うまでを紹介していきたいと思います。

 

下の写真がレッドビーチのダイビングポイントです。

 

 

通常のダイビングをするならば、浜からエントリーが普通ですが・・・

タンザクハゼはこの堤防の奥の奥です。

とても岸から潜っていったらエアが持ちません。

ひたすら水面移動をします!

 

下の縮尺を見ると約300mくらい水面移動してますね(笑)

 

そこでエントリーをすると底は18m前後の泥地の広がる

暗くどんよりしたエリアが広がっています。

 

うっすら海底が見え始めるころには、あまりの視界の悪さに方向感覚を失ってしまうことすら・・・

結構怖いので自信がない人はオススメしません。

※帰りはコンパスしか頼りになるものはありません。

 

 

泥地の貴公子タンザクハゼ現る!!

そんな、うす暗い泥地をさまよっていると・・・

急に何かが動き出します!

 

1つ動くと次から次へと動き出しますが、早すぎて良く見えない。

 

よーーーーく目を凝らしてみると

紙ぺらのような薄いものが、こっちを向いているのに気づきます。

 

わかります??

5匹のタンザクハゼが、こっちを見ている光景・・・

写真を見るとわかるように、この薄ぺらさが英名のリボンゴビーやタンザクハゼの名前の由来になっているようです。

うす暗い海底で見ると、まるで幽霊でした(笑)

 

ここで豆知識!

タンザクハゼは基本的にはペア、もしくは単独で巣穴上をホバリングしています。ただし冬から春の時期にかけては写真のように複数で群れになって泳いでいることも多いらしい。非常に憶病で危険を感じると巣穴に逃げ込む。

 

さて、タンザクハゼですが・・・

近寄るのが非常に難しい。

フラッシュを使ったり、呼吸の泡ですぐ、引っ込んでしまいます。

しかも暗いのでオートフォーカスも効きません・・・

 

あれこれ悩んでいると、アレ近寄れた!(笑)

よく見るとこどもですね。

比較的、幼魚の方が近寄っても逃げない傾向があるのかもしれません。

 

格闘すること15分くらい。

だんだんタンザクハゼと呼吸も合うようになり、

なんとかペアの写真が撮れました(笑)

 

はたして、ここまでして見に行く価値はあるのだろうか?

そんな疑問を感じつつ・・・

水面移動したのと同じ距離を泳いで帰っていくのでした(笑)

 

今週のテーマ【泥地の魚】

それでは今週1週間の投稿を振り返っていきたいと思います。

写真は全部レッドビーチで撮れたものですね!

【シマオリハゼ

透明感ある乳白色の体が特徴!
内湾性で砂泥から湾奥の泥地まで生息しています。
写真は沖縄本島の泥地ポイント、レッドビーチで撮りました!!
海外では泥地でのダイビングをマックダイビングと呼び非常に人気があります。
楽しいですが、完璧な中世浮力が求められます!!#せいぶつ部

 

【クロオビハゼ】

ダイバー人気のハゴロモハゼの親戚です!
西表島では黄色くなる個体も見つかっているそうです。
体長は10センチとハゼにしては大きくなりますね。
ハゼが動いただけで泥が舞っているのがわかりますか?
こんなところでフィンキックしたらと考えるだけで恐ろしい(笑)#せいぶつ部

 

【ダイオウタテジマウミウシ】

砂に潜るウミウシ!
昼間は砂や泥の中に隠れていますが、夜になると出てきます。
僕は昼間に見ましたが透明度3m以下だったので夜と勘違いしたのかな?
似た種にハスエラタテジマウミウシがいますが、触覚の間に黄色い縦線が入るかで区別するようです。#せいぶつ部

 

【タンザクハゼ】

泥地の貴公子!
観察できるポイントは泥地の中でもホントにドロドロのエリア!
着底しよう、いや自分の通る水流だけで泥が舞い上がります。
そんな白くぼわっとした世界に現れるタンザクハゼは輝いて見えます!
ただし、一瞬で消えてしまうので全貌を見るのはすごく大変です。#せいぶつ部

 

【モンハナシャコ】

最強のボクサー!!
繰り出すパンチの速度は時速80キロとも呼ばれる最強の生物です。
絶対手とか出しちゃダメですよ。
その見た目をグロテスクか可愛いと思うかはあなた次第!
モンハナシャコの生態を詳しく知りたい人は!https://goo.gl/CLJQdE#せいぶつ部

 

 

【コモンヤツシハゼ】

青と黄色のモザイク柄がキレイ!!
ヤツシハゼの種類は体色の変化に富みますが、黄色っぽい泥地にいたせいか、すごく黄色の模様が強い子でした。
生息は10ⅿ以浅と浅場に生息します。
意外と近寄れるので観察しやすい子ですね!#せいぶつ部

 

 

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①Twitterにて1日1匹ダイビングで観察できる生物を紹介します。

毎晩11時前後に140字の情報とともに1匹に焦点を当てて生物の情報を流していきます!


 

②毎週水曜日にTwitterの内容を記事にします!

月~日曜までの1週間の投稿をまとめ追加の情報や違った角度から撮った写真、はたまた生物の探し方なんかもまとめて記事にしていきます!

③質問やもっと知りたいという方はTwitterに返信下さい!

140字の情報では伝えきれない情報がたくさん・・・

もっと知りたい方や自分の知ってることと違うなんかは質問頂ければ、水曜日の記事でご回答させて下さい!

はたまた、自分の撮った写真や追加の情報を返信頂いても大丈夫です。

1人だけでは作れないので皆さんドシドシ、コメントお待ちしております。

 

茂野優太

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Under Water Creator。 1991年、神奈川県生まれ。 海・ダイビングの魅力を写真、映像、文章、ガイドなど、多様なアプローチで発信する。 伊...

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