アドバンス(※)を取るとできるようになることのひとつが、水深30mまでダイビングの幅が広がるディープダイビング。
※指導団体によりライセンスの呼び方が違うので、この記事では「アドバンス=水深30mまで潜水可能になる最初のライセンス」とします。
例えば、こんなドデカイ沈船見てみたくないですか?
こういった沈船が見られるのは波の影響を受けづらい深場がほとんどなんです!
ダイバー憧れの存在、アケボノハゼも写真に撮ることができるになりますよ。
ディープダイビングでしか味わえない興奮がそこには待っています!
この記事ではそんなディープダイビングについてまとめました。
水深18mより深いと「ディープダイビング」
ディープダイビングとは、水深18mより深く潜るダイビングのこと。
浅場ではキレイな熱帯魚やサンゴを楽しめますよね。
ディープダイビングができるようになると、ダイビングの楽しみをさらに増やせます!
上にあげた沈船やアケボノハゼの他には、例えば、波の影響を受けやすいソフトコーラルが一面に広がる圧巻の光景が見られることも。
次の項でも紹介するように、ディープダイビングができるとダイビングの幅がぐっと広がります!
アドバンスを取って、ディープダイビングを楽しめるようになりましょう!
目的と魅力
ダイビングの目的は美しい魚や沈船・洞窟などを見ること!
深く潜るのは目的を果たすために必要だからに過ぎません。
(なぜ深く潜ることを目的としてはいけないのかについては次の項で説明しますね)
ディープダイビングの魅力にはこのようなものがあります!
- 深場にしかいないハナダイやハゼなどの美しい生き物が見られる
- 沈船や飛行機などのレックダイビングができる
- 洞窟をくぐり抜けるようなダイナミックな地形を楽しめる
- 潜れるスポットが増える
こうしたダイビングは、ディープダイビングでないとできないというわけではありませんが、エントリーレベルだけでは水深18mより深いところに潜るチャンスは得られません。
しかし、ディープダイビングができるようになればレクリエーションダイビングのほぼ全てに挑戦することができます!
注意点
アドバンスを取得すると水深30mまで潜れるようになります。
しかし、水深が深くなると以下のようなリスクも発生することを覚えておきましょう!
窒素酔い
ディープダイビングでは窒素酔いに注意しないといけません。
窒素酔いとは、空気に含まれる窒素の麻酔作用によってまるでお酒を飲んだときのように頭がぼーっとしたり、急にテンションが上がってしまったりする症状のことをいいます。
水深24mを超えると起き始めることが多いですが、個人差があり、水深40mでもなんともない人も。
ディープダイビングでは体調の変化に特に注意を払いましょう。
窒素酔いは深度を上げれば直ります。もし、自分やバディに症状が現れた場合、ゆっくり浮上しましょうね。
さらに詳しくはこちら↓

減圧症
血中に溶け込んだ窒素が、浮上して周囲の水圧が減少することで泡になり、血管を塞いでしまったり神経を圧迫してしまったりすることで起こるのが減圧症です。
水深が深くなるほど窒素がたくさん溜まるため、ディープダイビングでは特に減圧症対策に気を配る必要があります。
- 深く潜るのは最初だけで徐々に浅くする!
- 深く潜りすぎない!
- 長く潜りすぎない!
この3点に気をつけましょう!
減圧停止なしで潜ることのできる時間(減圧不要限界)の範囲内であってもギリギリまで潜水時間を伸ばすことなく、余裕のあるダイビングを心がけてくださいね。
減圧症状は、気泡が発生した場所によって様々な症状が発生します。
- 関節の痛み
- 筋肉痛
- 手足のしびれ・違和感
- 手足に力が入らない・だるい
- めまい
- 耳鳴り・音が聞こえづらい
- 息切れ・呼吸がしづらい
- 胸が痛む
- 皮膚のかゆみ・発疹
- 頭痛
- 頭がぼーっとする
- 手足がむくむ
- 意識を失う
ほとんどがダイビング後数時間以内に発症しますが、中には3日以上経ってから発症するケースもあります。
これらの症状を感じたらすぐにインストラクターなど周囲の人に声をかけ、可能であれば酸素吸入を受けてください。その後、必ず病院につれていってもらいましょう。
減圧症を発症するかどうかには個人差があり、年齢・体格・激しい運動・ケガや病気・体の水分量・アルコール・水温・呼吸の仕方などによっても変化します。
これら全てをダイブコンピューターが把握することは不可能。なので、自分自身でしっかり体調を管理するようお願いします。
調子に乗って前日に深酒するのはやめましょう!!!!!
減圧症のリスクを少しでも下げるために、ダイビング前にはコップ一杯の水分をとるようにし、フードベストを着るなどして水中でも温かく過ごしましょうね。
減圧症については別記事でも詳しく解説しています。よければ見てみてください。
必要な器材・スキル
必要な器材
ディープダイビングに必要な器材は温かいスーツとダイブコンピューターです。
ディープダイビングでは、強い水圧によってウエットスーツの気泡がつぶされて薄くなるので保温効果が落ちます。
なので、温かいスーツを着るようにしましょう!
地域や季節によりますが、5mmのスーツを着ていれば大きな問題はないと思います。
寒いのが苦手な方はフードベストや厚手のスーツ、ドライスーツがあるといいですね。
ダイブコンピューターは、その水深にあと何分潜っていられるか(減圧不要限界)を正確に教えてくれます。
また、落とし物や器材のトラブルなどにあい、万が一、減圧不要限界を超えてしまった際には減圧停止の手順を教えてくれます。
一方、ダイブコンピューターは減圧症を増加させている、と言われていることに気をつけてください!
これはなぜかと言うと、ダイブコンピューターが普及し、減圧不要限界が細かく分かるようになったためにギリギリまでダイビングをしてしまうダイバーが増えたからと言われています。
減圧症を発症するかどうかには個人差があり、また体調によっても変化するため、ダイブコンピューターに表示されている数値が体内の状態を完全に再現しているとはいえません。
上にも書きましたが、必ずダイブコンピューターよりも余裕を持ったダイビングをしてくださいね。
減圧不要限界について詳しく知りたい方は、記事の最後にある関連記事も読んでみてください。
あると便利な器材
必要とまではいかないものの、あると便利な器材は水中ライトです。
水は太陽の光を吸収するので、水深が深くなるほど暗くなります。
水深30mでは天気が悪かったり、水が濁っていたりすると全然見えない……
そのため、水中ライトがあると安心。
水中ライトにはソフトコーラルや熱帯魚の群れを色鮮やかに観察できるようにする効果もあります!
上の写真に写っている赤い魚(サクラダイ)も、水中ライトがあったのでこんなにキレイに見えているのです。
必要なスキル
- 浮上時にも中性浮力をとれること
ディープダイビングからの浮上には小まめな排気が必要です。
なぜなら、深いところで入れた空気は水圧で圧縮されているので、浅場に上がって水圧が下がると大きく膨らんでしまうからです。
小まめな排気を行えず、浮上速度をコントロールできないと減圧症になるリスクが高まります。
浮上時にも中性浮力をしっかりとることを意識しましょう。
大事なのはゆっくり浮上することです!

- 残圧計を普段の2倍の頻度で見る
水深30mでは水深10mの2倍、残圧が減ります。
つまり、減圧症の話を抜きにしても、水深10mの半分の時間しか潜れないことに。
頻繁に残圧計をチェックしないと、浮上までエアがもたないという最悪の事態も……
ディープダイビングをする際は、普段の倍の頻度で残圧計をチェックしましょう。
聞かれる前に見る!
透明度が悪く、残圧計が見えづらいときは水中ライトを数秒ほど当てると蓄光塗料が光って見えやすくなりますよ。
- 万が一、緊急減圧停止をすることになっても問題ないダイブプランを組む
もし、減圧不要限界を超えたしまったとき、すぐさま取るべき行動は浮上ではなく減圧停止です。
ダイブコンピューターにDECOと表示された場合、緊急減圧停止が必要。
どれくらいの深度で何分減圧停止をするのかはダイブコンピューターやダイブテーブルに書いてありますので、いざというときに備えて読み方を確認しておきましょう。
安全停止と合わせると10分以上も停止しなければいけない場合があり、それだけのエアを残していなければいけません。
万が一、緊急減圧停止が必要になっても、残圧に問題のないダイブプランを組むようにしましょう!
より楽しむテクニック
- ゆっくり動き、ゆっくり呼吸する
普段よりもゆったりとした動き・呼吸を心がけましょう!
そうすればエアが長持ちし、余裕を持ってディープダイビングが楽しめるようになります♪
- ダイビング後半に遊びを用意する
ディープダイビングに限らずダイビングでは、最初に一番深く潜り、その後徐々に浅くしていく潜り方、通称「フォワード型」と呼ばれるダイブプロフィールになるようにしましょう、と指導されます。
ディープダイビングをするのは深場に何か目的があるとき。
でも、その目的を果たしたあとも20〜30分は潜れる時間が残っています。
この時間を無駄にしてしまうのはもったいない。
なので、ダイビング後半の浅場で何をして遊ぶか決めておきましょう!
サンゴ礁の隙間に住んでいる生き物を探したり、記念写真をたくさん撮ったりしてもいいですね。
誰が一番バブルリングをうまく作れるか競争したり、BCの空気を全部抜いて(水底に気をつけながら)フィンを脱いでたたいてかぶってジャンケンポンをしたりしてもいいかもしれません!笑
そのほうが楽しいダイビングになりますし、体を動かしているほうが窒素が排出されやすくなる(※※)という効果もあります!一石二鳥です!
※※ただしあまり激しく動くと逆に減圧症のリスクが高まってしまうのでほどほどに。
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