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立のダイビングスポット情報

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海について

泥地の生き物観察を楽しむマックダイビングが楽しめるダイビングスポットとして名高い立(たて)。
イッテンアカタチやハゼ類などの泥地を好む生き物観察はもちろん、浮遊系の生き物の宝庫でもあります。

そんな立のダイビングスポット情報をその魅力とともにご紹介します。

ダイビングの基本情報から、季節ごとの見どころをまとめたシーズナリティ、ダイビングポイント紹介まで、海の情報満載でお届け!

立の概要

ダイビングスポット・立のイメージ

立は熊本県天草市新和町小宮地にある小さなビーチです。
天草市のある下島の東側にあり、八代海(やつしろかい)に面しています。
天草に数あるビーチの中でも穴場のスポットで、島々に囲まれた地形のため穏やかな海況の日が多く、夏場は地元の家族連れを中心に賑わっています。
人工ビーチではありますが海の美しさは折り紙付きで、白い砂浜にエメラルドグリーンの海が広がっています。

立がある新和町には「楊貴妃伝説」があり、まだ中国が唐だったはるか昔に、世界三大美女の一人である楊貴妃が唐から逃げ延び、新和町に漂着したと言われています。

今でも「楊貴妃(よきち)」という地名が残っていたり、「撫でたら美人になる」と言われている楊貴妃の銅像が建てられています。
また、毎年11月になるとしんわ楊貴妃まつりが開催され、玉入れやコンサート、フリーマーケットなど、さまざまな催しで地元の老若男女が盛り上がる、素朴な場所です。

立ダイビング基本情報

マックダビングが楽しめる立

内海のため、外海が荒れている日でも穏やかなことが多く、いつでも安心してダイビングが出来るマックダイビングスポットがこの立です。

マックダイビングとは泥地の生き物観察を楽しむダイビングのことで、日本ではあまり呼び名として定着していませんが、海外ではとても人気のあるダイビングスタイルです。

ダイビングスポット・立には、立ビーチと立海水浴場、二つのビーチポイントがあります。
いずれも泥池が広がっており、特に立ビーチでは、このマックダイビングを楽しむことができます。

沖に少し泳ぐと段差があり、そこからは水深20mぐらいまですぐ深くなっていく特徴のある地形で、水底に降りると一見何もない無機質な印象を受けますが、ここにひっそりと隠れる生物たちを探すことが、立の楽しみ方のひとつ。
立ビーチは隠れた生き物を探し出す、まるで宝探しのような楽しさに満ちたダイビングスポットです。

生物を探す際に注目すべきポイントは、点在する小さな岩や貝に生えた海藻、流木、流れ着いたゴミ、回収不能になった漁具など。
これらが魚礁の役割を果たし、生物たちの棲み家となっています。

泥地が特徴的な立ですが、浮遊系の生き物が一年を通じて多く見られるのももうひとつの特徴です。

また、日没時間が比較的早い秋から春にかけては、ナイトダイビングを楽しむことができます。

日が落ちると、日中は隠れていて見ることができないエビ・カニ・イカ・タコなどの生き物たちが、夜になると砂地や砂泥地にこれでもかと無数に集まります。

ニヨリミミイカ
ニヨリミミイカ

そのため、生き物観察や写真撮影が好きなダイバーには天草で最高のナイトダイビングスポットと言えるでしょう。

ヒョウモンダコ
ヒョウモンダコ

尚、ダイビングの際は立の各所への潜水届が必要となるため、地元天草のダイビングショップを通してダイビングをお楽しみ下さい。

また4月から6月にかけては、アオリイカの底引き網漁が行われるため、時間帯によって潜ることができないタイミングもあります。

ダイビングのシーズナリティ

立の海の魅力を春夏秋冬に分けて、ご紹介します。

春の立

春は海藻の季節。
岸沿いにはアカモクやマメタワラといった海藻が茂り、まるで森のような光景が広がります。

水底にはミルやナガミルが大きく生長し、そこを棲家としてウミウシの仲間やワレカラの仲間、ヒメイカなどの小さい生き物をたくさん見つけることができます。

潮の通りがいい日には水面付近を漂う浮遊系と呼ばれる生物の姿も確認でき、オオタルマワシやタチウオの稚魚などが見られることもあります。

オオタルマワシ
オオタルマワシ

夏の立

カエルアンコウ
カエルアンコウ

他のシーズンより透明度は低くなりますが、生き物観察が面白いシーズンです。

水底に注目すると、イトヒキハゼやクサハゼ、ユカタハゼ、カスリハゼといった泥地を好むハゼの仲間たちが多く見られます。

クサハゼ
クサハゼ

また、カエルアンコウが登場し、ダイバーからの人気を集めます。

カエルアンコウ(通称ヘアリーフロッグフィッシュと呼ばれるバリエーション)
カエルアンコウ(通称ヘアリーフロッグフィッシュと呼ばれるバリエーション)


紫と黄緑の触手を持つハナガサクラゲも登場し、よく観察してみると共生しているタコクラゲモエビの姿を観察することができます。

さらに、多くの生き物にとって繁殖シーズンでもあり、アカオビハナダイのオスの婚姻色が見られるほか、クロイシモチのオスが口の中で卵を世話する、口内保育のシーンを見ることができます。

クロイシモチ
クロイシモチ

秋の立

イッテンアカタチ
イッテンアカタチ

秋はイッテンアカタチの幼魚が見られるようになる季節です。
10mほどの比較的浅い場所で観察できるのは珍しく、水底を探すと砂からひょっこりと顔を出す姿を見つけられるでしょう。
稀にスミツキアカタチやアカタチが観察できることもあります。

水底にはハゼ系も多く、クサハゼ、イトヒキハゼ、カスリハゼ、ササハゼなどが被写体として人気を集める季節です。

イトヒキハゼ
イトヒキハゼ

甲殻類も多く見られ、ムチカラマツに住んでいるイボイソバナガニ、キミシグレカクレエビ、その名の通りザラカイメンに隠れているザラカイメンカクレエビなどを多く見つけることができます。

キミシグレカクレエビ
キミシグレカクレエビ

さらに幻の高級魚と言われるシロアマダイの姿を目撃することも!

11月ごろまでは水温が20度前後と比較的暖かく、たくさんの生き物で賑やかなシーズンです。

冬の立

透明度が高くなり、年明けごろからは透明度が20mに達する日も少なくありません。

魚は減りますが、アカオビハナダイの幼魚、水底には目がとても綺麗なヤセオコゼ、トゲカナガシラの幼魚、メイタガレイの幼魚などを見ることができます。

さらに運が良ければ砂地に隠れるアンコウに出会えることもあります。

イカやタコの仲間たちの姿も見られテギレダコやミミイカなどを見ることができます。

ミミイカダマシ
ミミイカダマシ

ダイビングポイント紹介

ダイビングスポット・立

立の代表的なダイビングポイントを2つご紹介します。

立ビーチ

立のメインとなるダイビングポイント。
立海水浴場から立漁港を間に挟んだ、南側にある海岸からエントリーします。

ダイビングポイントとしてはひとつですが、エリアが広く見どころが多いため、北側の沖堤防の魚群を見に行ったり、ぐるっと堤防をひとまわりしたりと、6つ前後のコースを楽しむことができます。

沖合の水深10m程度から一段下がった地形となっており、それまでの砂地から砂泥地へと変わります。
そのため、砂地の生き物と、砂泥の生き物を数多く観察することができます。

また、南側の端には水深20mまで続いている岩場の地形があり、一番下まで降りるとアカオビハナダイやゲンロクダイ、キンチャクダイが群れていたり、ウミカラマツにはオルトマンワラエビがついているところを見られたりします。

オルトマンワラエビ
オルトマンワラエビ

【エントリー・スタイル】ビーチ(セッティングエリアから徒歩1分。エントリー場所は砂利)
【最大水深】18m
【流れが出た場合】・コース取りに影響を与える流れが発生することがある
【ナイトダイビング】○

立海水浴場

立海水浴場の砂浜からエントリーするダイビングポイント。

満潮時はセッティングエリアのすぐ脇から潜降することが可能で、水深3mほどと浅めのエリアが広いためライセンス講習(https://scuba-monsters.com/variation_of_diving_licence/)でもよく使用されます。

そこを抜けると、岩場の斜面に魚たちが群れており、砂地との境界線を中心にいろいろなウミウシや生き物たちを観察することができます。

さらに一段深い水深15m以深あたりからは砂泥地となり、そうした環境を好むウミウシ類やビイドロカクレエビなどの生き物たちが多く見られます。

オドリカクレエビ
オドリカクレエビ

【エントリー・スタイル】ビーチ(セッティングエリアから徒歩1〜2分。エントリー場所は砂)
【最大水深】20m
【流れが出た場合】コース取りに影響を与える流れが発生することがある
【ナイトダイビング】○

立へのアクセス情報

飛行機でのアクセス:
最寄りの空港は天草空港で、2022年現在、熊本空港、福岡空港、伊丹空港から定期便が就航しています。
それ以外の地域から空の玄関口となるのは阿蘇くまもと空港です。
阿蘇くまもと空港までは羽田空港から約1時間50分で到着します。

阿蘇くまもと空港からは九州縦貫自動車道で松橋インターチェンジまで。
インターチェンジからは天草市方面へ国道266号と国道324号を経由して、空港から約2時間20分で立海水浴場に到着します。

車でのアクセス:
最寄りのインターチェンジは松橋インターチェンジです。
インターチェンジからは天草市方面へ国道266号と国道324号を経由して、空港から約2時間で立海水浴場に到着します。
立海水浴場には30台駐車可能の無料駐車場があります。

バスでのアクセス:
熊本市内から天草市の本渡バスセンターまで路線バスの快速あまくさ号で約2時間半。
本渡バスセンターからはタクシーで約30分で立海水浴場に到着します。

立の観光情報

立海水浴場から車で5分ほどの場所にある竜洞山は雲仙天草国立公園に指定されている景勝地です。
展望台からの眺めは素晴らしく、天草の自然はもちろん海を隔てて鹿児島の島々も見ることもできます。
頂上にあるみどりの村キャンプ場にはキャンプ場はもちろん、バンガロー、アスレチックなどもあり、天草の自然を満喫できる施設になっています。

▶︎みどりの村キャンプ場(https://midorinomura.net/

旅の疲れを癒したい人におすすめなのは、立海水浴場から車で20分ほどの温泉、天草ゆ楽園です。
冷泉を加温している温泉で、入るとなめらかな独特の肌触りの温泉にびっくりするはず。
神経痛、筋肉痛、疲労回復などの効果があり、重たいタンクを背負った体が癒されること間違いなしです。
また、休憩所では食事もいただくことができ、定食や丼もの、麺料理などをいただくことができます。

天草市新和町の新たな観光の目玉になっているのが、マグロウォッチングです。
立海水浴場から車で20分ほどの大多尾漁港の沖合ではクロマグロを養殖しており、直径約50mもある巨大な生簀が4kmにもわたって連なっています。
その養殖場まで漁船で渡り、クロマグロの見学や餌やり体験を楽しむことができます。
また、見学のあとはクロマグロ丼も頂くことができるのもおすすめのポイントです。

▶︎天草市新和町マグロウォッチング(https://www.t-island.jp/special/maguro

ダイビング後にぜひ立ち寄ってほしいグルメスポットが、天草で唯一の酒造である天草酒造が2021年にオープンしたカフェ、「KANPAI AMAKUSA」。
ウッドデッキのバルコニー席からは八代海を一望でき、海を見ながらログ付けをしているダイバーの姿も。
定食やカレー、おむすびランチなどが人気で、もちろんお酒の試飲や販売も行っています。

情報・写真提供:よかよかダイビング(https://www.yokadive.com/

ScubaMonsters編集部

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