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【海の宝石】ウミウシって??

生物について

多くのダイバーに人気のウミウシ。

年間を通して様々な種類を観察することが出来るウミウシですが、多くのダイビングスポットでは冬がウミウシの本格シーズン。

そんなウミウシシーズンをより楽しく迎えられるよう、今のうちからウミウシについて少しだけ詳しくなってみませんか!?

そもそもウミウシって何?ナメクジ?

間違いなく魚でも甲殻類でも無いウミウシ。

柔らかそうな(実際柔らかい)体ってことを考えるとイカやタコ…でも無さそう。

答えは『貝』です。

貝を貝たらしめる貝殻の存在しない『貝』なんです。

よく、ナメクジ?と言われることがありますが半分正解。

貝は進化の過程で海で生活することを選んだものと陸で生活することを選んだものがいます。

前者はいわゆる貝、後者はいわゆるカタツムリですね。

その両者とも、貝殻を捨てる(文字通り捨てたわけではありませんが)種が現れ、海にいるものがウミウシ、陸にいるものがナメクジ、と呼ばれているわけです。

貝殻が完全に消失してしまっているものも多いですが、貝殻が埋没、もしくは貝殻がガッツリ残っているウミウシもいます。

ウミウシ=貝殻の無い、海に棲む貝

じゃないの?と思いますよね。

そう。

ウミウシの定義はかなりアバウト。

厳密な定義は無く、同じグループ(分類上の目)でもウミウシに分類されるもの、されないものが混在しています。

非常に多くの種類が知られており、世界中で3000種、日本でも500種ほどが確認されています。

まだまだ学名がついていないウミウシも多いほか、比較的下等な生物であることから異種間交配が盛んな結果、日々新種が増え続けています。

要は、新種の確認スピードを新種の誕生スピードが上回っているわけですね。

さらに、分類もまだまだ発展途上で、ある日突然分類がガラッと変わってしまうことも珍しくありません。

最近の例で言うと、コモンウミウシがコモンウミウシ属から締め出されるなんて珍事件も発生しています。

どういうことかと言うと、コモンウミウシが元々所属していたChromodoris属(クロモドーリス)はコモンウミウシ属と和訳されていました。

しかし近年の研究で、Chromodoris属から一部のグループ(とはいえ結構な数)をGoniobranchus属(ゴニオブランクス)として別のグループにしよう、ということになりました。

この際、コモンウミウシもChromodoris属からGoniobranchus属に変更されたんですね。

一番最初にChromodoris属をコモンウミウシ属なんて和訳していなければ、こんな混乱は無かったのですが…

面白い名前のウミウシ

そんな、多くの新種が次々と認定されるウミウシ。

新種と認定されたからには和名をつけなくてはなりません。

しかし、その種類の多さと、新種認定の多さから和名がテキトー個性的な名前をもつものも沢山います。

ほんの一部だけご紹介すると…

シンデレラウミウシ

Web hitodeより画像引用

どの辺がシンデレラかはさておき、かわいい名前ですね。

カグヤヒメウミウシ

海的ダイバーサイトより画像引用

シンデレラに似てるけどちょっと和風、とかが由来じゃないことを祈ります…

インターネットウミウシ

言いたいことはわかりますが…この様にウミウシの名前には横文字、普通です(笑)

って、Wifi時代の皆さんにはわからないかもしれませんね…

パソコンとパソコンが線で繋がっているのをイメージしたんだと思います。

ブッシュドノエルウミウシ

Weblio辞書より画像引用

横文字シリーズ。むしろブッシュドノエルが食べられなくなりそう(笑)

photo by JIP CC BY-SA 3.0

イチゴミルクウミウシ

なんだろう、この呼ぶのがちょっと恥ずかしい感じ。食べ物シリーズも、ウミウシの名前では普通です(笑)

シモフリカメサンウミウシ

気持ちはわかる。けど、カメモヨウウミウシ、とかにして欲しかった…カメさんって、さんって…

ウミウシの魅力とは?

ここまでご紹介してきた写真で伝わったかもしれませんが、ウミウシの魅力はなんと言ってもそのカラフルさ。

カラフルであるがゆえ、海の宝石なんて呼ばれたりもします。

この辺が嫌われ者になってしまったナメクジと、雌雄を決したポイントでしょう。

有名どころではやはりピカチュウ。

ウデフリツノザヤウミウシと言いますが、ダイバーはこれがピカチュウに激似だといって譲りません。

他にも

こんな感じで、カラフルな種類が沢山。

ウミウシはミリ単位の極小サイズも多いため、広い海で小さくて綺麗なものを探す、この辺りも宝探しに似た感覚で人気を呼ぶ理由でしょう。

驚きの生態をもつウミウシ

ウミウシにはまだまだ謎が多いのですが、面白い生態をもつものもいます。

例えばミノウミウシの仲間。

彼らは、敢えて毒を持つものをエサとし、そのエサを自らのミノに保存します。

厳密には毒の成分ではなく、毒を含む刺胞ごと保存し、自らの毒針として再利用するんですね。

また、動物であることを諦めた?ウミウシもいます。

boredpandaより画像引用

このテングモウミウシなどの一部のウミウシは、動物でありながら光合成を行うことが可能で、長期間エサを食べなくても生きていくことが出来ます。

一緒にしないで!!

最後にウミウシの心の声をひとつ。

よく

ウミウシ見つけたー!

といって指さされた先を見るとヒラムシ、ということが…

種類によっては本当に似ていて、ウミウシに擬態しているという説もありますが全くの別物。

分類上もかなり遠い生物です。

ウミウシよりもさらに下等な生物であるからか、ウミウシ以上に研究が進んでおらず、和名を持つものの方が少ないぐらいです。

きっとウミウシたちは

自分は海の宝石だけどそいつらはその辺の石ころ。一緒にしないでくれ!!

と叫んでいる…ような気がします(笑)

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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