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生命を繋ぐ真冬の北海道ダイビング〜積丹・幌武意〜

海のレポート

こんにちは!
Under water creatorの茂野です。

真冬の北海道に潜る。
そう言うと多くの方が驚くでしょう。

雪が降り、あらゆる物が凍る北海道の冬、ただでさえ寒いのに海に入るなんて信じられない。

一方、ダイビングに詳しい方だと、
「流氷ダイビングに行くんでしょ!」
という方もいるかもしれません。

ここ最近は海外に行けないこともあり、流氷ダイビングの注目度が高まり、興味を持つ人も多くなりました。

スクーバモンスターズでも流氷ダイビングの様子は記事にしました。

流氷ダイビングは2月上旬から3月上旬の限られた時期に知床半島のウトロで行われます。

しかし!!
流氷ダイビング以外にも冬の北海道の海が面白いことは、まだまだ知られていないのではないでしょうか。
冬の積丹半島のダイビングは生態シーズンを迎える1年で1番面白い時期。

水中には卵を守るホッケやゴッコ(ホテイウオ)など、この時期にしか見られない光景が広がっています。

今回はそんな真冬の北海道、積丹のダイビングの魅力を紹介していきたいと思います!!

積丹半島とは!?

積丹半島は北海道ではメジャーなダイビングスポットのひとつ。

札幌から車で約1時間半の距離にあり、多くのダイバーが札幌から日帰りで訪れています。
距離感は異なるものの首都圏と伊豆、関西圏と紀伊半島のような関係をイメージしてもらえるといいでしょう。

1年を通してダイビングを楽しむことができ、夏は積丹半島の中でも美国(びくに)エリアが人気。
冬は幌武意(ほろむい)エリアが主流になります。

幌武意には、現地サービス・アクアキャット幌武意があり、真冬の極寒期にはドライスーツで入れるお風呂があったり、暖炉の備え付けられた暖かいスペースがあったりと、快適に潜ることができます。
今回、僕は札幌に滞在しながらダイビングをすることができるよう、ROBINSON DIVING SERVICEの西村さんにお世話になりました。
日帰りで積丹に向かい、潜り終わったら札幌に帰ってくるというスタイルです。

冬の時期は海況不良で幌武意に潜れない日もあるため、幌武意がクローズしたとしても、札幌にいれば潜りに行けるダイビングスポットの選択肢が多いので、札幌ステイで潜りに行くのが個人的にはおすすめです!

ちなみに僕が訪れた2022年1月中旬はまさに極寒期。
水温は6℃台でしたがグローブは5mmのミトングローブ、フードは5mmの物を使用することで、そんなに寒く感じることはなく、快適に潜ることができました。

生態シーズンを迎える冬の積丹

冬の積丹で見たい光景といえば、やっぱりホテイウオのオスが卵を守っているシーンです。
ホテイウオは、東北や北海道を中心にゴッコの愛称で親しまれている魚で、幼魚はダンゴウオの幼魚にそっくり。

模様が独特なため、フォト派の間では大人気の魚です!

ダンゴウオの仲間ということもあり、僕も「ゴッコがいるよ」って聞いた時は小さなカワイイ子を想像したのですが……
この時期に見れるのは大人のゴッコ!

大人もカワイイけど、ちょっとブサイク!笑

普段は水深100mほどの深海に生息するゴッコが、産卵のため浅瀬に上がってきます。
ダイビング中には卵を守っている個体だけじゃなく、泳いでいる個体も!

ゴッコは基本的にはオスが卵を守ります。
オスはこの時期になると産卵床を整えているので、泳いでいるのはメスだろうということです。

岩の隙間を覗くと、こんな風に2匹で寄り添っているシーンも!
産卵間近でしょうか……?

長めに観察したのですが動きに変化は現れず、邪魔をしているかもしれないと思い、そっとしておきました。

他にも、本当にいたるところでゴッコが卵を守っています。

そして卵が撮影しやすい個体の卵をクローズアップして撮影すると、卵自体も本当に美しい色をしています。

卵を守っているのはすべてオスです。
オスのゴッコは卵が孵化するまで1ヶ月以上、飲まず食わずで卵を守り続けます。

そのため卵が孵化する頃には体もボロボロになり、痩せこけ、孵化すると力尽きるように死んでいくそうです。

積丹の海に潜り続けているダイバーは、ゴッコが卵を守っているシーンを定点で観察することができ、この生命のドラマに胸が熱くなるそうです。

今回もダイビングの最中に、力尽きた親のゴッコが目に入りました。

産卵後オスは卵を守りますが、メスは産卵にすべての力を注ぐため、そこで力尽きるそうです。
おそらく写真も産卵後の力尽きたメス……。

卵を守る姿から力尽きる姿まで。
数日しか潜っていませんが、胸が熱くなる光景でした。

例年1月中旬〜下旬はゴッコの卵が孵化する時期でもあります。

この卵が孵化をし出すと、次はゴッコの幼魚シーズンが始まるそうです。

残念ながら今回は時期が早く、幼魚はまだ見られませんでした。

他にも、冬の時期特有の生態シーンとして、オニカジカが卵を保護する光景も見ることができます。
上手に岩に擬態しているので、水中で見つけるのは結構難しいのですが、卵の場所を知っておくと、そこでオスが卵を保護している姿を観察することができます。

ただしゴッコほど卵をじっくり守っているわけではないので、そもそもいないこともあったり、人が近寄ると卵を放棄して一時避難したりと、ゆるく卵を守っています。

卵は同じ場所に産み足していくので、昨日はなかった卵が新しく増えていたり、ウニに一部食べられてしまっていたりと、潜る度に少しづつ変化していくのも面白い。

またオニカジカは求愛する際のオスの腹鰭が非常に美しく、独特の模様をしています。
興味がある人はぜひ冬の積丹に、見に行ってみてください。

また、終わりかけではありますが、ホッケの卵保護を観察することもできました。

もう卵には目がくっきりと見えるようになってきていて、ハッチアウト目前といったところです。
ホッケは11〜12月くらいがピークのようで、この時期はそこら中に卵があるそうです。

僕は昨年10月にも積丹に潜りに行ったのですが、その時はアイナメやケムシカジカが産卵で大量に浅瀬に来ていました。
時期によって様々な生き物の生態が楽しめるのが、各シーズン積丹に潜りたくなる理由ですね。

生態好き、魚卵好きのダイバーの方は、絶対に積丹の海にハマると思います。 

北の海ならではのカワイイ生き物たち

もちろん、冬の時期に見られるのは生態シーンに注目の生き物だけじゃなくて、北の海ならではの生き物も!
伊豆を中心として潜る僕からすると、すべてが未知の生き物なのですが……。

その中でもカワイイ生物をピックアップ!

上の写真はナメダンゴといって、ダンゴウオよりも北の海、オホーツク海や北海道沿岸で観察されます。
ダンゴウオよりも背鰭がピンとなっているのが特徴的で、ちょこんとした感じがめちゃくちゃカワイイ!

サクラダンゴウオと比べてもこんなに違いますね!

もちろん積丹には日本海側で見られるサクラダンゴウオもいます。
今回見たこの子は海藻じゃなく岩の上にちょこん乗っていました。

その姿も岩みたいで、怒ったような表情が可愛かったです。

他にも、岩の穴を覗くとこんなカワイイ表情のアキギンポが!
まだ大人のようなゴージャスなたて髪はないですが、こどもらしい愛くるしい表情がいいですね。

これも東北や北の海でしか見れないギンポです。

こんな目の模様が特徴的なサラサカジカも!
アナハゼの仲間なんですが、体に対して目がすごく大きく、さらにその模様が独特の柄をしていて、ついつい夢中になってシャッターを切ってしまいました。

冬の北海道というと過酷で生き物が少ないイメージが強いですが、逆に冬の方がカワイイ生き物たちは増えていくんです。
他にもたくさんカワイイ生物や不思議な生き物がいましたが、載せきれない……

やはりマクロ派にはオススメのシーズンですね!

超巨大なミズダコに大興奮!

ここまでマクロが続いていたのでワイド派の皆様、お待たせしました!

そうです!
冬の積丹といえば、この巨大なミズダコがたくさん見れるのも面白さのひとつです!

ミズダコは世界のタコの中でも最大のサイズ!
国内で見られる平均でも、腕を広げた長さが3〜4m、体重は15キロ前後。
海外では長さが9m以上、体重272キロの大きさのものがいたこともあるそうです。

水中で見ると、とにかく大きい!
ついつい後ずさってしまうダイバーの気持ちもわかります。

吸盤1つ1つがゴルフボールよりも大きいですし、腕を広げた時の恐さは半端ない。

大きさは様々な個体がいて、特大サイズもいれば、中くらいのマダコぐらいのサイズ感の個体も。
ミズダコが海底をのそのそと動いている光景はまるで岩が動いているんじゃないかと思うような光景です。

大きいミズダコを見た後だと不思議に思いますが……。
赤ちゃんサイズまで!

これがあんなに巨大になるなんてにわかには信じられない。
まだ赤ちゃんの頃はツルッとしていて可憐な美しさがありますね!

冬の積丹では、高確率でミズダコが見られると思います。
運が良ければ穴から出ていることもあるし、出ていないことも。

こんな巨大な生物に会えるだけでも北海道で潜る意味があると思います。

運が良ければトドにも会えるかも!?

本当に運が良ければ水中でトドに出会えるかも!?

昔は冬の積丹の代名詞といえば水中トドだったんですが……。
年々、数が減ってきているそうです。

僕も今回の滞在は1度だけ会えました。
遊んでくれる時はじっくり遊んでくれるそうですが、今回は一瞬。
カメラを持ち替えている間に、あっという間に逃げていきました。

来年リベンジしたい。

ただ一瞬でも水中でトドに出会えた感動は凄かった!!
イルカやクジラと出会ったときともまた違う、どこか親しみのようなものを感じました。

おわりに

冬の北海道の水温は6度と聞くと驚く人も多いと思います。
ただ最近はドライスーツも進化しているし、インナーも高機能のものが増えているし、ヒートベストなんて代物も!

当たり前ですがきちんとした装備で潜ればそんなに寒くないです。
むしろ、伊豆で薄手のインナーで潜っている時の方が寒いかも。

日本には北から南まで面白い海が広がっています。

ぜひ皆さんも冬の北海道!
挑戦してみてくださいね!!

取材協力:ROBINSON DIVING SERVICE(https://www.robinson.co.jp/

■CHECK!■

今回ご紹介した北海道のダイビングについては、茂野優太さんのブログ&Youtubeでも紹介されています。合わせて、お楽しみください。

しげのゆうたの旅ブログ:

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茂野優太

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Under Water Creator。 1991年、神奈川県生まれ。 海・ダイビングの魅力を写真、映像、文章、ガイドなど、多様なアプローチで発信する。 伊...

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