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癒しの支笏湖&絶景の積丹町。夏の北海道で考えたダイビングのこと

海のレポート

みなさん、こんにちは。
Under Water Creatorの茂野です。

今年、夏の北海道にはじめて行った僕。
カメラを置いてしまうほどに美しい光景に出会い、思わず湧き立ってきたダイビングへの思い。

今回は、北海道のダイビングの魅力を紹介しながら、海の中で考えたあれこれを書いていきたいと思います。

はじめに

突然ですが、みなさんがダイビングする場所を決めるキッカケはなんでしょうか?

例えば、友人の紹介だったり、有名なダイビングポイントだったり。
時には、誰かのあげた1枚の美しい写真に心を動かされて、なんてこともあるかもしれません。

水中写真撮影を仕事にしている僕としては、たった1枚の僕の写真が、こうやって書いた1本の記事がキッカケとなり、多くの人がそのダイビングスポットを潜りに行ってくれたり、興味を持ってくれたりしたら、こんなに嬉しいことはありません。

これだけWEBが普及した時代、簡単に発信できる時代だからこそ、その海の最高の景色、最高の1枚が簡単に調べられるし、タイムラインに表示されます。
良き時代ですね。

しかし、実際に潜りに行った時に
「あれ?イメージと何か違う」
「インスタで見たベストな景色が見られなくてガッカリ」
こんな経験をした人はいないでしょうか。

ここで、あなたに問いたい。

あなたのダイビングが、“誰かの作った感動を確認する作業”になっていないだろうか?

ここまで読んでくれた人は……
「なんか変だぞ?」
「いつものレポート記事じゃないぞ」
と感じている人も多いはず。

それもそのはず、今回は、いつものレポート記事の皮を被りながら、心の中に向き合ったエッセイみ強めの文章に挑戦してみました。

本質的には、未知の世界への冒険、そして、海の中で感じる体験だったものが、“あの景色の確認作業”になっていなかったか。
そんなことを考える記事にしていけたらと思っています。

また、この僕の1枚1枚の写真が発言が“誰かの作った感動”を生み出してしまっているという矛盾を孕みながら、それでもやっぱり“その感動を伝えるのも僕の仕事”だからと書き進めてみようと思います。

水中でカメラを置いてしまうほど美しかった支笏湖

もちろん僕はプロの写真家として活動しているし、こうやってレポート記事も書かせて頂いています。

だから下調べもするし、今回訪れた7月末の支笏湖だったら、こんな景色が撮りたいなとインスタやWEBなどから撮りたい画像やネタをたくさん集めてきます。

例えば、エゾウグイの婚姻色も見てみたいし、湖の中にある柱状節理も見てみたいし、水中に咲く花も見たいし、水質日本一の支笏湖の水の色も見たい。

特に夏の支笏湖といえば、北海道特有の種のチトセバイカモという水草が水中で花を咲かせることが有名です。
もちろん今回の取材も、チトセバイカモの可憐な花を撮りたくて来ている。

チトセバイカモはこんな感じです。
水中で花を咲かせる姿は、美しさの中に脆さをはらんでいて、日本らしい儚げな奥ゆかしさがあります。

一輪の花が咲いているのは1週間程度ですが、順々に咲いていくため7〜8月が見頃。夏の期間だけ観察できる特別な光景です。

千歳川で最初に見つかったことから、チトセバイカモという名前がつけられました。
東北でも発見された例もありますが、ほとんどが北海道内でしか見つかっていない、この支笏湖のある千歳市を代表する花です。

もちろん、このチトセバイカモも美しく、取材に来て本当に良かったなと思ったのですが……
やっぱり支笏湖に潜って1番感動したのは、この水草が広がるだけの風景

エントリーした瞬間に広がる湖の穏やかな風景、そして爽やかな水色、そこに草原のように生える水草。
僕が今まで見てきたダイビングの風景とは全く違っていて、本当に感動してしまった。

ここまで、ああいう写真を撮ろうとか、こういう写真を撮ろうとか考えていたことが一気に吹き飛んで、ただただ水中にいることに幸せを覚えた。

水中でこんな感覚になったのは、すごく久しぶり。
初めて慶良間の海に潜った7〜8年前以来だろうか。
静かな湖の水中で、とにかく自分の呼吸の音がすごく大きく聞こえた。

本来、水中にいることが特別で……
その特別なことが日常になって、その日常の中に特別を忘れてしまって。

でも、特別なことが日常になったからこそ、さらにその中にある特別さみたいなものに気付くことができた。

これは日常の中にある美しさを見つけるとかそういう話じゃなくて、そのもっと手前。

心が動くキッカケを見つける。
自分の興味がどこに向いたか感じる。
より深く、自分自身へ目を向ける行為なんだと思う。

そして、ダイビングをする。
水中写真を撮る。

そのことが、”誰かの感動、見た景色の確認”ではなくて、”自分の心が動いた瞬間を探す”ことであってほしいと思った瞬間だった。

僕は、僕の心が動いた瞬間を写真に文章に記事にする。

だから、受け取った人は「へえそうなんだ。でも私は……」みたいな受け取り方をしてくれたり、「わかるわ〜」みたいな視点になってくれたりすると嬉しい。

そんなことを考えさせられるほど、支笏湖の水中は穏やかな美しい景色が広がっていました。

<編集部補足>支笏湖の水草のベストシーズンは初夏〜夏。浅場の水温は23〜5度くらいまでがるので夏の時期はウエットでもダイビング可能。新千歳空港から約50分の距離にあり、到着日のダイビングにもオススメです。

美しさについて考えるキッカケとなったビヤノ岬の柱状節理

夏の北海道といえば積丹町美国エリアにあるビヤノ岬の柱状節理が有名でしょう。

メディアやSNSなどで1度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
僕もこの景色に憧れていて、絶対見たいと思っていた景色でした。

しかもこの夏の時期は、積丹ブルーと呼ばれるほど海が青く透明度が20mを越える日もあるそうです。
ただこういう地形こそ、いつもそこにある景色なだけに、透明度が最高のベストコンディションの写真が世の中に出回っていて、それと比較してガッカリしたり……

確認作業になりがちな気がします。

もちろん、積丹の柱状節理はたぶん日本一といってもいいくらいの大きさと密度なので本当に圧巻の景色です。
ここを潜ってガッカリすることはないとは思います。

でも、これだけすごい海に潜って確認作業のようになってしまうのは本当にもったいない
ぜひこの海に潜って「うわあー!」って思った気持ちや感動を大切にしてほしいなと思います。

僕はこの景色を見た時に「美しさってなんだろう?」って考えながら撮影しました。

美しいというのは、人間の心から生み出るものなのか?
それとも自然に最初から備わっているものなのか?

もし前者なら僕らは美しいと思える心を持つべきだし、もし後者であるならば美しさを探すことに意味がある。

たぶん、どちらも正解で………

あまり面倒臭いことばかり言っていると次の記事から読んでもらえなくなりそうなので、この辺で……笑

ちなみにこの時期の積丹の海は本当に青く美しいです。

なぜいままでダイビングといったら沖縄や海外、南国にばかり行っていたのかと思ってしまうほど。

きっと僕にも”ダイビング=南国”という固定観念があったのかな。
この昆布がモリモリと育っている様子も北の海ならではの光景ですね!

7月でもスナビクニンやダンゴウオといった北の海の魚たちも狙えます。
他にもエゾメバルやガジ、キツネメバルの幼魚などのマクロ生物もすごく楽しめます。

ただ北海道の海のマクロの生き物が面白いのは冬らしいので、北海道のダイバーからすると夏の海は物足りないらしいです。

おわりに

スクーバモンスターズの発信を見てくれてる人がいろんな海に潜りにってくれるのは本当に嬉しい。

ただ、海はやっぱり自然なので全く同じ景色が見れるとは限らない。
僕と同じ感動をするかはわからない。

だからダイビングに行くというその特別なこと自体を。
そして海に入った時に何かに出会った時に動く心自体を。

楽しんでダイビングをして頂けたらと思いこんな記事を書いてみました。
内容がいつもとちょっと違うこと大変申し訳ありません。
でも、たまにはこういう記事も!

次はどこの海へ潜りに行こう。

取材協力:ロビンソンダイビングサービス(https://www.robinson.co.jp/

■CHECK!■
今回ご紹介したウトロでの流氷ダイビングについては、茂野優太さんのブログ&Youtubeでも紹介されています。合わせて、お楽しみください。

しげのゆうたの旅ブログ:
夏の北海道を本気で楽しみたい方へ!積丹でダイビングが超おすすめ
水質日本一の支笏湖でとにかく癒やされるダイビングを!

茂野優太

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Under Water Creator。 1991年、神奈川県生まれ。 海・ダイビングの魅力を写真、映像、文章、ガイドなど、多様なアプローチで発信する。 伊...

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