室津のダイビングスポット情報
ウミウシの仲間やタツノオトシゴなどじっくり生物観察を楽しめる室津(むろつ)。
それだけではなく、ハンマーヘッド(アカシュモクザメ)やイルカなど、ダイバー憧れの大物生物の目撃例も!
そんな室津のダイビングスポット情報をその魅力とともにご紹介します。
ダイビングの基本情報から、季節ごとの見どころをまとめたシーズナリティ、ダイビングポイント紹介まで、海の情報満載でお届け!
目次
室津の概要
室津は山口県の西部、日本海に面した下関市豊浦町に位置するダイビングスポットです。
なだらかな山と、広大な海が織りなす美しい景観や、自然の恵みがあふれる豊浦町は、古くから歴史に名を残す人物たちにも愛されてきました。
ダイビングポイントからわずか15分の場所にある川棚温泉は、古くは長門長府藩第三代藩主・毛利綱元が満喫した温泉として知られています。
毛利綱元が温泉に浸かったところ、病がたちまち回復したことがきっかけで、川棚温泉は広く知られることとなりました。
今でも「毛利侯お殿湯街道」として、当時の面影を感じることができます。
この川棚温泉のホテルでコンサートを行った世界的ピアニスト、アルフレッド・コルトーも豊浦町を愛した偉人の1人として知られています。
美しい豊浦町に魅せられたコルトーは「こんなに美しい夢のような島はみたことがない」と、家族や弟子に語り継いだと言われています。
豊浦町の沖に浮かぶ無人島の厚島は、今でも彼の名前から孤留島(こるとう)と呼ばれています。
室津ダイビング基本情報
室津は2007年にオープンした比較的新しいダイビングスポットで、ビーチポイント2ヶ所とボートポイント3ヶ所があります。
ボートポイントは漁港からダイビングポイントまでわずか10分程と近く、船酔いが心配なダイバーも安心してダイビングを楽しむことができます。
ダイビングポイントは砂地とゴロタの場所が多く、砂地に目を向けると、水底ぎりぎりを泳ぐアカエイや、砂からひょこり顔を出すホタテウミヘビ、餌を待ち伏せするエソの仲間などを見ることができます。
青くて綺麗なソラスズメダイが群れるゴロタでは、色とりどりのウミウシや、タツノオトシゴの仲間、穴から顔を出すキュートなコケギンポを発見することができるでしょう。
中層には太陽を浴びてキラキラ光るキビナゴの群れが縦横無尽に泳ぎ回り、それを狙って回遊魚のヒラマサがやってくるなど、多様な生物を観察することができます。
ダイビングのシーズナリティ
室津の海の魅力を春夏秋冬に分けて、ご紹介します。
春の室津
日本海側が荒れる厳しい冬のシーズンが終わると、さまざまな生き物の恋のシーズンが始まります。
代表的な生き物のひとつがアオリイカです。
産卵シーズンを迎え、どこからともなく集まってきたアオリイカが、オスとメスで対になり、房の中に入った卵を海藻に産みつけます。
室津では4〜12月ごろに見ることができるタツノオトシゴも求愛シーズンを迎えます。
タツノオトシゴの仲間は、メスがオスの育児嚢に卵を産み入れ、その卵をオスが孵化するまで育てる習性を持っています。
求愛のシーズンが落ち着くと、卵を抱え、お腹を大きくしたオスのタツノオトシゴを発見できるかもしれません。
また、水温がまだ低い春は、ウミウシのシーズンでもあります。
浅瀬を探せば、たくさんのウミウシを見つけることができるでしょう。
夏の室津
生き物の数が増え始め、大きいヒレが特徴的なクロイシモチがペアになって泳ぐ場面や、同じく大きいヒレで優雅に泳ぐミノカサゴが観察できるようになります。
6〜9月ごろはキンセンウミウシを多く発見することができます。
中層にはキビナゴやイワシが群れを成し、まるでひとつの生き物のように群れの形を変えながら泳ぐ姿は圧巻です。
その群れを狙って大きい生き物もやってきます。
過去にはダイバーの憧れ、ハンマーヘッドやイルカとの遭遇もありました。
秋の室津
群れの大きさはさらに大きくなり、水中が一番賑やかになるシーズンです。
大きくなった群れを狙う回遊魚に遭遇できる確率もアップします。
群れを狙うのは回遊魚だけではありません。
大きなクエが小魚を捕食する豪快なシーンも!
中層だけでなく、水底に降り、砂から顔を出したホタテウミヘビをよく観察すると、透明なオドリカクレエビがクリーニングをしている様子を観察できます。
ウミウシも健在で、キイロウミウシやイボウミウシの仲間、コノハミドリガイなど、多くのウミウシを見つけることができるでしょう。
さらに室津では、秋にもアオリイカの産卵シーンを見ることができます。
冬の室津
水温は下がってきますが、透明度がぐんぐん上がり、クリアな水中世界を堪能できるシーズンです。
冬のウミウシが増え始め、サクラミノウミウシやアカエラミノウミウシなどのウミウシを見ることができます。
一度のダイビングで同じ種類のウミウシを5個体以上発見できることも。
夏に比べダイバーも少ないので、じっくりと生物観察や写真撮影を楽しむことができるでしょう。
ダイビングポイント紹介
室津の代表的なダイビングポイントを3つご紹介します。
室津ビーチNo.1
最大水深12mほど、透明度も通年8m前後と安定しているので、ビギナーのダイバーでも落ち着いて楽しめるダイビングポイントです。
ゴロタと砂地でできており、浅瀬では季節ごとに変わる多種のウミウシを観察でき、タツノオトシゴも様々な色の個体を見つけることができます。
【エントリー・スタイル】ビーチ(セッティングエリアから約20秒。エントリー場所は岩場)
【最大水深】12m
【流れが出た場合】流れが出ることはほとんどない
【ナイトダイビング】×
室津ビーチNo.2
最大水深18mほどと室津ビーチNo.1よりやや深めで、こちらもゴロタと砂地が広がるダイビングポイントです。
大潮の日は少し流れが出るので、注意が必要です。
ウミウチワをあちこちで見ることができ、大きく広がった姿は見事。
中層にはキビナゴが群れ、それを狙ってヒラマサがアタックをかけるシーンや、1.5mはあろうかというクエが30cm級のヒラメを捕食するシーンなど見どころ満載です。
【エントリー・スタイル】ビーチ(セッティングエリアから 約20秒 。エントリー場所は岩場)
【最大水深】18m
【流れが出た場合】コース取りに影響を与える流れが発生することがある
【ナイトダイビング】×
室津ボート
最大水深が30m以上と深く、無限圧潜水時間やエアの消費をきちんと自己管理できるダイバー向けのダイビングポイントです。砂地に瀬があるポイントで、中層には小魚が群れ、それを狙った回遊魚や、時にはまだ小さいサイズのクロマグロがやってくることも。
また、ここで見つかるウミウシはどの個体も大きく、その大きさには驚きを隠せません。
【エントリー・スタイル】ボート、港から約15分。エントリー時はアンカー打つ)
【最大水深】30m以上
【流れが出た場合】流れてもコース取りに影響を与えない程度
【ナイトダイビング】×
その他のダイビングポイント
室津ボートNo.1、室津ボートNo.2
室津へのアクセス情報
飛行機でのアクセス:
最寄りの空港は山口宇部空港で、羽田からの所要時間は2時間弱です。
空港からは山陽自動車道を北西に進み、小月インターチェンジへ。
インターチェンジからは国道491号、県道261号、県道245号を経由して、空港から1時間15分ほどでダイビングの拠点となる室津下漁港に到着します。
車でのアクセス:
最寄りのインターチェンジは下関インターチェンジです。
インターチェンジからは県道244号を北上し、約40分ほどで室津下漁港に到着します。
漁港には無料の駐車場もあります。
電車でのアクセス:
JR黒井村駅が最寄り駅です。
黒井村駅からはタクシーで10分弱で到着します。
送迎を行っているダイビングショップもあるため、事前に確認してみましょう。
室津の観光情報
豊浦町に来たからにはぜひ立ち寄って欲しいのが、福徳稲荷神社。
お参りする際に最初に目を惹くのが大鳥居ですが、階段を登った先の本殿で振り返ると、朱色に輝く大鳥居越しに青い海と空が広がります。
その朱色と青のコントラストはまさに絶景です。
また、日没間際に参拝すると、水平線に沈む夕日に大鳥居が照らされ、さらに幻想的な光景を見ることができます。
福徳稲荷神社のもう一つの特徴は、千本鳥居。
千本鳥居は地元の人からは開運鳥居とも呼ばれ、鳥居のトンネルを通るとご利益があるのだとか。
▶︎福徳稲荷神社(https://yamaguchi-tourism.jp/spot/detail_10706.html)
コルトーが滞在したホテル跡地には、新国立競技場で知られる建築家、隈研吾氏設計による川棚の杜が建てられ、音楽ホールはコルトーホールと命名されています。
施設内には貴重な民俗文化遺産を展示した烏山民俗資料館が併設され、この地域に根付いた暮らしや文化を感じることができます。
▶︎川棚の杜(https://www.kawatananomori.com/)
ランチには山口県の郷土料理、瓦そばは外せません。
なかでも元祖瓦そばたかせは瓦そば発祥のお店として知られる老舗。
中身豊かな茶そばの瓦そばを味わえます。国産うなぎを使用したうなめしも瓦そばに並ぶ名物になっています。
▶︎元祖 瓦そば たかせ(https://www.kawarasoba.jp/)
情報・写真提供:ダイビングショップFUN(http://www.fun-dive.jp/)
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