ドリフトダイビングとは?魅力・注意点・必要な器材を解説!
潮に流されゆ〜らゆら。泳がなくても勝手に魚たちがやってきてくれる〜。
大物との出会いが魅力的なドリフトダイビング。
例えば、伊豆半島の代表的なドリフトスポットである神子元島では、ハンマーリバーとも呼ばれるほどのハンマーヘッドの大群が目の前で見られます!
大物が見られることで有名なポイントではドリフトダイビングをすることが多いんです!
またサンゴ礁が広がるポイントでは、サンゴを保護するため船を固定するアンカーを下ろせないので、ドリフトダイビングをすることが多くなります。
大自然を楽しむには必要なドリフトダイビング。
この記事を読んでドリフトダイビングの魅力を知ってみてください!
潮の流れに乗る「ドリフトダイビング」
ドリフトダイビングとは、潮の流れに乗って楽しむダイビングのこと。
自然とエントリーした場所から遠く離れたところでエキジットすることになります。
潮の流れが速い場所はプランクトンが豊富なので、たくさんの魚やマンタなどが集まってきます。
さらに小魚を狙って大きな魚も集まり、さらにさらに大きな魚を狙ってサメなどの巨大な魚も集まります!
ドリフトダイビングは潮の流れに乗っかるだけなので、とーっても楽ちん♪
しかも、長距離移動できるのでなんだか得した気分にもなれます。
時には、力の限り泳ぎ、潮の流れに逆らって大物を追いかけたり、金属のフック(カレントフック)を岩に引っ掛け、一箇所にとどまって魚たちの観察を楽しんだりする瞬間もあり、ドリフトダイビングの楽しみとなっています!
次の章で、ドリフトダイビングの楽しみ方をもっと詳しく紹介しますね!
目的と魅力
ドリフトダイビングの目的は、流れが速いポイントに集まる大物を見ること!
ドリフトダイビングをできるようになると、水族館でも見られないような生き物たちに生で会えるようになります!
ドリフトダイビングで見られる生き物たち
- ハンマーヘッドシャーク
- マンタ
- バラクーダ
- ギンガメアジ
- ロウニンアジ
- カジキ
- イソマグロ
こうした大物たちは潮の流れの速い外洋にいることが多く、会いに行きたければドリフトダイビング必須。
吐いた泡が真横に流れていくような激流を乗りこなし、ハンマーリバーに出会えたときこみ上げる感動……
ギンガメアジがまるでひとつの生き物のようにトルネードしているかと思えば、サメが飛び込んできてバッと散っていく……
バラクーダと並んで泳ぎ、マンタが頭上をかすめていく……
ドリフトダイビングにはダイビングの魅力がぎゅぎゅっと詰まっています!
注意点
ドリフトダイビングでは潮の流れの速いポイントに飛び込むことになります。
泳がなくても進めるときはとても楽ですが、特有のリスクもあります。
この章で注意点を確認しておきましょうね。
エントリーのタイミングを合わせる
ドリフトダイビングでは、全員がなるべく同じタイミングでエントリーすることが大切です。
最初の人がエントリーしたあと、次の人がなかなかエントリーできないでいると最初にエントリーした人がどんどん流されていってしまい、合流できなくなる可能性があります。
水中で集合するよう決めていた場合、最初の人が気づかず潜降してしまい、最悪、ロストする可能性もあります。
全員で「せーの!」で飛び込むか、それができないほど人数が多かったり船が小さければ、前の人がエントリーしてすぐエントリーするのが鉄則です。
ドリフトダイビングでは前の人は潮に流されていくので、ぶつかる可能性はあまり気にしなくて大丈夫。はぐれないことを最優先に考えてください。
疲労
ダイビングの原則は「ゆっくり動き、ゆっくり呼吸する」なのですが、ハンマーヘッドシャークなどの大物を追いかけるとき、どうしても流れに逆らって泳がなければいけないことがあります。
いくらフィンをつけていても、流れに逆らうのはめちゃくちゃ疲れます。
そうすると、呼吸が激しくなって酸欠で頭がぼーっとしたり、足がつったりするんですね。果てにはパニックになってしまうことも。
たくさん泳いだときは呼吸が速く浅くなってしまいます。
陸上ではそれで問題ないのですが、レギュレーターからは陸上ほど空気をうまく吸えないので絶対に無理はせず、まずいと思ったら少しスピードを落として、早めに息を整えましょう。
はぐれる
流れの速い海域でグループとはぐれてしまったら…?
想像もしたくないおそろしい事態ですが、ありえないことではありません。
ダイビング中はぐれてしまった場合、1分間あたりを探し、見つからなければゆっくりと浮上するというルールはドリフトダイビングでも変わりません。
水面に出たらBCに空気を入れて、シグナルフロート(サーフェスマーカーブイ)やダイビングミラー、ホイッスルなどでボートに合図を送ってください!
エキジットするときのボートの動き
ドリフトダイビングでないボートダイビングの場合、ボートがブイに固定されているので、ダイバー側からボートに近づいてエキジットします。
しかし、ドリフトダイビングの場合はボートはブイに固定されておらず、ボート側からダイバーに近づいてきてもらいます。
このとき、ボートのスクリューが回っていることがあります!危ないので指示があるまで動いてはいけません!
ボートが近づきやすいよう、水面に集合したら小さくまとまり、ボートの動きをよく見て、指示を待っていてくださいね。
必要な器材・スキル
必要な器材
ドリフトダイビングに必要な器材はシグナルフロート(サーフェスマーカーブイ)、ダイブコンピューター、スノーケルの3つです。
フロートは万が一、グループからはぐれてしまったとき、ボートにむかって合図を送る際に使います。
安全管理に絶対必要な器材です!一人一本必ず持ちましょう!
水面では色が暗いダイバーは目立たないので、派手なオレンジ色で2メートルほどの長さがあるフロートがあるとないとでは発見してもらえる確率が全然違います。
フロートはくるくると丸めてBDのポケットなどすぐ取り出せる場所に入れておきます。ドリフトダイビングのときだけでなく、普段からずっと持っていてもいいですね。
ダイブコンピューターは、いま自分がいる水深を正確に教えてくれます。
ドリフトダイビングは透明度がよいところで行なうことが多いので、流れに身を任せられて楽ちんな反面、いつの間にか水深30mまで潜ってしまっていた、ということが起きてしまうこともあります。
また、浮上しているつもりがダウンカレントという水底に向かう流れに引っかかって実はどんどん水深が下がっていた、ということもあります。
そうなった際にすぐ気づいて水深をコントロールできるよう、ダイブコンピューターも必須の器材です!
スノーケルは、万が一、漂流してしまったときに使います。
何事もなくエキジットできるときはレギュレーターをくわえて水面移動をすれば問題ないのですが、グループからはぐれてしまったりボートを見失ったりした場合、タンクの空気を使い果たしてしまい、レギュレーターが使えなくなる事態がありえます。
海が荒れて波が高い日は、BCをパンパンに膨らませていてもスノーケルがないとすごく呼吸しづらいものです。
何かあったときに備え、スノーケルは絶対につけておきましょう。
あると便利な器材
必要とまではいかないもののあると便利・楽な器材はボートコート、笛・ホイッスル、ミラー、推進力のあるフィンです。
ドリフトダイビングは外洋ですることはほとんどで、ボートで30〜1時間以上かかることもあります。
夏場でなければ、濡れたまま移動して体が冷えてしまわないようボートコートを持っていきましょう!
持っていなければウインドブレーカーやマウンテンパーカーでもOK!
気温が高くても濡れた体で風邪を浴びていると結構寒くなりますからねー。
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笛・ホイッスルは通常、BCにセットとなっていると思います。
知らなかったという人はご自分のBCを確認してみてください!
ドリフトダイビングでは、エキジットする場所や時間帯をボートに残るスタッフと事前に決めておきます。
予定より早くエキジットしたとき、笛があればボートに残っているスタッフに素早く合図を送ることができます。
同じ理由でミラーもあるに越したことはありません!
太陽光を反射させることでボートに合図を送れます。
遭難したときには救助ヘリに合図を送ることもできますので、フロートや笛とあわせて持っていると二重三重に安心できます。
ドリフトダイビングでは、通常よりフィンにこだわってほしいと思っています!
理由は2つあって、1つ目は流れに立ち向かえる推進力が必要なこと。
初心者用として買ったフィンではどれだけ必死に泳いでも進めないことがあるんです。
2つ目は、フィンの脱ぎ履きにかける時間をなるべく短くする必要があること。
ドリフトダイビングでは、漂流のリスクがあるため、グループ全体のエントリー・エキジット時間をなるべく短くしなければなりません。
そのため、さっと履けてさっと脱げるフィンのほうがオススメ。
上級者の多くはフルフットフィンを使っています!
中でも、水をとらえる部分が大きいワープやバラクーダはドリフトダイビングに特化していると言えます。
でも、長いフィンは脚力が必要。普段から足を鍛えていないと疲れてしまい、逆に全然進めなくなってしまいます。
「ドリフトダイビングだけじゃなくビーチダイビングでも使いたい」「写真を撮るために小回りの利きもほしい」といった思いもあります。
フィン選びは、スピード、力強さ、小回り、カラーバリエーションなどのバランスをどう取れば自分にあうかを決めることです。
欲しいフィンを使っている身近な先輩・後輩に使い心地を聞いたり一日貸してもらったり、インストラクターさんや器材ショップに相談してみてくださいね!
必要なスキル
ドリフトダイビングでは常にグループと一緒に行動することが重要です。
講習の中で以下のスキルを身につけましょう!
- スムーズに潜降できること
「耳抜きが苦手なんだけどみんなに遅れずついていけるかな……」
そんな不安がある人もいるでしょう。ロープなしでの潜降は、慣れていないとかなり緊張します。
インストラクターさんもなるべく全員に目が届くように目を光らせていますが、人数が多くなると難しいことも……
ドリフトダイビングには、インストラクターさんに補助してもらわなくとも一人で潜降から水中での集合までこなせるようになってからチャレンジしたほうがよいでしょう。
- インストラクターの指示を常に見ること
ドリフトダイビングでは、潮の流れを避けられる岩陰に隠れてターゲットの生き物を待ち、3,2,1の合図で全員一斉に飛び出すようなことがあります。
その際、グループに遅れないようインストラクターさんの指示を常に見られるような位置取りを心がけましょう!
インストラクターさんの少し後ろを泳ぎ、振り向けばすぐ表情が見えるような距離にいるようにしましょうね。
流れが速かったり、複雑だったりするときは、安全のため、隣の人に肩があたるぐらいビタッとくっついちゃってください!
- どこにもつかまらず安全停止できること
ドリフトダイビングでは、安全停止のとき、なにかにつかまれることのほうが少ないです。
中性浮力をとりながら安全停止をできるよう、普段のダイビングから練習しておきましょう!
このとき、深度を確かめようとダイコンをじっと見ていたらいつの間にか浮いてしまっていた、なんてことが多いのです。
ダイコンだけを見ているのではなく、周りの景色の変化や水面に浮かぶゴミやプランクトンとの距離にも気を配ると深度を上手に保つことができます!
特に、インストラクターさんは必ず安全な深度を保っているはずなので、ダイコンよりもインストラクターさんに合わせるほうが上手く安全停止できます。
より楽しむテクニック
- いつもの3倍くらい周囲を見る
ターゲットの大物はいつ、どこからやってくるかわかりません。
後ろから来るかもしれない、上からやってくるかもしれない。
だから、ドリフトダイビング中は周囲を常にキョロキョロしましょう!(もちろん、インストラクターさんの指示を見落とさない程度にね★)
何百回も潜っているインストラクターさんだって人間ですから、見落としてしまうこともあります。
そういうときはあなたが見つけてあげるんです!そうするとみんなハッピーになれます!
僕は小笠原でミナミハンドウイルカの群れを見つけてちょっぴりヒーロー気分になれましたっ。
ただ、あまり首を回しすぎるとめまいの原因になってしまいます。くらっときたらインストラクターさんを見つめて、一度体制を立て直すのがミソですよ。
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- インストラクターにぴったりくっつく
必要なスキルの項で書いた「インストラクターの指示を常に見ること」とは少し意味合いが違います。
ドリフトダイビングの目的は、ドリフトダイビングでしか見られない大物を見ること、でしたよね。
先ほどは誰でも大物を見つけるチャンスがあると書きましたが、一番最初に見つけるのはたいていインストラクターさんです。
なので、インストラクターさんにぴったりくっついておけば、大物が出たときに一番に教えてくれますし、一番に駆け出せてより近くで大物を見られます。
海の生き物はダイバーを見るとだいたい逃げます。1.5m以上もあって、ブクブク泡を吐いているなんて不気味ですもんね。
周りのダイバーから出遅れるほど生き物は逃げていき、ターゲットに近寄れるチャンスは減ってしまうので、一番に駆け出すのが肝心ですよ!
- 魚に近づくときは同じ向きで
魚が警戒しないように近づくためのポイントは、同じ方向に泳ぎながらそーっとです。
正面から向かっていったり、上下から近づいてしまうと「敵に襲われた!」と思われて逃げられてしまいます。
同じような動きをして少しでも仲間に似せ、警戒を解きましょう!
- 船酔いしないよう全力を尽くす
ドリフトダイビングに限らずボートダイビング全般に言えることですが、船酔いしたらダイビング楽しくない。
船酔いしないように全力を尽くしましょう。
酔い止めの薬を飲み、揺れにくい船の真ん中付近に座ったり、遠くを眺めたり。
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