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九鬼のダイビングスポット情報

海について

穴場絶景スポットとの呼び声も高い、三重県の小さな漁村・九鬼(くき)。
その水中地形は起伏に富み、ウミウシをはじめとする小さな生き物から、迫力ある回遊魚の群れ、そして、憧れのウミガメまで、様々な生き物が息づいています。

そんな九鬼のダイビングスポット情報をその魅力とともにご紹介します。

ダイビングの基本情報から、季節ごとの見どころをまとめたシーズナリティ、ダイビングポイント紹介まで、海の情報満載でお届け!

九鬼の概要

九鬼の港

九鬼は、紀伊半島の東側に位置する、三重県尾鷲市内の人口約400人の小さな港町です。
緑あふれる豊かな自然が広がる九鬼を歩くと、昔ながらの素朴な瓦屋根の街並みやエメラルドブルーの海に漁船が浮かぶ漁港といった、古き良き日本の、どこか懐かしい雰囲気を感じることができます。

このノスタルジックな雰囲気がじわじわと人気を得て、今では穴場観光スポットとして紹介されることもしばしばです。

そんな九鬼ですが、歴史にはじめて登場したのは戦国時代。
織田信長の水軍として、最強の勢力を誇った九鬼水軍です。
九鬼水軍を率いた九鬼氏は歴史とともに様々な変遷を辿りますが、九鬼は九鬼水軍発祥の地として、今も語り継がれています。

そして、沿岸海運が発達した江戸時代には、江戸ー大阪間を結ぶ交易航路の中継拠点として発展。
明治から昭和にかけては、日本ブリ三大漁場のひとつとして数えられ、この小さい漁村に3000人以上もの住人で賑わいました。

そんな豊かな豊かな海の姿は健在で、海に潜れば密度の濃い回遊魚の群れと出会えることも。
天然の良港として栄えた九鬼、その水中には様々な生き物が息づいています。

九鬼ダイビング基本情報

九鬼のソフトコーラルとキンギョハナダイ

九鬼のダイビングは、リアス海岸が特徴的な九鬼湾が舞台。
熊野灘に面するこのエリアは、南から流れてくる黒潮の影響で、冬でも比較的温暖な水温です。

九鬼湾の南北にダイビングスポットが数多く点在し、ボートダイビングが主流。
ダイビングポイントまでは、遠い場所でも港から船で10分ほどで到着するので、船酔いが心配なダイバーも安心です。

水中は色とりどりのソフトコーラル、エダサンゴの群生、タイミングが合えば魚の大群やアオウミガメとの遭遇も!
その他、多くのウミウシや甲殻類などの小さな生き物も豊富です。

生き物観察をじっくりしたいダイバーから、四季折々の風景を思う存分写真撮影したいダイバーまで、色々な楽しみ方ができる海です。

また、水面休息中は心地よい鳥の鳴き声や風の音が聞こえ、リラックスできるところも九鬼の特徴と言えます。

ダイビングのシーズナリティ

九鬼の海の魅力を春夏秋冬に分けて、ご紹介します。

九鬼のダイビングのシーズナリティー表

春の九鬼

九鬼で撮影したサクラミノウミウシ
サクラミノウミウシ

少しばかり春濁りの影響を受けますが、様々な生き物のシーンを観察できる時期です。
ダイビングポイントによっては、テンジクダイの仲間が目の前を覆い尽くすような群れとなって現れます。

また、ネコザメとの遭遇率が上がり、産卵期に岩と岩の間を探せば、ドリルの様な形状をしたネコザメの卵を発見できるかもしれません。

まだ水温の低いこの時期は、サクラミノウミウシなどミノウミウシの仲間や、ピカチュウの愛称でダイバーにはお馴染みのウデフリツノザヤウミウシなどを見つけることができます。

さらにビーチポイントでは、この時期にしか見ることのできない、ホンダワラに産み付けられたアオリイカの卵を見ることができ、運が良ければ産卵シーンに立ち会えるかもしれません。

夏の九鬼

九鬼で撮影したワラサ(ブリ)

潮の流れが時折早くなることがあるため注意が必要ですが、水中は一気に盛り上がりを見せます。

ワラサ(ブリ)やカンパチ、シマアジなどの大群に出会える確率が最も高い時期で、水中が賑やかに。
深場では、美しいカシワハナダイやスジハナダイが出始めます。

また、大きく広がるイソバナをよく観察すると、そこを棲家にした甲殻類もよく見つけられるシーズンです。

ウミウシは、春によく見られていたミノウミウシの仲間に加え、リュウモンイロウミウシやシモフリカメサンウミウシなどのウミウシが多くなります。

迫力のある光景から、手元の小さい生き物まで、水中を一番楽しめるシーズンです。

秋の九鬼

九鬼で撮影したミナミハコフグの幼魚
ミナミハコフグの幼魚

水温がまだ高いこの時期は、ウミウシの姿こそ減り始めますが甲殻類は健在。
9月頃まではナシジイソギンチャクに目を凝らすと、擬態上手なアヤトリカクレエビの姿を見つけることができます。

さらに、黒潮の影響で南方系の魚のかわいい生き物に出会えることも。
黄色のボディに黒のドットがかわいいミナミハコフグをはじめとした、さまざまな幼魚を観察することができます。

台風の日を除けば透明度の高い日が多く、20m先を見渡せる日もしばしばです。

冬の九鬼

九鬼で撮影したウデフリツノザヤウミウシ
ウデフリツノザヤウミウシ

穏やかな海況の日が続き、近年は冬でも水温16℃を下回ることがなく、ダイバーの数も少なくなるので快適にダイビングを楽しめるシーズンです。
水温が下がり始めるとミノウミウシの仲間が多くなり、カノコウロコウミウシやチャシボリガイなど、めったに見かけないようなウミウシにも出会えることも。

また、壁一面を埋め尽くすように生えたソフトコーラルはまさに満開の花のようで、少し早いお花見気分を味わうことができます。

ウミウサギガイの仲間の種類が増えてくるシーズンなので、ソフトコーラルの中を探せば、きれいな模様のウミウサギガイの仲間を見つけることができるでしょう。

ダイビングポイント紹介

九鬼の代表的なダイビングポイントを3つご紹介します。

アミヨコ

九鬼で一番人気のダイビングポイントです。

内海のため風やうねりの影響を受けにくく、クローズになることが少ないことが特徴。
台風シーズンを除けばオープン確率はほぼ100%と言って良いでしょう。

水深16mを境に砂地とゴロタに分かれ、ゴロタではさまざまな魚の群れを見ることができるほか、アオウミガメの姿を時折見かけることもあります。

ゴロタ:大きめの岩や石のこと。ビーチの砂利止めなどに利用されることも多い。

砂地ではハゼ類やテンスを観察することができ、さらに深場の根にはコブダイが出現することも。

ウミウシや甲殻類などの小さい生き物も豊富で、何回潜っても飽きることがないポイントです。

【エントリー・スタイル】ボート(港から約5分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】28m
【流れが出た場合】流れてもコース取りに影響を与えない程度
【ナイトダイビング】×

九鬼、アミヨコのオープン確率

マナイタ

水中には横から見ると船のような形をした高さ15mほどの根があり、根の周りには多くの魚の群れています。
また、壁面では多くのウミウシを見つけることができます。

根:岩礁や岩など、水底から大きく隆起した場所のこと

その根からさらに15mほど離れた場所には幅10mほどの、中央がアーチ状になった根があります。
この根にもウミウシが多く、ワラサの大群やアオウミガメと遭遇することもあります。

生き物も地形も楽しめるダイビングポイントです。

【エントリー・スタイル】ボート(港から約7分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】28m
【流れが出た場合】流れてもコース取りに影響を与えない程度
【ナイトダイビング】×

九鬼、マナイタのオープン確率

ウメ島

東西に大きな根があり、1ダイブでは回りきれない広大なダイビングポイントです。

浅場の岸壁にはウミウシの数が多く、次々と見つけることができるので、気づいたら1ダイブ終わっていたなんていうことも珍しくありません。
また、同じ岸壁には幼魚の隠れ場所になっている場所もあり、幼魚のかわいい姿を観察することもできます。

根の上にはシラコダイをはじめとしたチョウチョウウオの仲間やキンギョハナダイが乱舞し、賑やかな光景が広がります。

深場ではカシワハナダイやスジハナダイの姿が見られる時期もあり、夏になるとワラサの大群に出会えるチャンスも!

【エントリー・スタイル】ボート(港から約7分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】35m
【流れが出た場合】流れによってダイビングを中止する場合がある
【ナイトダイビング】×

九鬼、ウメ島のオープン確率

その他のダイビングポイント

アカオジ、あかねの森、中鼻、中鼻NO2、蛇の口、ミトー島、殿浜、小坊主、タテカベ礁、九鬼崎、MTK前ビーチ
2022年7月現在潜水不可:立神、ナサ崎

九鬼へのアクセス情報

車でのアクセス:
最寄りのインターチェンジは三重県の紀勢自動車道、熊野尾鷲道路の尾鷲北インターチェンジです。
インターチェンジからは国道425号を進み「坂場」を右折、国道42号の「新矢ノ川橋西」を左折し国道311号へ。八鬼山トンネルを抜けて国道311号を進むと九鬼のダイビングスポットに到着します。
インターチェンジからは約15分です。
ダイビングサービスに無料の駐車場がありますので、予約時に確認してみましょう。

電車でのアクセス:
最寄り駅はJR紀勢本線の九鬼駅です。
九鬼駅からは国道311号を経由して徒歩約15分でダイビングスポットに到着します。
駅から送迎可能なショップもあるため、事前に確認しましょう。

九鬼の観光情報

九鬼、オハイの絶景

九鬼には最近SNSで話題となっている隠れた絶景がいくつか存在します。
そのひとつが「オハイ」と呼ばれる、断崖絶壁の間にエメラルドブルーの美しい海が眼下に広がる絶景の秘境です。
崖の上からでも魚が見えるほどの透明度の高い海を見下ろすことができ、通称「オハイブルー」と呼ばれています。
九鬼町の山奥にあり、片道2時間ほどの登山になりますので、ダイビングとは別日に散策することをおすすめします。

▶オハイ(https://www.city.owase.lg.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=17790

もうひとつの絶景ポイントは九木神社です。
菅原道真が祀られているこの神社は古くから住民たちに愛されており、境内の樹叢(じゅそう)は国の天然記念物に指定されています。
境内の樹叢ももちろん見ごたえがあるのですが、境内に続く階段を登りきったところで後ろを振り返ると、鳥居越しにエメラルドブルーの漁港と、緑が生い茂る山々を見渡せる絶景が広がっています。

▶九木神社(https://www.city.owase.lg.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=17616

九鬼のある尾鷲市は古くから漁業が盛んで、美味しいお魚がいただけるお店が数多くあります。
その中でもおすすめなのが「食事処 おふくろ」。
新鮮なお魚やエビなどをたっぷり使用した海鮮丼はボリューム満点で、大満足できる一品です。
その他、お寿司や定食や丼もの、麺料理なども豊富。夜は居酒屋として一品料理も楽しめます。

そしておわせお魚いちばおととの中にある「おわせ魚食堂」は、魚料理が中心の人気店です。
営業時間が11時から14時までのランチ営業になりますが、「新鮮なお刺身や海鮮丼が安くて美味しい!」と評判。なんとワンコインで食べられるメニューもあります。

▶︎おわせ魚食堂(http://e-ototo.jp/?mode=f4)

情報提供:SPORTS MAN CLUB MTK(https://club-mtk.com/

写真提供:SPORTS MAN CLUB MTK、三重フォトギャラリー(https://photo.mie-eetoko.com/

ScubaMonsters編集部

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