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100種類突破!キミダレ!?開始1ヶ月を経過して

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2022年5月末から人知れずスタートしたのがこちらのサービス。
名前がわからない生き物の写真をLINEで送るだけで名前を教えてもらえる、キミダレ!?です。

あまり目立たないのにも関わらず、スタートから1ヶ月余りで100種類を超える海の生き物の写真をお送り頂きました。

「どこにでもいる魚なのに聞いても良いのかな?」
「こんなウミウシの名前もわからないなんて、って思われたらどうしよう……。」
「うまく撮れている写真じゃないから……。」

そんなダイバーのためにスタートしたサービスです。

もちろん珍しい生き物も大歓迎ですが、特に初心者の方に、珍しくはなさそうで人に聞きづらい生き物の名前を尋ねて欲しくて、オープンな知恵袋形式ではなく、クローズドなLINEによる1対1のコミュニケーションを採用しました。

実際に、キンギョハナダイやネンブツダイ、シロウミウシなど、伊豆などで一般的に観察できる生き物についても、多くの質問を頂いております。

気軽に名前を聞いて、気になった生き物の名前を知る所から、生物観察の楽しみを深めていっていただければ嬉しいです。

回答陣は、こういった初歩的な質問をいただくと「ようこそ、生き物の世界へ!」とテンションが上がってしまう生き物愛に溢れた方ばかりです。(大前提として、この生物愛あってこそのサービスです!)
そしてもちろん、気づきのある質問をいただいた際には、時を忘れて盛り上がってしまうことも……笑。

ちなみに、回答をお願いしている専門家の方々には質問者の名前もお伝えしていないので、面識があるから聞きづらい、というかたもご安心くださいね。

今後もどしどし質問をお待ちしています!

印象的だった生き物たち

ここからは、これまでにご質問いただいた生き物のうち、印象的だったものをご紹介して行きたいと思います。

ウルマカサゴorオニカサゴ属未同定種

サービス開始直後にご質問頂いた写真です。

胸ビレの黒い斑紋からウルマカサゴの可能性が高いものの、この写真が撮影された海域ではよく似た未同定種(はっきりと種を判定できないもの。新種の可能性もある)が複数種確認されています。

決して派手な見た目ではなく、数が少ない魚というわけでもないため、ついスルーしてしまいがちですが、こうした生き物にも目を向けてみると、新たな発見の可能性がありますね。

「真横側から撮ると、ウルマカサゴかそれ以外の種か、形態の違いから分かる可能性が高い」と播磨先生が楽しそうに話していました。

キリアナゴ

キリアナゴだとすれば生態写真は非常に貴重な一方で、断定まではできなかったため、質問者の方から直接、神奈川県立生命の星・地球博物館「魚類写真資料データベース」に登録して頂きました。
そして、「魚類写真資料データベース」を運営なさっている瀬能先生よりキリアナゴで間違いない旨のご連絡を頂きました。

瀬能先生によると、キリアナゴ自体は珍しい種ではないものの、ダイバーが潜る場所とは生息場所が異なるためか、ダイバーの目に触れる機会は非常に少ないそうです。

また、現在のところ、「魚類写真資料データベース」に登録されている生態写真は沖縄県で撮影された写真のみで、奄美大島で撮影されたこの写真は貴重な写真と言えるでしょう。

ブダイ属の幼魚

チビブダイ、タイワンブダイの可能性が高く、ほかにスジブダイ、カワリブダイ、ブダイの幼魚の可能性がある魚だと、播磨先生と有馬先生が子どものようにはしゃぎ始めました。
どの種類だとしても、幼魚の生態写真はなかなか撮影されておらず、成長過程が分かっていないので、貴重な資料となる可能性を秘めた写真でした。

ただし今回の写真は、写真から読み取れる情報が足りず、種の確定には至りませんでした。

ブダイの仲間も、ついついスルーしてしまいがちな生き物ですが、知らず知らずのうちに貴重な瞬間を目撃している可能性があるということですね。

写真のクオリティーについて

「うまく撮れている写真じゃないから……。」

こう思って質問できないというのは本意ではないため、どんな写真でも大歓迎です。

例えばこんな写真でも……。

ちなみにこれは、ダイビングを始めて間もない頃の僕が撮影した写真です。
こうして写真を撮って、絵合わせして、と繰り返しているうちに魚に詳しくなっていった、思い出の、原点とも言える写真。
恥ずかしいですが。(笑)

ただ、写真の撮り方によっては正確に絵合わせすることが難しいことも事実です。
特に、最近はデジタルカメラの性能向上のためか、インスタ映えを意識して明るく華やかな写真が好まれるためか、露出(写真に取り込む光量)がオーバー気味の写真が多い印象があります。

もちろん、自分が表現したいように水中撮影を楽しんで欲しいですが、絵合わせを目的とするならば、正確な色や細かな模様を認識できることが必要です。
しかし、露出オーバーだとこれらの情報が消失してしまい、絵合わせができないことにもなってしまいます。

絵合わせのための写真の撮り方と、インスタ映えする写真の撮り方には相反する点もありますが、是非絵合わせのための写真も1カット撮影することに挑戦してみて頂ければと思います。

絵合わせのための写真の撮り方については、後日詳しく解説する記事も準備したいと思っていますので、どうぞご期待ください。

さいごに

生き物の名前を知ることは、生物観察の深みへの第一歩。
名前がわかる生き物が増えれば、名前がわからない生き物が浮き出てくるため、さらなる興味への無限ループを楽しむことができます。
また、ちょっとした違和感から、思わぬ大発見に気付くことができる可能性もあります。

是非みなさんも、生物観察の楽しみを深めてみてくださいね!

尚、回答をお願いしている方々のご厚意で成り立っているサービスです。
質問が多数寄せられた場合や、これからのハイシーズンは、どうしても回答が遅くなってしまう場合がありますが、ご容赦ください。

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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