小笠原諸島・母島の魅力を全力レポート!ダイビング中のザトウクジラ遭遇も夢じゃない
東洋のガラパゴスと称され、地球が誕生して以来一度も大陸と繋がったことのない絶海の楽園。
それが日本の誇る世界遺産、小笠原諸島です。
小笠原というと東京の竹芝桟橋から1週間に1便のおがさわら丸(定期船・通称おが丸)に乗り込み、24時間の船旅を経て辿り着く場所として知られています。
その24時間の船旅で船が着く場所は、小笠原諸島の玄関口、父島です。
まだその先があることはみなさんご存知でしょうか?
父島からフェリーに乗り換え、さらに南にくだること2時間。
そうしてやっと辿り着く、母島という秘境を。
こんにちは!
Under Water Creatorの茂野です。
今回は僕が日本で1番好きな海、小笠原諸島の海をご紹介します。
どれくらい好きかというと、ここ数年は、毎年3回以上訪れ撮影を続けているほど!
最近特にハマっているのが、秘境中の秘境、母島でのダイビングです。
母島の海はまさに手付かずの海です。
ダイビングショップも島に1軒しかありません。
ダイバーの数が圧倒的に少なく、本当にありのままのワイルドな海が広がっています。
ただワイルドといっても、粗野で荒々しいだけじゃない。
美しい白い砂地や心落ち着く景色があったり、穏やかで鮮やかな景色もあったりもする。何本潜っていても本当に飽きない場所です。
(正直あまり教えたくないという想いもあるくらい……!)
今回は、2021年2月に行った取材成果に、昨年同時期に滞在した際の情報も交えて、より母島の海が好きになっちゃう!?レポートをお届けします。
まだ情報が少なく、あまり知られていない母島。
僕が見て感じた母島の海の魅力を存分にお伝えしていきたいと思います!!
母島に惹かれたワケ
僕が母島に入れ込んでしまったきっかけは、野生味あふれるありのままの海もありますが、やっぱり「水中クジラ」。
はい、ダイビング中にザトウクジラに出会ってしまったんです。
今年、去年ともに、僕が母島を訪れたのは2月の中旬、まさにクジラシーズンど真ん中!
母島は日本でも有数のザトウクジラが多い海域で、沖へ出れば必ず数頭は視界に入るというほど。
しかも、ダイビング中に遭遇することは、決して珍しいことではありません。
(……と言いながら実は、今年の滞在では水中クジラ、叶わず。海況が悪く透明度も落ちてしまいダイビングにも苦戦するという状況でした。ただ、水中でイルカに会うことが出来たり、サンセットホエールウォッチングといった今まで味わったことない新たな魅力も開拓出来たりしました!!)
ダイビング中にザトウクジラと遭遇できる可能性がある海は、世界的にみても稀でしょう。
ダイビングポイント以外でエントリーすることもありません。
ダイビング中にクジラに会える!
ザトウクジラと言えば、「ホエールウォッチングしたことあるよ」「ホエールスイムはしたことあるよ」という方もいるかもしれませんが……
ダイビング中にザトウクジラって凄すぎませんか!?
もちろんホエールスイムも感動的ですし、面白いんですが、個人的には、また全然違った感動がありました!
しかし、ダイビング中ならクジラと同じ水深、目線で遭遇することができる!
クジラと正面から水中で対峙することができるんです!!
まさに水中というクジラの生きるフィールドにお邪魔させてもらっている感覚。
水中で見るザトウクジラはただただ美しく、神々しく、畏敬の念を覚えるほど。
水中では、クジラが通る瞬間までは魚影豊かで賑やかだった母島の海が、”しーん”と静まり返るような気配があります。
もしかしたら、僕らが感動のあまりクジラ以外、目に入ってない可能性もありますが。
奇跡とも呼べるダイビング中でのザトウクジラとの遭遇。
一生忘れられない経験になること間違いなしです!
ちなみにこの写真で出会ったザトウクジラは狙って潜っていたわけではなく、この「蓬莱根の沈船」という美しい白い砂地に沈む沈船ポイントで出会いました。
このポイントは沈船、ヨスジフエダイ、白い砂地などのコントラストが美しく、コガネヤッコなどのマクロも面白いポイントです。
しかもドリフトではなく、ブイに船を係留する穏やかな場所なので初心者でも楽しめる場所です。
ここで潜って安全停止をしている最中にザトウクジラに出会いました!
もちろん、ザトウクジラを狙ってダイビングをすることはありませんが、遭遇率の高いポイント潜ることや、安全停止中にドリフトで流すといったような計画の立て方をすることはあります。
基本的には、僕らのところにクジラが来てくれるのを待つダイビングです。
それでも出会えるんだからホントに凄いと思います!
ここで気になるのがどのくらい遭遇できるのか?
ということですよね。
僕の確率で言うと、昨年は8日間の滞在でダイビング中、ザトウクジラに会えたのは4回、今年は3日間で0回です。
運まかせにはなりますが、それだけチャレンジしてみる価値がある。
見られた時の感動は、大きい経験になると思います!
水中で会えなくてもホエールウォッチングが面白い!
水中でのザトウクジラには会えなかったとしても、船の上からは……
2〜3月はほぼ100%見れると言っても良いと思います!!
ザトウクジラは例年12月から4月まで繁殖、子育てのため小笠原諸島にやってきます。
子育てをする場所として母島の港がある西側のエリア、属島(ぞくとう)に囲まれた湾のようになっている場所が適しているのか、多くのクジラが滞在します。
このクジラをダイビングに行く途中やお昼休憩に存分に楽しむことができます。
あっちでテール(尾ビレ)を上げたと思えば、
こっちでは子クジラがブリーチ(水面からジャンプ)!
遠くではヒレを高くあげてペックスラップ(胸ビレを海面に打ち付ける)を。
こんな感じで本当にあちらこちらにザトウクジラがいるんです!
ダイビング中だけじゃなくて、サーフタイムや移動中も気が抜けないほど面白いのが母島のダイビングの特徴です。だんだんクジラが周りを泳いでるのが普通になってきて、ブロー(潮吹き)くらいじゃ見向きもしなくなってくるので贅沢です。
鯨類はクジラだけじゃない!ミナミハンドウイルカに遭遇!
小笠原諸島で見られる鯨類はザトウクジラだけじゃなく、イルカも多い。
特に夏場の母島では人懐っこいミナミハンドウイルカはもちろん、ちょっとシャイなハシナガイルカとも泳ぐことができます!
ザトウクジラ同様、ダイビング中に遭遇することも!
これは1年前にダイビング中に出会ったミナミハンドウイルカですが、急にダイバーのチームの中の中心に入ってきて、少し一緒に泳いでは去っていきました!
そして、印象的だったのが、母島から遠征した妹島の海域での出会い。
ボートでポイントを移動している時に2頭のミナミハンドウイルカと遭遇。船にピッタリと寄り添ってきたため、スキンダイビングの装備でドルフィンスイムをしてみることに!
海に入ると、すぐにミナミハンドウイルカは僕らに寄ってきました!
母島はダイバーや観光客、漁師さんの数が父島に比べても圧倒的に少なく、イルカたちも人を見ることが稀なのか僕らに興味津々!
ちょっと潜ろうものなら、すぐに追いかけてきたり……
なんと30分近くも僕らの周りをぐるぐるとずっと泳ぎ続けました。
ドルフィンスイムではイルカが人間に飽きて、ふいといなくなってしまうことが多いもの。
でも今回は逆に人間がイルカに飽きて船に戻って行く人がいたほど!(笑)
なんて贅沢過ぎるんだろう!?
この後もイルカは遊び足りなかったのか、ずっと船から離れず、ダイビングポイントまで付いてきました。
ダイビング中にもチラチラ姿を現し、本当に可愛い子達でした。
こういうサプライズがあるから、小笠原の海は潜り続けちゃうんですよね!
感動のサンセットクルーズ!
今回、僕も初めて体験したのがサンセットホエールウォッチング!
ダイビング船で沖へ出て、日が沈むまでホエールウォッチングを楽しむのですが、これが感動的過ぎてやばい!本当にやばいんです!
こんなメディアの記事にやばいなんて表現を書いて良いのかわかりませんが、とにかくやばいんです!!
今思い出しただけでも涙が出てきそうなほど感動的な光景でした。
小笠原特有の真っ赤に染まる夕暮れの空。
耳を済ませば聞こえるの穏やかな波の音とクジラのブローの音。
そして小笠原諸島のダイナミックな地形、夕暮れ時でもわかる青く濃い海、そしてクジラたちの楽しそうなアクション。
どれか1つだけでも感動的な光景なのに、すべてがうまく組み合わさるんです。
息を呑むような絶景なのにエモさもあって、静かなのにどこか躍動的。
最後は水平線に沈む夕日を眺めて、港へ戻ります!
この日は雲1つない快晴でしたが、雲がある日はある日でピンク色に空が染まって美しいんですよ!
いつでも開催されているわけではありません。
海況が良い日など限定ではありますが、タイミングが会えば、絶対にやったほうが良いと思います!
ありのままのワイルドな海がすごい!
もちろん小笠原諸島・母島のダイビングは鯨類だけじゃない!
魚影や地形、深く濃く青いボニンブルーの海。
どこを取ってみても、どこにも引けを取らないものすごい海です!ここまでクジラを推しておいて何なんですが(笑)、クジラばかりに目を奪われていると本当にもったいないので、クジラは会えたらラッキーくらいで挑戦するのがおすすめです。
まずは、とにかく魚の量が圧倒的!
父島でも魚の量はすごいと思っていましたが母島は段違いに多い。
しかも魚の量が多いだけではなく、とにかく様々な種類の魚がグチャグチャと集まり群れている!
まるで魚たちが場所の取り合いをするように隠れ家を競い合っています。
まるで黄色の壁のように群れるヨスジフエダイ!
回遊魚だけでなく、根魚が非常に多いのも小笠原らしい特徴の1つですね!
青い海とヨスジフエダイの黄色が爽やかに合う。
こういった根魚はどこのポイントを潜っても見れます。また回遊魚と違って穏やかなところにもいるので写真も撮りやすく楽しめます!
他にも魚だけではなくダイナミックな地形も多い!
僕が地形で好きなポイントは「向島マグロ穴」というポイントです。
(ケータ列島のマグロ穴とは別のポイントです)
写真のような長い亀裂の中を泳いで行くのですが、とにかく海の青とのコントラストが美しい。
時期によってはマグロが群れいたり、カッポレというシルエットがカッコいい魚やアオウミガメが休んでいたりすることもあり、地形と生物が同時に見れて面白い。
ちなみに同じ小笠原でも父島には地形ポイントは少ないため、こういう地形ポイントは母島ならではの特徴と言えます。
他にも「四本岩(しほんいわ)」や「舵掛(かじかけ)」といった複雑かつダイナミックな地形ポイントもあり、地形派も母島の海はめちゃくちゃ面白いと思います!
小笠原というとワイドのイメージが強いですが、もちろんマクロも面白いんです!
ミズタマヤッコやボニンハナダイといった固有種から国内では珍しいニラミハナダイやコガネヤッコ!
他にもヘルフリッチ(シコンハタタテハゼ)やピグミーシーホースといったアイドルが勢揃いしてます!!
滞在中の数ダイブはマクロに専念しても面白いと思います!
これ本当に面白い!
編集長の許可がおりれば小笠原でマクロの特集をやりたいくらい…笑
ダイブリゾート母島
母島にあるダイビングショップはダイブリゾート母島の1軒のみ!
母島でダイビングをする際はダイブリゾート母島に申し込みをします。
ショップは母島の中央にある港のすぐ近くにあり、更衣室やテラス、ショップ店内なども非常にキレイでめちゃくちゃ快適です。2021年にはカフェも併設してオープンしたため、より快適な空間になりました!
実は母島は1航海でも楽しめる
母島は小笠原の中でも遠いイメージがあるため1航海じゃ行けないと思っている方が多いのですが……
1航海(合計6日間)で最低でも7ダイブすることができます。
もちろん余裕がある人は2航海すると、様々なポイントも潜れてオススメです!
だけど1航海でも母島らしさを堪能することは出来るので、父島では潜ったことがあり次の海を探している方にはオススメです!
おが丸での快適な乗り方はこちらの記事に乗ってますので合わせてご覧ください!
まとめ
小笠原諸島・母島はクジラの楽園と言っても過言ではないほど、多くのザトウクジラが繁殖や子育てのためにやってくる。
もちろん、ザトウクジラに水中で出会えたら、それは本当に感動的な体験で一生忘れられないものになるでしょう。
しかし、母島の自然というのはどれも規格外。
本当に人の手が加えられていない、ありのままの海が広がっている。
秘境中の秘境、母島で本物の海を見るのは僕らにとって貴重な体験になるかもしれない。
取材協力:ダイブリゾート母島(https://www.diveresort-hahajima.com/)
■CHECK!■
今回ご紹介した母島でのダイビングの様子については、茂野優太さんのブログ&Youtubeでも紹介されています。合わせて、お楽しみください。
しげのゆうたの旅ブログ:母島のダイビングの魅力7選!手つかずの大自然残る圧巻の海
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