僕は好きなことを仕事にしていない。
よくダイビングと仕事の話になると……
「ダイビングのガイドさんって好きなことを仕事にしていて良いよね。」
「水中写真家の方は好きな海に潜りに行けるから良いよね。」
「でも好きなことを仕事にすると給料少ないから大変だよね」
と言われます。
しかし、ここで声を大にして言いたい。
少なくとも僕は好きなことを仕事にしているとは一切思っていない。
そして仕事を選ぶ時に
「”やりがい”か? それとも”給料”か?」
まるで仕事を”やりがい”と”給料”のトレードオフのように感じている人が多い気がする。
本当にそうなのだろうか?
「ダイビングとは遊びである。」
「ダイビングとは仕事である。」
そんな矛盾を抱えているダイビングという遊びから”仕事”について僕たちは考えていきたい。
新企画!ダイバー仕事名鑑はじまるよ!

こんにちは。
ダイバーズ学園でライターをしています茂野優太(通称しげ)です。
いきなり冒頭では暑苦しい話をお聞かせして、大変申し訳ございません。
急になにかと思いますよね?
改めてごめんなさい。
さて、ではなぜ今回こんな暑苦しい話をさせて頂いたかと言うと……
先日僕のTwitterで給料の手取りが15万円という話が話題になりました。
Twitterで手取り15万円が話題になってるけど…わりとダイビング業界では普通だとは思ってしまう。。。そして、それなりに楽しい。
もちろん、良いことではないんだけど、やっぱ大事なのは給料よりも主体的にその仕事を選んでるかどうかなのかな?
みんなもっと海の世界に来ちゃいなよ! pic.twitter.com/P3TPz5rL2S
— 茂野 優太 🐳海のカメラマン (@yuta3822) September 25, 2019
この手取り15万円に対して、多くの人がコメントをくれました。
例えば……
「15万円は安すぎる。」
「生活できないから辞める人が多い」
「でも、目の前で人が喜んでくれるってやりがいあるよね」
「でも好きなことでお金がもらえるって羨ましい」
そう本当にたくさんの意見がありました。
もちろん、どれもごもっともな意見で納得できるものです。
しかし、ここで疑問が。
ダイビング業界で働く人ってそんなに給料の事とか、好きなことを仕事にとか意識してるの?
(少なくとも僕はしてない)
ってかダイビングに関わる仕事をしているけど、 実はダイビングに関わる人の働き方や感じてる思いって意外と知らない。
もしかしたら、とんでもない魅力が出てくるかもしれないし、意外とくだらない理由で働いているかもしれない。例えばモテたいから。とか。
そこでダイバーズ学園では学生ダイバーのみんなに向けて
「ダイビング業界で働くってどうなの?」
というところに注目して水中写真家からガイド、器材メーカー、はたまた指導団体や旅行社など様々なダイビングに関わる人にインタビューをして行く新たな企画を始めます!
名付けて”ダイバー仕事名鑑”

その第1回目をなんとダイバーズ学園のしがないライター・しげが担当するわけになったのです。
さて、なぜ第1回目を僕が担当することになったかと言うと、
1つ目の理由がまだ誰もインタビューに出てくれる人が決まっていないこと。
→由々しき事態です。新企画なのに最初から難航中。
誰か出てくれる人がいたら泣いて喜びます。

2つ目の理由がとある会話がきっかけでした。
拓:そういえばしげの手取り15万って話ちょっと流行ってたよね。
しげ:そうですね。みんなダイビングの仕事に興味あるんじゃないですかね?
拓:新たに「ダイバー仕事名鑑」みたいな企画でいろんなダイビングを仕事にする人に話を聞いたら、どうかな?
しげ:それ超いいっすね。カワイイガイドさんとかにインビューしたい!
拓:じゃあ、決まり!1発目はしげの仕事に対する考え方で行こうか!
しげ:いやいやおかしいでしょ。普通は編集長からスタートじゃない?あなた自分の立場忘れてませんか?
拓:なんか、こういうくさいセリフを喋ったり、アツい思いを語れるのはしげの方が適任だと思うんだよね。
しげ:いやくさいセリフとか言ったことないし。
拓:ほら!このTweet見てみ!
すべての日本人に届けたい。
これが日本の海ってやつだ!!!! pic.twitter.com/JLNx8vENYP— 茂野 優太 🐳海のカメラマン (@yuta3822) September 30, 2019
拓:普通のやつが私生活で”すべての日本人に届け!”なんて言えるか?www
しげ:うっ……まあ、それはそうかもしれない。
拓:ということでよろしく!
しげ:はぁ。。。
という感じに編集長の細谷に丸投げされたこの企画です。
まさか僕からになるとは思いませんでしたが、学生ダイバーにとっては意義の内容になることは間違いありません。
なぜなら学生ダイバーのみんなは、ほぼすべての人がいつか就活をすることになります。
その時、企業で働いている人のアドバイスや仕事は腐るほど聞けますが、ダイビング業界のような場所で働いている人の意見はなかなか聞けないものです。
きっと、みんなの人生に良いスパイスになることを祈って。
それでは企画を始動していきたいと思います。
”僕は好きなことを仕事にしていない”という発言の本意

冒頭で「僕は好きなことを仕事にしていない。」と断言しています。
それは、決して”好きなことを仕事にしたくない”わけではないです。
こう言うと多くの人が、「どういうこと?ダイビング好きじゃないの?」って聞いてきます。
僕の答えは「この世の中でダイビング、海に潜ることが1番好き」です。
美味しいご飯を食べるより、可愛い女の子と遊ぶより、暖かい布団で寝るよりも好きです。
つまり人間の三大欲求なんか全部無視してでもダイビングをしたい。
(とはいえ死ぬのは嫌なのでご飯も食べるし、ある程度は寝ますが。)
じゃあダイビングを仕事にしてるんだから良いじゃん。
コレが違うんです。
僕はダイビングに関わっているだけでダイビングをしてお金が払われるわけじゃありません。
むしろタンク代や施設の利用料などお金を払ってダイビングをしています
ちょっとよくわからないや。って人はサッカーが大好きな少年を想像して下さい。
サッカーが大好きで大好きで堪らない朝から晩までボールを追いかけているサッカー少年です。
こんなサッカーをするのが大好きな少年が将来、夢を見る職業はなんでしょう?
そう。プロサッカー選手ですよね。
プロのサッカー選手はそれこそサッカーをすることで、観客を沸かせるようなプレーをすることでお金を稼いでいます。
ホントにサッカーをすることを仕事にしているわけです。
それではダイビングのインストラクターはどうでしょう?
ダイビングをしてお金を稼ぐ、ダイビングしている姿を魅せることによってお金を稼いでいる人って実際にはほとんどいないですよね。
どちらかというとダイビングを教えることによってお金を稼いでいます。時にはダイビング器材を販売することによって。
ここにサッカー選手とダイビングインストラクターに差があると思っています。
ここで注意してほしいのが良し悪しの話じゃありません。
まさに好きなことをやって、それが仕事になっているかどうかという話です。
正直、いまダイビング業界にはスポンサーが付いていてダイビングをすればお金が手に入る人はいません。
(どんなに難しくても僕はここを目指しています。)
では好きなことを仕事に出来ない僕が、どうやって少しでも好きなことに関わって仕事をしているかというと、単純に好きなダイビングに自分の出来ることをかけ合わせて仕事にしている。
ただそれだけです。
サッカーの例でいうと以下みたいな形です。
サッカー×経営→クラブチーム運営
サッカー×話すこと→解説者
サッカー×マッサージ→スポーツトレーナー
”好きなこと”×”出来ること”が仕事を創る

では一体、好きなことと出来ることを組み合わせてどんな仕事があるのか?
どんなことをしているのか?
ということを見ていきたい。
”ダイビング”×”教えること”

これは1番簡単ですね。スキューバダイビングのインストラクターです!
OceanKIDsという関東最大のダイビングサークルをインストラクターとして担当しています。
ライセンス講習からアドバンス、レスキューはたまたダイブマスター講習まで本当に1からプロレベルまで教えさせてもらっています。
”ダイビング”×”案内すること”

これも簡単ですね。要するに水中ガイドです!
水中生物や安全管理の知識、そして地形を把握してその日の1番面白い場所にみんなを連れてっています!
最近は自分の知識やドリフトダイビングなど流れのある場所での案内の仕方も学び、小笠原や神子元など難しめの海でもガイドをしています。
”ダイビング”×”写真を撮ること”

これは水中写真家ですね!もともと僕も写真が撮れたわけではありません。
こんな面白い海があるのにみんなに伝えないのは勿体ないと思い始めた水中写真。そしてガイドをしているうちに生物ってこうみるとカワイイなとか生物への寄り方がわかってきて、良い写真が撮れるようになりました。
最初から写真が撮れたわけではありませんが、努力し写真を撮るという出来ることを増やし仕事として活動できるようになりました。
「海とダイビングの総合サイト・オーシャナ」での連載
水中写真家として初の連載。大瀬崎から始まって世界の海を潜り、また大瀬崎に帰ってきた時、どんな景色が見れるのかというもの。
→ 水中写真家・茂野優太の「GO DIVE!~大瀬崎から世界の海まで~」
”ダイビング”×”書くこと”

これはダイビングなど海周辺を得意とするライターです。
これもダイビングショップのブログを書くうちに身についた能力です。水中という特殊な環境のため、ニッチだからこそ他に代わりが少ないため良いポジションを築けいています。
SPOT-お出かけ体験-メディアでの執筆
ダイビングをしていない人にダイビングの情報を届けたいという思いから有名メディアでのライターをスタート!
ダイバーの強みを活かした海周りの記事を担当!
”ダイビング”×”話すこと”

水中環境や海の魅力を伝える話者。
ダイビングインストラクターをしていると、学科講習や教える時にどうやったら聞いてもらえるか?どうやったらわかってもらえるか?を意識します。
しかも学校とは違ってダイビングは遊びです。楽しくなければ意味がない。どうしたらわかりやすく楽しく伝えられるか試行錯誤していった結果、人前で話すことが得意なこととなりました。
東京サンゴカフェでの講演
サンゴの写真やインスタ映えする写真の撮り方を紹介させて頂きました。
東京丸の内の三菱商事ビルの会場はオシャレで本当に素敵な会になりました。
”ダイビング”×”発信すること”

ダイビングのインフルエンサー!
僕はSNSを使ってダイビングの発信をするのが好きでした。もともと多くの人にダイビングの魅力を伝えたかったため。
いつのまにかインスタのフォロワーが7000人も越え、Twitterも2700人もの方にフォローをして頂いています。
こうやって多くの人に発信をすることでダイビングの面白い企画を出来るようになってきました。
ダイバーズ学園での神子元チャーター企画
我らがダイバーズ学園で行われた企画です。学生ダイバーだけで格安1万円ポッキリで神子元の海に潜ってしまおうという企画です。
これも企画力、また実際に人を集める発信力ともに必要な事例です。
まだまだ可能性は無限大!

まだまだダイビング業界は小さな業界です。
そして業界の中の仕事のほとんどはダイビングインストラクターやガイドという生き方のみ。
もちろん僕は講習もガイドも好きなので続けていきますが、常に”出来ること”を増やして新しい仕事を創りたい。
そして、いつかはプロサッカー選手のようにサッカーをすればお金を稼げる、つまり僕の場合はダイビングをすればお金が稼げる。
そんな人になりたい。
そんなの無理だという方。
ごもっともです。
でもなぜサッカー選手がサッカーをすればお金をもらえるかというと、そのプレーを見た人に感動や勇気を与えることが出来ることです。
僕がダイビングをすることで誰かをワクワクさせることが出来る。見たことない世界を見せることが出来る。
そんな人になった時、改めて僕は「好きなことを仕事にしている」と声を大にして言いたいと思います。
学生ダイバーに向けて

好きなことを見つけることは大事です。
本当になんでも良い。
マンガでもゲームでも読書でも麻雀でもランニングでも料理でも。
いま、好きなことがない人は暇な時間に無意識にやってしまうことが好きなことかもしれません。
もちろん、それ自体を仕事にすることは難しいと思います。
でも自分のできることを1つづつ増やしたり、伸ばしていくうちに新しい仕事のスタイルや適した道が見つかるはずです。
もし、みんなの好きなことがダイビングや海のことだったら僕はとっても嬉しいです。
ちなみにまだまだ出来ることはたくさんあります。
”ダイビング”×”You Tube”
”ダイビング”×”プログラミング”
”ダイビング”×”絵を書くこと”
”ダイビング”×”金融”
”ダイビング”×”モデル”
なにか自分なりの組み合わせをみなさんも探して見て下さい。
ちなみに僕がこの中でも特に水中カメラマンという役割に1番力を注いでいるのは銀行員時代の辛かった日々に思ったことがあるからです。
良かったら、そんな過去は僕のブログから見てみて下さい。
僕が水中写真家を目指す理由〜まだ見たことない世界を見てみたい。〜
それじゃあ次回は、編集長の拓さんお願いします!
~次回予告~
