生物界最弱の伝説はウソ!?実はすごいマンボウの本当の生態に迫ってみた
ぽけーっとした顔つきと、のんびり泳ぐ姿が人気のマンボウ。
ネットでは様々な「最弱伝説」がささやかれていますね。
例えば、寄生虫を殺そうと水面からジャンプしただけで……
他にもこんな最弱っぷりがネットで噂になっています。
- 朝日が強すぎて死亡
- 水中の泡が目に入ったストレスで死亡
- 海水の塩分が肌に染みたショックで死亡
- 前から来たウミガメとぶつかる事を予感したストレスで死亡
- 近くに居た仲間が死亡したショックで死亡
- 近くに居た仲間が死亡したショックで死亡した仲間から受けたストレスで死亡
- 寄生虫殺すためにジャンプして水面に当たって死亡
- まっすぐしか泳げないから岩に直撃して死亡
- 水中に潜って凍死
- 日にあたってたら鳥に突かれて死亡
- 寝てたら陸に打ち上げられて死亡
- 魚の骨が喉に詰まって死亡
- 泡が目に入ってイライラして死亡
- エビやカニを食べることがありよく殻が内臓に刺さって死亡
「マンボウの人生(魚生)ハードモードすぎじゃね?」と話題になり、挙句の果てにはマンボウ育成ゲームまで登場しました。
生きろ!マンボウ!-3億匹の仲間はみな死んだ-
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このゲーム、すーぐ死にます。
成長するために冒険に出たら水が冷たくて
体を大きくするために餌にイカをやったら喉に刺さって
どうやったら生き残れるんだ……と打ちひしがれる魚生なわけです。
しかし、水族館飼育員さんへの取材によって、マンボウ最弱伝説は嘘だということがわかっています。
【寄生虫を殺すためにジャンプ→水面に激突して死ぬ】
水族館でもジャンプすることはありますが、それが原因で死んだことはありません。
マンボウだって弱肉強食の世界を生き抜いてきた猛者ですからね。こんなに弱かったらとっくに絶滅ですよ。
なんか悪いところばっかりあげられてかわいそうじゃないですか?
たまには良いことも言ってあげようよ。
ということで、この記事ではマンボウの良いところを紹介したいと思います!
マンボウってこんな生態もあったんだー!と思ってもらえたら嬉しいです!
卵をめちゃくちゃたくさん産む
マンボウは世界一たくさん卵を産む動物と言われています。
その数、なんと8000万個!
かつては3億個だと言われていたのですが、最近の研究により、全長2.7mのメスのマンボウから見つかった卵は8000万個ほどだとわかったそうです。
でも、そのほとんどが赤ちゃんのときに食べられてしまい、大人になれるのは1、2匹ほど……
隕石が当たって死ぬ確率は160万分の1、宝くじで1等が当たる確率が2000万分の1ですから、野生の世界は厳しいですね……
ちなみにマンボウの子どもは金平糖のような姿をしています。
生き物が生きる目的は子孫を増やすことです(生物学的には)。
そのためには、体の弱い子ども時代をどう乗り切るか、というのが大きな課題になります。
そこで生き物がとる戦略は大きく2つに分かれます。
①とにかくたくさん産んで偶然生き残る子どもを増やす
②少ない子どもをある程度、大きくなるまでお腹の中で育ててから産む
マンボウは①の戦略をとった典型的な生き物です。
②の戦略をとった生き物には、イルカがあてはまります。イルカの子どもは、お腹の中でじっくり育てられるので生まれてすぐに泳げます。
マンボウの生存能力では8000万個くらい卵を産まないと子孫が増やせないとも言えるかもしれないですね。
魚類では一番進化したフォルム
実は、マンボウはフグの仲間。
フグの仲間は膨らんで敵を威嚇できるよう、お腹まわりの骨がありません。
最大で3mを超えることもあるマンボウもこんなにスカスカの骨格をしていて、まるで鳥のようです。
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体が大きいとサメなどの捕食者に狙われにくくなるため、防御力が弱いマンボウが3m以上にもなるのはとても合理的です。
フグは泳ぎが得意でない分、毒をもつことで天敵に食べられないようにしていますが、マンボウは背ビレと尻ビレが大きく発達して外洋を泳ぎ回る能力を獲得します。
本気を出せば時速12km以上も出すことができるんですよ。水泳自由形の世界記録は時速約7kmですから、マンボウはかなり速く泳げますね!
一方で、尾ビレはなくなり、舵ビレ(かじびれ)という特殊なヒレに進化しました。このヒレで泳ぐ方向を変えます。
これがマンボウが魚類で最も進化していると言われている理由です。
のんびりしたイメージのマンボウですが、餌を食べるときは結構機敏な動きを見せるんですよ。
食べるとおいしい
ちょっとグロテスクな見た目のマンボウですが、食べると美味しいと評判なのです!
身は白身で、とても柔らかく鶏肉に似た淡白な味わいだとか。
コラーゲンがたくさん含まれていて、台湾では女性に人気の食材なんですよ!
日本でもマンボウを食べる地域はあって、僕も沼津市のスーパーで売られているのを見たことがあります。
食べ方は刺身やから揚げ、てんぷらにしてもOK。
肝はとても旨味が濃く、湯引きした身と肝和えにして濃厚な味わいを楽しみます!
高知県では、身と肝を味噌でいり煮して、酒のつまみやご飯のおかずに食べるんですって。
写真を見ると、僕たちが普段食べている魚とほとんど変わらず、とっても美味しそうですよね!
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また、20mほどある腸は、牛や豚よりも柔らかくコリコリとした食感でクセになる食感とのこと。
マンボウってどんな味なんでしょー!気になるー!
水深800mまで潜れる
発信機をつけた調査により、マンボウは水深800mほどまで潜ることがあるとわかりました。
なので、水温が冷たすぎて死ぬ、なんて嘘っぱちです。
水面から深海まで、こんなに行動範囲が広いのはアザラシやマッコウクジラ、ダイオウイカなどほんの一握りの生き物だけ。
800mとか僕には無理っすわ。マンボウ先輩ぱねぇっす。
マンボウが見られるダイビングスポット
マンボウはたくさん卵を産み、体を大きくして襲われづらくし、精一杯子孫を残そうと進化していました!
愛らしい見た目とは裏腹に身や肝、腸は食べると絶品ということもわかりました。
寄生虫にも負けず、寒さにも負けず。そういうものに僕もなりたい。
そんなマンボウはダイビングでも見ることができます!
有名なのは静岡県・大瀬崎!
大瀬崎は世界でも珍しいビーチエントリーでマンボウを見ることのできるポイントで、ゴールデンウィークには毎日マンボウ祭りです!
だいがくライターのしげさんも学生時代「門下」でマンボウの姿を捉えています!
他には千葉県の波左間(生け簀内)、静岡県の伊東、バリ島のヌサペニダなどでも見ることができます。
この記事を読んで実際にマンボウを見てみたいと思った人は、足を運んでみてはいかがでしょうか?
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