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あの魚も!?海洋生物レッドリスト初公表

ナポレオンフィッシュ
生物について

2017年3月17日、環境省がこれまでで初めて、絶滅のおそれがある海洋生物をまとめた、海洋生物レッドリストを公表しました。

初めてというのが少し意外ですが、これまでレッドリストは陸上生物のみだったものを、2012年から海洋生物版の作成が進められていたそうです。

環境省では、平成24(2012)年度より海洋生物レッドリスト作成の作業を進めてきました。今般、魚類、サンゴ類、甲殻類、軟体動物(頭足類)、その他無脊椎動物の5分類群のうちこれまで評価を行っていなかった種について、新たにレッドリストを取りまとめましたので公表します。
絶滅のおそれのある種として海洋生物レッドリストに掲載された種数は、合計で56種でした。

環境省『環境省版海洋生物レッドリストの公表について』より

ダイバーとしてはやっぱり気になりますよね!?

実際にレッドリストを見てみると、ダイバーには馴染み深い生物や、一度は見てみたい生物も多く含まれていたので、一部をご紹介していきたいと思います!

海洋生物レッドリストは、魚類・サンゴ類・甲殻類・軟体動物(頭足類)・その他無脊椎動物、とそれぞれ公表されています。

今回は最も身近な魚類に関して見ていきたいと思います!

絶滅危惧ⅠA類

ここに分類されるのは、ごく近い将来絶滅する可能性が極めて高いもの、つまり最も絶滅の危機に瀕している生物たちです。

今回ここに分類されたのは8種。

ゼブラアナゴ Heteroconger polyzona

いきなりダイバーなら見てみたい魚、来ました。

ノンダイバーにも大人気のチンアナゴの仲間ですね。

コンスタントに生息が確認されているのは西表島の限られた場所のみだとか…

運が良ければ沖縄本島などでも発見されることがあるそうですよ!

オオイワシ Thryssa baelama

大きいイワシ、ではなく、オオイワシとして独立した種です。

既に小笠原諸島では地域絶滅してしまったと考えられています。

オオアオノメアラ Plectropomus areolatus

ワンダバ写真館より画像引用

沖縄で高級魚とされる『アカジン』は主にスジアラのことを指しますが、このオオアオノメアラも『アカジン』と呼ばれ、美味しいのだとか…

とはいえ、乱獲が原因、と結論付けられているわけでもなさそうです。念のため。
もちろん、乱獲が原因である可能性を完全に否定できるというわけでもありませんが…

タマカイ Epinepheluslanceolatus

陸ダイバー日記より画像引用

こちらもダイバーなら一度は見てみたい魚ですね!

大きいものだと2mを超えることもあるハタ科最大の魚です。

近年、日本近海では幼魚こそ観察されるものの、成魚の報告例がほとんど無いのだとか…
※そもそも、卵として流れ着いたものが日本である程度まで成長し、大型化するのは繁殖のために南方へ泳ぎ帰った後であるため、日本では大型の成魚が観察されることは稀であるという説もあります。

カスリハタ Epinephelustukula

東京ズーネットより画像引用

こちらも大型のハタで、その模様からポテトコッドなんて呼ばれたりもします。

サラサハタ Chromileptes altivelis

特に幼魚がダイバーに人気の魚です!

アクアリスト(海水魚飼育)向けに時々販売もされているようですが、日本の海では希少な魚です。

オオクチヌメリ Eleutherochir opercularis

クシヒゲヌメリ Eleutherochir mccaddeni

どちらもネズッポ科の仲間で、特にクシヒゲヌメリに関しては、2006年に日本初記録、和名が付けられて10年余りしか経っていない種です。

〜参考〜

ネズッポ科・ヤリヌメリ

絶滅危惧ⅠB類

ここに分類されるのはⅠA類ほどでは無いものの、近い将来絶滅してしまう可能性が高いものです。

今回ここに分類されたのは6種類。

シロワニ Carchariastaurus

水族館では定番のサメで、ダイビングでは小笠原での観察が有名です。

ですが、原則的に小笠原のみで観察されることと、産卵数も極めて少ないことから、この分類となったようです。

ホウセキハタモドキ Epinephelus miliaris

FISHES OF AUSTRALIAより画像引用

沖縄で稀に釣り上げられることのある魚です。

コイチ Nibea albiflora

瀬戸内海や有明海で漁獲され、西日本ではスーパーに並ぶこともあるのだとか…

カンムリブダイ Bolbometopon muricatum

海水魚図鑑 by hanadaiより画像引用

パラオでの集団産卵行動が有名な魚ですね。

イトヒゲモジャハゼ Barbuligobius boehlkei

ハゼつれづれより画像引用

名前といい風貌といい、見てみたいですねー

カラス Takifugu chinensis

こんな名前の魚がいるのは知りませんでした…

カラスフグとも呼ばれ、トラフグの代用として食用にされるのだとか。

絶滅危惧Ⅱ類

ここに分類されるのは絶滅の危険性が増大してきているものです。

今回ここに分類されたのは2種類。

コクハンアラ Plectropomuslaevis

おきなわ図鑑より画像引用

写真は幼魚ですが、成魚になるに連れて黄色や白の部分は無くなり、全体的に灰色になります。

オキナワキチヌ Acanthopagrus chinshira

クロダイに近い仲間で、キチヌと良く似ていますが、国内では沖縄の内湾にしか生息していないそうです。

ここまでが今回公表された海洋生物レッドリストの魚類部門で絶滅の危険性が高いと指摘された種類です。

この他にも、現時点では問題ないものの、環境変化などの結果として絶滅危惧に移行してしまう可能性を秘めている『準絶滅危惧』89種類が挙げられています。

この中にはカスザメやマンジュウイシモチ、イレズミフエダイ、セジロクマノミ、メガネモチノウオ(ナポレオン)、パンダダルマハゼなど、ダイバーなら名前ぐらいは知っている魚がちらほらと見られます。

また、そもそも情報量が少なく、絶滅危惧かどうかの判断すらつかない『情報不足』として112種類が挙げられています。

この中にもネコザメやオオセ、マンタ、トビエイ、ダイダイヨウジ、ユウゼン、トウアカクマノミなどなど、更に多くのよく聞く魚達が含まれています。

そして、環境省による総括にも

特に南方の種において絶滅の危険度が高いとされた種が多くなった。
また、これらの種は沿岸性のものが多く、生息地は人為的撹乱が生じやすい地域であることも絶滅の危険度を高めた要因のひとつであると考えられた。

海洋生物レッドリストの作成により明らかになった点についてより引用

とある様に、全体的に暖かい海の魚達が目立ちます。

ここで指摘されている『人為的撹乱』がダイビングのみを指しているわけでは無いと思いますが、最も海洋生物に近いところにいる我々ダイバーとしては、少しでも生態系に与える影響が小さく済むよう、配慮していきたいものですね。

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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