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インドネシア・バリ島北西部の海外ダイビングエリア基本情報〜2022年9月版〜

海について

神々の島、バリ島。
インドネシア共和国の​​首都ジャカルタがあるジャワ島の東隣に位置し、バリヒンドゥー教(バリ独自の宗教)が息づく島です。

今回ご紹介するダイビングエリアは、バリ島北西部。
バリ島の西半分を占める西部国立公園の恵みに抱かれた、秘境ダイビングリゾートです。
熱帯雨林が広がる、大自然を体感しましょう。

白砂輝く癒しの光景、他ではなかなか見られない魚種の観察、砂泥地のマックダイビング……ますますダイビングにのめり込んじゃうかも!?

バリ島の今(2022年9月現在)

バリ島の今

「2022年5月頃から、バリ島では新型コロナウイルス関連の規制緩和が進みました。それに伴い、ヨーロピアンゲストがかなり戻ってきています」とバリ島でダイビングショップ・サリ ダイブを営む、大西サトミさんは言う。
2021年までは観光客がほぼいない状態で、休業・倒産が相次ぎゴーストタウンの様相を呈していたバリ島だが、少しずつオープンする宿泊施設や飲食店、そしてダイビングショップも増えてきた。

一方で、現状では日本人ゲストはほとんど戻ってきておらず、日系のダイビングサービスは復活の目処が立たず苦戦が続いている。
「今のうちに日本国内のダイビングスポットを思う存分楽しんでください!そして、海外に行きやすくなったら、ぜひ海外へ。その日を心待ちにしています」(大西さん)

先の見えない状況の中で、来るべき海外旅行需要の拡大に備える日々を送っているようだ。

バリ島北西部エリアの概要

インドネシア国民の90%以上がイスラム教を信仰する中、バリ島ではヒンドゥー教がバリ島の土着文化と融合した独自のバリ・ヒンドゥー教を信仰する島民がほとんどです。

多民族国家のインドネシアには、490もの民族が暮らしていると言われており、使用されている言語も500以上。
公用語はインドネシア語ですが、バリ島の人々はバリ語で話しています。

日本との時差はマイナス1時間。
基本的に時差ボケの心配はいりません。

今回ご紹介するバリ島のバリ島北西部は、バリ島の中でも一番ジャワ島に近い所にあるため、イスラム教徒も多い場所。
独自の文化が発展したバリ島でありながら、インドネシアらしさも漂うのが魅力です。

バリ島北西部までは、南部のデンパサール空港から車で4時間。
都市から遠く離れている田舎町のため、ほとんど開発されておらず、手付かずの大自然を体感することができる秘境です。

街並みには、古き良きバリの趣きが漂います。

バリ島のほぼ西半分は西部国立公園に指定されており、自然保護区となっています。
豊かな山々の麓に熱帯雨林が広がり、シカ、サル、イノシシ、ジャコウ猫などの野生動物が豊富に息づいており、バリ島の固有種で絶滅危惧種のジャラッ・プティをはじめとする約200種類の野鳥も生息。
立ち入るには許可証(有料)が必要となります。

また、西部国立公園の中でも特に有名なのが、北西端にあるムンジャガン島です。

ムンジャガンはオスの鹿を意味する言葉で、多くの鹿が生息しています。

あるのは寺院だけ……という無人島で、白砂のビーチやサンゴ礁が広がる透き通った海はバリ島随一。
マリンアクティビティの穴場としても人気です。

バリ島北西部エリアのダイビング基本情報

バリ島の中でも、南部の都市から離れた場所にあるため、GWや夏季、年末年始などは混雑する一方、それ以外はほとんど混み合うことはありません。

ダイビングのみを目的に長期休暇で訪れる中級者以上のダイバーのほか、クタなどから日帰りで訪れる初心者ダイバーも多い場所です。
ダイビングポイント自体は、初心者から楽しめます。

バリ島北西部は、様々なシチュエーションに恵まれているエリアです。
白い砂地、黒い砂地、ドロップオフ、珊瑚、内湾泥地など、様々な環境が揃っているため、ダイバーの好みに応じて様々なスタイルがチョイスできます。

他のダイビングスポットでは発見されていないアゴヒゲオコゼ属sp.※1(現地名:キリンちゃん)をはじめ、パジャマピグミーゴビー(学名:Trimma pajama)など、なかなかお目にかかれない魚たちと出会えるのもバリ島北西部の魅力です。

※1:未同定種と思われるような場合、通常sp.と最後につけることが多い

特にムンジャンガン島は、白砂が広がる南国感溢れる海。
透明度が高く生物も多いためダイバーにはもちろん、スノーケラーにも人気です。
ドリフトダイビングポイントもありますが、危険を感じるほど流れることはないので初級者から楽しめます。

バリ島北西部のダイビングは、ほとんどが小型船でダイビングポイントへ向かうボートダイビングです。

バリ島北西部エリアのシーズナリティ

熱帯モンスーン気候に属するバリ島は、4〜10月の乾季と11〜3月の雨季で気候が大きく異なります。
ただ、雨季と言ってもスコールが起こる程度で、雨が振り続けることはあまりありません。

高い透明度が楽しめる7〜11月、小さな生物を楽しむ11〜3月と季節により変化する海況とともに楽しみ方も様々です。

乾季のダイビングでは、全くと言っていいほど雨が降らないので、透明度の高い海を楽しめます。
特に7〜10月初旬は、ワイドな光景を楽しみたいダイバーにぴったりの季節です。

ただ、南半球のため、乾季の4〜10月はバリ島の秋冬。
冷たい南西風が吹くことがあるため、水面休息中にウインドブレーカーを用意しておくと良いでしょう。
水温も比較的冷たく、26~28度ほどのことが多いです。

11月くらいから雨季に入り、ジャワ島の雨の影響で透明度が低くなってきます。
一方でバリ島は春夏を迎え、水温も29〜30度に上昇してきます。
幼魚が増え、水面の流れ藻にも注目です。
未記載種狙いのダイバーも多く集まります。

12月後半から2月頃には、クロッシーズ・ダムゼル(オレンジダムゼル。学名:Neoglyphidodon crossi)をはじめ、ジャバニーズ・ダムゼル(ジャワダムゼル、ブルーストリークダムゼルフィッシュ。学名:Neoglyphidodon oxyodon)などのスズメダイの仲間の幼魚も出現。

マクロ好き、特にスズメダイ類好きのダイバーには堪らない季節です。

バリ島北西部エリアのダイビングポイント紹介

バリ島北西部のダイビングエリアは、ムンジャンガン島、バニュウェダン、カピングベイ・プムトラン、シークレットベイ、ラブアンラランの6つ。

その中から代表的なダイビングポイントを3つご紹介します。

ムンジャンガン島:ガーデンイールポイント

ホワイトスポテッド・ガーデンイール(学名:Gorgasia maculata

たくさんのホワイトスポテッド・ガーデンイール(学名:Gorgasia maculata)が観察できることから「ガーデンイールポイント」の名がついたダイビングポイントです。
現地では、スパゲティイールと呼ばれています。

潮の流れによっては、ササムロの大きな群れやグルクマの群れが現れたり、ロウニンアジが出たりと魚だらけに!

ドリフトダイビングで、最後は流れながら安全停止を行います。

※エントリー口の流れが速い場合があるため、速やかに潜降できるのが望ましい。

ムンジャンガン島:POS1

白砂のスロープが広がる、南国らしい開放感のあるダイビングが楽しめるダイビングポイントです。

イソハゼsp.(オオゴチョウイソハゼ近縁種)
オオゴチョウイソハゼ(学名:Eviota fallax

リーフ側には、第一背鰭が伸びたオオゴチョウイソハゼ(学名:Eviota fallax)が観察でき、第一背鰭が伸びるのは、オスだと言われています。
また、この地域独自のカラーバリエーションが見られるのも魅力です。

そして、砂地にはメタリックシュリンプゴビー(学名:Amblyeleotris latifasciata。欧米圏ではワイドバードシュリンプゴビーとも呼ばれる)やヤノダテハゼ、ヒレナガネジリンボウなどの共生ハゼのほか、リュウグウベラギンポも!
自分で魚を探したいダイバーにもおすすめです。

※エキジットの際、ブイまで泳ぎ着けないとボートが陸へ流されるので素早くエキジットすることが望ましい。

シークレットベイ

バリ島の西端に位置するダイビングポイントで、泥地の生き物観察を楽しむマックダイビングが楽しめます。

細かい黒砂地を好み棲み家とするイッポンテグリやオイランハゼなどの他ではなかなか見られない魚が観察できます。

また、日本ではプテラポゴン・カウデルニイと学名で呼ぶことが普及しているバンガイ・ガーディナルフィッシュの国内移入個体が見られます。

プテラポゴン・カウデルニイ(学名:Pterapogon kauderni)の本来の生息地域であるバンガイ諸島は決して安全とは言えず、ダイビングに開放されていないため、この魚が安全に見られる場所のひとつとしてもバリ島北西部のシークレットベイは有名です。

ミミックオクトパス(学名:Thaumoctopus mimicus)やボンボリカエルアンコウのほか、ボートをレンタルすればピクチャー・ドラゴネット(学名:Pterosynchiropus picturatus)にも出会えることも!
マクロと言っても被写体が大きめなので、100㎜ではなく60㎜のレンズを使用するのがベターです。

※他のダイビングポイントに比べ、水温が2〜5度冷たいことが多いため、フードベストなどの防寒装備を用意しておくことが望ましい。
※最近近隣に公園ができ、シークレット感がなくなってしまったそうです。生息環境の変化により、これらの生物たちの生活も危ぶまれるので、興味のあるダイバーはなるべく早いうちに訪れましょう。

バリ島北西部エリアへのアクセス

バリ島北西部への玄関口となるのは、バリ島にあるデンパサール国際空港です。
実はデンパサール空港は通称名で、独立戦争の英雄グスティ・ングラライ将軍を冠したイ・グスティ・ングラ・ライ国際空港が正式名。
ングラ・ライ国際空港と書かれていることもあります。

成田空港からデンパサール国際空港への直行便(2022年9月現在は運休中)の他、日本各地から経由便でもアクセスできます。

デンパサール空港からバリ島北西部へのリゾートまでは、車で約4時間です。

■直行便

▶︎インドネシア・バリ島直行(ガルーダ・インドネシア航空)

成田空港ーデンパサール国際空港(所要時間約7時間30分)

※2022年9月現在は運休中です。(参考:ガルーダ・インドネシア航空HP「新型コロナウイルスに関するガルーダ・インドネシア航空の対応」

■経由便

デンパサール国際空港には、世界各地の航空会社が就航しています。

日本からの主な経由地としては、インドネシア・ジャカルタ、シンガポール・チャンギ、マレーシア・クアラルンプール、フィリピン・マニラ、韓国・仁川などが挙げられます。

バリ島北西部エリアの観光情報

近隣に繁華街はないため、リゾートでゆっくり過ごします。

情報・写真提供:Sari Dive & Cottage(http://satomimantarey.com/

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