念願の佐賀・唐津でダイビング!七ツ釜の柱状節理と玄界灘のイサキ
念願の佐賀・唐津!
念願叶って、佐賀県の唐津の海に潜ることができました。
魚影の濃さ、ダイナミックな地形、かわいい生物たち。
全国的に見るとまだ知名度は低いようですが、そのポテンシャルには驚くばかり!
正直なところ、予想をひと1回りも2回りも上回るような場所だったのです。
今後、全国から多くのダイバーが訪れる可能性を秘めたダイビングスポットだと感じました。
2021年7月、初めて唐津に潜った際のレポートをお届けします。
佐賀・唐津の海って?
佐賀県といえば、2つの海に挟まれた場所です。
1つ目は、4県に囲まれた有明海。
ムツゴロウやシオマネキの仲間が生息する干潟が有名な内海です。
そして2つ目が、今回の舞台となる玄界灘。
対馬海流と親潮がぶつかり合い、リアス式海岸と砂浜海岸が続く、日本海側の海です。
佐賀県の海でよく潜るダイバーに「佐賀の海にはタツノオトシゴがたくさん!他にも小さな生き物が豊富で楽しい場所ですよ〜」と聞いていました。
そんな話を聞いたからか、“マクロ中心の海かなぁ”と勝手なイメージを持っていたんです。
しかし、少し経って、唐津の現地ダイビングサービス・唐津マリンスポーツクラブのスタッフの方々とお話しする機会ができました。
(本当は潜る予定で訪れたのですが、副鼻腔炎で断念。泣)
映像を見せてもらったところ、海外を思わせる迫力の洞窟、圧倒的な魚影の濃さなど、ワイドの魅力的なシーンが満載だったのです。
特にイサキが多く、映像からでも群れの量の多さが伝わってきました。
マクロだけでなく、ワイドもすごい。
佐賀県の海のイメージが変わった瞬間でした。
いよいよ唐津の海へ
7月に入り、梅雨明け。
ようやく唐津の海で撮影することができました。
ダイビングスポットこそ、唐津という名前で呼ばれていますが、佐賀の玄界灘を広範囲で潜ることができます。
唐津の港から船で移動しながら、ダイビングポイントへと向かうスタイルです。
天然記念物の七ツ釜を潜る
まず、向かうは、七ツ釜。
天然記念物にも指定されている、唐津の有名な観光スポットです。
玄武岩が玄界灘の荒波に浸食され、その名の通り7つの洞窟が形作られました。
一番大きな左から5番目の穴は、奥行き110mという深さ。岸壁には、柱状節理(柱状の割れ目)も際立ちます。
伝説のフリーダイバー・ジャックマイヨールが、子どもの頃に初めてイルカに出会ったのもこの七ツ釜なのだそうです。
また、呼子から出ているイカ丸という観光遊覧船で見学することができます。
しかし、水中がどうなっているかは、まだあまり知られていないようです。
未知の七ツ釜にエントリー。
まず目についたのは、岩肌にびっしりとついているカジメでした。
唐津マリンスポーツクラブのスタッフの方に、「年々、減ってきてはいる」と聞いていたのですが、“それでもこんなに海藻が広がっているのか”と驚かされました。
七ツ釜の左から 2〜4番目の洞窟は、水中に入ることができません。また、貫通している1番目の穴は、大潮満潮の時のみ通り抜けることができます。
そのため、5〜7番目の洞窟内とそこから少し離れた場所に隠れるようにある8・9番目の洞窟内で撮影を行いました。
それぞれの洞窟内は、1カ所、1箇所が全然違う場所のような印象です。
水中からも柱状節理がそこかしこに見られ、上部に穴がある場所からは光のスジが差し込みます。
水底には天井や壁から落ちた岩が落ちていました。玄界灘の荒波の強さが伺えます。
あまりのダイナミックな迫力に海外でダイビングをしているような気分になりました。
松島沖のイサキの群れがすごい!
先に七ツ釜をご紹介しましたが、実は唐津でメインで行くダイビングポイントといえば、松島沖にあるケーソン。
ケーソン付近は潮通しがいいようで、ウミシダの仲間やソフトコーラルが数多くついています。
ウミウシやヒメタツなどをマクロレンズで狙う常連さんが多いそうです。
小さな生き物を見たり、撮影したりするのも楽しいのですが、ここのポイントで見てもらいたいのは、なんと言ってもイサキの群れ。
実際に見た光景は、以前見せていただいた映像よりも迫力を感じました。
私が今まで見てきた太平洋や東シナ海のどのダイビングポイントと比較しても比べ物にならない量なのです。
何千…?
何万匹……?
もはや数えられない量のイサキが、壁のようになったり、グルグルとダイバーを巻いたりと、見ている人を翻弄します。
7月の末頃になるとこの海域に対馬海流が入ってきます。
透明度が上がるため、この時期が狙い目と言えるでしょう。
ちなみに、このイサキは通年いるわけではなく、6月から数が増えていき8〜9月に台風が来ると消えてしまうようです。
馬渡島・大瀬のソフトコーラル
もう1つ驚かされたのが、大瀬というダイビングポイントポイントです。港からは長崎方面に約40分ぐらい移動すると馬渡島という島があります。
そこから見える範囲にある、島のすぐ近くの根が大瀬というポイントです。
まずエントリーして水深10mぐらいまで行くと、グルクン(タカサゴ科の仲間)やニザダイが見られました。
“中々な群れに遭遇したなぁ”と撮影に入ろうとすると唐津マリンスポーツクラブのオーナー・志郎さんが「こんなところにいないでもっと下に行こう!」という感じで手招きをしてくれました。
“ここにもたくさん魚がいるから撮りたいんだけどなぁ……”と思いながらも、さらに水深の深い場所へ進みました。
斜面一体、ソフトコーラルがたくさん生えている!
ソフトコーラルの量だけでもすごいのですが、魚影もすごいんです。
浅場で見た何倍もニザダイはいるし、イサキも大量の群れ、それを追いかけるイナダが寄ってくる。
あまりにも魚影が濃すぎて、何から撮ろうか迷ってフリーズしてしまうほどでした。
こんな場所が国内にあり、まだ認知されていないことは驚きです。
この大瀬は、14時まで釣り人がいることがあるので、それ以降にダイビングすることが多いダイビングポイントです。
撮影時はたまたま釣り人がいなかったので早い時間に入ることができましたが、これだけの魚が集まる場所であれば、釣り人が多いのも納得できます。
馬渡島周辺には、大瀬の他にもダイビングポイントがいくつかあり、アカオビハナダイやネンブツダイなどの魚たちが数多く生息し、ウミシダの仲間の多い場所であります。
玄界灘のウミシダの仲間は、太平洋側や東シナ海側と違う種類です。
特徴的な色合いなので、個人的には気に入っています。
ケーブというダイビングポイントでは、昨年、初になるクマノミの産卵が確認できたそうです。
段々と水温が上昇しているようで、「海が変わってきている」とガイドさんたちが話していました。
このダイビングポイントにはイバラカンザシも多く、まるで満開に咲き乱れる花のようでした。
ワイドを多めにご紹介してきましたが、マクロも負けないくらい楽しいのが佐賀の海。
他のダイビングポイントではあまりお目にかかれない生き物が生息しています。
まずは、唐津マリンスポーツクラブのスタッフ・知記さんから写真で見せていただいた赤紫色のヒメタツ。
観察することはできませんでしたが、いつかは撮影したい生き物です。
そしてもう1種は、ケーソンで見られるコケギンポの仲間・オキマツゲ。
こちらも赤紫色の美しい体色をしています。
そして、ガーデンというダイビングポイントは、水深10mの浅場にウミヒルモが数多く生えていてます。
そのウミヒルモには、ヒメイカやタツノイトコなどの小さな生き物がうまく隠れていることがあるんです。
探すのには一苦労しますが、見つかった時の高揚感、そして、撮影時にウミヒルモに被写体が絡んだり、バックに写し込んで美しい表現ができたりしたときは、そのうれしさが何倍にも増えます。
“チャイナ”というダイビングポイントには、水中に茶碗が落ちています。
いつの時代のものか正確には分からないのですが、江戸時代から明治時代にかけて海外へ輸送する途中で座礁した船に入っていたものという説があるそうです。
歴史的に海外への貿易があった可能性がある場所なので、ここも違う魅力で人気のあるダイビングポイントです。
唐津の必食グルメ
最後にアフターダイブについても、少しご紹介します。
唐津は街並みも綺麗。
唐津城や呼子が有名な観光スポットです。
名物といえば呼子のイカ。
昨年までは、不良が続いたケンサキイカ漁でしたが、今年はケンサキイカが数多く取れているようです。
呼子のイカは寄った際にはぜひ食べていただきたいです。
また、唐津には生でも美味しく食べられる無菌の唐津産和豚を提供するお店・れんが亭があります。
半生のトンカツは、絶品!
他では中々食べられないという貴重な一品です。
唐津でダイビングを楽しんだ際は、ぜひ素晴らしい食事に舌鼓を打ちましょう。
とても素晴らしい食事が多楽しめるのも唐津の特徴です。
おわりに
玄界灘の荒波の強さを感じさせる七ツ釜の地形、比べ物にならないほど大量のイサキの群れ、そして、小さな生き物たち。
唐津でのダイビングは、予想を遥かに超える魅力に溢れていました。
この先も撮影に訪れたい場所の1つとなったのはもちろん、たくさんのダイバーに訪れて欲しいダイビングスポットです。
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