春の尾鷲でボート三昧!びっしりのソフトコーラル、水深18mでオキノスジエビ!?
三重県南部の尾鷲(おわせ)と言えば有名なのは尾鷲ヒノキ、また漁業が盛んな町。
ダイビングスポットとしての知名度はやや低め……?ですが、実は、魅力がギュウギュウに詰め込まれた海なんです。
今回は、春に尾鷲のボートポイント4カ所で撮影してきた成果とぜひとも味わって欲しいグルメ情報をご紹介します。
もりもりのソフトコーラルが広がる光景、そして、アヤトリカクレエビやオキノスジエビ、サクラテンジクダイなど珍しい生物たちとの出会い。
まだあまり知られていない、他のダイビングスポットとはちょっと変わった尾鷲の“今”の面白さをお届けします。
栄養分豊富な尾鷲の海
尾鷲湾は、岬と入江が入り組んだリアス式海岸です。
港から沖を見れば、アオサギの繁殖地として知られる佐波留島(さばるじま)を望むことができます。
佐波留島は形がムーミンに似ていることからムーミン島とも呼ばれて親しまれています。
尾鷲の海は入り組んだ内湾、かつ外洋の潮が入りにくい場所なので、透明度は他のダイビングポイントにやや劣ります。
しかしその分、海の栄養が湾内に留まり豊富で、美しいヤギやトサカなどの腔腸動物が多いことが特徴の一つです。
さらに、他のダイビングスポットの生息域とは異なる水深で、珍しい生き物が観察できる面白い場所なのです。
個性的な尾鷲のボートポイントに潜る!
尾鷲のダイビングスタイルは、ほとんどがボートダイビングです。
一番近いポイントは港から3分で到着します。
さらに外洋のポイントに向かっても15分程度。
ダイビングのたびに港に戻るので、ボートダイビングが苦手な人にも優しいスポットですね。
ではさっそく、尾鷲のボートダイビングポイント4つをご紹介していきましょう。
ソフトコーラルびっしりの「魚礁」
水深23mの白い砂地から水深18mほどのところまで、山積みにされた立方体のブロック(並型魚礁)が、そびえ立ちます。
そこにトサカやヤギなどのソフトコーラルがビッシリと密集していて、「これぞ尾鷲の海!」と感じることのできるダイビングポイントです。
すごく珍しい生き物がいるという訳ではないのですが、潜っているだけで美しいソフトコーラルに包まれて幸せな気分になれるポイントです。
運が良ければミノカサゴにも出会えます。
写真を撮影するダイバーであれば、ソフトコーラルと絡めて撮ると、とても絵になるでしょう。
冬になれば、マトウダイやクダゴンベも見ることができるそうです。
「一つ石」は赤×白の被写体を狙え
水深14mほどの砂地にある、一つ石という隠れ根を潜るダイビングポイントです。
岩の割れ目あり、トンネルありの巨大な根にトサカやヤギが多くついていて、特に、ヤギにつく白いイソギンチャクが大きな見どころとなっています。
寄生なのか共生なのかはよく分からないのですが、赤と白がマッチして、とても写真映えします。
さらにエビの仲間などもついているので、画作りがしやすい被写体です。
浅い場所はトサカだらけで美しいです。
根の上に行けばトサカがポコポコと生えています。
周りにはツノダシなどの南方系の季節来遊魚が泳いでいました。
南方系の季節来遊魚が少ないと言われる尾鷲ですが、ここ数年は以前より増えてきているようです。
2年前には30cmほどのかなり大きなオオモンカエルアンコウの姿も撮影することができました。
「長瀬」ではアヤトリカクレエビが抱卵中
佐波留島の南側の長瀬は、豪快なドロップオフがある一の根、トップで水深9mと比較的浅めな二の根が楽しめるダイビングポイントです……が、今回僕が注目したのは、小さな生物。
このポイントでは、水深30mのやや深い場所にアヤトリカクレエビを数匹見ることができます。
白い卵を持った抱卵個体を、撮影時は見ることができました。
浅場へ戻ると小さなソフトコーラルが数多く見られました。
今後このソフトコーラルが大きくなり、美しい景色が広がるのではと期待が持てます。
オキノスジエビが水深18mで見られる「大鼻」
大鼻は外洋のポイントで透明度は湾内よりも良く、岩場や洞窟がある場所です。
(僕が潜った4月の透明度は、10mくらいでした)
目玉は、洞窟内に潜むオキノスジエビ。
オキノスジエビと言えば、春から秋にかけて期間限定で深場から現れる人気の生物のイメージがあります。
しかし、ガイドをしてくださったダイブサイトシードリームの伊藤さんの話によれば、通年その姿が見られるんだとか!
通年観察できるだけでも驚きですが、さらに僕が驚いたのが水深の浅さ。
通常30m以深で観察されることが多いオキノスジエビが、なんと水深18mで見られると言います。
いざ生息域に潜ってみると、一面オキノスジエビ!とはいかないですが、30匹前後の群れが、洞窟内何ヶ所かで見られました。
私が知っている限り、一番浅い場所に生息しているオキノスジエビだと思います。
洞窟内には、オキノスジエビ以外にもサクラテンジクダイが沢山います。
他の地域よりも数が多く、初夏から口内保育する個体も出てくると思うので、夏へ向けて観察が楽しみですね。
洞窟から抜け出して浅場に戻れば、壁には青いホヤの仲間(通称名・コバルトツツボヤ)がビッシリとついています。
さらに撮影しているとボラの群れに大群、通称ボラクーダに出会うことができました。
撮影時は4月の上旬、ボラクーダは尾鷲の海の春の風物詩ですね。
ダイビングレポートはここまで。
さて、見て愛おしい、食べて美味しいのが魚です。
漁業が盛んな尾鷲で潜ったら、ぜひともグルメも堪能しましょう。
実際に食べた尾鷲グルメを少しご紹介しますね。
尾鷲に来たらコレを食べよう!
ダイビング旅では、ぜひ、地元で獲れた海鮮を味わいたいもの。
おすすめのグルメをお教えします。
直売所併設の食堂へGO
おすすめは、お魚いちば おとと(http://e-ototo.jp/)。
新鮮な魚が店内に常に並ぶ直売所と食堂があります。
マグロ丼が格安で楽しめるほか、各種どんぶり、刺身、煮魚、焼き魚、フライなどが日替わりで並びます。
印象的だったのが、キミイワシの唐揚げ。
最初、何の魚の唐揚げか分からなかったので板場の人に聞いてみたところ、尾鷲弁ではキビナゴのことをキミイワシと呼ぶそうなんです。
こういった、地域ごとの文化の違いも楽しいですね。
ちなみに、揚げたてのキビナゴは、外はカリッと中は柔らかく美味しかったです。
合わせて食べた揚げたてのアナゴの天ぷらも、柔らかくもっちりとした感触で美味。
地元で獲れたてのものをいただくのは、幸せですね。
絶品!渡利かき
尾鷲からすぐ近くには透明度の良さから奇跡の川と呼ばれる銚子川があり、その銚子川と船津川の交わる河口には汽水湖の白石湖があります。
今、ここの名物となっているのが、白石湖で養殖されている渡利かき。
生産量の少なさから、“幻の蠣”と呼ばれています。
私も今回、この蠣をフライで食べましたが磯臭さはなく、いくらでも食べれてしまいそうな絶品です。
以前食べた生牡蠣も濃厚だけれど特有のクセが少なく、やわらかな甘みも感じられました。
お好みの調理法でぜひ、味わってみてください。
最後に
今まで、あまり情報が出ていなかったことからスルーしてしまっていた三重の海。
しかし、尾鷲の海を潜ってみると、腔腸動物や甲殻類の多さに驚き、そして、浅い場所でオキノスジエビとも出会うことができました。
尾鷲には、今回ご紹介したボートポイントのほかにも、ビーチポイントもあります。夏になれば、浅場の砂地にウミヒルモがビッシリと浅場の砂地に生えるようです。
これからの季節、ゆったりとウミヒルモを観察しながらのダイビングも楽しそうですね。
他の海とは少し変わった景観が見られる尾鷲でのダイビング。
紀伊半島でダイビングをと考える方がいましたらぜひ、尾鷲にも寄ってみてくださいね。
撮影協力・ダイブサイトシードリーム(http://owase-seadream.com/)
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