ダイビングスポットの“表記ゆれ”について考えてみた
今回は、ダイビングスポットの“名称”に関わるお話しを少し掘り下げてみます。
ダイビングスポットは基本的に地名であり固有名詞であることが多いもの。
とはいえ、Scuba Monstersを運営していく中で、ダイビングスポットの名称について迷ってしまうこともしばしば。
特に日本語は、漢字にひらがな、カタカナ、算用数字にローマ数字と様々な文字が混在するため、同じものを指すのに表記方法が違う「表記ゆれ」がしばしば起こります。
そもそもこの「表記ゆれ」も「表記揺れ」とも書けますし……漢字で書くのか、ひらがなにするのかは、閉じる、開く、なんて言います。
漢字の閉じる、開く、を含めた表記ゆれに関して、記事をチェックする際には細かく確認するようにしているのですが、その辺りの話は別の機会に。
さて、最初にお伝えした通り、ダイビングスポットは基本的に地名であり固有名詞。
固有名詞であれば表記ゆれはないんじゃないの?と思ってしまいますが、実はそうでもありません。
具体的なケースを元に、見てみましょう。
音に当てられた漢字
代表的な所では、北海道や沖縄を中心に、古来からの呼び名の音に、無理やり漢字を充てたケース。
ダイビングスポットでいうと、羅臼、宇登呂、吐噶喇列島、慶伊干瀬などですね。
順に、ラウス(北海道)、ウトロ(北海道)、トカラ(鹿児島県)、チービシ(沖縄県)と読みます。
これらはどちらかと言うとカタカナの方が一般的でしょう。
他にも、和歌山県のすさみなんかは、元々(旧)周参見町だったものが町村合併を経て、現在は行政区分の表記もすさみ町となっているため、ひらがなの方が一般的となっています。
このほか、ダイビングスポットで漢字が充てられていないところとしては、小笠原諸島のケータ列島、沖縄県のカヌチャベイ、ルカン、トコマサリなどがあります。
ケータは本来、聟島(むこじま)列島と言いますが、江戸時代、イギリス軍艦艦長が、偉い人の名前にちなんで「ケーター」と名付けたものがそのまま定着し、後から日本人によって命名された聟島よりも定着しているという歴史があります。
なので、漢字は存在しません。
カヌチャ、ルカン、トコマサリに関しては、現地の言葉に由来する様ですが、行政区分として使用されることがないからか、こちらも漢字は存在しない様です。
通称の方が有名な物
通称の方が通るものとしてケータ列島を挙げましたが、他にも同様の例は存在します。
ケータに比べると、正式な名称が使用されるケースが多いものの、沖縄県の中御神島と新城島は、会話の中で正式名称が使用されることは少ないでしょう。
中御神島はオガン、新城島はパナリと呼ばれます。
さらに、中御神島に関しては仲の神島、仲ノ神島、仲之神島、仲の御神島、仲ノ御神島、仲之御神島、仲御神島など様々な表記が見られます。
Scuba Monstersでは国土地理院の表記に従い中御神島を採用していますが、日本語って難しい……
のが問題
のが問題なんです。いえ、”の”と”が”の両方が問題なんです。
“の”の表記はひらがな、カタカナに加え、乃や之なんかもありますね。
さらに、表記上は省略する場合も。
中御神島の場合でも、の、ノ、之とゆれまくっています。
ほかにダイビングスポットとして知られる神奈川県小田原市のエノウラは、江之浦が正しい表記。
一方、ダイビングスポットの静浦のほど近く、静岡県沼津市のエノウラは、行政区分上は江浦、バス停などの表記は江の浦となっています。
正しい表記は存在する物の、普段使用する時には意識をせず、最初に変換された表記で使用することが多いため、表記ゆれが発生してしまいます。
“が”に関しては、ひらがなに加えて、ヶ、ケ、が考えられます。
子どもの頃、”け”じゃん……って思った方も多いことでしょう。
例えば神奈川県三浦市のダイビングスポット城ヶ島などで使用されていますね。
こちらは”の”以上に混用されており、正しい用法は定められていないのだとか。
東京都のターミナル駅となっているイチガヤ駅では、JR東京メトロは”市ケ谷”と大きい”ケ”なのに対し、都営地下鉄は”市ヶ谷”と小さい”ヶ”を使用しています。
さらに、省庁によっても用法が異なり、国土交通省では青森県外ケ浜町、茨城県龍ヶ崎市と同じ省庁内でも混用されているだけでなく、総務省では青森県外ヶ浜町、茨城県龍ケ崎市と表記されるなど、統一されていません。
岬と崎と埼
ダイビングスポットやダイビングポイントは岬となっている場合も多く、この問題が発生します。
例えば青森県の竜飛岬。
そもそも竜の字に旧字体の龍を使用する場合もありますが、新字体に統一したとしても、竜飛岬、竜飛崎、竜飛埼という表記が見られます。
特に厄介なのが崎と埼の使い分けです。
本来、崎というのは山が険しいことを意味し、埼というのは海に突出した陸の事を意味するのだとか。
そして、旧日本海軍にルーツをもつ海上保安庁では現在でも、名称によって地形を明示するために埼を使用しています。
一方、旧日本陸軍にルーツをもつ国土地理院では漢字を統一することを優先したのか、現在でも崎を使用しています。
それにしても、埼の字に関して、普段の生活で目にする機会と言えば……
埼玉
海ないんだけどな……
千葉の位置が埼玉という名称なら納得できます。
逆に埼玉の位置といえば海が無い場所。山がたくさん、自然がたくさん、葉っぱがたくさん……千葉の方が名称として適している様な。
千葉と埼玉、名称交換しませんか??(冗談ですよ笑)
【番外編】英語だって大変だ
日本人が学校の授業で習う英語はアメリカ英語ですが、元はと言えばイギリスの言葉。
アメリカ英語とイギリス英語では、スペルや発音が異なることがあります。
ダイビングシーンでこの違いに混乱させられる機会は多くありませんが、ひとつだけ関係のあるものが。
アメリカ英語でerと表記する物をイギリス英語ではreと表記することがあります。
Diving Centre
はじめて見た時は誤植かと思いますが、イギリス英語的には正しい表記なんですね。
おわりに
このダイビングスポットの表記ゆれ問題、Scuba Monstersを運営していく中ではかなり大切なポイントです。
なぜなら、日本全国のダイビングスポットが簡単に探せる「スポット探し」を運営しているから。
このスポット探しでは、そのスポットの詳細な見どころ情報をはじめ、海況や天気、Twitter上でのクチコミを1つのページで把握することが出来ます。
このTwitter上のクチコミ、当然ながらダイビングスポット名などのキーワードをTwitter上から検索することで収集しています。
検索キーワード、機械とは便利な様で不便な物で、一文字でも違うと検索結果に引っかからなくなってしまいます。
という訳で、みなさんもダイビングスポット名をつぶやく時は、ぜひ、Scuba Monstersが採用しているスポット名でつぶやいていただければ幸いです!(笑)
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