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死んだ魚はどこへ行く?

column

今回は、海の中で自然に死ぬ魚の話です。

私たちの食糧として、死んでいく魚もいますが、一旦、置いておきましょう。

 

突然ですが、みなさん

 

水中で死んでいる魚を見たことありますか?

 

この前ふらーっと立ち寄ったご飯屋さんに水槽があり、中に何がいるか覗きました。

よくある熱帯魚が飼育されているアクアリウムです。

 

グッピーのような熱帯魚が何匹かとエビが何匹か。

そこで、1匹死んでしまっているグッピーを見ました。

 

なぜか、すごくショッキングで、その光景が鮮明に残っています。

 

よくよく考えると、魚がそのままの姿で水中で横たわって死んでいる。

そんな光景あまり見かけませんよね?

 

そう考えると、そもそもダイバーではない人が、

水の中を泳ぐ魚を見る機会

って日常生活では、かなり少ないのかもしれません。

  • 水槽の中を泳ぐ魚
  • 水族館の水槽で泳ぐ魚
  • 海水浴で少しだけ

思いつくのはこれくらいです。

 

では、逆にダイバーの皆さんはどうでしょう。

 

私は伊豆ダイバーですが、1ダイビングでかなりの魚を目にします。

そして1000本地殻潜って死んだ魚を見たことあるのは、食いちぎられた魚が2回ほど。

 

年間何匹かなんて到底数えられないほど魚を見ている僕らでも、見たことのない魚の死体。

 

いつどこでどのタイミングなら見ることができるのでしょうか?

また死んだ魚はどこへ行ってしまうのでしょうか?

 

疑問が多すぎて記事にしちゃいました(笑)

 

死んだ魚を見ない理由はいくつかありそうです。

死んだ魚を見ない理由

① 掃除屋と分解者の存在

響きからかっこいい。
漫画の敵キャラにつきそうな名前ですね。

そして、見た目もまさに敵キャラです。確実に主役の見た目ではありません(笑)

 

では紹介していきましょう。

ダイオウグソクムシ


海の掃除屋
という別名を持った、海の中のエイリアン。

2~3年前、突然流行ったので名前を聞いたことある方も多いのではないのでしょうか?

 

虫嫌いの僕からすると、何がいいのか全くわからない。
正直、当時から「かわいいー」とか言っている人の思考が理解できませんでしたw

だって、これかわいいですか?

僕には理解しがたい。
ただこいつが、海の中ではいい働きをするんです。

 

簡単に説明すると、食糧が動物の死骸ということ。

 

大型魚類やクジラなど、どんな動物の死骸でもバクバク食べちゃいます。

 

そしてタチが悪いのが、非常に貪欲で死んでなくても、弱っている動物やヒトデ、弱った仲間をも食べている可能性があるそうで…

 

見た目通りの生態ですね。

 

詳しくは、ダイオウグソクムシの記事をご覧ください

【閲覧注意】白くて大きなゴキブリ!?ダイオウグソクムシ

 

こういった、死骸を食料として生活する生物が海の中にはいっぱいいるのです。

 

死体が永遠に残るということは一旦なさそうですね。

微生物

分解者とは微生物のことです。

食物連鎖を少し思い出してみてください。

植物が光合成で作った栄養分を草食動物が食べ、その草食動物を肉食動物が食べる。という食物連鎖が繰り広げられ

『弱肉強食』

と言われる通り、食べ、食べられが循環しています。
そして、もちろん食べたら糞をします。そしてやがて死にます。

では、糞や食べ残された死骸、見つからずに死ぬ動物の死骸はどうなっていくのでしょう。

ここで、活躍するのが微生物

糞や死骸がそのままだったらいつか世界は、埋め尽くされます。

 

微生物は糞や死骸を二酸化炭素と水に分解するんです!

 

有能!の一言ですね。
目には見えませんが、微生物がいなければ、私たちは生きていけないかもしれません。

 

しかし、目に見えないほど小さい微生物が

一瞬で分解することはできるのでしょうか?

 

おそらく時間をかけて、分解していきます。死んだ瞬間、分解されてたらそれはそれで怖いですよね。

 

ということは今回の話に関係はしてますが、核心ではない気もします。

魚の育成と捕食

少し観点を変えてみましょう。
魚の卵を想像してしてみてください。イクラでも、とびっこでもキャビアでも何でもいいです。

 

共通しているのは数の多さ。魚は一回の産卵で数千から数百万の卵を産むと言われています。

逆に人間が一回の出産で産むのは基本1人です。

 

では大人(成魚)になる確率は同じなのでしょうか。

 

これを考えるためには、動物の本能に触れる可能性があります。

そもそも、種の繁栄は、

親は一生で親と同じ数だけの子供を大人にすればいい。

というのが、基礎となっています。

 

分かりやすく言えば、人も魚も

先に死ぬ親2人分以上の数、子供を大人にすれば総数は変わらない

ということです。

 

これが達成できれば、その種が衰退することはありません。

 

この本能に従い、それぞれに進化しています。

 

人間(哺乳類)の進化

人間(哺乳類)は保育機能という進化を遂げました。

育てる機能を向上させたため、一度に産める数は減りました。

 

1人を産み、その子供を育成し、確実に大人にする。


確率は基本1/1のため、出産を2回するか、双子を産めば達成されます。

 

魚の進化

魚は量産という進化を遂げました。

育てる機能はほぼありませんが、一度に産む数を向上させました。

 

数千~数百万匹産み、何匹か成魚になればいい。


確率は種類にもよりますが、0~3/数千~数百万
可能性は限りなく少ないですが、環境が整えば、私たちより繁殖の可能性は秘めています。

 

全く違う進化ですが根本は同じなんですね。

ということは、魚の卵は大量ですが、私たちが見る魚(成魚)は卵と同じ数いるわけではなく、卵のうちに、又は稚魚のうちにほとんどが、死んでしまいます。

 

そして、その死因のほとんどが捕食です。別の生物に食べられるということです。

 

そう考えると、死骸は別の生物のおなかの中。私たちが見る機会が少ないのも、うなずけます。

浮袋

魚の体のつくりに着目してみましょう。魚にあって人間にないもの。

 

それは浮袋です。

 

魚は、浮袋という臓器に空気を入れたり、出したりしながら海の中で動いています。

 

最近、深海魚を捕獲するテレビ番組をよく目にしますが、その中でパンパンに膨れ上がっている魚を見たことありませんか?

 

あれは浮袋の空気が急激な深度変化により、浮袋内の空気が膨張して、あのように膨らんでしまっているのです。

 

死んだ魚の浮袋はどうなるでしょう。

当たり前ですが、死ねば臓器等動かせません。空気を入れることも、

出すこともできなくなり、結果浮いてしまうそうです。

 

・・・

 

そうなんです。そもそも死んだ魚は浮くんです。

 

そりゃ、ダイビング中に水中で見ないわけです。
冒頭で食いちぎられた魚を見たことがあるといいましたが、よく考えると、二回とも魚の頭だけ残ってました。

体を食いちぎられて、浮袋の部分がなくなって沈んでいたのでしょう。

まとめ

魚の捕食や死因を研究している人はいますが、

さすがにダイバーが死んだ魚を見ない理由を研究している人はいませんでした。

 

でもおそらく

捕食浮袋

が核心なんではないでしょうか。

 

昔からの疑問だったので、何度か先輩ダイバーに投げかけたこともありましたが

捕食の話は、だいたい出てきましたが、浮袋という観点は初めてです。

 

でも魚に浮袋があることを知らないダイバーも少ない気がします。

 

意外なところで知識がつながると面白いし、ちょっと自慢できますよね(笑)

疑問に思ったことは即行動です!

 

ガイドさんも使える小ネタ、豆知識もどんどん書いていこうと思うのでよろしくお願いします。

齋藤 涼太

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大学で、小さいころから夢だったダイビングに挑戦。そしてドはまり。 大学時代は、伊豆や石垣ででっちをしながら潜り倒し、気付いたころにはイントラに。 一般企業就...

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