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鍵はマスク!?DCU初回放送を現役インストラクターが考察してみた

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さて、始まりました、「DCU Deep Crime Unit 〜手錠を持ったダイバー〜」。
我々ダイバーが心待ちにしていたドラマですね。

海上保安庁全面協力の元、海上保安庁に新設された、水中の捜査を専門とする架空のチームが活躍する物語。
ダイビングのシーンがたっぷりと見られるのではないかと期待されています。

初回の放送日が近づくにつれ、SNSではダイバーの皆さんがそわそわしている様子が見られました。

実際に見てみると、とにかくストーリーが面白い!
どうやら1話完結のストーリーと、全編通してのストーリーが並行して進んでいく様です。
特に、全編通してのストーリーに関しては初回からどんでん返しを見せられたような、それはあくまで敢えてのミスリードで壮大な伏線があるような、とにかく第2話が気になって仕方がない!

なんて思いながら楽しく見ていたのですが、ダイビングが登場するドラマということで、どんなダイビング器材を使用しているのか、設定に無理は無いのか、気になってしまうのがダイバーの性。

ということで、ご多分に漏れず、編集長からこんな指令が。

山本編集長
DCUめちゃめちゃ面白かったねー!

細谷
面白かったですねー!続きが超気になります!

山本編集長
気になるよね!でさ、何かインストラクター目線で気になるところとかあった??

細谷
大きなものは特にないですねー。

山本編集長
そっかー。でもさ、インストラクター目線で見返したら何か発見あるかもよ?ちょっともう1回、そういう目線で見てみてー♡

そんなこともあろうかと一応録画はしてありましたが、なかなかの無茶ぶりです。

初回25分拡大放送ということで、放送終了後にこのやりとりをしたのが22時半。
そこからもう一度見返しました。
25時までかかりましたが、収穫があったので、見て行きましょう。

壮大な伏線!?器材の入れ替わり

物語冒頭、阿部寛さん扮する新名(にいな)と吉川晃司さん扮する成合(なりあい)のバディが水面に。
31秒付近、潜降直前の様子を見てみてください。

DCU Deep Crime Unit 〜手錠を持ったダイバー〜 より

DCU Deep Crime Unit 〜手錠を持ったダイバー〜 より

この時、新名はAQUALUNG社のヴェンチュラ、成合は同じくAQUALUNG社のニーナを着用している様に見受けられます。

ちなみに、少なくとも初回の放送では、このシーンの新名以外は全員がニーナを着用している様でした。

色々あって(ネタバレ防止のため)新名のみが水面に浮かんでいるシーン、59秒付近。

DCU Deep Crime Unit 〜手錠を持ったダイバー〜 より

新名がニーナマスクを着用しています。
あれ?にいながニーナ……!!笑

そんなことを言っている場合ではなくヴェンチュラを着用しているシーンから続いているシーンのはずなのですが、マスクが変わっている……。

しかし、水面のシーンの時点では夕暮れ時だったものが、いつの間にか夜になっています。
実はこの間、数時間が経っており、その間に物語の鍵を握る「何か」があったということでしょうか。

新名のマスクが元々のものと変わっているのも、その「何か」のためなのでしょうか。
そもそも新名という役名さえ、ニーナとかけていて、そこにすら伏線が??

この物語冒頭のシーンについては、ドラマ全編を通したストーリーの中で非常に重要なシーンだと思われるので、ますます気になります。

細かいことは気にしないで楽しもう!

初回の放送ではまず、水深50mに潜っていました。
13分51秒付近を確認して見ると、ダイブコンピューターには11.6mという表示が……。

水深50mといえばレジャーダイビングの範疇を超えたテクニカルダイビングの世界。
リスクを抑えて潜るためにはそれ相応のトレーニングが必要です。

そもそも、実際に50mで撮影を行おうと思うと、光源の問題や、減圧停止の関係から膨大な撮影時間となってしまいます。
もちろん全てのシーンを出演者自身が潜るわけではなく、代役のダイバーが潜っているとしても、諸々の事情を考慮すれば仕方ないでしょう。

良いんです。

第1話のクライマックスでは水深120mに潜っていました。

容疑者が出国するまで残り1時間!
水深120mで証拠を発見しなくては!

あれ?減圧停止間に合うの?

良いんです。

細かいツッコミどころはあるかもしれませんが、それを補って余りある、面白いストーリーなので、細かいことは気にせずに楽しみましょう。

器材は何を使っている?

とはいえ、器材は何を使っているのか、やっぱり気になりますよね。
制作発表の際の写真で阿部寛さんが着用しているスーツにAQUALUNG社とZero社のロゴがプリントされていたことから、器材はこの2社の提供なのではないかと噂されていました。

結論から言うと、やはり基本的にはこの2社の器材です。

マスク

マスクはほとんどの場合、AQUALUNG社のニーナを使用していました。
ただし、最新の物ではなく、2018年頃の物と思われます。
上部フレームの角度が現行の物とは異なります。

ニーナは元々アジア市場向けの商品でしたが、2019年からは日本限定商品となり、その際に若干デザインが変更となりました。
31秒付近の成合が着用している場面が最もわかりやすいでしょう。

同じシーンでの新名のみ、ヴェンチュラを使用しています。
こちらも現行のヴェンチュラとはデザインが若干異なります。
同じく31秒付近でハッキリと確認することができます。

現行の物はAQUALUNG傘下technisubブランドで発売されていますが、こちらはAQUALUNGブランドです。
尚、過去6年分のカタログを見返してみましたが、いつの物かは判明しませんでした。
海外の通販サイトで全く同じものが販売されていたので、海外モデルかもしれませんね。

スノーケル

恐らく現行のヴァリオと思われます。
こちらは8秒付近がもっともわかりやすいでしょう。

フィン

AQUALUNG傘下、apeksブランドのRK3フィンの様です。
RK3シリーズは通常の物に加え、RK3 HDというハードタイプの物がありますが、劇中で使用されている黒や白の物は、少なくとも一般発売はされていないため、通常のRK3フィンではないでしょうか。

レギュレーター

基本的にはレジェンドレギュレーターが使用されています。
こちらのレジェンドはデザインから、2019年頃までのモデルであることが分かります。
10分58秒付近ではっきりと確認することができます。

また、冒頭のシーン、31秒付近で使用されているものは、2019年まで日本限定で発売されていたナギレギュレーターから、銀色の装飾部品を取った物である様です。
31秒付近で確認できるセカンドステージだけでは分かりづらいのですが、1分46秒付近でファーストステージにはっきりとナギのロゴが入っていることを確認できます。

尚、話のメインではほとんどのダイビングシーンでリブリーザーが使用されており、リブリーザーのメーカーはapdivingでした。
レジャーダイビングしか経験の無い僕なので、リブリーザーの機種までは特定できず。。。

BC

初回放送ではダイビングシーンのほとんどがリブリーザーということもあり、BCがハッキリと写っているシーンはほとんどありませんでした。

10分18秒付近でわずかに映ったシーンのタンクバンドがシュアロックシステムであることがわかります。
さらに、1時間5分10秒付近で肩口のみ確認することができ、その特徴からカタログ未掲載の裏商品、アウトローではないかと推測しています。

アウトローは分解可能で世界最軽量という触れ込みの、バックフロートタイプのBC。
いかにも海上保安庁らしい装備であるように感じます。

また、リブリーザーに取り付けられているブラダー(浮袋部分)のメーカーはHALCYONの様です。
4分32秒付近で確認することができます。

ダイブコンピューター

基本的にはi200Cを使用していました。
3分43秒付近ではっきりと商品名が見てとれます。

また、13分51秒付近のシーンでのみ、i770Rと思われる物が使用されていました。

ゲージ類

リストコンパスは、唯一AQUALUNG社の物ではない可能性が残されています。
というのも、ベゼルの0°と180°が数字で表記されている事が13分51秒付近から確認できます。
しかし、過去6年分のカタログを見返した範囲では、AQUALUNG社のコンパスは全て、NとSのアルファベットで表記されているため、他のメーカーの物である可能性が否定できません。

グローブ

AQUALUNG社のマリングローブです。
13分51秒付近などで確認することができます。

スーツ

Zero社が製作している物と思われます。
ただし、カタログには掲載されていないモデルです。

尚、スーツにZero社とAQUALUNG社、2社のロゴが入っているというのも異例中の異例でしょう。

ちなみに、Zero社のドライスーツでは給排気バルブにダイブウェイズ社の物が使用されているモデルが多くありますが、劇中で使用されているスーツのバルブもダイブウェイズ社のものであることが、7分24秒付近などで確認できます。

メッシュバッグ

AQUALUNG社のアクアメッシュです。
7分24秒付近などで確認することができます。

おわりに

これまで「ダイビング」が関係するドラマでは、蓋を開けてみればダイビングの話はほとんど出てこなかったり、ダイビングが怖くなってしまうような内容だったりしていました。

一方DCUは、今のところダイバー=カッコイイという路線かと思うので、このまま頑張ってもらいたいものです。

ダイバー目線でのツッコミどころはあるものの、逆に、しっかりと作り込まれていることを感じさせられる場面も多々ありました。
何よりも、シンプルにドラマとして面白いと思える内容でもあり、第1話の結びも意味深。
既に第2話やドラマの結末が気になって仕方がありません。

もし、新たな発見があったり、器材予想が間違っていたら、ぜひ教えてくださいね。
一緒に楽しみましょう!

ということで、第2話以降もパソコン片手にチェックをし、何か気になる点があれば記事にして行こうと思います。

第1話を見逃したという方!

DCUは民放公式動画配信サービス、TVer、Paraviなどで配信されていますよ。
是非ご覧ください。

DCU Deep Crime Unit 〜手錠を持ったダイバー〜

放送局:TBS系列

放送時間:毎週日曜21:00~21:54(日曜劇場)※初回25分拡大、第2話15分拡大

主演:阿部寛

出演:横浜流星、中村アン、山崎育三郎、趣里、高橋光臣、岡崎体育、有輝(土佐兄弟)、佃典彦、春風亭昇太、市川実日子、ほか

細谷 拓

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合同会社すぐもぐ代表社員CEO。 学生時代、大瀬崎でのでっちをきっかけにダイビングにドはまり。 4年間で800本以上潜り、インストラクターを取得。 静岡県三...

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