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【現地ガイドの凄技】ハゼとキャッチボールが出来る!?

生物について

ハゼとキャッチボールが出来る!?

 

そんなん無理でしょうと思っていながら・・・

クリックしてしまった学生ダイバーの皆さん!

 

せっかく開いてしまったのだから見ていって下さい(笑)

 

共生ハゼとは

 

まず、すべてのハゼとキャッチボールが出来るわけではありません。

キャッチボールできる可能性があるのは共生ハゼだけです。

 

共生ハゼはテッポウエビが作った巣穴に住むハゼのこと。

有名なところで行くとダテハゼやネジリンボウ、ヤシャハゼとかそのようなところでしょうか!

 

共生ハゼについてもう一度勉強したい方はせいぶつ部で復習してくださいね!

https://scuba-monsters.com/2017/10/04/seibutsubu-week5/

 

さてこの共生ハゼ、実は目の悪いエビの為にエビを守っているだけでなく、エビのためにご飯を運んでいるのです。

確かに言われてみればテッポウエビは何を食べているのでしょうか?

砂の中に養分があるとは思えないですし、かといってハゼの糞でも食べているのでしょうか?

 

答えはコイツです。

こんな感じの海藻を食べています。

これが更にこまかくちぎれて流れてきたものをハゼが巣穴に運びます。

そしてテッポウエビはそれを食べて生活しているわけですね。

 

なんて良いパートナーなのでしょうか!?

家を守ってくれるし、エサも運んでくれる。

ハゼとテッポウエビは本当に切っても切れない関係ですね!

 

さて、そんな愛くるしい共生ハゼとのキャッチボール・・・

そんなこと出来るのでしょうか!?

 

今回、このキャッチボールの方法を教えてくれたのは

 

奄美大島のダイビングショップ
Dive Species Amami
オーナー 諏訪誉(すわ ほまれ)さん
HP:http://amamidiving.com/divespecies/

今回、僕も一緒に潜らせて頂きましたが、ひとつひとつの生き物の特徴を掴んで紹介して頂けるので、もっと知りたい、ほかのやつはどうなんだろうと、改めて生物について興味がわいてくるダイビングになりました。本当にすごい!

 

ハゼとキャッチボール!!

まずは先程の落ちていた海藻をおもむろに取るホマレさん!

おお!

そういうことですね!

ハゼとキャッチボールというのはボールを投げるわけではなく、

海藻の切れ端を投げて、ハゼがキャッチ!そしてエビに渡すということですね!

 

ただ・・・

果たしてそんなにうまく行くのでしょうか?

しかも撮影は11月水温も下がってしまいハゼの活動も鈍くなってくる時期です。

 

そんな不安を感じながらも、ヒレナガネジリンボウを発見!!

案の定、引っ込み気味です。

夏場の高水温の時期はもっと元気に泳ぎ回っていて、コンデジでも簡単に取れるくらい近寄って観察できるそうです。

 

さて、まずはそんな臆病なハゼを引っ込めないように、落ち着いて静かに流れの上にじっくり腰を据えます。

そして海藻を小さくちぎり、投げます。


手首のスナップで潮に海藻を乗せるホマレさん

 

海藻は中層をふわふわと漂いながら1発目でなんとハゼの近くへ!!

なんてコントロールだと思いながらわくわく!

 

ハゼはというと・・・

おおおーーーー先程より身を乗り出している!これはチャンス!!

 

と思いきや・・・

そのまま見逃し、海藻はハゼの彼方へ流れて行くじゃありませんか。

がっくり。

 

最高のパスを受け取らないハゼに若干の不満を覚えましたがホマレさんは次の一投を投げます。

ここから、なかなか思うようにいかない時間が続きます。

やはり潮の流れを読んで小さいハゼに海藻を投げるのは至難の業のようです。

 

そうこうしているうちに、また良い球が!!

ハゼも良い感じに興味を持っています!

 

気付くと心の内で

「飛べ!飛べーーー!」

と叫んでいる自分がいました。

 

それに答えるかのようにハゼは

急上昇!!

なんと海藻をキャッチしました!


咥えているのはホマレさんの投げた海藻

 

おおおおおおおおおおおお!

キャッチしたっ!

しかもこれはダイビングキャッチと言ってよいんじゃないでしょうか!?

 

興奮する自分を抑えながら動くハゼに、必死にシャッターを切る自分。

そのまま海藻をキャッチしたハゼは離すことなく、巣穴の方へ!

大事なことを忘れていました。

ハゼは海藻をエビのためにキャッチしているのでした。

そしてそのまま巣穴に着くと・・・

 

キチンと受け渡し!

巣穴からテッポウエビが出てきました。


写真:コトブキテッポウエビ

 

最後の最後までしっかり見届けましたよ!

 

なんだかわかりませんが、人間とハゼの共同作業を目の当たりにして

感動してしまいました!!

 

余りに嬉しくて鼻息が荒くなり一気に息を吐いてしまい「ぶわっと」泡が・・・

もう一度見ると既にハゼの姿はありませんでした。

 

こんな繊細な生き物たちと絶妙な距離感を図り対話する。

そして見る人を感動させる。

これぞ本物のガイドの技!!

ホマレさんのガイドには生物への愛があふれていました。

 

さてさて伊豆にもたくさんの共生ハゼがいます!

同じようにうまくいくか、どうかはわかりませんが・・・

ぜひ試してみたいですね!!

 

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Under Water Creator。 1991年、神奈川県生まれ。 海・ダイビングの魅力を写真、映像、文章、ガイドなど、多様なアプローチで発信する。 伊...

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