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​​ワイドで切り取る赤沢の海!伊豆らしいカラフルな景色とジオ感のあるワイルドさ

海のレポート

2021年6月に再オープンして以来、キシマハナダイを筆頭に次から次へと珍しいハナダイの仲間が出現し、話題沸騰中の赤沢の海!

僕自身、なんとなく噂は聞いていましたが、潜るのは今回が初めて。
SNSに上がってくる写真を見ていると、色彩豊かな海というよりは、生物勝負なマクロの印象を受けていました。

僕もそのつもりで今回、取材に訪れたのですが……
実際に潜ってみると、色彩豊かな、THE伊豆といった海でした。

めちゃくちゃワイドできるじゃん!と。

ということで、今回は今まであまり前面に出ることの少なかったワイドの赤沢の海を紹介します!

ソフトコーラルとネンブツダイの光景

まず赤沢に潜って感じた魅力は、ネンブツダイやクロホシイシモチの数の多さ!

ソフトコーラル一面を覆うようにネンブツダイたちが取り囲み、大きな根のよう!
まさにワイドで切り取るには最高のシチュエーションです。

あっちに群れてると思えばこっちに群れてる。
シャッターを切りたくなる光景に溢れている。

地形はシンプルにゴロタ岩が斜面に沿って落ちていて、そこにソフトコーラルと群れがいるというシンプルなもの。
だからこそ、上から撮ったり、下から撮ったりと工夫することで様々な目線が生まれて面白い!

ここがベストみたいなポイントがあるわけじゃないんですが、あれもこれも撮りたくなって、つい僕も撮り過ぎるくらい撮ってしまいました。

また今回撮影してて思ったのが、赤沢の海はソフトコーラルの種類が多いんじゃないだろうか、ってことです。

岩一面、ソフトコーラルに覆われているというわけではないのですが、ウチワからトサカまで様々なソフトコーラルが1つの画角に入ってきます。

ここはソフトコーラルだけじゃなくて、ウミシダもいい味を出してるなぁーって撮影をしていると……

ひょいっとオキゴンベが顔を出しました!

海に潜っていると起こる、たまのラッキーって凄い嬉しいですよね。
そして個人的に、こういう出会いがある海ってすごく大事にしているんです。

願掛けみたいなものですが、なんとなく海との相性ってある気がしていて、こういう縁があると、もっとこの海で撮影したくなりますね。

もちろん群れはネンブツダイだけじゃなく、ハナダイの仲間もたくさんいます!

ネンブツダイの群れやソフトコーラルと絡めて撮るのも最高に面白いし、マクロで切り取っても良いでしょう。

僕が訪れたのは12月の水温18℃の時期なので少し活性は落ちてきているものの、サクラダイもまだまとまっている場所がありました。

そして撮影していて、赤沢の海は伊豆諸島のような雰囲気があるなと思いました。

というのも、レンテンヤッコが普通種のように水中を泳いでいるんです。
そしてペアになっていることもよく。

僕がホームグラウンドにしている駿河湾ではやはり珍しく、同じ伊豆半島でも西と東で全然違うんですよね。

東伊豆らしいジオ感を

ワイドの景色は何もソフトコーラルやハナダイだけじゃないんです。
今回連れてってもらった柱状節理のエリアもすごく美しかったです。

西伊豆とは違い東伊豆のエリアは、火山の噴火によって流れ出た溶岩が冷え固まって出来た地形。
その溶岩の流れによりできた複雑な海岸線や大室山などの独特な光景があるんです。

赤沢のダイビングポイントの目の前も、一面柱状節理の断崖絶壁でできています。
この光景を前にダイビングをするだけで、なんだか東伊豆らしい光景にテンションが上がります!

水中は水深3〜10mと非常に浅いエリアにこの根があり、光の入り方が非常に美しい。
冬の時期の優しい斜めから光が降り注ぐ光景は、なんともいえない魅力があります。

1本は深場でハナダイの仲間を狙い、2本目は浅瀬で地形を楽しむなんてのもいいかもしれません。

他にも赤沢のゴロタエリアは比較的大きな岩が多く、そこが生物たちの隠れ家になることもあり、こんな大きなオオモンカエルアンコウのペアに出会うことができました。

岩と岩の間にはソフトコーラルが生えており、覗くとこんな美しい場所も。

また、今回は海況的に行けませんでしたが、奥にはクレバスのような地形もあるそうで、次回はそこも撮影に行きたいと思っています。

とここまでワイドをたくさん紹介してきましたが、やっぱりマクロもやらせて下さい。
だって、めちゃくちゃ面白いんですもん!!

本当にかわいいハナダイだらけ。
そんな一部を今回は紹介していきます。

まるでモデルのような4代目マダラハナダイ

今回、僕の心に刺さったのが……
赤沢の海で4匹目となる発見の4代目マダラハナダイです!

3センチ前後の小ささに美しく整ったヒレ。
今まで見たどのマダラハナダイよりもカワイイ。

背景にソフトコーラルなどを入れて撮るのも好きなのですが、この子に関しては可愛すぎて、この子を完全に主役にしました!

しかも度胸があるのか、かなり寄っても逃げない。
驚かしてごめんよという気持ちを持ちながら、最短まで寄ってみました。

こんなに寄れるハナダイの仲間、滅多にいないですよ…!

ただ水深は38mとかなり深いので、見に行くにはそれなりのスキルが必要です。

生き物なので、いつまでいるかわからないので興味ある方はぜひ!

とにかくハナダイの仲間の種類が多い!

赤沢はやっぱりハナダイの仲間の種類が多い。

伊豆半島では珍しいハナゴンベも1ヶ所ではなく、複数箇所で観察できたりします。
ハナゴンベの幼魚は本当に美しい模様をしています。

他にもフチドリハナダイがいたり、

少しマニアックですがベニハナダイという種類のハナダイの仲間が5匹くらいまとまっているエリアがあったり、

なんとアサヒハナゴイのオスが30m台の深度で見ることができます。

他にもコウリンハナダイやミナミハナダイといったハナダイの仲間も観察できたりと、とにかく被写体には事欠かない海です。

さらに僕が訪れた12月の時期はサクラダイやスジハナダイの小さな個体が多い時期でもあるので、様々なシチュエーションで撮影を楽しむことができました。

ハナダイの仲間たちは水深30〜40mの間に多く少し深度が深いのが難点ですが、赤沢ダイビングセンターでは28%のナイトロックスを用意してくれています。

そのため、じっくりとまではいきませんが……
少し余裕を持って深場で撮影できるのが非常にありがたい。

赤沢のダイビングエリア

赤沢のダイビングはビーチポイント(左の漁港からエントリー)とボートポイントの2つからなります。

今回紹介したのはすべてボートポイントになります。
ただボートといっても港を出港して5分でポイントに到着し、ダイビングエリアもそんなに広くないんです。

この狭いエリアにぎゅっと凝縮したように、生き物たちがいて、フォト派ダイバーには移動が少なく、撮影しやすいエリアです。
もちろん写真を撮らない方も、移動は少なく楽ですし、ハナダイたちのあまりの美しさに目を奪われるでしょう。

これから、まだまだ新しい生物が発見されるであろう赤沢の海。
僕も今後通っていこうと思います。

茂野優太

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Under Water Creator。 1991年、神奈川県生まれ。 海・ダイビングの魅力を写真、映像、文章、ガイドなど、多様なアプローチで発信する。 伊...

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