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万座のダイビングスポット情報

海について

景勝地として沖縄本島でも特に有名な万座(まんざ)。
万座毛に代表される特徴的な地形が水中まで続くだけでなく、そこには大物から小さな生き物まで数多くの生物が集まっています。

大物狙いのダイビングをするか、小さな生き物をじっくり観察するか、つい迷ってしまう海、万座のダイビングスポット情報をその魅力とともにご紹介します。

ダイビングの基本情報から、季節ごとの見どころをまとめたシーズナリティ、ダイビングポイント紹介まで、海の情報満載でお届け!

万座の概要

18世紀にこの地を訪れた琉球国王・尚敬がその景色を「万人が座するに足る毛」と賞賛したと伝えられる万座毛(毛:野原)。
現在は沖縄本島屈指の景勝地として有名です。

万座エリアには万座毛以外にも、アポガマやウドゥイガマといった景勝地が多く、琉球石灰岩が削られることで形成された地形と美しい海が絶景を作り出しています。

万座毛を望む万座ビーチも有名で、環境省が選定する快水浴場百選に選定されるだけでなく、特に優れた水浴場として特選に選ばれています。
また、万座ビーチでは日本最大級の水上アスレチック、万座オーシャンパーク®︎も運営されています。

万座ダイビング基本情報

琉球石灰岩が生み出す個性豊かな地形は、水中へも続いています。
ドロップオフや水中洞窟が数多く存在し、ダイナミックな景観を楽しむことができます。

ドロップオフ:崖のように急激に水深が深く落ち込んでいる地形

地形だけでなく、どのダイビングポイントでもサンゴがよく生育しており、そこに数多くの魚が集まっています。
さらに、潮の流れがよく当たるエリアでもあるため、カマストガリザメやロウニンアジといった大物との遭遇も期待することが出来ます。
ただし、まれに強い流れが発生する場合があるため、その点には注意が必要です。

また、水族館で人気のチンアナゴは沖縄各所で観察することができますが、万座ではニシキアナゴをコンスタントに観察できることも特徴のひとつ。
チンアナゴと共に飼育展示されていることが多いニシキアナゴですが、個体数はチンアナゴに比べて圧倒的に少ないと言われており、貴重なダイビングスポットといってよいでしょう。

また、万座が位置する恩納村は、2018年に豊かなサンゴを次世代に伝えるため「サンゴの村」宣言をしており、2019年にはSDGs未来都市に選定されています。
2020年には、サンゴ礁保全のため国際基準プログラム・Green Fins(グリーンフィンズ)を日本で初めて導入。環境に配慮したダイビングのガイドラインの作成、および、遵守しているダイビングショップの評価・認定が行われています。

Green Fins:UNEP(国連環境計画)とイギリスのReef World財団によるサンゴ礁保全を目的とする取り組み。世界11か国で採用されている。

ダイビングのシーズナリティ

万座の海の魅力を春夏秋冬に分けて、ご紹介します。

春の万座

クロスズメダイの幼魚(万座)
クロスズメダイの幼魚

水温が徐々に上がるシーズンの春は、はじめ水温が低いうちはウミウシのシーズンです。
冬には小さかったウミウシたちが成長し、比較的観察しやすいサイズに成長するため、ウミウシ好きのダイバーの方にはおすすめのシーズンといえるでしょう。

水温が上がりはじめると徐々に幼魚が現れはじめます。
かわいらしい幼魚はこの時期にしか見られないものも多く、特にクロスズメダイやヤマブキスズメダイなどの幼魚は大人気です。

また、5月の終わりごろの満月に近い日、上手くタイミングが合えばナイトダイビングでサンゴが一斉に産卵する様子を観察することができます。

夏の万座

ダイビングスポット・万座

万座は沖縄本島の西側に位置するため、冬の季節風である北西風が吹くと潜れないダイビングポイントが増えてしまうダイビングスポットです。
一方で夏の季節風である南東風が吹くと海況が安定するため、6月頃から海況が安定してきます。

海況が安定すると冬や春には訪れることができなかったダイビングポイントにも訪れることができる可能性が上がるため、万座の海を端から端まで楽しむのであれば、6月以降がおすすめ。
尚、6月にもサンゴの産卵を観察できる可能性があります。

夏の訪れとともに水中の魚の数が一段と増えるほか、大型のサメであるカマストガリザメとの遭遇率も高まります。

また、太陽の高度が1年で最も高くなるため、水中の洞窟には真上から光が差し込み美しい光景が広がります。
独特の地形を持つダイビングポイントが多い万座にとって、最高の季節と言えるでしょう。

秋の万座

ダイビングスポット・万座

夏に引き続き魚の数が多い季節ですが、中でもキホシスズメダイやオキナワスズメダイなどスズメダイの仲間の群れの数が一段と増えるシーズンです。
夏以上に透明度が高くなる日が多く、真っ青な海と美しいサンゴにスズメダイの仲間の群れがよく映えます。

透明度:水平方向にどれだけ見通すことが出来るかは、正しくは透視度と言いますが、一般的に使用される、透明度に統一しています。

またヒレナガネジリンボウやヤシャハゼといったハゼの仲間が観察しやすくなるシーズンでもあります。
ハゼの仲間は一般的に臆病なものが多く、そんなハゼの仲間と駆け引きをするかの様に観察するのも楽しいですよ。

冬の万座

イガグリウミウシ
イガグリウミウシ

冬の季節風である北西風が多く吹くシーズンでもあり、他の季節に比べると万座の海に潜ることができる可能性は下がってしまいます。
しかし、1年の中で最も透明度が高いシーズンでもあり、潜ることができれば透き通る様な海に潜っているだけで楽しいシーズンです。

そして、冬は小さなウミウシが増え始める季節でもあります。
透明度が高いためについつい目線を上げてしまいがちですが、じっくりと宝さがしをする様に、ウミウシ探しを楽しむのがおすすめのシーズンです。

ダイビングポイント紹介

特徴的な地形を持つダイビングポイントが多い万座。

そんな万座の代表的なダイビングポイントを3つご紹介します。

万座コーラル

コーラル=珊瑚と、その名の通り一面に広がる珊瑚が美しいダイビングポイントです。
サンゴ礁の上には数多くのスズメダイの仲間が群れており、スズメダイの群れの大きさなら万座随一。

5mから25mくらいまで一気に落ち込むダイナミックなドロップオフもみどころのひとつ。
ドロップオフを降りた先の砂地では、数多くのチンアナゴを観察することができます。

また、ドロップオフの上下だけでなく、ドロップオフ沿いのキンギョハナダイの群れも必見です。

【エントリー・スタイル】ボート(港から約5分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】30m
【流れが出た場合】何かに捕まらなくてはならないほどの流れが出ることがある
【ナイトダイビング】○

万座、万座コーラルのオープン確率

ホーシュー

馬の蹄の形に似た岩があることからHorseshoe(馬の靴)、これがポイント名の由来となったダイビングポイントです。
切り立ったドロップオフと2つのアーチが特徴的で、そのダイナミックの景観をさらにダイナミックにするかのごとく、カマストガリザメがコンスタントに訪れます。

ダイナミックなダイビングだけでなく、小さな生物を探しても面白いダイビングポイントで、1年を通して多くのウミウシを見られるほか、人気のアケボノハゼ、時にはヘルフリッチの愛称でアケボノハゼ以上の人気を集める、シコンハタタテハゼが登場することも。

【エントリー・スタイル】ボート(港から約10分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)、ビーチ(※)
【最大水深】40m
【流れが出た場合】何かに捕まらなくてはならないほどの流れが出ることがある
【ナイトダイビング】×

ビーチダイビングも可能ですが、崖を降りて行くスタイルでとても事故が多いことが問題となっています。万一の場合、事故に気づいてもらうことも難しいため、おすすめできません。
万座、ホーシューのオープン確率

万座ドリームホール

L字の形をした水中洞窟があるダイビングポイント。
水深6mのリーフトップ(サンゴ礁の最浅部)に、人1人が通れるほどのサイズの縦穴があり、そこから洞窟内に侵入します。

縦穴を通過後するとドーム状に開けた空間が出現し、小さな横穴へと繋がっていきます。

横穴も人1人が通り抜けるほどのサイズで、大きく空いたアーチ形の出口が目の前に広がります。
その出口の形がポケモンのピカチュウに見えるというダイバーも多いとか!

出口はドロップオフに空いており、ここではリュウキュウハタンポの群れを高確率で見ることができます。

洞窟内の暗さとと差し込む光のブルーのコントラストが美しいダイビングポイントです。

【エントリー・スタイル】ボート(港から約15分。エントリー時はアンカーを打つ)
【最大水深】30m
【流れが出た場合】流れによってダイビングを中止する場合がある
【ナイトダイビング】×

万座、万座ドリームホールのオープン確率
ポイントマップでは瀬良垣に属するポイントとしているために表示されていませんが、万座とも至近のダイビングポイントです。

その他のダイビングポイント

サンゴ畑、ホーシュー北、トライアングルホール、万座毛下、コーラル北、ホテルエッジ、オーバーヘッドロック、ミニドリーム、ナカユクイ、クロスライン、恩納ポイント、リトルグロット、アポガマ

万座へのアクセス情報

車でのアクセス:
バスの場合、万座ビーチ前のバス停を利用します。
万座ビーチ前のバス停には那覇空港と名護バスターミナルを結ぶ琉球バス120系統名護西空港線と、那覇バスターミナルと名護バスターミナルを結ぶ沖縄バス20系統名護西線が乗り入れています。
那覇空港からの所要時間は約2時間。

タクシーやレンタカーの場合、那覇空港から約90分で到着します。
恩納村仲泊からはバイパス58号線と分岐するため、海岸線沿い、バイパスではない方へと進みます。

高速道路を利用する場合、沖縄自動車道屋嘉インターから約10分です。

万座の観光情報

沖縄本島屈指の景勝地、万座毛。
広く豊かな草原と高さ20mの断崖が見どころです。

特に有名なのが、象の鼻のようなシルエットの象の奇岩。
大迫力の造形をぜひ楽しみましょう。

2020年には、万座毛周辺活性化施設がオープン。
フードコートやお土産店、休憩所などが揃い、駐車場も車が停めやすくなりました。
また、万座毛展望エリア見学のためのチケット(100円)もこちらで購入できます。

▶︎万座毛周辺活性化施設(https://www.manzamo.jp/manzamou.php

エメラルドグリーンに輝く美しい海が広がる万座ビーチでのんびり過ごすのもおすすめ。
白砂の美しいビーチから、万座毛を見渡すことができます。

ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾートの中にあり、シーカヤックやジェットスキーなど40種類以上のアクティビティも体験可能。
毎年3月下旬〜11月頃には、日本最大級の海上アスレチック・万座オーシャンパーク®もオープンします。沖縄本島西海岸に沈む夕陽をゆったり眺められる絶景スポットです。

ランチは、沖縄そばをぜひ。
特に、カツオ出汁のスープに自家製麺が絡む「なかむら」やとじっくり煮込んだあっさりスープが特徴の「花村そば」がおすすめです。
2店舗ともウエットスーツのまま入れます。

情報・写真提供:沖縄ダイビングサービスLagoon(https://www.lagoon-diving.com/

ScubaMonsters編集部

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