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鵜来島は異次元の豊かさ!潜ってみたらレアなマクロ生物の宝庫だった

海のレポート

みなさん、こんにちは。
Under Water Creatorの茂野です。

突然ですが……

鵜来島(うぐしま)という高知県に浮かぶ小さな島でダイビングが出来ることを知っていますか?

潜ったことあるという人はなかなかのダイビング通。
知っているという方でも実際に潜ったことがある人はかなり少ないのではないでしょうか。

今回はまだあまり知られていない、鵜来島の恐ろしいほど面白いダイビングの魅力を徹底的に解説していきたいと思います。

鵜来島とは

鵜来島は、高知県宿毛市の沖合23kmに浮かぶ人口約20人の小さな島です。

小さな鵜来島には車道がないため車が1台もありません。
島には数軒の民宿と小さな売店があるのみで自動販売機もありません。
それくらい何もない島なんです。

ただし、この島の海の豊かさは日本トップクラス!

黒潮の影響を色濃く受ける位置にあり、大物の回遊魚が釣れることから釣り人からは聖地として崇められ連日多くの釣り客が訪れます。

ちなみにダイビングをする場合は島に滞在するわけではなく、宿毛市から1時間ほど船に乗って、鵜来島の周辺もしくは沖ノ島という近くの島まで行ってダイビングをします。

ちなみに鵜来島の位置をGoogleMAPで確認するとこのあたり。

実は日本屈指のマクロ生物天国、柏島の沖にある島が鵜来島なんですね。

そう。柏島の沖にある海が面白くないわけない!!

さらに少し北側には今マクロ好きのダイバーの間で話題の愛南の海もあるんです。

釣り人には大物が釣れることで人気の島ですが、ダイバーからするとマクロ生物の宝庫!当たりの多い宝探しができるような海なんですね!

ちなみに鵜来島の中央はこんな感じの漁港になっていて、ダイビングの合間は毎回この港に戻ってきて休憩しますので、船酔いが心配な方も安心して下さい。

この休憩時間もめちゃくちゃ面白いのですが、その内容は記事の後半で。

それでは、この未知の海・鵜来島のダイビングの魅力について紹介していきたいと思います!

他では見られない激レアな生物たち

鵜来島の海はなんと言ってもマクロ生物が超面白いんです!!

しかも他のエリアじゃなかなか見れないような超レア種が普通にいたりします。

さすがマクロ天国、柏島が近いだけある。

普段から多くのダイバーが潜っているわけではないので生物の情報は少ないのですが、潜ると次から次へと生物が出てきます。

もちろんガイドの方々がすごいのはあります。

しかし異次元に海が豊か!

たとえばダテハゼ界の女王といっても言いような派手で珍しいモリシタダテハゼが水深30m前後からたくさんいるんです!

モリシタダテハゼといえば小笠原諸島の深場で発見されて以来、大変注目を浴びた美しいハゼの1種です。しかし小笠原という距離感、そして生息する深さからなかなかダイビングで観察することは難しい。

正直、ぼくも憧れの魚でした。

それがこんなにゴロゴロいるなんて……

しかもモリシタダテハゼは威風堂々としていて、なかなか引っ込まない。

めちゃくちゃ撮りやすいんです。

ここで一気にこの海の凄さを痛感しました。

続いて現れたのがこのダテハゼ!

これなんだかわかりますか?

モリシタダテハゼにくすんで見向きもされてませんでしたが、ヤノダテハゼです。

このヤノダテハゼも『日本の海水魚』という図鑑に「日本ではやや稀種」と書かれる珍しい魚です。体だけ見てもその美しさはわかりづらいかもしれませんが、尾ビレの模様が非常にキレイなダテハゼです。

少しマニアックではあるのですが珍しく美しいハゼです。

他にもびっくり!

突然現れたのがヒゲハギ!!!

カワハギの周囲にボサボサと髭のような被弁が付いているのが特徴のヒゲハギです。

狙って見ることができない魚だけに超貴重な種。
僕も人生で出会ったのは大瀬崎、三宅島、鵜来島とまだ3回目。

まさかのダイビングの休憩中にも、港の中でヒゲハギが泳いでいる姿が発見できました。
こういう変わった生き物が流れ着くのも、さすが黒潮の影響を受ける豊かな海ですね。

まだまだ珍しい生き物はたくさんいます。

まさかのピンクスクワットロブスター!

日本名をサクラコシオリエビと言いますが、こんな生物がいることにもビックリ!

個人的にはすごく好きな生き物の1つで海外に行くと必ず撮影する生き物なんですが、まさか日本にいるとは!

沖縄でも目撃例は少ないですよね。

それが、鵜来島では越冬をし、通年見れているんだとか!
もっとこういう情報出回ったらいいのに。
なんて思いながら改めてこの海の未知感と不思議な感じを認識しました。

最後はワライヤドリエビ!

この種は激レアってわけではないけれど、なんだかんだで見れると嬉しいし……

やはり黒潮の当たるエリアに多いイメージの甲殻類。

しっかり探すと1個のサンゴに6個体ほど付いているサンゴもあり、どれだけいるんだろうか。

溢れんばかりの人気のマクロ生物たち

もちろん誰もが知っているような人気の生き物もたくさんいるのが鵜来島の魅力。

撮影や観察はしっかり時間を決めないと次から次へと生物が出てくるのでいくら時間があっても足りません。

今回、人気のフリソデエビは1ダイブで4個体も見つかりました!

情報がない状態でこれだけ出てくるのだから、毎日探していたらとんでもないほどの量になりそうですね。

少し深い水深のところでヤギを見れば、ピグミーシーホースも!

同じポイントにアケボノハゼもいました。

1ダイブで本当にいろんな種類が見れますね。

少し浅いところのガレ場にはキンチャクガニが隠れていたり、

テントウウミウシがいたり、

暗がりにはムラサキゼブラヤドカリも!

鵜来島には魚だけじゃなく甲殻類もいろんな種類がいて、ヤドカリもフルセゼブラヤドカリやクレナイゼブラヤドカリといった美しい種が多くて撮影していて本当に楽しかった。

深場から浅場まで、ずっと何らかの生物が出てくるので、1本を通してダイビングを楽しめて本当に最高です!

休憩時間は島に上陸!漁港内の浮遊生物がアツい! 

鵜来島で気を抜いてはいけないのが陸での休憩時間、サーフタイムです!

ダイビングごとに島に上陸して休憩するのですがこの島で休憩している時こそ、めちゃくちゃ面白いんです。

というのも漁港の中には黒潮に乗って様々な幼魚が入ってきているんです。

サーフタイム:水面休息時間

定番はナンヨウツバメウオ!

水面からでもゆらゆら漂っているのを見ることができます。

ものすごく擬態上手なので、たくさんいるのですが見つけるのは至難の業。

他には流れ藻に隠れているハナオコゼ!

ハナオコゼは非常に数が多く休憩中に5個体くらい発見し、1人1個体づつ撮ることができました。

伊豆では結構珍しい気がして、こんなにたくさん付いてるとは思いませんでした。もっと探してみよう。

トビウオもいろんな種類がいるし、

途中には、こんなアカイカ科の一種と思われる小さなイカまで現れる。

サーフタイムにもう1ダイブ分潜っちゃった感……!

ここはお昼ご飯を食べずに潜ってもいいと思うほど、面白いし、1ダイブ漁港の中にしてもらっても楽しめるかも。

それくらい、いろんな生物がいました。

ヒゲハギが見つかったのもこの漁港の中ですし!

ダイビングポイントだけじゃなく、こんな港の中まで面白いんだから、またこの海に来たくなるわけですね。

おわりに

鵜来島にはたぶん僕たちが見つけきれていない魅力がまだまだ、たくさんあるでしょう。

ゴールデンウィークから初夏にかけて現れるアカグツもそうですし、定番のボロカサゴもいます。

こんなに贅沢な海、他にないでしょう。

ぜひ皆さんもまだ未知の海、鵜来島に潜りに行ってみてください!

今回ご一緒して頂いた皆様!

そして、「鵜来島の魅力を知って欲しい」とわざわざ僕1人のために兵庫県加古川からツアーを組んでくれたダイビングスクールKANAUの河口さん、塩木ちゃん。

そしてSeaLandうぐるの皆様、本当にありがとうございました!

SeaLandうぐるさんには現在常駐の水中ガイドがいないため、鵜来島で潜ってみたいと思った方はダイビングスクールKANAUさんがほぼ毎月ツアーを組んでおり、この海に詳しいので問い合わせてみてください。

取材協力:ダイビングスクールKANAUSeaLandうぐる

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茂野優太

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Under Water Creator。 1991年、神奈川県生まれ。 海・ダイビングの魅力を写真、映像、文章、ガイドなど、多様なアプローチで発信する。 伊...

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