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愛媛県・愛南、原始の海に一目惚れ〜今アツいダイビングスポットにGO!〜

海のレポート

初めて潜る海なのに、どこか懐かしいような。
それでいて、ものすごく新鮮なような。
愛南で感じた、この感覚は何なんだろう。

愛南のソフトコーラル

こんにちは!
Under water creatorの茂野です。

ここ数年、今まで以上に日本のダイビングスポットが脚光を浴びています。
僕も以前は潜ったことがなかった場所に、たくさん潜りに行きました。
その中でも群を抜いて「日本にもこんな海があったんだ」と思わせてくれたのが、愛媛県・愛南の海でした。

「まるで海外のような海」という表現は僕はあまり好きではないのですが、まさに国内の他の海とは違う……。
原始の海を思わせるごちゃごちゃ感があります。
僕が大好きでよく潜っていたインドネシアのラジャアンパットのような。
※ラジャアンパットは世界に生息するサンゴの3/4、魚類の1/10が、その狭い海域に生息することから奇跡の海と呼ばれている。

コロナ渦によって、海外に行きづらくなってしまってからもう数年。
恐らく、心のどこかに海外への憧れが募っていたのでしょう。

愛南に初めて潜った時には、新鮮さと同時に懐かしさも感じました。
僕は、ずっとこんな海に会いたかったんだな、と。

ということで早速、愛南の魅力について紹介していきたいと思うのですが……。
愛南と言われて位置がわかる人は少ないんじゃないでしょうか?
名前の通り、愛媛県の南だから愛南です。
愛媛県の南端、ほとんど高知と言っても良いような場所にあります。

近くには高知県宿毛市という町がありますが、ここはマクロの聖地・柏島があることで有名です。

宿毛と柏島という名前で「ああ〜あの辺ね」とわかる方も多いでしょう。

例えば、関東からのアクセスはこんな感じ。

関東から愛南へのアクセス
DIVE愛南のWEBページより

お察しの通り愛南は、関東に住んでいる方からすると行くのがちょっと大変なんです。

沖縄みたいに飛行機に乗ったらハイ終わりという感じではなく、松山空港からは電車に乗り換えるか、レンタカーで移動しなきゃいけない。
だけど、その大変さを押してまで行く価値がある、ものすごい場所です!
これからの夏休みシーズンなどに大型の休みが取れる人は、そういうタイミングで愛南の予約を取っちゃった方がいいですよ!!

関西の方にとって四国はメジャーなダイビングスポットですが関東の方にもぜひ潜って欲しいと思います!

とにかくソフトコーラルすごい

愛南のソフトコーラル

愛南の海はとにかくソフトコーラルがすごい!
この景色を初めて見た瞬間に、「あっここの海好きだ」って一目惚れしました。

ソフトコーラルがすごいと言われるダイビングポイントは各地に存在しますが、中には一部の潮あたりが良いところだけがぐちゃっと群生していて、他はあんまりという場所もあります。
でも、ここは本当にすごい!

そこらじゅうソフトコーラルだらけで、さらに時期によりますが、そこを隠れ家にする小さな魚が集まってきています。

愛南で撮影したソフトコーラルとハナミノコサゴ

この根の裏側はこんな感じ。
サビカラマツが生えていたり、さっきの写真に写っているものとは違うオレンジのソフトコーラル、さらに青いカイメンが生えていたりします。

しかも愛南の生き物は自分の映え方がわかっているのか、なぜかいい位置に入ってくる事が多い気がします。
いいシチュエーションが多いからこそ、どこに入っても画になるのでしょう。

愛南で撮影したサビカラマツの周りに群れるスカシテンジクダイ

さらにいまの景色を今度は上から見下ろすとこんな感じ。
サビカラマツにぐっちゃり群れるスカシテンジクダイがわかります。

逆にさっきの場所から2mほど水深を落として地面に着くと、こんな感じでアザハタのいる光景が。

この密度、伝わったでしょうか?

こうやって、ひとつの根を例にとって見ても、様々な切り取り方ができます。
また、見る人によって切り取り方が全然違うし、それもまた面白い。

こんなになんでもある海だから、どこを見ようか、写真家の僕としてはどう作品に仕上げようか……。
それを考えるのが本当に楽しいし、愛南は特にそれが顕著に出るダイビングスポットだと思います。

ここまで紹介してきたダイビングポイントは、港を出て船で5分ちょっとの近くのアカハエ。
ここはこの根だけじゃなく、浅瀬から深場まで全部面白いんです。

例えば40m近くにある魚礁には、こんな怪しい雰囲気を醸し出す独特な場所もあれば、

愛南、アカハエの深場の光景

浅瀬にはこんなキラキラした美しい光景が広がっています。

愛南、アカハエのエントリー直後の景色

この写真は安全停止中に撮ったのですが、エントリーした瞬間からこの光景が広がっています。
これを横目に見ながら一旦沖に進んでいく時なんかは、帰りに撮れることがわかっていても、後ろ髪を引かれる思いがしますよ。

もちろんアカハエ以外にも、ソフトコーラルがモリモリ元気なポイントはたくさんあります!
愛南のダイビングエリアは非常に広いので、いろんなカラフルな場所に潜れるのもいいですね!

ただし、ソフトコーラルなので、タイミングによっては咲いていないこともあります。

そんな時は萎むことないオドリカラマツなんかを見て過ごしましょう。
サビカラマツの中をよく探すとオキゴンベが隠れていたり、ハリセンボンが隠れていたりします。
このオキゴンベもいい位置にいますよね!

こういう遊び方もできるのでソフトコーラル萎んでたからといって落ち込まないでくださいね。
(ちょっと落ち込むけど笑)

サンゴとソフトコーラルが共存している

愛南のハードコーラル

国内でこんな風にソフトコーラルとサンゴ(ハードコーラル)が一緒になってひしめき合っている光景をみることは、なかなか少ない気がします。
深場にソフトコーラル 、浅瀬にハードコーラルといった形で、それぞれに固まっていることが多いような。
でも愛南の海は違うんです。

愛南のハードコーラル

ハードコーラルに覆いかぶさるんじゃないかという勢いで茶色いトサカの仲間が群生しています。
この草原のような独特な光景も、僕が愛南らしさを感じる不思議な景色の一つです。

ただ、この景色の不思議な魅力を写真で表現するのは難しく、どうしてもインパクトのあるカラフルなソフトコーラルばかりを撮りがちですが、今後じっくり撮っていきたいなと思います。

魚影もすごい!

愛南で撮影したソフトコーラルとイサキの群れ

愛南は魚影もすごくいい感じ!
イサキなどの回遊魚も多く、もちろん中層で撮ってもいいのですが、せっかく愛南ならやっぱりソフトコーラル絡めて撮りたい。

イサキなどは僕らダイバーに驚いた時に壁に伝って逃げようとするので、その時がチャンスですね!
こんな感じで逃げるイサキをソフトコーラルと同時に写真に収められた時はめちゃくちゃ嬉しい。

愛南で撮影したヒレナガカンパチの群れ

他にも、僕が訪れた秋の時期は小型のヒレナガカンパチなんかも多く、チョロチョロとダイバーの後を付いてきて、これだけでも楽しめるくらい。

頭上に光っているのはキビナゴで、この日は根を一面覆うほどの量でかなり迫力がありました!

僕は潜ったことがないものの、夏にサメを狙ったドリフトダイビングができるポイントがあるなど、ダイナミックなワイドポイントもある愛南!
美しい景色だけじゃなくてワイルドさも兼ね揃えているんですね。

マクロ撮影の背景が選び放題

もちろん愛南が面白いのはワイドだけじゃなく、マクロも面白いんです。

これだけソフトコーラルがあって、いろんなシチュエーションがあるのでマクロ生物も画になるところにいるんです!


本当にいて欲しいところに何かしらがいるんです!

愛南で撮影したウミシダウバウオ

ウミシダなどのカラフルな生き物も多くその周りや中にも生き物が!
僕がホームグラウンドにする伊豆では滅多に見ることのできないウミシダウバウオなんかも結構高確率で付いていますし、バサラカクレエビなど甲殻類も多いです。

愛南にはホヤもたくさん生えているます。
そのホヤの上にイチモンジハゼが乗っていたり、

愛南で撮影したホヤに乗るイチモンジハゼ

センナリイソギンチャクが群生している壁を見れば、そこには可愛いサイズのヒメギンポが擬態していたり、

愛南で撮影したセンナリイソギンチャクとヒメギンポ

イバラカンザシに乗ってるタテジマヘビギンポがいたりします。

愛南で撮影したイバラカンザシに乗るタテジマヘビギンポ

この贅沢なシチュエーションの数々、本当に凄すぎませんか?

もちろん愛南の海がカラフルというのもありますが、DIVE愛南のオーナーの田中翔さん含めガイド陣がカメラに精通していて、常にこういうシチュエーションを探してくれているからこその賜物。
フォト派の人にはワイドだけじゃなくマクロもやっぱりやって欲しいですね!

探せばなんでも出てくる生物豊富な海

愛南で撮影した黄色のピグミーシーホース

愛南の海に潜っていて1番驚いた生き物が黄色のピグミーシーホース。
日本国内ではピンクのピグミーシーホースをよく見ますが、黄色を見るのは初めて。

もちろん、全然いないわけではないですが、愛南の冬エリアではコンスタントに見られていて、他とは違う雰囲気になるのですごく好きです。

愛南で撮影したピンク色のピグミーシーホース

そもそもピグミーシーホース自体がすごく多いのもあるでしょう。
愛南では水深20mくらいからピグミーが結構多くいます。
巨大なウミウチワがたくさんあるので探すのこそ大変ですが、愛南に行けば必ず見れると言っても良いくらいいるんじゃないでしょうか。

他にも、エビカニ好きのダイバーには堪らないコガラシエビがいたり、

愛南で撮影したコガラシエビ

イロカエルアンコウや、

愛南で撮影したイロカエルアンコウ

フリソデエビといった定番の人気種も!

愛南で撮影したフリソデエビ

とにかく次から次へと生き物が出てくるのが愛南の海の特徴です。
愛南のガイドの方々は目が良く、いろいろ見せてくれるので本当に面白いです!

おわりに

愛南のソフトコーラル

愛南の海には、とにかく色彩あふれる美しい海が広がっています。
ただその美しさは整えられた美しさではなく、ありのままの原生林のような美しさ。
きっと日本の海は、昔はこんな感じだったんだろうと思わせてくれる場所です。

愛南は最近開拓されたばかりで、まだ多くのダイバーが入ってないことに加え、瀬戸内海からの冷たい潮と黒潮とが入ってくる環境の入り混じった特別な海というのもあるでしょう。
いつまでも、この美しさが続いてくれるといいなと思います。

取材協力:DIVE愛南(https://dive-ainan.jp/

■CHECK!■

今回ご紹介した愛南のダイビングについては、茂野優太さんのYoutubeでも紹介されています。合わせて、お楽しみください。

茂野優太

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Under Water Creator。 1991年、神奈川県生まれ。 海・ダイビングの魅力を写真、映像、文章、ガイドなど、多様なアプローチで発信する。 伊...

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