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南さつま市・笠沙で朝から晩まで生態観察!今、注目の鹿児島本土の海をご紹介

海のレポート

ここ数年で注目度が上がっている、鹿児島県の海。

鹿児島県でのダイビングといえば、奄美大島や与論島などの離島が思い浮かぶダイバーも方も多いかと思いますが、今注目を浴びているのは本土の海です。
地元ダイビングショップの情報発信により、ダイバーが鹿児島本土の海に訪れる機会が増えてきました。

どの海にもその場所でしか見られない光景はあるものですが、特に鹿児島の海にはここにしかない魅力が多い様に感じています。
そんな魅力に虜になり、私もこの数年、鹿児島県へ撮影に向かう機会が増えています。

今回取材にご協力頂いたダイビングショップSBさんは、大きく分けて2ヶ所の海をフィールドにしています。

ひとつは桜島が見える錦江湾。
そして、もうひとつが陸を挟んで反対側、東シナ海側の南さつま市、笠沙の海です。

今回は、この笠沙を潜った時の様子をお伝えしたいと思います。

笠沙の海
笠沙の海

一味違った生物観察が面白い笠沙

笠沙の海は、鹿児島市内から車で1時間ほどの場所です。
内湾に生息する生き物から外洋で見られる生き物まで、また、温帯から亜熱帯までと、幅広い生き物を観察することができます。
黒潮の支流の影響が、この豊富な生物相を作り出しています。

また、潜水可能な時間が定められていないため、1日のうち、いつでも潜ることができます。
そのため、他のダイビングスポットでは潜ることができない時間帯に繰り広げられる生態活動を観察しやすいことも特徴のひとつです。

ビーチポイントの大当(おおとう)海岸では、朝から夜までただひたすら、飽きずに生態行動を撮影することができます。

昨年2020年に訪れた際には私も、広い範囲で観察される産卵やハッチアウト、捕食に喧嘩と、あちこちで繰り広げられている生態活動を、ただただ慌ただしく撮影していました。
生態活動を夢中で観察していると時間を忘れてしまうほどで、水深も比較的浅いため、1本のダイビングがついつい長くなってしまいます。

早朝に撮影したハナキンチャクフグの喧嘩
早朝に撮影したハナキンチャクフグの喧嘩
普段はサンゴの隙間に隠れているイシガ二属の1種が幼生を放出

大当海岸は、シコロサンゴの群生地としても有名な場所です。
今から3年前、2018年頃にダイビングショップSBの松田さんがシコロサンゴの産卵を発見し、注目を集めました。
以来、私自身も夏はこのシコロサンゴの産卵を撮影するために通っています。

シコロサンゴの群生地から砂地に降りて行くと、多くのミジンベニハゼが空きビンに住んでおり、団地の様になっています。

さらに、年に数回、とても珍しいイレズミミジンベニハゼが現れることも、大当海岸の魅力だと感じています。

大当海岸はシコロサンゴの群生地がすごい
大当海岸はシコロサンゴの群生地がすごい
毎年登場するイレズミミジンベニハゼ
毎年登場するイレズミミジンベニハゼ

多様な華やかさで魅せる外洋へ

ボートで外洋に出ると、場所によって全く異なる華やかさが待ち受けています。
咲き乱れる様なソフトコーラル、大型の沈船、巨大な根、どのダイビングポイントでもダイナミックな景色が見られます。

時期や運にもよりますが、サメやイルカ、クジラなどを見られる可能性もあります。
大瀬というダイビングポイントでは、昨年私もカマストガリザメに出会うことができました。

残念ながらカマストガリザメの撮影はできませんでしたが、3年前の5月下旬に訪れた時には、イサキの大きな群れを撮影することができました。

大瀬は、魚だけでなくソフトコーラルが非常に美しい場所でもあり、これだけでも是非撮影したくなる光景です。

外洋ポイントの大瀬はソフトコーラルとテヅルモヅルがいっぱい
外洋ポイントの大瀬はソフトコーラルとテヅルモヅルがいっぱい

沈船が沈むポイントは、大きな船をぐるりと1周回ってみるとさらに面白さが広がると思います。
大きな船が漁礁になっており、多くの生き物たちが船を隠れ家にしています。
夏の時期にはキンメモドキが船の一角を覆いつくすこともあります。

様々な生き物が大きな船に住み着いており、“命の箱舟”の様だと感じさせられる場所です。

沈船
沈船
ソフトコーラルやテンジクダイが多く賑やか
ソフトコーラルやテンジクダイの仲間が多く賑やか

神の島曽根というダイビングポイントには、巨大な根がそびえ立っています。
ところどころに紫色のムチヤギが咲き乱れ、春になるとそこにアオリイカが産卵をしにやってきます。

私の知る限り、紫色のヤギがたくさん生えている場所にアオリイカが産卵しているのは、この神の島曽根だけです。

今年はボロカサゴが一時的にペアになったことで話題になり、今回の撮影の時には1匹になってしまっていましたが、美しい姿を撮影することができました。

ボロカサゴ。秋の撮影では1匹のみ。体色と背景がマッチして美しい
ボロカサゴ。秋の撮影では1匹のみ。体色と背景がマッチして美しい

生物撮影には観察力が不可欠

巨大な根から少し離れた岩場では、ウロコマツカサが大きな群れを作っています。

ウロコマツカサの群れ自体は他のダイビングスポットで見ることができますが、これほどの数の大群は、神の島曽根以外では見たことがありません。

ウロコマツカサがこれだけ群れているのは他では珍しい
ウロコマツカサがこれだけ群れているのは他では珍しい

ウロコマツカサを撮影するためには、動きを見極めることが重要です。
ついつい撮影したい気持ちがはやってしまい、すぐに生き物に寄ろうとしてしまう人を見かけますが、まずはどの生物も、観察をして、動きを見定めてから撮影をすると、より良い撮影ができるのです。

特にウロコマツカサは、急に近寄ってしまうと岩陰に入ってしまうので、とにかく観察することが大事です。
そうして動きを見極めてから撮影を開始すれば、近くまで寄って観察や撮影をすることができます。

夜の海で宝探し!

この3年間、笠沙の大当海岸でダイビングショップSBさんの協力の元、力を入れて行っていることがあります。
それはライトトラップです。

ナイトダイビングで集魚灯を使って生き物をおびき寄せ、観察しています。
私の名前、堀口にちなんで『ホーリーナイト』という名前で、年に2~3回開催させてもらっています。

ライトトラップはやったことがないという人も多いと思うので、何が出てくるのかと思われるかもしれませんが、本当に色々出てきます。
季節によっても集まる生き物が異なり、春はイカの仲間が多く、夏や秋になると魚の稚魚が姿を現します。

冬に開催した際には、体長1mはあろうかという大型のタチウオが登場して、こちらに向かってきたこともありました。

今回の撮影でもホーリーナイトを開催したのですが、様々な変わった形をした生き物に出会えたので、紹介します。

ユメエビの仲間を捕食中のホタルイカモドキ科の一種
ユメエビの仲間を捕食中のホタルイカモドキ科の一種
イットウダイ科のリンキクチス
イットウダイ科のリンキクチス
リンキクチス:イットウダイ科の仲間に見られる特異な幼期形態の名称
普段は外洋に生息しているアカイカ
普段は外洋に生息しているアカイカ
コチ科の一種

コチ科の稚魚は私も今回初めて見たので、とても興奮してしまいました。

今年の3月には貝殻を作るタコの仲間、アオイガイや、深海魚のフリソデウオの幼魚も確認された様です。
夜の海には、まだまだ予想を上回るポテンシャルがある様です。

来年の3月にも開催する予定なので、今から楽しみです。

最後に

南さつま・笠沙の海は、1年を通して様々な生き物や生態行動を観察することができ、非常に面白いダイビングスポットなのでオススメです。

私も、来年は夏に訪れて、生態行動を狙いに行きたいなと今から楽しみにしています。

取材協力:ダイビングショップSB(http://sb-diving.sakura.ne.jp/

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堀口和重

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水中カメラマン。 1986年東京生まれ。 日本の海を中心に、水中生物のおもしろい姿や生態、海と人との関わりをテーマに撮影活動を続けている。撮影の際は、海や生...

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