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勝浦鵜原ダイビングレポート!豪快なウマノセ、マクロのベンテン、癒しの志村ビーチ!!

海のレポート

1月下旬、千葉県・房総半島外房エリアにある、勝浦市を訪れました。
千葉県南東部に位置する勝浦市は、古くから漁業の盛んな場所として知られ、カツオの漁獲量は関東最大を誇ります。

また、有名な海水浴場やサーフィンのポイントも多数あり、海と勝浦は切っても切れない関係です。

そんな勝浦の海中はどの様な景観なのか、私も実際に自分の目で見るまではイメージが湧きづらかったのですが、実際に見てみると、魚影の濃さだけでなく、大物、マクロ、地形、癒しなど、海のバリエーションの豊かさに驚かされました。

今回は、勝浦を拠点にしているDUCK DIVEの古賀さんにガイドをしていただき、勝浦鵜原の海を撮影してきましたので、ご紹介したいと思います。

ダイビングの拠点となるのは鵜原港です。
車の場合は直接現地へ。
電車の場合はJR外房線の鵜原駅が最寄り駅です。

鵜原港
鵜原港

勝浦鵜原にはボートとビーチ、両方のダイビングポイントがあります。
今回は、12月~3月27日までの限定でオープンしているボートポイントのウマノセ、人気の生物が見られるというボートポイントのベンテン、さらに、ビーチポイントの志村ビーチを取材させてもらいました。

圧巻の魚影と回遊魚。期間限定ポイント・ウマノセ

12月〜3月27日の期間限定でオープンしているウマノセは、古賀さん曰く回遊魚が推しのダイビングポイント。

当日は午後から海が荒れそうな予報だったので、朝早めに撮影をスタートしました。

漁船に乗って港から約10分、ややうねりのある中の移動となりましたが、問題なくウマノセに到着。
水面から根に向かい、ブイのロープ伝いに10m以上降りて行きます。
潜降中は強めのうねりがあったため、身体を持っていかれるような感覚もあり、ロープを離さずに根まで降りました。

根のトップに到着して周りを見渡すと、青い海が広がっていました。
透明度は、体感20mオーバー。
そして、ロープの周りには数多くのイサキが群れていました。

我々を出迎えてくれたかの様なイサキの群れ
我々を出迎えてくれたかの様なイサキの群れ

少し水深を下げながら進んで行くと、ダイナミックな地形が現れ、それと共にイサキの群れもより大きく膨れ上がります。
久しぶりに魚影の濃い場所に潜ったので、嬉しさを感じました。

大量のイサキの群れ
大量のイサキの群れ
ダイナミックな地形と魚影

魚がこれだけ集まるということは、流れが強い場所でもあります。
ドライスーツでは思う様に移動することが難しい状況です。

そんな強い流れの中、一面に広がるイサキの群れを撮影していると、古賀さんが
「後ろ!後ろ!」
とジェスチャーしていました。

慌てて後ろを振り返ると、ブリの群れが横切ったのです。

回遊するブリの群れ
回遊するブリの群れ

この時ブリの群れは2度ほどこちらに向かって移動してきてくれました。
ウマノセには、ブリだけでなくカンパチの群れが現れることもあるそうです。

また、回遊魚以外の大物も見られました。

古賀さんが「岩の隙間にも面白いものがいるよ」と手招きするので見てみると、メートル級のクエの姿が。
ウマノセは、期間限定ではあるものの、大物や地形などのワイド狙いならオススメのダイビングポイントです。

ただ、うねりがあったり、流れが強かったりする場合もあるので、中級者以上向けのダイビングポイントでしょう。

人気のダンゴウオを筆頭にマクロ生物充実のベンテン

次に向かったのは、流れが出にくく初心者でも安心して楽しめるダイビングポイントのベンテン。
こちらも船で港から10分ほどで到着するダイビングポイントです。

この日のベンテンは、ウマノセに比べると風の当たり方が弱く、エントリー中のうねりは弱い状態でした。

水中に入って着底すると、一面綺麗な白い砂地が広がり、海藻の量もとても多い場所でした。
ワイドに楽しむことができそうなダイビングポイントですが、ベンテンはマクロ天国。
冬は、ウミウシを探したり、海藻に隠れるダンゴウオを探したりとマクロを存分に楽しめます。

今回の取材でも、ダンゴウオの成魚を3個体観察することができました。

ダンゴウオの赤い個体
ダンゴウオの赤い個体

3個体のうち1個体は、腹部を見ると卵がうっすらと見えたので、これから産卵に入るのでしょう。

腹部の卵が透けて見えるダンゴウオ

冬のアイドル・ダンゴウオだけでも十分に面白い場所ですが、私が釘付けになった生き物は別にいました。
それが、チシオコケギンポ。

赤い体色と目の下の白いラインが特徴の魅力的な魚です。

チシオコケギンポ。赤い体色と目の下のラインが特徴的。
チシオコケギンポ。赤い体色と目の下のラインが特徴的。

伊豆大島などでは普通に見られるコケギンポの仲間ですが、私は初めて見たのでテンションが上がりました。

他にも、岩の隙間には3匹のアカシマシラヒゲエビが隠れており、被写体には困らないダイビングポイントだと感じました。

マクロではありませんが、移動中には体全体がコガネアジやマアジの若魚に覆われ、さらにはコケも生えているアオウミガメの姿が。

アジだらけ!!アオウミガメ
アジだらけ!!アオウミガメ

これだけアジの仲間が共生してついているアオウミガメも珍しいな……と想いながら眺めていました。
多くのアジが共生している理由はわかりませんが、つくづく面白い場所だと思います。

イケスからエントリー。志村ビーチ

最後はビーチポイントの志村ビーチへ。
鵜原港からスーツを着て車に器材を積み、車で5分ほどで移動するとダイビングポイントに到着します。

水深が浅いため、普段は講習や体験ダイビングに使われるダイビングポイントの様ですが、どんな海なのか、前々から気になっていたため、連れて行ってもらいました。

気になっていた理由のひとつがエントリー方法です。
かつて養殖場のイケスとして使われていた特殊な場所からエントリーします。
エントリーする時は、何だか不思議な感じがしました。

イケス内はまるで遺跡の様
イケス内はまるで遺跡の様

そんなイケスエリアから水中を数分移動すると、段々と海藻の姿が増え、辺り一面に海藻が生えている場所へと辿り着きます。

広がっていたのは、言葉には言い表せないほどの癒しの光景。
ホンダワラ科の海藻や、まだ成長途中の小さなカジメが無数に広がっています。

美しい海藻が広がる癒しの場所
美しい海藻が広がる癒しの場所

そんな中でもひときわ目立つのが緑色のエビアマモ。
太陽の光を浴びながら緑の海藻が靡く姿がとても美しく、心が洗われる様な感覚に陥りました。

太陽の光に靡くエビアマモ
太陽の光に靡くエビアマモ

今回はワイドを中心に撮影しましたが、ベラ類やヒョウモンダコなども見かけたので、マクロでのんびりと撮影や生物観察するのも良いでしょう。

水深は最大でも10m前後と比較的浅い場所なので、ボートダイビング後の2本目や3本目にゆっくりと撮影するにはうってつけの場所です。

さいごに

期間限定の外洋ポイント・ウマノセは、流れが強いこともありますが、その分群れや回遊魚との出会いがあります。
気を引き締めたダイビングが必要にはなりますが、オススメしたい場所のひとつです。

ベンテンはこれからのシーズン、ダンゴウオの幼魚も期待できるので楽しみですね。

これからの時期は、志村ビーチをはじめ、勝浦鵜原全体の海藻もさらに増え、より癒される光景が広がるのだろうと想像が膨らみます。

冬場は豪快かつ癒しのダイビングスポット・勝浦鵜原の海に潜りに行ってみてはいかがでしょうか。

協力:DUCK DIVE・勝浦ダイビングリゾート(https://duck-dive.jp/

堀口和重

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水中カメラマン。 1986年東京生まれ。 日本の海を中心に、水中生物のおもしろい姿や生態、海と人との関わりをテーマに撮影活動を続けている。撮影の際は、海や生...

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