辰ノ口について
魚種が豊富で、1年中楽しませてくれる辰ノ口(たつのくち)。
対馬海流に乗ってやってくる回遊魚や季節来遊魚、日本海側と太平洋側の生物が入り混じるダイビングスポットです。
冬から春にかけては、珍しいウミウシたちにも注目!
そんな辰ノ口のダイビングスポット情報をその魅力とともにご紹介します。
ダイビングの基本情報から、季節ごとの見どころをまとめたシーズナリティ、ダイビングポイント紹介まで、海の情報満載でお届け!
目次
辰ノ口の概要
辰ノ口は、長崎県長崎市香焼町にある、九州最西端のダイビングスポットです。(離島を除く)
長崎の市街地からは車で30分ほど。
香焼町と伊王島を結ぶ伊王島大橋を眼前に望むことができ、陸からの景色も抜群です。
対馬海流が流れ込むため、海流に乗って流れ着く魚も多く、観察できる魚種が豊富なことから人気となっているダイビングスポットです。
辰ノ口海水浴場の北に位置する岬を中心に広い範囲でダイビングが楽しめます。
辰ノ口ダイビング基本情報
辰ノ口のダイビングスタイルはビーチダイビングがメインです。
エントリーポイントは東西南北に計4ヶ所。
風向きによって選択出来るため、風の影響を受けにくく、1年中安定して潜れるポイントです。
湾内は体験ダイビングやライセンス講習が行われるほど穏やかで、ブランクダイバーやビギナーでも安心して潜ることができます。
エリア内は砂地や泥地、ガレ場とバラエティに富み、それぞれの環境を好む生物と出会えます。
ビーチポイントでありながら、巨岩や回遊魚の群れなどのダイナミックな光景が見られる場所や最大水深35mという比較的深場に潜れる場所もあり、ビーチだからと侮れないのが辰ノ口の海です。
夏にはアオリイカの交接や産卵シーン、秋にはソラスズメダイの求愛ダンスと産卵を間近で見られ、次の世代へと命を受け継ぐその瞬間は感動ものです。
主に日本海側を生息域とする生き物と、主に太平洋側を生息域とする生き物が混ざりあい、さらに黒潮から分離した対馬海流に乗って、南方の生き物が流れ込みます。
浅場にはハードコーラル、深場にはソフトコーラルが広がり、豊かな生物相を支えています。
風に影響を受けにくく、多種多様な生き物が生息する辰ノ口の海はビギナーからベテランダイバーを1年中楽しませてくれるダイビングスポットです。
ダイビングのシーズナリティ
辰ノ口の海の魅力を春夏秋冬に分けて、ご紹介します。
春の辰ノ口
冬から春に向けて、ウミウシの出現率がグッと高くなり、種類も豊富です。
そのなかでも、ミノのような突起が並んでいるイナバミノウミウシやウララカミノウミウシなどのミノ系やヒラヒラしたゴージャスな外套膜が特徴的なハナオトメウミウシやサギリオトメウミウシ、カメキオトメウミウシウミウシなどのオトヒメ系が特に多く、海の中はウミウシパラダイス。
辰ノ口を熟知しているインストラクターでも、初めて見るウミウシが毎年出現しています。
ウミウシ好きにはたまらない季節です。
夏の辰ノ口
6月から7月末まではアオリイカの交接、産卵シーンを間近で見られます。
地元漁協の協力により駐車場裏というポイントの水深10m付近にアオリイカの産卵床を設置されています。
暖かい海に生息するカンパチやブリなどの回遊魚も潮の流れにのって長崎県の近海まで近づくため、辰ノ口でも遭遇率が高くなります。
辰ノ口で採取された標本によって新種記載されたビイドロカクレエビがみられるのもこの時期です。
秋の辰ノ口
夏に見られる生物に加えて、色鮮やかな季節来遊魚が対馬海流に乗って現れ、水中は1年でもっとも賑やかな季節となります。
また、アジやカマスの群れも見られます。
また、9月中旬まではソラスズメダイの求愛ダンスと産卵が活発に行われています。
1年を通して見られるハナハゼですが、秋には、夏に生まれた稚魚が大きくなり、20匹ほどが一斉に同じ穴に入るような面白い光景が見られます。
冬の辰ノ口
冬は透明度が安定して高い一方、秋までの水中が嘘だったかのように静寂に包まれます。
多くの生物たちが身を潜めるなかで、水深20m付近ではガラスハゼが多数出現。
成魚でも全長3cmほどの小さな魚で、名前の通りガラスのように半透明の体を持つ美しい被写体は、フォト派ダイバーを楽しませてくれます。
ダイビングポイント紹介
辰ノ口の代表的なダイビングポイントを3つご紹介します。
割れ岩
割れ岩は辰ノ口でもっともカラフルな景観を楽しめるポイントです。
水深18m付近には大きな岩がそびえたち、その周辺に広がるソフトコーラルを住処とするキンギョハナダイやアカオビハナダイ、マツバスズメダイが華麗な舞を披露してくれます。
冬から春先にかけては、ウミウシたちのシーズンとなり多くの種類を確認することが可能です。
【エントリー・スタイル】ビーチ(セッティングエリアから徒歩約2分。エントリー場所は岩場)
【最大水深】18m
【流れが出た場合】コース取りに影響を与える流れが発生することがある
【ナイトダイビング】×
クロの巣
最大水深が27mと水深を取ることができるポイントのひとつ。水深25m付近でクロ(メジナ)※が1年中群れを成しているポイントです。
アカオビハナダイの群れも見られ、非常に多くの魚が集まっていることが特徴です。
ソフトコーラルの中でもヤギ類がひと際目立ち、岩に生い茂っているその世界はまさに竜宮城。
美しいソフトコーラルとクロの群れのコラボレーションは必見です。
【エントリー・スタイル】ビーチ(セッティングエリアから徒歩約2分。エントリー場所は岩場)
【最大水深】27m
【流れが出た場合】コース取りに影響を与える流れが発生することがある
【ナイトダイビング】×
アンカーの根
水深35m付近から8m付近まで、幅約100mに渡ってほぼ東西に延びる大きな根の一部。(根自体は、そこからさらに約100m、また別の根に続いていきます)
ブリやカンパチなどの回遊魚を見られる確率が高く、運が良ければイルカやマダラトビエイに遭遇できるポイントです。
オトヒメエビやオドリカクレエビなどのエビ類に加えて、カニ類も多く観察できるためワイドもマクロも両方楽しめます。
【エントリー・スタイル】ビーチ(セッティングエリアから徒歩約2分。エントリー場所は岩場)
【最大水深】18m
【流れが出た場合】コース取りに影響を与える流れが発生することがある
【ナイトダイビング】×
その他のダイビングポイント
かき山、アラの巣、テトラ沖、駐車場裏、お花畑、旗岩、ミジンの砂地
辰ノ口へのアクセス情報
車でのアクセス:
長崎ICより車で約30分
町営の無料駐車場(20台)有
空港・駅からのアクセス:
長崎空港より車で約1時間、JR長崎駅・長崎市街地より車で約30分
辰ノ口の観光情報
辰ノ口のある長崎県は三方を海に囲まれ、緑も豊か。
世界文化遺産や世界新三大夜景もある、魅力満載のエリアです。
ダイビングを楽しんだ後は、陸で歴史、文化のある景色を望み、豊かな自然で獲れた新鮮な海の幸や地元野菜でお腹を満たしてはいかがでしょうか。
長崎県沖にぽっかりと浮かぶ「軍艦島」は、日本の産業を支えた海底炭鉱の島で、2015年に世界文化遺産に登録されました。
最盛期は周囲1.2kmの島に約5,300人もの人が住んでおり、学校や娯楽施設など生活するために必要な施設が揃っていました。
現在、人は住んでおらず、島内には当時のままの姿で鉄筋コンクリートの建造物が立ち並ぶのみです。
島を訪れるにはツアーへの申し込みが必要ですが、今の日本の支えとなった歴史ある島は必見です。
▶軍艦島(https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/51797)
長崎市のランドマーク的な存在でもある「稲佐山」からの望む夜景は、2012年に開催された夜景サミットにて、香港、モナコと共に世界新三大夜景に選ばれた、世界が認める夜景スポット。
1,000万ドルの夜景と称されるほど美しく、眼下に広がる煌びやかな夜景はとてもロマンチックです。
▶稲佐山(https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/115)
横浜、神戸と並んで日本三大中華街ひとつである長崎。
江戸時代中期に中国と盛んに貿易が行われており、長崎市の姉妹都市である福建省の協力でできた石畳の道は、十字路の東西南北を合わせて約250m。
現在、長崎新地中華街には中華料理、中国菓子、中国雑貨など約40店舗が軒を連ねて観光客を楽しませてくれています。
特におすすめは、秘伝のスープで作るちゃんぽんが看板メニューの江山楼(こうざんろう)と肉汁あふれる小籠水餃子が人気の老李(ラオリー)です。
▶長崎新地中華街(http://www.nagasaki-chinatown.com/annai.html)
長崎グルメの定番と言えば「ちゃんぽん」。
野菜や魚介類などがたくさん盛り付けられコシのある麺が特徴の麺料理です。さっぱりとした出汁のきいてるスープが特徴。
長崎には豊富な海と山の幸があるからこそ作り出された郷土料理とも言われています。
市内にはちゃんぽんを食べられるお店は多数ありますが、どこにしようか迷ったら、長崎新地中華街から車で5分ほどの明治32年創業「四海樓」がおすすめです。
▶四海樓(https://shikairou.com/history/)
情報・写真提供:ブルーアース21長崎(http://be21-nagasaki.com/)