唐津について
玄界灘の豊かさが体感できるダイビングスポット・唐津(からつ)。
イナダ(ブリ)やイサキといった回遊魚の圧倒的な群れ!
そして、海藻の森とそこに息づく小さな生物たち。
天然記念物・七ツ釜にも潜れる、注目のダイビングスポットです。
そんな唐津のダイビングスポット情報をその魅力とともにご紹介します。
ダイビングの基本情報から、季節ごとの見どころをまとめたシーズナリティ、ダイビングポイント紹介まで、海の情報満載でお届け!
目次
唐津の概要
唐津は佐賀県の北西部に位置し、古くから大陸との交易の拠点として栄えてきた港町。
水中にも碇石(石製の碇)や遺跡が多く眠っています。
豊臣秀吉の時代には名護屋城が朝鮮出兵の拠点となり、江戸時代には唐津藩の城下町として栄え、明治時代は石炭の積出港として栄えました。
その名残は今でも各所に残されており、水陸共に歴史のロマン溢れる場所と言えます。
文化的な魅力だけでなく、国の天然記念物に認定されている七ツ釜を筆頭に、日本三大松原のひとつである虹の松原、弘法大師もその景色に驚嘆したと伝わるいろは島など、豊かな自然も大きな魅力です。
また、日本三大朝市に数えられる呼子朝市で有名な呼子町も唐津市内に位置しています。
呼子はイカの活造りが生まれた町とされており、呼子のケンサキイカは、佐賀県を代表する名産品のひとつです。
唐津ダイビング基本情報
唐津は玄界灘の中央に位置するため、唐津の港を拠点に玄界灘を広く潜ることが可能です。
玄界灘は南から北上した暖流・対馬海流に、北から朝鮮半島を経由して南下した寒流・リマン海流が流れ込む場所とされています。
寒流には豊富な栄養と豊富なプランクトンが含まれているため、その栄養分とプランクトンが暖流・寒流双方の魚たちを育み、こうした場所は良い漁場となることが知られています。
良い漁場になるということは、ダイバーにとっても魅力的なダイビングスポットということ。
唐津の海も例外ではなく、夏の時季にはイナダ(ブリ)やイサキといった回遊魚の大群を期待することができます。
豊富な栄養は魚だけでなく様々な生き物を育み、唐津の海では日本海側にも関わらず、30種以上のサンゴが群生しています。
そのサンゴは多くの小さな生き物の棲みかとなり、ヒメタツやタツノイトコ、ヒメイカなどをはじめとした小さな生物たちも豊富に観察することができます。
その他、国の天然記念物に指定されている七ツ釜の水中に潜れたり、茶碗が落ちているチャイナというダイビングポイントがあったりと、一味違った唐津らしいダイビングを楽しむこともできます。
2月頃は最低で13℃ほど、8月頃には最高で28℃ほどと1年を通しての水温変化が比較的大きく、この水温変化のために、同じポイントとは思えないほどに水中景観は大きく様変わり。
移りゆく水中の四季を存分に感じることができる海だといえるでしょう。
ダイビングのシーズナリティ
季節によって全く異なる水中景観を見せる唐津。
そんな唐津の海の魅力を春夏秋冬に分けて、ご紹介します。
春の唐津
水温の上昇が始まるシーズンの春は、ワカメなどの一年藻とされる海藻や、海の生態系にとって重要かつ貴重されるアマモやウミヒルモなどの海草が一気に繁茂します。
春の日差しと生い茂る海藻、海草が織りなす景色からは、自然の美しさと逞しさを感じることができるでしょう。
ワカメのメカブ部分にはスナビクニンが隠れており、また、カジメ、アラメ、クロメなどには、ユビウミウシやフジエラウミウシ、コトヒメウミウシなどのウミウシ類が見られます。
夏の唐津
より一層水温が上昇する季節。
水温上昇と共に、イシモチの仲間、スズメダイの仲間、ギンポの仲間、ベラの仲間など、多種多様の魚たちが産卵シーズンを迎えます。
求愛行動、産卵の瞬間、かいがいしく卵を守る様子、そんな生態行動を楽しむことができるでしょう。
7月末頃には暖流の対馬海流が一層近付き、それと共にイサキの大群が姿を現します。
壁の様に眼前を遮ったかと思えば、ダイバーの周り360度を取り囲むなど、壮大な景色を楽しむことができます。
水温は27~28℃程度まで上昇し、透明度は20mほどになる日もあるため、狙い目のシーズンと言えるでしょう。
秋の唐津
日本海側ではあまり見られない南の生物が多く出現するシーズンです。
1年を通して唐津の海に生息している生物に加え、季節来遊の魚類や甲殻類が加わり、見られる生物の種類が最も多くなります。
8月末〜10月頃には、美しい婚姻色を見せるアカオビハナダイや、マダラギンポなどが多くのダイバーの人気を集めます。
冬の唐津
水温が下がるにつれ、多くのウミウシが姿を見せるシーズンです。
多種多様なウミウシを観察することができるため、ウミウシ好きのダイバーにとってはオンシーズン。
ウミウシが棲みかにすることも多く、単体でも美しい被写体となる、ガヤやヒドロ虫の仲間、通称・生え物が増えるため、これらを好むダイバーの方にもうってつけのシーズンと言えるでしょう。
ダイビングポイント紹介
暖流と寒流がぶつかることで豊かな海が育まれている唐津。
そんな唐津の代表的なダイビングポイントを3つご紹介します。
大瀬
唐津を代表するNo.1ダイビングポイントと言っても過言ではないのが、大瀬。
魚の量、種類はもちろん、ソフトコーラルの量や種類、どれを取っても一級品。
海に飛び出た岩礁なので潮が非常によく当たり、多くの魚が集まります。
マアジ、イサキ、タカベ、ニセタカサゴ(グルクン)、キビナゴ、メジナ、ニザダイ、ブリ、などなど、上下左右から様々な魚が入り混じる風景は大迫力。
時には大きなクエまでもが、この風景に加わります。
大迫力の光景にはカラフルなソフトコーラルが色を添えます。
尚、正午過ぎ頃までは磯釣りが行われているため、14時以降限定でダイビング可能なポイントです。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約40分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】40m
【流れが出た場合】流れによってダイビングを中止する場合がある
【ナイトダイビング】×
七ツ釜
観光地としても有名な海食洞、七ツ釜を潜るポイントです。
七ツ釜は、数百万年前にできた玄武岩の台地が波の浸食によって形成されたとされており、その名の通り7つの洞窟から形成されています。
玄武岩のダイナミックな柱状節理を横目に洞窟内を潜るダイビングは、地形派ダイバーに人気を博しています。
洞窟内に頭上が閉鎖されている場所はなく、垂直に水面まで浮上可能なので初心者でも安心して楽しむことができます。
ただし、少しでも海が荒れてしまうと洞窟内に入ることは出来ないため、オープン確率は低めとなってしまうダイビングポイントです。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約5分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】15m
【流れが出た場合】流れが出ることはほとんど無い
【ナイトダイビング】×
ケーブ
浅場にサンゴの群生があるため、唐津で最も南国の雰囲気を味わえるダイビングポイントと言えるでしょう。
そのサンゴの群生には、夏になるとイソギンチャクモエビやオトヒメエビ、クロユリハゼ、ミツボシクロスズメダイをはじめとした南方種が多く訪れます。
近年、オキナワベニハゼが観察されるようになってきたほか、2021年には、シコクスズメダイ、アマミスズメダイ幼魚も初観察されています。
同じく浅場に群生するカラフルなイバラカンザシの群生も見どころのひとつです。
深場にはサクラダイやアカオビハナダイが群れ、浅場とは異なるカラフルな世界を創り出しています。
また、ピンク色のオキマツゲはここのポイントのアイドルとして人気です。
【エントリー・スタイル】ボート(港から約40分。エントリー時はブイを取る。またはアンカーを打つ)
【最大水深】32m
【流れが出た場合】流れてもコース取りに影響を与えない程度
【ナイトダイビング】×
その他のダイビングポイント
立神、丸曽根、平瀬、ヒヅメ、ツインロック、ガーデン、ケーソン、人形瀬、小松島、ケーブル、チャイナ、文五郎瀬、カクレ根、カクレ根part2、長崎鼻
唐津へのアクセス情報
飛行機でのアクセス:
福岡空港までは羽田空港から約1時間半、中部空港から約1時間15分、伊丹空港から約1時間5分。
福岡空港からは電車、もしくはバスにて、それぞれ約1時間半。
車でのアクセス:
長崎自動車道・多久インターより、厳木多久有料道路、国道203号線、国道382号線を経て約50分。
または、西九州自動車道唐津インターより国道382号線を経て約30分。
港には、無料駐車場が30台分用意されています。
電車でのアクセス:
最寄り駅はJR唐津線もしくはJR筑肥線、唐津駅。
駅から港へはタクシーなど、車で約20分。
唐津の観光情報
唐津の観光スポットといえば、まず、唐津のシンボル・唐津城。
豊臣秀吉の家臣、寺沢広高が築城したと伝わる城で、舞鶴城という別名でも呼ばれる、桜と藤の名所です。
2017年に模擬天守がリニューアル。展望所からは、虹の松原を望む絶景が見られます。
その虹の松原は、約100万本のクロマツが群生する景勝地。
日本三大松原に数えられる国の特別名勝です。
そして、ダイビングポイントとしても紹介した天然記念物の七ツ釜ですが、遊覧船でクルージングも楽しむこともできます。
水中からの眺めを堪能した後は、水上から自然の造形美を堪能してみては?
▶︎七ツ釜遊覧船 イカ丸(http://www.marinepal-yobuko.co.jp/sp/ikamaru.html)
呼子朝市で有名なイカの町、呼子も唐津市内。
江戸時代から続くと言われている呼子朝市には、新鮮な玄界灘の恵みが並びます。
おばちゃんの活気ある声が飛び交う、地域密着の市場で買い物を楽しみましょう。
また、呼子で獲れる新鮮なイカも必食。
ダイビング帰りに唐津市内で食べるなら「玄洋」、本場・呼子で食べるなら「歳香亭」がおすすめです。
いずれのお店も混雑具合とイカがまだ残っているか、電話で問い合わせしてから向かった方が良いでしょう。
情報・写真提供:唐津マリンスポーツクラブ(https://kmsc-diving.com/)